探偵雑誌日記「非デジタル時代の単行本化・復刊」
現代は多くの作家がワープロを使用していますし、出版社もデジタルデータ化しています。
この状況では、訂正や書き直し等も容易に行えます。
結果的に、雑誌掲載>単行本化・アンソロジー・増刷>復刊・文庫化、等が全て訂正や書き直し可能です。
昔の活版印刷では、これは容易ではなく判型の異なる本では活字組を作り直しますがそれ以外は最低限のみです。
出版社が異なる再刊でも「版型転用」が多く有ります。
本の小説部は同じで、装丁・表紙・その他付属部のみ変わります。作品集では、作品単位で削除はあります。
デジタル化になってから、やたらと書き直しが多くなり何が本来か決定版か不明になりました。
完成品を提供するという意味では、どちらが良いのかは難題です。(2010/01/11)
探偵雑誌日記「作者は専門誌以外にも書く」
専業作家にとっては当然ですが、注文があれば色々な雑誌や本に書きます。
内容的に多種のジャンルや作風になっても専業となれば、対応できるかどうかは能力次第です。
活字文化が進めば、ある程度作家側で発表誌の選別も可能かも知れませんが、それは限られた作家のみです。
戦前・戦後の執筆料の支払い自体が守られるかどうかという時代では、なおさら作家側に発表先を選ぶ事は難しいでしょう。
寿命の短い中間雑誌への発表や、別名義での発表は、後生にその作者の書誌を調べる上で大きな障害となりました。
創世期の探偵小説作家の完全な書誌は存在しない事は、不思議でもなく当時の事情から来る事です。
不明な初出・書誌は、専門誌以外の発表に多く存在するようです。
また、戦前では今は外国の台湾・満州等で発行されたものが日本の研究から漏れている事がある様です。(2010/01/26)
探偵雑誌日記「明らかな誤植とは」
アンソロジー等での復刊の時に、「明らかな誤植以外は原文」と書いてある事が普通です。
書かれた時代にもよりますが、旧字体や口語風文を如何に扱うかは難しいです。
その上で、明らかな誤植を判定する事は言葉の様に明らかではありません。
現在の小説でも、意識的に古い文章をまねている場合がありますし、出版社のマニュアルで変えられている事もあります。
原文も比較するものも無い状態での、「明らかな」誤植の判断は不可能に思えます。
校正者の主観的な判断というのが実際でしょう。
雑誌「ロック」は時代に合わせた文章ですが、それ以上に特徴が見られます。
原稿段階のミスか、活字組段階のミスかさえ区別は難しいと言えます。(2010/02/11)
探偵雑誌日記「古い時代の雑誌は全巻揃いは少ない」
専門古書店では、「雑誌の全巻揃い」は販売しています。
一種のプレミア付きですが、信用できる古書店でないと抜けがあります。
雑誌は、「名称」「復刊」「出版社変更」「欠号」「増刊」が多いからです。
全巻という言葉に何が含まれるのかを知っていないと、抜けが出てそれを補充する事は非常に難しいです。
戦前・戦後直ぐの雑誌は、情報が少なくマイナーな雑誌は同人誌的で、見たことがないものも有ります。
最近、「ミステリー資料館」から索引・書誌が出て、明らかになって来ていますが、完全網羅かは微妙です。
雑誌「ロック」はまだ情報が多いと思いますが、それでもやや怪しいですし、所有本も一部です。
断片的な保有雑誌はどうしようかと迷います。(2010/02/26)