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セルフ・サービス
セルフ・サービスの意味には、対象とする業態で色々な定義がある。
一つは物販の小売店において、顧客が商品を自ら手に取り購入する方式を指す、現在では広く行われているが、導入当時には流通革命・販売革命とされた。
さらには、飲食店において、顧客が自ら商品(食品)を運ぶ方式を指す。
さらには、ガソリンの給油等を顧客が行う方式がある。
類似した販売方法に、自販機の使用がある。
これらには目的と理由があり、同時に問題点もある、その問題点の解消が図られてきた。その結果、技術開発やノウハウ蓄積が行われて、導入が広がっている。
さらには、物品購入時に物品自体を顧客が触らないネット通販が普及してきたが、その過程の一部ではセルフ・サービスの見方も可能だ。
セルフ・サービスとネット通販には、24時間営業とかセルフ・レジとかで類似点がある。
・小売店舗に於いてのセルフ・サービスの導入は、その結果として流通革命を起こした経営手法の一概念とされている。
1930年にアメリカのニューヨーク州に於いて、スーパーマーケットを開店させたキング・カレンの発想だと言われている、それ以前の小売店では、販売員が顧客に商品を見せて販売していた。
それに対して、商品陳列を顧客が商品に自由に手を伸ばすことができるように開放陳列(オープン・ディスプレイ)にした、その変更で顧客が商品に直接対面する事になった、それは販売員が商品と顧客との間に介在しない非対面販売方式であった。
それは対面販売にかかる人件費を削減できる、その節約分を売価に反映できる、その結果で低価格で商品を販売する方式になるので、そのような販売方式として考案された。
セルフ・サービスを導入した非対面販売方式はスーパーマーケットや類似方式のストアの発達とともに普及してきた。
そこでは販売員が介在しないので、
1:高度な説明を必要としない商品。
2:広告される事で顧客が知っている、有名ブランド商品。
3:パッケージやラベルに商品説明や品質明示が可能な商品。
等の販売に向いていた。
小売店舗以外で、比較的セルフサービス化が進んでいる分野として、飲食店における配膳作業やサービスステーションにおける給油作業などがある。
・飲食店におけるセルフサービスの導入には、一般的には従業員が業務として行うことについて、その一部を顧客が自ら行う方式を言う。
飲食店におけるセルフサービスの例
・券売機で食券を購入する。
・タッチパネル式タブレットでのセルフオーダー。
・給水器やドリンクバーから客が飲み物を持ってくる。
・おしぼりを客が席まで持って来る。
・備え付けの布巾でテーブルを客がふく。
・料理を自分の席まで客が運ぶ。
・バイキング形式で料理を提供する。
・食べ終わった食器を返却口に客が持って行き返却する。
・客が自分でレジにお金を入れて会計する。
社員食堂や商業施設のフードコートなどでは、ほとんどの作業をセルフサービスにしている店舗もある。
一方では、水や券売機のみなどで、部分的にのみ取り入れているお店もある。
何をセルフサービスにするのかは店舗に合わせて決める事も可能だ、故に試験的に簡単な内容から取り入れることが可能だ。
セルフサービスを導入した時の具体的なメリットはいくつかある。
・人手不足の解消に繋がる
最も大きなメリットは、人手不足による負担を軽減できることだ。
セルフサービスを導入して、店員が行って来た作業の一部の作業を、客に行って貰う事で、店員やスタッフの仕事が確実に減らす事ができる。
店員やスタッフの負担が減って余裕ができれば、より丁寧な接客ができてリピーターを増やす可能性がある。
または、注文ミスや配膳ミスなどが減少できる事で、全体的なサービスの質の向上にも繋がる、さらにそれが顧客満足にもなる。
また、人手不足で余裕のない職場は離職率も高くなる、セルフサービスにより負担を軽減できれば働きやすくなって離職率の低下もある。
セルフサービスを導入した時の具体的なメリット
(承前)
・業務の効率化ができる
セルフサービスを上手に活用できれば、業務の効率化も可能になる。
