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インボイス制度4
インボイス制度の経過措置
(承前)
令和5年10/01から令和8年09/30までの日の属する課税期間であっても、以下の場合は、2割特例の適用を受けることはできない。
1:消費税課税期間特例選択届出書の提出により、課税期間を一月又は三月に短縮している課税期間(当該届出書の提出により一の課税期間とみなされる課税期間を含む)。
2:令和5年10/01より前から消費税課税事業者選択届出書の提出により引き続き課税事業者となる同日を含む課税期間。
例えば、上記のように令和4年中に消費税課税事業者選択届出書と合わせて適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、令和5年01から消費税の課税事業者となった事業者については、令和5年10/01より前から消費税の課税事業者であることから、2割特例の適用を受けることができない。
そのため、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出した事業者で、消費税課税事業者選択届出書の提出により令和5年10/01を含む課税期間から課税事業者となる事業者については、当該課税期間中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出することで、消費税課税事業者選択届出書の効力を失わせる措置が設けられている。
上記例の場合に、令和5年12/31までに「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出すれば、令和5年1月から9月分の納税義務が免除されることになり、令和5年10/01からインボイス発行事業者(課税事業者)となり、2割特例を適用することができるようになる。
(続く)
インボイス制度の経過措置
2割特例を適用するに当たっての注意点
(承前)
・2割特例の適用に当たっては、消費税の申告を行う都度、適用を受けるかどうかの選択が可能だが、申告する課税期間が2割特例の適用対象となる課税期間である必要がある。
2割特例は、インボイス発行事業者の登録がなかったとしたならば、消費税を納める義務が免除されることとなる課税期間を対象としているので、例えば、基準期間における課税売上高が1千万円を超えるような課税期間については適用することは出来ない。
上記例のように、令和4年中に「消費税課税事業者選択届出書」と合わせて「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、令和5年1月から消費税の課税事業者となったことにより令和5年分について2割特例の適用を受けることができない事業者においても、令和4年分の課税売上高が1千万円以下である場合には、原則として、令和6年分について2割特例を適用することが出来る。
(続く)
インボイス制度の経過措置
2割特例を適用するに当たっての注意点
(承前)
・2割特例は、一般課税と簡易課税のいずれを選択している場合でも、適用することが可能だ。
それ故に、簡易課税制度の適用を受けるための届出書を提出していたとしても、申告の際に2割特例を適用することが可能だ。
「2割特例」後に簡易課税制度を選択する場合。
免税事業者がインボイス発行事業者の登録申請を行った場合には、登録を受けた日から課税事業者となることができる経過措置が設けられており、この経過措置の適用を受ける場合、登録開始日を含む課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出することにより、その課税期間から簡易課税制度を適用することができる。
インボイス制度と確定申告
2023/10より、インボイス制度が開始された、インボイス制度は消費税に関する制度であるので、所得税の確定申告に直接的な影響は無い。
ただし、これまで消費税の免税事業者であった法人や、個人事業主・フリーランスがインボイス制度に対応するためには消費税の確定申告が必要になる。
インボイス制度で消費税の確定申告に影響が出るかは、個々での自身が行う事業内容やクライアントによって異なる。
インボイス制度でやり方が変わるのは消費税の確定申告になる。
インボイス制度開始後、消費税の課税事業者は適格請求書がなければ消費税の仕入税額控除が制限されてゆく。
適格請求書は、消費税の課税事業者しか発行できない、それ以前には消費税の免税事業者であった会社や個人事業主が、適格請求書発行事業者になるためには、新たに課税事業者になる必要がある。
