探偵雑誌日記(2021/09-10)

「「新青年」第29巻第2号」

雑誌「新青年」の知名度は高い、探偵小説専門ではないが、探偵小説の歴史と関係は深い。

大正から昭和初期にかけて発行されて、知名度の高い作者と作品が掲載されている。

第二次世界大戦後も短い期間だが発行されたが、戦後の探偵小説雑誌ブームの中で、伸びず廃刊となった。

400冊発行されており、古書ではタイトルは見かけるが一部となる、しかも古書価格も高くなっている。

私は僅かしか保有していない、当時の雑誌は紙質は悪く時代を経て変質しており、文体と漢字も現在では読みずらい。

保有している「新青年」第29巻第2号は昭和23年であり、発行は江古田書房からだ。

作家は霧島四郎・北町一郎・黒沼健・土岐雄三・大林清の名がある。

「寝ぼけ署長」連載が前号で終わり、新連載の黒林騎士「失恋第五番」が始まるとされている。

(2021/09/04)

「「別冊宝石」第3巻第3号」

第二次大戦以降の探偵小説雑誌の中で、刊行数が多いのは「宝石」であり、掲載場所を広げた「別冊宝石」だ。

「別冊宝石」では海外作品の翻訳シリーズがあり、それ以外でもシリーズ的なものがある。

その一つに「百万円懸賞探偵小説コンクール」募集と発表があり、長編、中編、短編の部門で行われた。

長編部門は、その後の江戸川乱歩賞・横溝賞・鮎川賞を例として、優勝作の単行本出版で実施される事が多い。

だが「宝石」では上位の複数作品を雑誌に一挙掲載した、その場に「別冊宝石」もなった。

第3巻第2号と3号には、1回目の応募状況と候補作品が掲載されている。

第3号には岡村雄輔「加里岬の踊子」、新田司馬英「赤い塩殺人事件」、遠藤桂子「渦潮」が掲載されており、若干の翻訳短編もあり雑誌の形態を保っている。

その前の第2号には中川透「ペトロフ事件」、大牟田次郎「帰って来た男」、岡田鯱彦「紅い頸巻」、大河内常平「松葉杖の音」、島久平「硝子の家」が掲載された。

(2021/09/19)

「「ぷろふいる(戦後)」第2巻第2号」

雑誌「ぷろふいる」は戦前に発行されていた探偵小説雑誌で、昭和12年に終刊した。

戦後の昭和21年に復刊して、翌年まで発行された、その後に名称を「仮面」と変えて発行された。

戦後の雑誌「ぷろふいる」は第1巻が2冊、第2巻が3冊発行されて、第3巻から「仮面」に変わった。

「ぷろふいる(戦後)」第2巻第2号は戦後の4冊目で、A4サイズで全50ページだが紙質は悪い。

目次には、創作・随筆・コラム等が多数並ぶが、短いものが主体だ。

小熊二郎「湖畔の殺人」100枚があるが、ヨーロッパを舞台にした作品と作者の情報は判らない。

青鷺幽鬼名義の共同ペンネームで、角田喜久雄と海野十三が発表したが、本号では「昇降機殺人事件」が載っている。

随筆等は多彩な作者が書いているので、マニアにはこちらが注目かもしれない。

(2021/10/04)

「「妖奇」第3巻第6号」

雑誌「妖奇」は戦後の昭和22年に創刊された探偵小説雑誌で、昭和27年10月までその名で発行された。

昭和27年11月からは「トリック」と名称を変えて発行が続き、昭和28年4月が終刊だとされる。

古書でもあまり見かけず、アンソロジー等での復刊も多い雑誌ではない。

掲載作品のリストや、オークションサイトの目次映像を見ると、知名度の高い作者名も多いがほとんどが再録掲載だと言う。

3年目頃から創作も掲載されたとされるが、作者名を見ると全く知らない作者名が多い。

覆面作家名義が多くあり、それを含めて謎の作家も多く、複数人での名義もあるとの見方もある。

第3巻第6号はA5版66ページで、色刷りや写真ページがある、ポーの「黒猫」翻訳は訳者は不明で、山本禾太郎と小栗虫太郎と大阪圭吉は明らかに再録だ。

覆面作家「連続殺人事件」が連載されているが、全く知らない名の作者も多く並んでいる。

(2021/10/19)

株式会社ニッチカンパニー