探偵雑誌日記「新人は書き下ろしで、有名作家は連載で」
元々、雑誌連載から単行本化は決まった道筋ではありません。
したがって、雑誌掲載のみで、単行本のない作家が多数存在する事になりました。
昭和30年頃から、書き下ろしが増加し始めました。
逆にいうと、雑誌が下火になり始めた頃です。
その場合の、どちらが先かは実は難しい問題です。
普通は、トータルでの読者数や、本の購入量の問題の事が多いと思われます。
ただ、単行本は誰でも出版出来ないと思うので、雑誌が少なくなると作家数は少なくなるでしょう。
そのこともあって、乱歩賞をはじめとした、書き下ろし長編募集が始まりました。(2013/03/15)
探偵雑誌日記「初出は誤植が多い」
雑誌が初出は多いですが、誤植や間違いも多いです。
作者のミスや、編集のミスやその他のミスが集まります。
その後に単行本になる場合は、多くは修正されます。
雑誌発行で終わる時は、そのままです。
かなり後に、発覚する事も多いです。
作者名や題名の誤植というものも実はかなりあります。
作者名が新人等で誤植になり、以降もそのまま使用したという例が後日報告されています。
文章は流れがありますが、固有名詞や造語は読み間違い、書き間違いがあっても気づきにくいです。
あとは単純な、記述ミスですが、探偵小説では叙述トリックがあるので、誤りかどうかが断定出来ません。(2013/03/30)
探偵雑誌日記「雑誌・ロックの新人」
雑誌「ロック」でも新人募集がありましたが、雑誌の期間が短いのと廃刊に近かったです。
その為に、当選作の発表のみでその後の成長・発表の場とはならなかったです。
ただし、1人の作者が発表の場を変えて長く書き続けました。
募集以前に登場して、複数の作品を発表した作者が2人います。
北洋と紗原砂一ですが、前者は夭折で、後者は発表が途切れました。
戦後直ぐですから、兼業作家です。
小説かどうか判らないものも多く、既存作家が主体だったと言えます。
翻訳に関しては、結果的には無しと同然になりました。
新人については、ゼロでなかった事を評価する状態です。(2013/04/14)
探偵雑誌日記「ロック叢書」
数は少ないし、あまり注目されていないが、ロック叢書なるものがあります。
雑誌を発行すれば、次は単行本というのは、定跡です。
ただし雑誌が短命で、財力に余裕がないのだから形だけに終わるのは仕方ない事だろう。
それに、注目されるのは、後に復刊されていない本という条件がつきます。
例えば、蝶々殺人事件は、無理して初出単行本を探すメリットは少ない。
個別に言えば、読者への挑戦がどのように形を変えたかの検証ぐらいだ。
叢書は、多くの本のシリーズをイメージさせるが、全巻完結は少ないというジンクスもあります。
数を決めていない時は、いつしか終わっていると後で気づく。
とのかく、叢書という言葉に惑わされない事でしょう。(2013/04/29)