探偵雑誌日記「古書雑誌の状態は悪い」
出版側の意識と、時代の紙の質との絡みで雑誌の材質の保存性は一般に悪いです。
古い雑誌の、状態が良好という物は殆ど見たことがありません。
コストを安価にして、多くの内容を詰める事が雑誌を作る、少なくても文芸雑誌を作る常套手段です。
グラビアとか、上質紙の写真誌は最近の登場ですし、文学とはあまり縁はありません。
古い雑誌を読む事は、書体が古い・漢字が旧書体である事を含めてかなり厄介です。
読みつらい文字を劣化した紙質の雑誌から読むのですから、拡大鏡や辞書が必要と言えるでしょう。
作品が単行本になり、復刊される場合は書体等は新書体に直されますし単行本の紙質は、雑誌よりも良い事が普通です。
後日の復刊やら、アンソロジーで読んだ作品を初出の雑誌で読むと読みにくさに驚きます。(2010/03/12)
探偵雑誌日記「戦前と戦後に活躍した作家」
戦中は作家にとって闇の時代です。しかし戦前もそれに近いともいえます。
戦後になると出版事情は良くはありませんが、書ける内容は広くなりました。
探偵小説は自由な世界でのみ書けるジャンルです。
戦前は、本格ミステリも若干存在しましたが急増したのは戦後です。
発行禁止が多くあったのも戦前です。検閲内容は今では不思議な物もあります。
従って、戦前と戦後とで作品内容がかなり変わった作者もいます。
それが、どのように評価されたのかは別ですが自主的な変化であって欲しいとは思います。
戦争を挟んで、ジャンルの変化とともに個人の作家の変化を見るのも興味があります。(2010/03/27)
探偵雑誌日記「意外と厄介な雑誌の全発刊数の把握」
生まれては消える運命の雑誌ですが、その全ての発行巻数の把握がかなり難しいです。
理由は、1:雑誌名の変更がかなり多い事があります。現在でも名称を変える事は度々ありますが昔から同じです。
2:発行社の変更も多い事もあります。流通経路が変わり、外観が変わり内容が変わり・・同名の雑誌名なのかどうかがややこしい。
3:増刊・別冊その他の発行がかなりあります。
4:もっと厄介なのが準備号の存在です。たぶん一番厄介。
戦前に多い発行禁止の扱いもあります。これは事情が分かれば定義の問題です。
非常に稀ですが、雑誌の増刷があります。
ちょっと考え難いですが、雑誌形式で発行した時にたまたま増刊になった事があります。内容に変更が加わると単純ではないです。 (2010/04/11)
探偵雑誌日記「創刊準備号」
何故か「創刊準備号」というものが存在します。
厄介な事は、準備号だけで終わる場合がある・準備号が別の名称の雑誌として出版されている・履歴が取れにくい等です。
準備号を出すには理由があるのです。結局は創刊しない場合もあるという事です。
また現存雑誌がふたつに別れる事や、姉妹紙として創刊される事があると準備号は片隅に掲載される事になります。
そして、通しの号数に入らないので、後で調査するときに抜け落ちる事があります。
リアルタイムでも忘れがちですから、後からは判らなくなっても仕方ないとも言えます。
ただし、前号揃いを探す人には死活問題になるかも知れません。
いつしか「きも」とか「利き目」とか言われる本になる事もあります。(2010/04/26)