探偵雑誌日記(2018/01-02)

「山本周五郎の著作権保護期間が終了」

2018年元旦より多数の作家の著作権保護期間が切れた。

その中でも注目が山本周五郎だ。

一定の作品は、現在でも文庫で現役だ。

その著名な作品以外も、近年では復刊されたり作品集に編まれている。

それは作者が、時代小説以外のジャンルでも多彩な作品を残しているからだ。

作品は多く全貌は簡単ではないだろうが、まだまだ多くの復刊が期待される。

現在は時代小説の新刊の出版ブームだが、過去の人気作家はそれ以上に人気だ。

人気作家の現役作品が増える事を期待したい。(2018/01/06)

「海外小説の複数翻訳」

海外小説では、著作権が切れている場合は翻訳は自由だ。

制度は変遷しているので、書かれた時期と日本での翻訳権の取得状況で異なる。

おおむね過去に紹介された事がなく、かつ書かれたのが古い作品は新翻訳出版が可能だ。

日本語の翻訳自体は著作権が発生するので、それの店頭は出来ない。

日本語翻訳がない作品は膨大にあり、それらはゆっくりと新翻訳が出ている。

その希な初翻訳が、たぶん偶然だろうが重なる事がある。

紹介が遅い事はそれ程も知名度がないか、需要が無い事を意味する。

だから希に、それらの本で複数の翻訳が登場すると驚く、「重ならないセレクトをして欲しかった」とも思う。

セイヤーズの「ナインテラーズ」が例だ、そして今年にリーブの「無音の弾丸」が重なったのだ。(2018/01/21)

「横溝正史ミステリ&ホラー小説大賞」

「横溝正史ミステリ大賞」と「ホラー小説大賞」の統合が発表された。

どちらも20年以上続く公募新人賞だ。

受賞作無しが、結構多いとの印象もあった。

ジャンルを拡げる事で、中間作品にも視野を広げる意味と、単純に受賞比率を上げる狙いか?。

募集内容からは、横溝正史が怪奇小説とホラー小説の縁が深いとある。

横溝正史は幻想味が強い事は知られるが、ホラー味はなかなかつながらない。

作家の名は無関係になってゆくのは、江戸川乱歩賞と似ているように思う。

新人賞乱立の時に、受賞と評価の高い作品が集まるかどうかがポイントだろう。

読者モニターが選ぶ「読者賞」設置は、過去のミステリー大賞を思い出す。(2018/02/05)

「本屋大賞2018」

ミステリーファンでは、広いジャンルの本屋大賞への興味は多くないが話題は見る。

ジャンル分散型とか、新刊単行本限定とかに制限はある。

直木賞と比較する人もいるようだが、もっと広いジャンルが対象と感じる。

新刊だけの理由は、販売促進上は必要なのだろうか。

書店員が勧める書籍の立場からは、無難すぎるがそれも流れだろう。

普段読まないジャンルの本の接触のきっかけには、今は成りにくい。

数冊の本に絞り込む事の結果だからヤムをえないのだろう。

ロングテール本の情報が欲しい人間には、賞形式は無理なのかと思う。

そろそろ次のステップかと思う。(2018/02/20)