探偵雑誌日記「戦前は専門探偵雑誌は少ない」
探偵雑誌が多数登場したのは、戦後です。
戦前は、現在の中間雑誌という位置つけの雑誌が多数ありました。
まだ完全に分化していない、探偵小説もその一つのジャンルとして掲載されていました。
戦前は、それに加えて社会事情というか軍部関係からの統制がかかっていましたから本格探偵小説の土壌ではなかったと言えます。
その中でも、大阪圭吉・蒼井雄・浜尾四郎等の少数の本格派が存在した事は貴重です。
特に、戦中は完全な雑誌・刊行本の統制にありましたから、本格探偵小説が生まれる事はありません。
その影響もあり戦後直ぐに、抑えられていたものが反発するように本格探偵小説が登場しました。
戦争により作家の死もありましたが、新しい雑誌・新しい作家・新しい分野の作品が並ぶ事になりました。
まだ継続する社会情勢ではなかった為に次々と、雑誌の廃刊や作家の断筆がありましたが、戦後は第二の出発点とも言えるでしょう。 (2010/09/09)
探偵雑誌日記「蝶々殺人事件の映画化」
「蝶々殺人事件の映画化」は雑誌でも取り上げられています。
現実には、予定より遅れ色々有ったようです。
一般にも、現在でも原作と映像化作品での食い違いはあたりまえの様にあります。
原作と同じ内容では、脚本・演出に不満があるようにも思います。
それとは別に、時間の関係で長さの調整もあった様です。
本格探偵小説の文化が無かった時代ですから、伏線も全て無視で適当に削除された作品が多かったとも言われます。
当然ながら意味不明ですし、推理は不可能です。
本格探偵小説を脚本・演出出来る映画界の、人物はまだ先にならないと登場しなかった様です。
げんざいでも、不可解な映像化が多くありますから、戦後直ぐの事でなげくことは無いのでしょう。 (2010/09/24)
探偵雑誌日記「江戸川乱歩の随筆」
「随筆」「エッセイ」「コラム」は雑誌のみで単行本になる事は殆どありません。
ただ、いわゆる大家になると例外的に、単行本に集められる事が増えます。
代表は、江戸川乱歩であり、「幻影城」「探偵小説40年」等の多数の評論集として編まれています。
探偵クラブ賞も、この評論集で受賞しています。
乱歩のエッセイの人気は高く、最近でも「乱歩のルービック」があるアンソロジーも出版されています。
ルービック自体に比重が多いのは、乱歩と鮎川哲也の二人でしょう。
逆に言えば、高名になってからの作品が少ないからとも言えます。
特に乱歩は、長編が少なく代表長編を選ぶのが難しいのです。
短編でもなかなか、書かないのでエッセイを執筆という流れが多い様に思います。 (2010/10/10)
探偵雑誌日記「短い探偵小説専門雑誌の寿命」
探偵小説専門誌は沢山ありますが、少数を除いて寿命は短いです。
特に対象ジャンルを狭くする程に短くなる傾向があります。
結局は、雑誌は複数の著者・作品で構成されますから、読みたい部分の比率でポイントなのでしょう。
一部で好評であっても、平均した読者数が確保出来ないと廃刊になります。
特に、雑誌の内容や名称や編集方針が変わると廃刊の警報と言われています。
かなりの雑誌が、名称を変えています。
そして、変更後に廃刊になっています。
本の書店売り>委託販売は、しばらく後に返品になりますから、寿命を短くする様です。
雑誌単独で、利益の確保はほとんど無理と言われています。 (2010/10/24)