「探偵小説界の長老・渡辺啓助」
百才を越えてから死去した、渡辺啓助はその長い作家生活から長老とも呼ばれた。
1901年産まれで1929年でデビューして、2002年死去した。
最近の作品集には「聖悪魔」1992年、「クムラン洞窟」1993年、「ネメクモア」2001年、
「渡辺啓助集・地獄横丁」2002年があり、2018年にも「渡辺啓助探偵小説選」が予定されている。
戦後に少数の長編もあるが、作品のほとんどは短編だ。
作品は怪奇・幻想味が濃く、題材的には架空世界を含みSF分野にも係わった。
短編作家の多くが、幾つかの代表作だけを集めたベスト集で残りやすい。
渡辺啓助は死後長くないことから、まだ複数の作品集が入手可能だ。(2018/03/07)
「テーマ別アンソロジー」
テーマ別アンソロジーというジャンルがある。
作者別個人アンソロジーや、年代別アンソロジーや、受賞歴別のアンソロジーとは一味異なる。
テーマがジャンルで無い場合は、選者によっては多彩な内容になり得る。
選者の力が発揮されるジャンルだとも言える。
有名なアンソロジーはこのテーマ別に多い。
マニアが興味を持ち、古書を探し読むのもこれらが多い。
そして、これらのアンソロジーに収録されている作品は、読んだ人が多く知られる事になる。
特にマイナー作家や、知名度は高いが作品は復刊されにくい作者は代表作になる事もある。
そして選者は、名アンソロジー選者と言われる事になる。(2018/03/22)
「横溝正史の復刊続く」
横溝正史作品は、昭和50年からの角川文庫の連続出版で中心作は出揃った。
その後も、そこに入らなかった作品が復刊と、単行本初出出版された。
それにはそれを待ち期待する読者の存在が前提にあった。
意欲的な探偵小説の復刊を行っている、論創ミステリ叢書での事情は同じと言う。
最初に3冊の復刊が編まれたが、いずれも人気が高かったと言われる。
時間を置いて4巻以降が出版されたが、増刷になったのは横溝正史の巻だった。
角川文庫は10冊程度を残して絶版になっている。
そこで絶版の初期短編を集めた、短編集が復刊の復刊がされている。
そして新聞から見つかった普通小説も発掘出版された。(2018/04/06)
「木々高太郎の復刊」
木々高太郎は作品数の多い、活動期は流行作家だったと思われる。
現在でもアンソロジーではお馴染みの作家だが、長編・評論等は一部しか復刊されていない。
乱歩・正史以外の、作家ではよくある事だが、古い出版でのかな遣いや漢字では読みずらい。
現在でも読みやすい、内容に変えられた本の有無が大きい。
発表作の多い作家は、逆に復刊されにくい状況もある。
コアなファンは古書を持ち、読む。
代表作以外の作品の知名度は低い。
結果的に少ない署名だけが、復刊される傾向になる。
木々の場合は、本格ミステリへの偏見的な意見が引用される事も印象を歪める事がある。(2018/04/21)