「「耽奇小説」第2号」
「耽奇小説」は久保書店が出していた雑誌「裏窓」の臨時増刊第6集だとなり、第3巻6号となっている。
さらに副題は「グラマア・サスペンス」であり、耽美・怪奇・小説等を指す造語だろう。
「裏窓」のバックナンバーや次号紹介を載せており、如何にも増刊なのだろう。
ミステリ雑誌では無いが、作家名にはミステリ関係が並んでいる。
岡田鯱彦・深尾登美子・木村生死・狩久・都筑道夫・松村芳喜雄・朝山せい一・永瀬三吾・大河内常平・潮寛二等が書いている。
中島河太郎のエッセイや貝弓子の翻訳等もある。
異色感覚読物の言葉が並び、編集後記で「執筆者も意図を組み、工夫ある作を寄せた」としているが、漠然とはしている。
全体的に短い長さであり、ミステリとしては書きずらく、読物的なものになっている。
(2022/05/02)
「「X」第3巻第4号」
雑誌「X]は、雑誌「Gメン」から通算の第3巻からこの名称になった。
第3巻第4号は、1949年発行で「別冊」であり、「探偵・犯罪・猟奇・情艶 小説と実話号」となっている。
目次には実話とか小説の表記があるが、詳細は不明だ。
小説とされているのは、横溝正史+江戸川乱歩・大下宇陀児・保篠竜緒・大倉てる子・富士鷹太郎でこれに萩原秀夫が加わる。
「犯罪を猟る男」は横溝正史が江戸川乱歩名義で発表した短編の再録とされるが、この号には何も書かれていない。
「怪盗消失」保篠竜緒は小説となっているが、「ルパン出現」との表記されており、翻訳だろう。
A4サイズの大判でイラストを多く取り入れた雑誌だが、専門誌ではなさそうだ。
(2022/05/17)
「「Gメン」第2巻第1号」
前回の「雑誌「X]は、雑誌「Gメン」から通算の第3巻からこの名称になった」とした。
その「Gメン」の第2巻第1号は表紙は、説明書きのないシンプルなもので昭和23年1月発行となっている。
小説は少なく、北條誠・牧野吉晴・木村荘十・乾信一郎が執筆者だ。
坂口安吾や大宅壮一らのエッセイや、「防犯 浮世かるた」があり雑誌名称の由来だ。
座談会「探偵話の泉」があり、出席者は江戸川乱歩・大下宇陀児・木々高太郎・角田喜久雄と水谷準となっている。
知名人からの問題(あるいは質問)10問に、答える内容となっている。
例えば「刑事隠語」「「奥さんの別名」「次の人は誰」「一郎から五郎までの探偵作家」などなどがある。
出席者のペンネームの由来の質問で、大下が「宇陀児は、妻の歌子から取ったので、うたこと読む」と言っている。
(2022/06/01)
「「Gメン」第2巻第2号」
雑誌「Gメン」の第2巻2号で、前回の1号の翌月になる。
表紙に「探偵小説傑作集」と書かれていて、一転して小説中心の編集になっている。
水谷準「花輪家の舞踏会」、式場隆三郎「水晶の花」、倉光俊夫「吹雪の夜の終電車」、渡辺啓助「黒猫館の秘密」、
土岐雄三「栗栖氏復活の真相」、大林清「宇宙にいない男」、北町一郎「銀貨と宝石」、森下雨村「勝負」だ。
まだページ数が少ない時代であり、小説の他には座談会「二十の扉」が続いて4ページある。
雑誌と言うよりは、アンソロジー的な編集内容だ。
執筆者は戦前からの名前が並んでいて、一般投稿は無く、それが編集方針なのだろう。
(2022/06/16)