探偵雑誌日記(2013/05-06)

「新作と転載」

雑誌には、新作掲載のものと、旧作の転載があります。

海外の作品の翻訳は基本が転載になる(例外もあります)。

単行本になっていない雑誌発表のみの作品や、マイナー出版の作品はメジャー雑誌での転載は意味があります。

現実に、転載でのみ知られて単行本にはなっていない作品も多くあります。

また作者が別名義で発表して、埋もれた作品もあります。

新作中心の雑誌でも、旧作発掘はあり、逆もまたあります。

ようするに、どちらが主体の雑誌かと知っておく必要があるでしょう。

題名を変えて、新作に見せかけた掲載もあったようです。(2013/05/14)

「戦前と戦後」

古い雑誌は、戦前と戦後に判る事が多いです。

軍部等の管理体制での発行は、制約が多く特に戦時中に近くなると影響大きいです。

徴兵された作家・戦死した作家・書きたいものが書けない作家・好まぬジャンルを書いた作家。

事情を考慮して読む方を選ぶより、空白期間にする場合もあるでしょう。

特に、「発行禁止」処理があります。

なかなかその情報が確認出来なくて、推測のみがひとり歩きした時もあります。

時代を変えた、捕物帳が多かった時代でもあります。

スパイ小説・防諜小説で、どこか軍の意向に従ったといわれた作品が、内容を吟味されずに表面的に否定された事もあります。

その中でじっと、力を溜めていたものが急激に表面に出たのが戦後との認識が多いです。(2013/05/29)

「長編連載」

雑誌が軌道に乗るか、乗せるつもりならば連載を企画します。

中断がまずいのは、長編連載です。

エッセイや連作は、途切れても完結していなくても形にはなっています。

長編小説は、そういう訳にはいかないし、特に探偵小説は完結しないと意味がないです。

ロックは、短期の中編連載と、長期の長編連載を行いました。

結果的な雑誌寿命の割りには多いです。

特に横溝正史「蝶々殺人事件」は、宝石の「本陣殺人事件」とならび戦後の最初の長編です。

どちらも長さ的には短めなのは、当時の紙の入手事情が感じられます。

愛読者には、「蝶々殺人事件」を代表作に押す人も多いのです。(2013/06/13)

「翻訳作品」

海外作品の著作権・翻訳権は徐々に整備されました。

戦後は変わったと言えるでしょう。

流石に平均死後50年の権利切れは、希でしょう。

はたして戦前の雑誌が、どれだけ翻訳権を得ていたかは微妙です。

そして、海外作品を原案とする、翻案作が最初に登場しました。

それが広まると、そもそもの原作が何だったかが判らない場合も生じます。

雑誌に翻訳連載を始めても、急に中止したり、創作に見せて見たりとかありました。

1970年発表作以前の日本語翻訳特例が出来て、それ以後は著作権が無条件に存在します。

戦後の翻訳事情は、よくわかりません。(2013/06/28)