探偵雑誌日記(2019/05-06)

「渡辺啓助の復刊」

渡辺啓助の活動期間は非常に長い。

変格ミステリ、怪奇ミステリを中心に多数の短編を残した。

新刊作品集と復刊作品集と、再編集作品集が幾度か出版されてきた。

復刊の面では、採録作品はある程度の範囲に絞られる事は仕方がない。

ただ可能なだけ、重複を避けて、情報を提供する形の復刊が望ましい。

再編集の複数巻の作品集の予定があり、同時に単行本未収録作品集が同人出版された。

再評価される時期が来たのかもしれない。

(2019/05/02)

「フットレルの「思考機械」」

フットレルの「思考機械」物の全集が出版された。

「思考機械」と呼ばれる、高い思考能力を持つ博士を主人公とした、短編ミステリのシリーズだ。

翻訳としては10編程度ずつの短編集が3冊出版されており、約30作が訳されていた。

残りの20作程度の新訳を加えた全集となるようだ。

初出本からの新訳と初出本のイラストを掲載する豪華本となり、2冊分冊となる。

日本作家でも短編50作のシリーズの全作を集める事は多くない。

また初出本のイラストは著作権の絡みもあり、単行本に受け継がれる事は少ない。

黄金時代のやや古い時代の作品であり事情も異なると思われる。

長編中心の時代だが、短編と短編集やシリーズ集も魅力がある。(2019/05/17)

「笹沢佐保の復刊」

笹沢佐保は多作家だ、リストを作った事はないが相当に著書は多い。

そして現役の出版中の著書は一部に限られている。

膨大な現役時代の著書が、死後もほぼ復刊されり事は、少数作家に限られている。

ミステリのジャンルでは、少数の全集のある作者と江戸川乱歩くらいだ。

笹沢佐保も、今は一部の作品が繰り返し復刊されるが、それ以外の不規則に復刊がある。

その状況では、現役時代の評価を踏襲する訳であり、再評価とは行かない。

古書で集めるには、出版リストが必要だが、ネットで時折見かける。

時代物はテレビドラマで有名のためか、復刊される事が多い。

全集は可能性は低いのだろう。(2019/06/01)

「鮎川哲也の少年小説」

鮎川哲也の少年小説が復刊された。

2巻分冊とされているが、予告されてからかなり遅れた。

レーベル的には、都筑道夫と山田風太郎と仁木悦子に継ぐが、ビッグネーム揃いでも需要は多くないのだろう。

鮎川哲也に関しては、文庫版で1冊のみ復刊された事がある。

少年小説と少女小説は、復刊が遅れている分野だ。

近年に漸く、復刊が始まって来たが、まだ愛好者は限定されていると感じる。

ミステリ界では、同一トリックやストーリーの一般小説と少年小説の併用はあるようだ。

それが問題かどうかを含めて、研究自体も少ない。(2019/06/16)