そして、消費税の免税事業者が、インボイス制度に対応するために新たに課税事業者になった場合は、消費税の確定申告が必要になる。
そして、インボイス制度による消費税の確定申告は、所得税の確定申告そのものに影響しないものの、消費税を納税するようになることで、所得税の算出方法や記帳方法が変わる。
消費税の課税事業者は従来どおり、消費税の確定申告を行うが、簡易課税制度を利用していればインボイス制度による影響はない。
本則課税を利用している場合は、適格請求書発行事業者以外の事業者からの請求書や領収書などでは、仕入税額控除が制限される。
インボイス制度においては経過措置があり、その期間中は免税事業者からの請求書に対しても一定の割合で仕入税額控除が受けられる、経過措置期間によって控除割合が変動し、経過措置で受ける仕入税額控除と通常の仕入税額控除では、仕訳方法が異なる。
基準期間または特定期間の売上額が一定以下の事業者は、税込1万円未満の取引分に対して、仕入税額控除のための適格請求書の保管が不要である少額特例の対象となる。(この少額特例は2023/10/01から2029/9/30の取引に限り認められている。
消費税の免税事業者だった事業者が、新たに課税事業者になった場合は消費税の確定申告が必要になる。
売上金額が一定以下の場合は、本則課税・簡易課税、2割特例を選択できる、本則課税とは、受けとった消費税額のうち一定額から支払った消費税額を差し引いた額を納税する方法のことを言う。
対して簡易課税は、受け取った消費税から、受けとった消費税にみなし仕入れ率を掛けた金額を控除した金額を納税する、みなし仕入れ率とは、簡易課税を選択する事業者が仕入れに係る消費税額を算出するための割合であり、この割合は事業内容によって異なる。
簡易課税制度は、基準期間における課税売上高が5,000万円以下である中小事業者を対象に、納税事務負担を軽減するため設けられた制度だ。
消費税の免税事業者の場合
免税事業者のままでいる場合は適格請求書を発行できずインボイス制度の対象とならないために、消費税の確定申告は不要だ。
ただし、インボイス制度導入後も免税事業者のままだと、課税事業者との新規取引が難しくなり、既存取引先との取引や取引価格が少なくなる可能性がある、また取引先によっては消費税を差し引いた金額で請求書作成を求めてくる可能性もある。
消費税の確定申告とは、事業者が自身で納税するべき消費税を計算し、確定申告書を作成・提出し、消費税を納税する一連の手続きを言う。
基準期間の課税売上高が1,000万円を超える、もしくは「消費税課税事業者選択届出書」を提出している課税売上高が1,000万円以下の事業者等が消費税の確定申告の対象だ。
インボイス制度の開始により、これまで対象外だった課税売上高1,000万円以下の事業者にも一部、消費税の申告義務が生じる。
消費税の確定申告が必須なのは、インボイス発行事業者の登録を受けた全ての事業者だ。
ネット証券
証券を商品、証券会社をショップと呼ぶのは違和感も大きいのだが、証券会社での証券類の発売等をショップ情報として取り上げて行く。
勿論、主な対象はオンライン取引でありインターネットでの取引だ、そしてネット証券会社、さらにはネット専業証券会社が主な対象になる。
証券会社オンライン取引の取り組みは、日本ではパソコンホームトレードは1986年に大和証券により始められた、当時として画期的だった。
さらに大和証券はインターネットによるオンライン取引に取り組んで、1996年にサービス提供開始した、取り扱うサービス内容は次第に多岐に渡って増えて行った、他の証券会社も後を追って、類似サービスに参入した。
松井証券は1998年にオンライン取引に特化する方向に転換した、それにより株式委託売買代金が急成長した。
株式委託手数料自由化の前に大手総合証券の対応は分かれた。
野村証券・大和証券はオンライントレードを支店やコールセンター等と同じ販売チャネルの一つと考え、機能を強化して、ディスカウント者への対抗策を考えた。
日興証券は、本体を対面営業に特化して、オンライン取引は分社化の戦略をとった、オンライントレード専業証券として日興ビーンズ証券を設立した。
中小証券会社では、オンライン取引に積極的に取り組む会社と、消極的な会社に分かれた。
手数料自由化に合わせて多くがオンライン取引に参入した。
DJTディレクトSFG証券が、アメリカのDLJディレクト、住友金融グループとIIJによって設立され、後に楽天証券になる。
