探偵雑誌日記(2019/11-12)

「横溝正史「朝顔金太捕物帳」」

オンデマンド版で横溝正史「朝顔金太捕物帳」が出版された。

複数の主人公で横溝は捕物帳を書いたが、リライトで「人形佐七捕物帳」に集約とされている。

元の作品は、殆どは単行本tpしては殆どなっていない。

その中でも一部は単行本になった事があるのが、「朝顔金太捕物帳」だと言う。

横溝の原形の捕物帳が復刊または初単行本化される。

その1冊目が、「朝顔金太捕物帳」となり初出の挿絵付きともなった。

レア作品が多く、ファンにはうれしいニュースとなった。

(2019/11/13)

「梶山季之「地面師」」

昭和30年-40年の作家は、60年経過すると殆どが死去している。

そして書店からは急速に作品が消えてしまっている。

同時に、戦前と昭和20年代を中心にした復刊からは外れる事もおおい。

そしてミステリ読書歴が古い人には、思い出が多い作者でもある。

梶山季之は社会派小説のイメージが強く、ミステリ色は強くはない。

多数の本があるが、それからは長編のイメージが強く残っている。

その短篇を集めた個人作品集が「昭和ミステリルネッサンス」の1冊として出版された。

収録作は1作を除いては、ミステリ味・・・特に本格味は弱い。

経済物・詐欺物・産業スパイ物を含めた犯罪小説が中心であり、長編の梶山作品と同じ土俵だと感じた。(2019/11/28)

「眉村卓「燃える傾斜」」

眉村卓氏が死去した。

私はSF小説は探偵小説ほどには読んではいないが早く読んだ作品がある。

昭和30年後半のミステリーの叢書である、東都ミステリに何故か、眉村卓「燃える傾斜」が入っている。

SFとしては「今日泊亜蘭・光の塔」がある。

この叢書は量的にも40作を越えて多く有名だが、質的にも長く評価されて読まれている作品を含んでいる。

逆にはほぼ1作だけの作者も含まれており、興味深い。

この時代は日本でSFが本格的にジャンルを意識して書かれ始めた時だ。

探偵小説誌に掲載される事が多かった事もあり、叢書にも採用されたのだろうか。

他のいくつかのミステリ作品と同様に、SFも読み継がれる作品となった。

(2019/12/13)

「城昌幸「くれない系図」」

城昌幸作の「くれない系図」は若さま侍捕物手帖シリーズの1作だ。

若さま侍シリーズは知名度は高く、ドラマや映画にも多くなっている。

シリーズ作品数も多いが、現在では全作品を読める機会は少ない。

現在はオンデマンド出版で、全作の復刊を目指している。

その6冊目として出たのが長編「くれない系図」だ、知名度の高い「双色渦巻」の倍の量がある。

内容が多彩なシリーズだが、原則はホームズ談のスタイルで江戸の町の事件を描くのが基本だ。

ただし「くれない絵図」は捕物帳のスタイルではなく、伝奇時代小説だ。呪いや祈祷が主題となっている。

それ故に主人公の若さまの位置は微妙だ、短篇で見せている切れ味鋭い推理と解決は抑える事で、長編が成立している。(2019/12/28)

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