「「エロティック・ミステリー」第2巻1号」
雑誌「エロティック・ミステリー」は昭和27年から発行された「宝石」増刊が起源とされていて、再録が多い。
雑誌として独立の名称になったのは、昭和35年からだった。
起源からミステリ専門誌だが、誌名の風俗やエロテックの内容も掲載された、その比率は時期で異なる。
保有する第2巻1号には「異色ミステリ4人集」等のミステリと共に翻訳小説や時代小説が掲載されている。
連載は、青山光二「殺人契約」、江戸川乱歩「一寸法師」だ。
城昌幸が「若さま侍捕物手帖(第1話)・福の神行状」を連載を始めているが再録だ。
当時のこの雑誌の編集人は稲並昌幸=城昌幸であり、1年後位い後からは新作を連載しているようだ。
小説は、再録と新作が混在しており、見ただけでは判らない。
(2022/01/03)
「「別冊宝石」第3巻2号」
「別冊宝石」は一般には通常の雑誌サイズだが、一部に大版と呼ばれる大きいサイズがある。
第3巻第2号と第3号は、公募懸賞小説の内の長編部門の予選通過作を掲載した。
短編でも予選通過作の掲載は稀であるが、長編では通常は考えられない事だ。
本号には、中川透(鮎川哲也)「ペトロフ事件」、大牟田次郎「帰って来た男」、岡田鯱彦「紅い頸巻」、大河内常平「松葉杖の音」、島久平「硝子の家」が掲載された。
長編2作以上が雑誌掲載が稀だが、5作は非常に多い。
大判サイズに4段組で50ページ程度で1長編であり、全325ページはすさまじい。
次号は3作掲載だが、予選通過長編8作掲載は、他に例はないと思う。
(2022/01/18)
「「別冊宝石」第5巻6号」
「別冊宝石」は特集が特徴であり、公募懸賞の予選通過長編掲載もその一つだった。
勿論、短編部門も公募されていて、その予選通過短編を掲載する特集号も組まれた。
創刊からの初期には、年1回か、年2回の新人作家特集が組まれた。
本号の特集名は「入賞者大コンクール 新鋭二十二人集」であり、特集というよりほぼこれだけだ。
巻頭に戦前探偵雑誌創刊号表紙集が写真で編まれている、ただし創刊号以外も多く含まれている。
さらに執筆陣の顔写真が掲載されている、錫ケイ二と埴輪史郎以外の20人の写真が載っている。
土屋隆夫・日影丈吉・川島郁夫(藤村正太)らもあり、若い写真だ。
新人作家だけの予選通過作品だけの雑誌は、現在では考えられない
(2022/02/01)
「「宝石臨時増刊」第14巻7号」
海外作品の翻訳掲載では「別冊宝石」のイメージがあるが、雑誌「宝石」でも特集が組まれている。
「宝石臨時増刊」第14巻7号は、ディクスン・カー特集号と題しており、増刊の特集にふさわしい内容だ。
掲載作は、脚本の「絞首人は待ってくれない」「客間にどうぞ」がある。
短編は「熱々の金」」「楽屋の死体」「消えた女」が掲載され、長編「黒い密室」が一挙掲載された。
「黒い密室」は弓弦城殺人事件」の副題がある。
翻訳以外では、江戸川乱歩の「カー問答」、中島河太郎「カー私抄:、田中潤司「カー著作目録」がある。
完全にカーに関する内容のみであり、現在ならば単行本になるのだろう。
雑誌とする事で、発行部数が拡大したのだろうか。
(2022/02/16)