業務員の作業を客に任せる事で、その分は他の業務に割ける時間が増える。
それ故に、少ない人数で業務や営業ができるようになる。
例えば、飲食店では、飲む水の提供をセルフ・サービスにする事と、同時にオーダーも食券やセルフオーダー方式にする事で、店員やスタッフが客の席まで出向いて、注文を聞いて厨房等に伝える必要が無くなる。
その場合はスタッフは、客が帰った後にテーブルを掃除するだけで、次は注文された料理の提供まではテーブルに行かないで済む。
セルフ・サービスシステムは既にチェーン店を中心に取り入れられている、それは少ないスタッフで運営する個人店でも恩恵を受けやすいシステムだと言える。
セルフサービスを導入した時の具体的なメリット
(承前)
・人件費を削減できる
セルフサービスを導入することは、人件費の削減にも繋がる。
人手不足の店では新たに人を雇う必要が出てくるが、セルフサービスで補うことで人を増やさなくても良い。
最小限の人数で店を行えば、必要以上の人件費はかからず経営もやりやすい。
セルフサービスは人手不足に悩む店舗に向いた施策で、人手不足による負担を減らせるとともに業務の効率化や人件費の削減にも繋がる。
スタッフに余裕ができれば、サービス提供や丁寧な接客も可能になり、客の満足度も向上する、客とスタッフ双方にメリットのあるシステムと言える。
セルフサービスの導入と合わせて、キャッシュレス決済の導入も注目されている、レジでの支払いにかかる時間が短くなり業務を効率化できる。
セルフ・サービスの展開
アメリカに於ける大型小売店でのセルフサービスは、来店した客を直接倉庫に入れて、自ら商品を手に取って選べるようにして、集中レジで精算する、という販売形態で一気に全米に広がった。
セルフサービスはもともとは店側の省力化のための方法であった、だが顧客が自ら商品を手にすることができる事から、顧客が買物時の好奇心を刺激するという効果があるシステムでもあった。
その後に、アメリカ以外の先進国を中心にスーパーマーケットやコンビニエンスストアまたはディスカウントストアや量販店でも、セルフサービスを導入した上記の業態が大衆向け小売店の一般的な形態となっていった。
そして、1996年には売場だけでなく精算もセルフサービスで行う完全自動セルフレジも登場した。
顧客自身が直接商品を手にとって選び、買い物かごやショッピングカートに入れ、それをレジで一括会計し代金を決済する方法だったが、これは「客はレジを通さない商品を店外に持ち出さない」という顧客と店舗側との信頼関係により成り立つもので、来店者が隠した商品をレジを通さずに持ち逃げする万引き防止が課題となる。
一方では、レジで商品の打ち間違いなどや金額の誤認などにより客の支払いに過不足が生じても信頼問題に発展する、それ故にこのような人的ミス(ヒューマンエラー)の予防も重要になる。
セルフ・サービスに於いては、レジ機能の重要性は高い。
社会のコンピュータ技術や情報化技術の向上により、レジの機能とそのシステムが飛躍的に高機能化してきた。
特に大きいのが、人手による価格等の入力をバーコードの読み取りに変わった事だ、個別の商品に値札と共に、あるいは商品パッケージそのものに添付されたバーコードの読み取りを行う事で、自動的に集計する。
更にはレシートやレジ内のジャーナルと呼ばれる記録に「何を何個売ったか」等の情報が残るようになった。
このような情報は商品管理に使用される、さらには顧客側にもレシート情報になり後から「何に対して幾ら支払ったか」が確認できるようになっている。
高機能化したレジスターは広く普及している。
さらには通信機能により、キャッシュレス決済にも対応して来た。
そしてセルフレジへと展開している。
レジシステムの導入とその機能向上はセルフ・サービス店舗に於いて多大な利点を生んだ。
しかしそのシステムが優秀でも、最終的に決済する時点では顧客は皆がレジを通らなければならないために、来店者が増え店内が混雑してくると必然的にレジの前には渋滞が発生してしまう、それは顧客側にストレスを与えることに繋がってゆく。
