「「探偵実話」第13巻第2号」
雑誌「探偵実話」は昭和25年から昭和37年に出版された、冊数的には多い雑誌だ。
名称の様に実話が主体であり、探偵小説の掲載は時期や号により異なるようだ。
ミステリ小説の専門誌ではないが、現在でも知名度の高い作品も多数含まれている。
ミステリー資料館発行の「「探偵実話」傑作選」に山前譲によるリストがある。
そこには(小説)の記述があり、それが小説でそれ以外は実話になるが、実話が通常は多い。
保有している「探偵実話」第13巻第2号は昭和37年で廃刊される年だ、そして上記リストだは全部が実話となる。
作家にミステリ作家の名が無い、ただしリストによれば8号は全て(小説)であり偏りがある。
表紙に作品名がなく実話だけの臨時増刊のようだ、別の雑誌かとの錯覚も感じる。
(2021/11/03)
「「探偵倶楽部」第7巻第13号」
第二次大戦以降の探偵小説雑誌の中で「探偵倶楽部」は100号まで発行されて多い。
昭和25年創刊だが雑誌名は異なった、後に改名されて暫くは「探偵クラブ」の名称だった。
昭和27年に「探偵倶楽部」になり昭和34年のまで発行された。
初期は専門誌ではなく、娯楽雑誌と言われるが、次第に探偵小説の専門誌になって行った。
次第に海外作品の翻訳が増えたことも特徴であり、実話も多く掲載された。
第7巻第13号は昭和31年の後期の号で、翻訳が10作あり、実話が4話で、創作は3作だ。
鷲尾三郎と日影丈吉と宮野村子が書いており、他の木々嵩太郎と保篠龍緒と江戸川乱歩が寄稿している。
雑誌の副題も「推理小説と探偵実話」であり、3本柱となっていたようだ。
(2021/11/18)
「「黒猫」第2巻第9号」
雑誌「黒猫」は戦前の昭和22年に創刊された探偵小説雑誌で、2年間に11号発行されたとされる。
名称はエドガー・ポーの短編「黒猫」から由来するという。
ページ数は少なく、創作の小説は短編か掌扁だが、翻訳の載せた。
木々高太郎・江戸川乱歩・坂口安吾らの随筆も多数掲載され、実話風やコラムもある。
第2巻第9号(注記:号は2年間で通算で表記されている)は昭和23年7月発行で、64ページだ。
城昌幸と乾信一郎と高松一彦の短編と、香山滋「有翼人」の連載がある。
随筆は坂口の「探偵小説を戴る」と乱歩の「透視的探偵法」が載っている。
後記は無署名だが、当時の探偵小説界について色々と語っている。
(2021/12/03)
「「宝石選書」第1号増刊」
雑誌「宝石」は戦後の探偵小説専門誌としては最大の発行数となり、本誌以外にも「別冊宝石」が発行された。
「特集号」「増刊」「臨時増刊」「合併号」等の多彩な名称が見られる。
「宝石選書」は雑誌として扱わない事は多いが、外観は雑誌と同じだ、その経緯は序文で明かされている。
「宝石選書・第1号 刺青殺人事件」は昭和23年5月発行であり、新人の高木彬光のデビュー長編をのみ、江戸川乱歩の序文と共に掲載した。
そして昭和23年8月に再販が発行された、こちらには乱歩の「再販を祝す」が追加されている。
雑誌への長編のいっき掲載だが、選書の題名にした。
掲載された「刺青殺人事件」は現在では「初稿」と呼ばれる350枚の作で、のちに650枚に改稿されて現在に流通する作品になっている。
保有するのは再販で、紙質は悪く痛みも多い。
(2021/12/18)