探偵雑誌日記(2018/11-12)

「氷川瓏集」

アンソロジー作家と呼ばれる作者がいる。

作品数の少ない短編作家だが、アンソロジーへの掲載が多い人だ。

読者は作品集、特に全集を望むがなかなか出版されない。

待ち続けると希に作品が出る事があるが、時間がたてば絶版になる。

そうすると古書を探すしかない、ただし雑誌を探すよりは楽だろう。

論創社や同人出版で、希な作品集が増えている事はうれしい。

氷川瓏もそれに該当する、作品集は2003年にちくま文庫から出た。

今では見かけにくくなっているが、ミステリ的にはほぼ全集であり、1冊見つけるだけで良い。(2018/11/02)

「捕物帖の復刊」

時代小説は盛んであり、その1分野に捕物帖がある。

ただし明確なジャンル分けでなく、時代や主人公やストーリーなどで感覚的に呼ばれている。

時代小説は現在でも盛んに書かれており、日々増えている。

執筆者は専門作家からミステリー分野から広いのが特徴だろう。

時代小説は一度は書いて見たいジャンルであり、それが捕物帖の事も多いようだ。

テレビ化・ドラマ化も多く知名度が高い作品も多いが、小説は意外と読まれていないかもしれない。

多数の作品が絶版になっている状況は、他のジャンルと同じだ。

捕物帖を専門にオンデマンド出版で復刊する企画が始まった。

選定がどうかが最初の課題だろう、1冊目は納言恭平という作家だった。(2018/09/18)

「川野京輔の復刊」

復刊だが、初出を知らない読者も多いと思う。

筆者がミステリ系を読み始める前に、別名で書いた作品は知らないか憶えていない。

後の短編集「コールサイン殺人事件」は本名としては知っているが未読だった。

時代幻想小説長編「王朝哀歌」は読んだが、ミステリ感は無かった。

伝奇ミステリ長編「猿神の呪い」もミステリよりも他のジャンルの印象が残っていた。

全3巻の2巻が現在復刊されているが、ほぼ未読の短編となる。

現在のエンターテイメント、広義の変格ミステリ、犯罪小説のジャンル分け中心になるのだろうか。

連作でない短編集故に、個々には幅がある。

ミステリ読者が見逃す作品を含めた、ほぼ全集になるのか??。(2018/10/03)

「大下宇陀児の復刊」

江戸川乱歩を追うように死んだ大下は、比較するとどうしても影に隠れがちだ。

作品数も活動期間も充分なのだが、生前から作品的には限られていた。

それでもすこしずつ復刊されている、ただしまた絶版になる可能性はある。

ただし、全貌を判るような復刊は無理だし、作品を追っかける事も厄介だ。

当然ながら多くは発行部数の少ない出版であり、マニア向けの傾向は仕方がない。

色々なジャンルの作品が復刊されており、好みであったり無かったりする。

少年向きの小説もあるのは、時代の要請だろうか、ほぼ誰も書いている。

短編は一部の代表作が繰り返して取られる傾向がある。

ゆっくりでも復刊される事は、最低限の読者はいるのだろうと思う。(2018/12/17)