「「別冊宝石」第14巻6号」
「別冊宝石」第14巻6号は、「本格長編傑作集」と題がつけられている。
内容は、蒼井雄「瀬戸内海の惨劇」の復刊再録と、オースチン・フリーマンの「オシリスの眼」の翻訳の2長編だ。
これ以外はウッドストックの短編の翻訳が小説で、それ以外は「瀬戸内海の惨劇」と蒼井雄の特集となっている。
特集として、『「瀬戸内の惨劇」をめぐって』の江戸川乱歩と横溝正史と蒼井雄の座談会がある。
随筆・解説として、大内茂男「蒼井雄と私」、中島河太郎「瀬戸内海の惨劇 解説」がある。
編集部「科学的合理性を見につけた作家」は、フリーマンの紹介だ。
座談会では色々な話題が飛び出している、時代背景を知らないと判らない内容もあり、今ならこれの解説が欲しい。
個人的に気になる、3人の座談会は読み応えがある。
(2022/03/03)
「「オール読物」第17巻12号」
「オール読物」はミステリ専門誌ではなく、大衆文学の全般を対象とした雑誌で2022年現在も発行されている。
推理小説もその対象に含まれるが、時折は「推理小説特集」が組まれる。
第17巻12号(昭和37年12月号)も特集が組まれている。
笹澤左保・水上勉・多岐川恭・結城昌治・鮎川哲也・飛鳥高・戸板康二・梶山季之・星新一が、特集に執筆している。
笹澤左保のインタビューがあり、連載では有馬頼義の小説や角田喜久雄のエッセイがある。
グラビアでは、女流作家とその主人が特集されていて、ミステリでは仁木悦子と新章文子が参加している。
オール読物新人賞の発表があるが、まもなくオール読物推理小説新人賞が切り離された。
(2022/03/18)
「「探偵倶楽部」第3巻第6号」
「探偵倶楽部第3巻第6号」なのだが、「探偵倶楽部大特別号 現代探偵作家戦後代表傑作選」となっている。
後書きで「臨時増刊の予定だが、読者の負担を考えて特別号とした」となっている。
内容は「権威ある探偵作家クラブで選定した代表作」を網羅したとある。
横溝正史「蜘蛛と百合」、江戸川乱歩「断崖」、木々高太郎「彼の求める影」、岡田鯱彦「噴火口の殺人」らの22作だ。
内3作は野村胡堂と九鬼湛と島田一男の捕物帖だ。
中島河太郎の「戦後探偵小説界展望」と、楠田匡介「作家紹介」がある。
現在で年度別選集が編まれているが、それに近いものを雑誌版で出したものと言えるだろう。
(2022/04/02)
「「探偵実話」第7巻第15号」
「探偵実話」第7巻第15号で10月発行の11月号で、増刊が多いので15号となっている。
実話と題するものも多く判断は難しいが、小説は楠田匡介、港星太郎、朝山蜻一、城戸買かい、四季桂子、風流隠士、蓮池一郎、鮎川哲也、潮寒二だ。
楠田「殺人請負業者」、朝山「渦巻温泉殺人事件」、四季「二シパ」、潮「青岩鐘乳洞」等だ。
判断が微妙なものも多い。
鮎川の「りら荘事件」の連載は回数の明記がないが、たぶん3回目だ。
小説以外の読物が多いが、中島河太郎以外は名前を知らない著者だ。
某覆面探偵作家の出題の懸賞探偵クイズの2回目がある、前回の結果発表もある。
(2022/04/17)