探偵雑誌日記(2017/07-08)

「城昌幸の多面性」

城昌幸は、別名の城多門での詩作や著作でも知られる。

同時に雑誌編集者としても知られる。

城昌幸の小説執筆活動は、主に短編であり、特に現在ならばショートショートと呼ばれる長さも多い。

ショートショートは星新一以降とも、星のみとも言われるが、城も独特の雰囲気がある。

短い長さが多かった城は、時代物の捕物帳を書き始めたが、その「若さま侍捕物帳」は人気となった。

その捕物帳の一つとして長編も書いた。

戦後には、僅かだが捕物帳以外にも長編を書いた。

城昌幸はその作品が他方面に広がるためか、バラバラに紹介される傾向があるようだ。(2017/07/09)

「角田喜久雄の探偵小説」

角田喜久雄は、多数の時代小説・伝奇小説で有名だ。

探偵小説は量的には、時代小説よりは少ない。

戦後は代表的な作家とされたが、執筆量は年1冊程度だ。

それでも、本格探偵小説登場に対応して、「高木家の惨劇」を書いた。

また、「笛吹けば人が死ぬ」で探偵小説クラブ賞を受賞した。

この時期も本にすると冊数は少ないが、アンソロジーの常連だ。

戦前はいわゆる変格物の短編・中編を書いている。

量的には1冊に多数の作品が入る長さが多い。

それでも、戦前や昭和20年代には単行本がない作家が多いからそれよりは恵まれている。(2017/07/24)

「最高齢の飛鳥高」

飛鳥高の個人作品集の3巻目が出版された、いずれも長編1作と短編数作が収録だ。

3巻目には、飛鳥高のインタビューが収録された。

多数の作家が登場する個人作品集の叢書だが、現存作家は初めてだ。

戦後最初に雑誌「宝石」のコンクールの短編部門1等入選した。

以降に短編を書き続けた。

昭和33年の公募最初の江戸川乱歩賞候補作で、改題出版された「疑惑の夜」が長編第1作だ。

長編は10作少しだが、「細い赤い糸」で日本推理作家協会賞受賞している。

アンソロジーには本格味の強い短編が採られて来た。

実際は作風は多岐であり、サスペンス色が濃い作品が多い。(2017/08/08)

「小酒井不木と「疑問の黒枠」」

小酒井不木は幅広い活動が残っていて、ジャンルを横断した全集が残っている。

現在でもその広い内容は、なかなか見かけない。

探偵小説だけでしか知らない人が、その全集を見ると探偵小説の少なさに驚くだろう。

アンソロジーに採用される事は多く、短編集も復刊される。

ただ、長編「疑問の黒枠」はあまり知られていない。

当時としては、長めの長編だったとも言えるし、工夫もある。

1975年頃に雑誌復刊されているが、最近復刊される。

最近に、戦前の作品がぼちぼちと復刊されるその1冊だ。

短編は特有のユーモアが特徴だが、そこは違う感想がある。(2017/08/23)