探偵雑誌日記(2015/03-04)

「ローカル雑誌から小説が発見」

ローカル雑誌を中心に、存在の確認が難しいものも多い。

最近続いて、織田作之助と松本清張の小説が発見された。

それらは、雑誌の原本自体が全部は揃って見つかっていないとも報じられた。

復刻中心の雑誌に、希に創作が掲載される時に見落とし易い事は事実だ。

だがまだ有る可能性もある。

ローカル雑誌は、その全貌が知られていない事も珍しくない。

初期の作品は習作の事が多いが、珍しいとも言える。

末期は読んでみないと判らない。(2015/03/05)

「北町一郎探偵小説選」

戦前から戦後に登場した作家で、当時は作品も多かった。

今はすっかり忘れられた作家で、実に久しぶりの復刊だ。

時に、戦前の公募長編「白昼夢」は初めての復刊だ。

ただ、間延びして焦点が曖昧なスタイルは、今では判りづらい。

外観は探偵小説であるが、内容は異なるイメージが強い。

雑誌「ロック」からの採録もある。

戦後も書いていたと判るが、本格への路線変更はなかった。

最初で最後の復刊の可能性が高いと感じた。

戦前作家がスタイルを変えずに、戦後も成功した例は少ない。(2015/03/20)

「犯罪実話」

戦前・戦後の探偵雑誌でよく見かけるのが「犯罪実話」だ。

執筆者の名前だけか、そも記載なしが多い。

舞台や登場人物は、海外名だから、海外雑誌からの転載・引用の翻訳が予想される。

翻訳と銘打つと、権利関係が絡むので避けていると思える。

明らかな翻訳さえも、表面上は創作名で掲載がある。

翻訳に対する権利が曖昧な時期でもあるし、費用の問題もあるだろう。

翻訳自体が、抄訳や超訳の時代だ。

翻訳文化が短命雑誌で、広がる前の話だ。

そもそも、海外作品の紹介=ネタばらしが、創作作品の中に平気で書かれた時代だ。(2015/04/04)

「戦前・戦後作家」

戦前に既に作家として活躍して、しかも戦後も同様に活躍した人も複数いる。

戦後は、絶対数の不足から競って新人発掘を行ったので、戦後デビュー作家の印象は大きい。

しかも、横溝正史から始まる本格探偵小説への変化に応じた数は少ない。

ただ、確立した知名度はどうしても必要で、創作内容に関わらず影響を与えた。

ただ、戦前に知名度を高められなかった人が、戦後に知名度を上げた例は少ない。

それは同じペンネームでも、名前を変えても同じ様だ。

ただ、いつまで執筆したか、存命したかはバラバラだ。

業界的には、江戸川乱歩の没後50年が目安になる。

著作権が大きく変わる時だ。(2015/04/19)