探偵雑誌日記(2019/07-08)

「世界推理短篇傑作集・新版」

創元推理文庫のロングセラーの、江戸川乱歩選「世界推理短篇傑作集」が新版になった。

英米の黄金時代の前からその迄の短篇を、5冊のアンソロジーにまとめた。

江戸川乱歩が選んだ作品を、個別で翻訳出版されていない作品を集めていた。

個々の作品集に収録されたものは省かれていたが、新版では収録された。

旧版では、英語以外の作品は英語訳からの翻訳だったと言う、今回は原典からの翻訳が行われた。

新版では、初出順に並び変えて5冊に判られた、こちらの方が個人的には好きだ。

追加とか補遺とかを考えるとキリがないので、選出は変えない割り切りも妥当だろう。

(2019/07/01)

「鮎川哲也の探偵作家訪問記」

第2次対戦の戦前戦後付近は探偵小説・探偵作家と呼んでいた。

多くのマイナー作家は消息は不明であり、謎が多いし知名度も低い。

その作品は雑誌掲載のみも事も多く、一部がアンソロジーに採られている程度だ。

1975年頃から雑誌「幻影城」で、鮎川哲也が謎の多い探偵作家を訪問する連載を行った。

本人にインタビューする時も、死後の遺族に会うこともあった。

ユーモアな道中記はフィクションもありと思うが、情報と作品の復刊共に魅力が有った。

ただし単行本化は予約まで集めたが廃刊・倒産で実現せず、後に別会社から2冊で出された。

そして雑誌「EQ」でも新シリーズが連載されたが、それは未単行本化だった。

全てを含めて完全版として複数本で復刊される。(2019/07/16)

「南條範夫の復刊」

南條範夫は第二次世界大戦後から小説を発表しはじめた。

主に時代小説を色々な名義で書いて、文学賞を受賞した。

その後にミステリも書き始めた。

併行して双方のジャンルを書いたが、歴史推理小説をも書いた。

その後もジャンルを拡げて活躍した。

どの分野のどの作品が好きなのかは、人により別れることになる。

作品の復刊も、異なるジャンルで行われる事になる。

それぞれのジャンルから代表作と言う事になるのだろう。

(2019/07/31)

「河野典正の短篇復刊」

河野典正の初期に当たる短篇が作品集として復刊された。

1959-1964年の短篇が8作収録された。

そのころは、社会派の台頭期だが、同時にSF小説とハードボイルド小説の登場もあった。

河野典正は、後者2ジャンルを当時書いた、そのジャンルはミステリと直接の繋がりはない。

そこにミステリと繋がりを持たせたものを、SFミステリやハードボイルドミステリと呼ぶ。

ただし小説の発表先が重なり、中間小説であってもテーマ等がミステリと重なる事もあった。

その結果は江戸川乱歩等の当時のミステリ文壇から評価された。。

ジャンルを超えた活躍の中に、ミステリ界から注目される作品が多く有ったようだ。(2019/08/16)

「連城三紀彦「虹のような黒」」

連城三紀彦は生前に雑誌連載を完結していた作品のいくつかを、単行本出版していなかった。

単行本化には、手直しや加筆などを行うがそれが行われていない意味はある。

ただし雑誌連載は終了しているので、作品としては一度の完成は終えている。

作者の死後に「処刑までの十章」「女王」「悲体」の長編が出版された。

長編「虹のような黒」の存在は知られていたが、連載時の挿絵も単行本にも入れたい事情もあった。

作者の死後6年経ち、ようやく単行本化され、それも完全に近い形と思われる。

作品の復刊も望まれるが、全作品の単行本化が望まれ、それに近づいたようだ。

(2019/08/30)

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