レジ渋滞問題の単純な解決策は「レジを多く設置する」ことになる、だが単純なレジの設置スペースの問題だけでなく、来客の集中する時間に合わせて従業員を増やす必要がある、それはそれぞれの店舗の個別問題があり限界がある。
従って、レジスターの装置面でのより一層の効率改良が行われた、商品のバーコードのシステムは著しく改善されそれを全商品につける方向に動いた。
一部ではICタグ方式が導入されている、それはかごの中の商品を一々取り出さなくても一括して読み取れるシステムだ、だが主としてコスト面で課題がある。
店員不足問題の対策としてセルフレジが導入されて広がりつつある、同時にバーコードのスキャンのみ店員が行い決済は客が行う方式も広がっている。
キャッシュレス決済を導入した事で、決済時間の短縮も進んでいる。
ICタグ方式はレンタルDVDやゲーム店、一部の物産店で導入されてきた。
ただ現時点でICタグの単価が高い問題があり、一般的な商品単価が低い商品や使い捨てになりやすい商品等には使い辛い、などのハードルが存在する。
現状ではスーパーやホームセンター等の店舗では、圧倒的にバーコードのシステムが導入されている、その普及により取り扱うほとんどの商品に製造時点でバーコードがついている(包装等のパッケージ)。
バーコードの普及を背景として、2000年代に入り日本でもバーコード読み取り端末を顧客が操作してレジでの対応をスムーズにするセルフスキャンニングレジスター(セルフレジ)が一部の店舗で使用されるようになった。
セルフレジの一方法には、あらかじめ会員登録した顧客に端末機を貸し出して、顧客がレジかごに商品を入れる際にバーコードを読み取るという方法があった。
この方式は、レジ場所での混雑解消と緩和の利点や、多数の商品購入時に合計金額を確認できる事があるが、反面取消しも客が操作する厄介さもあり、さらにサポート店員を配置する場合に店内全体をカバーする必要もあった。
店舗で客が自ら商品を選び、籠に入れて、まとめてレジで精算する方式が、セルフ・サービス方式として、スーパーやホームセンター等で導入されたが、それには店側では店舗設備に関しても色々な準備が必要だった。
・わかりやすい陳列や陳列場所の案内図の設置。
・商品の値段・商品の特徴などの表示を行う(POP)。
・積極的に利用可能な、清潔な買い物かご・ショッピングカート等の設置。
・キャッシュレジスターなどの会計機器の設置。 等
店舗内設備と同時にそれ以上に重要なのが、陳列棚に商品を随時補充する店員の存在だ。
販売担当店員が存在する場合は、商品補充担当の店員が訪れた買い物客の便宜を図ることはない、だがセルフサービスでは商品を補充する店員が随時店内にいて、客は希望するなら店員の案内を求めることが出来る。
補充担当店員はセルフ・サービスでは接客係ともなる、その店員は商品の性質や品質の説明を行い、さらには買い物客が求める商品を店で扱うか、更にはその商品がどの棚にあるか、切れている場合は在庫の有無や入荷待ちの商品では次の入荷時期などを案内する。
店舗によれば、運営方針として、商品の取り置きや注文受け行けも行なう場合もある。
セルフ・サービスの店舗では、商品補充担当の店員が接客係も行うが、商品の取り扱い品目が非常に多い場合には、店員がその場では適切な回答を出来ない場合もある。
その際には店内の接客係責任者として、店長やフロアマネージャーなどが接客を引き継ぐ。
セルフサービスでは、店舗内の陳列棚がそのまま商品と買い物客が出会う場所になるので、その場合には買い物客がまず店舗の中に入ってくることによって「店で扱っている商品に何があるか」が判る事になる。
その為に客を店内に誘導する施策が重要になる、そのために店頭には買い物客の目を引きさらに気軽に店内に入ってこられるように、特売商品などを設ける、そこでは特別な安価商品や客が目を引き求めやすい商品を並べることがある。
店舗側は、上記の施策等で店内に誘導した客に対して店内の商品を見せてゆく、POP広告などで他の商品にも興味を抱かせて店舗全体に誘導して行く、店員が誘導するのでなくて、顧客自身の行動で誘導を図るのが、セルフサービスの手法となる。