ソフトバンクは大沢証券を買収して、アメリカのイー・トレード証券と合弁でイー・トレード証券を設立した、後にSBI証券になる。
ゴールドマン・サックス証券のパートナーとソニーが設立したのがマネックス証券だった。
伊藤忠商事はマイクロソフト、みずほ銀行と朝日生命と合弁で日本オンライン証券を設立して、後のカブドットコム証券となった。
オンライン取引に参入した証券会社は顧客獲得競争を行った、だが2000年のITバブル崩壊に遭遇して、その中で撤退する会社が増えていった。
同時に合併による規模拡大が行われた。
オンライン取引への参入は多額の設備投資が必要だった、その中での手数料の競争が行われて、そこで勝ち残り顧客を増やした会社が勝ち残った、残った会社はその後に一気に規模拡大に進む事が出来た。
2004年に証券会社と顧客との間を仲介する証券仲介業が解禁された、さらに銀行の証券仲介業務が解禁になった事で大手銀行が参入した。
技術的にはオンライン取引を普及させたものとして、インターネットの普及がある、その一般家庭への普及が大きく寄与した、加えてパソコンの普及が加わり個人のインターネットの普及が加速した。
次にはモバイル機器によるインターネットが登場した、携帯電話特に日本ではドコモのiモードからのアクセスが急激に成長した、さらにはその後にスマホとタブレット端末が普及してモバイルのスタイルが一挙に変わった。
オンライン証券の現状
オンライン取引における株式委託手数料は大幅に下落した、手数料の自由化前は1%程度だったが、自由化後は約1/10になった。
特にオンライン専業証券では、手数料値下げ競争は継続して行われている。
株式取引でのオンライン専業証券の存在感は一気に拡大して来た。
オンライン専業証券の口座数は自由化前の1999年の30万口座から、2004年には500万口座を超えて、2015年には2000万口座となった。
一方でオンライン取引を扱う証券会社数は2001年に67社になったが、手数料の値下げ競争で撤退があり2015年では61社となった。
口座数が拡大しても、ネット証券数は増減が少ない。
個人の取引ではオンライン専業証券の存在感が高くなり、シェアでも拡大を続けて来た。
個人投資家のオンラインが普及すると、トレードツールの発展がより進んだ。
従来はプロのみが使用していたサービスが、個人向けの取引ツールとして広がり、ネット証券の各社で特色をだしながら進化した。
・マーケットスピード
DLJディレクトSPG証券(後の楽天証券)は2000年に「マーケットスピード」をリリースした、最新情報の自動更新が導入されたことが画期的であり、集客にも有効だった、その後も機能が追加されて来た。
・ネットストックレーダー
松井証券は2001年に「ネットストックレーダー」をサービス開始した。
・松井証券ディーリングブラウザ
松井証券は2001年に「松井証券ディーリングブラウザ」をサービス開始した、ジャバベースで稼働して、インストールが不要だった、細部の設定が可能だった。
・KABUマシーン
カブドットコム証券は2004年に「KABUマシーンを開始して、インストール不要で、条件付き注文に対応した。
・HYPER SBI
イー・トレード証券(後のSBI証券)は2005年に韓国のツールを日本に持ち込んで、「ドラッグ&ドロップ注文」が可能になった。
・ネットストック ハイスピード
松井証券は2006年に「ネットストック ハイスピード」を口座保有者に無料で利用可能にした。
・マネックストレーダー
マネックス証券が2007年に開始した。
・KABUステーション
カブドットコム証券が2010年に開始した。
・新マネックストレーダー
マネックス証券が2010年に提供した。
日本は欧米と比較して、家計の資産構成に占める株式の比率が低いとされる、株式保有比率は日本:10.6%、アメリカ:34.3%、欧州:17.9%(2015年)とされている・
一方では、アメリカとの比較において、差異の最大要因はアメリカの資産格差が日本と比べて非常に大きい事がある、それ故に資産保有上位10%の家計を除いた株式保有率の比較では両国に差異は少ないと指摘される。
日本では、家計における株式保有比率にTOPIXの騰落率を重ねると類似傾向があり、日本の家計は株式に対してリスク資産に対して、合理的に行動しているという指摘もある。
金融庁の報告では、「家計のリスク資産投資に影響を及ぼす要因として、金融・情報リテラシー、金融資産残高、負債残高が重要」と指摘している。
金融・情報リテラシーの高さが影響していて、投資で勝つためには勉強・研究に時間を掛けて準備する事が必要と指摘されている。