「氷川瓏集」
アンソロジー作家と呼ばれる作者がいる。
作品数の少ない短編作家だが、アンソロジーへの掲載が多い人だ。
読者は作品集、特に全集を望むがなかなか出版されない。
待ち続けると希に作品が出る事があるが、時間がたてば絶版になる。
そうすると古書を探すしかない、ただし雑誌を探すよりは楽だろう。
論創社や同人出版で、希な作品集が増えている事はうれしい。
氷川瓏もそれに該当する、作品集は2003年にちくま文庫から出た。
今では見かけにくくなっているが、ミステリ的にはほぼ全集であり、1冊見つけるだけで良い。(2018/11/02)
「捕物帖の復刊」
時代小説は盛んであり、その1分野に捕物帖がある。
ただし明確なジャンル分けでなく、時代や主人公やストーリーなどで感覚的に呼ばれている。
時代小説は現在でも盛んに書かれており、日々増えている。
執筆者は専門作家からミステリー分野から広いのが特徴だろう。
時代小説は一度は書いて見たいジャンルであり、それが捕物帖の事も多いようだ。
テレビ化・ドラマ化も多く知名度が高い作品も多いが、小説は意外と読まれていないかもしれない。
多数の作品が絶版になっている状況は、他のジャンルと同じだ。
捕物帖を専門にオンデマンド出版で復刊する企画が始まった。
選定がどうかが最初の課題だろう、1冊目は納言恭平という作家だった。(2018/09/18)
「川野京輔の復刊」
復刊だが、初出を知らない読者も多いと思う。
筆者がミステリ系を読み始める前に、別名で書いた作品は知らないか憶えていない。
後の短編集「コールサイン殺人事件」は本名としては知っているが未読だった。
時代幻想小説長編「王朝哀歌」は読んだが、ミステリ感は無かった。
伝奇ミステリ長編「猿神の呪い」もミステリよりも他のジャンルの印象が残っていた。
全3巻の2巻が現在復刊されているが、ほぼ未読の短編となる。
現在のエンターテイメント、広義の変格ミステリ、犯罪小説のジャンル分け中心になるのだろうか。
連作でない短編集故に、個々には幅がある。
ミステリ読者が見逃す作品を含めた、ほぼ全集になるのか??。(2018/10/03)
「大下宇陀児の復刊」
江戸川乱歩を追うように死んだ大下は、比較するとどうしても影に隠れがちだ。
作品数も活動期間も充分なのだが、生前から作品的には限られていた。
それでもすこしずつ復刊されている、ただしまた絶版になる可能性はある。
ただし、全貌を判るような復刊は無理だし、作品を追っかける事も厄介だ。
当然ながら多くは発行部数の少ない出版であり、マニア向けの傾向は仕方がない。
色々なジャンルの作品が復刊されており、好みであったり無かったりする。
少年向きの小説もあるのは、時代の要請だろうか、ほぼ誰も書いている。
短編は一部の代表作が繰り返して取られる傾向がある。
ゆっくりでも復刊される事は、最低限の読者はいるのだろうと思う。(2018/12/17)