項目別バックナンバー[4]:ショップ情報:53

興行チケット販売

チケットには交通機関の乗車券も含まれており日常的に使用されて来たがそこには整理券や現金引き換え金的な性格がある、交通機関のチケットの種類も多彩で予約券や指定券の性格を持つものもある、場所・日時・列車指定・座席指定券が該当する。
交通機関のチケットは事業者が独占的に販売する性格が強く例えばJRでは「みどりの窓口」という全国同時販売のシステムを使用している、代行者として例えば旅行会社等でも扱う。
映画・舞台・スポーツ等の興行チケット・観戦チケットも複数の性格がある、映画では指定が弱いものは交通機関の普通乗車券の性格もあるし、美術館や寺社や観光施設の入場券にも指定が弱い整理券の性格のものが多い。
舞台・スポーツ等の興行チケット・観戦チケットには、一度限りの時間・座席指定の性格のものが多くそれらは予約券・指定券の性格が強く、交通機関の指定席券と似ている、これらの販売場所の独占性は弱いが広い地域で同時販売する為に、チケット販売会社の販売システムを使用する事が多い。

興行チケット類と交通機関チケット類共に、長く紙チケットが使用されて来た、整理券や金券の性格を持つ時は1対1対応の必要性はなく通し番号や独占的な区分内容の記載は不要の事も多い、予約券や指定券の性格がある物は原則的には再発行は出来ない性格が有った。
紙チケットは軽量で取り扱い易い媒体ではあるが、郵送・輸送という面では現金紙幣と再発行出来ない1品ものを合わせた性格があり、保険等の紛失対策が必要だった。
興行チケット類の購入は劇場等のイベント会場を含むプレイガイドを中心に行われて来た、交通機関チケット類も駅等の販売場所が中心だった、それらは情報として提供する代行者を含めた販売が増加し輸送も増加した、インターネット等のネット通信ではウエブサイト等で申し込む方式が急増した、ただしチケットの輸送は必要だった。
輸送の問題は電子チケット販売が行われる事で改善された、1つの方法はネットで申し込みコード番号を取得して指定の場所(取得者の行ける近くの場所)で受け取る方法であり、その場所としてコンビニ等が利用出来るシステムが登場すると輸送の問題は大幅に改善された。
電子チケットではスマホを介して情報を得て、会場で紙チケットを受取決済する方式や、スマホでの電子チケットで入場して電子決済される方法が登場している、後者は宿泊施設のネット予約と利用後のカード決済と似ている。

チケット販売では「価格は一律」という業界スタンダードがあったが「価値は変動する」事が実際は起きていた、価値が変動するものを同じ価格で販売した事には次の理由があった。
 1:本当の価値の判断が難しい
 2:判断出来ても実際のチケット価格に反映させる仕組みがなかった
チケット販売システムが構築されてIT化が進歩した事で、このビジネスにも統計学の応用が可能となった、変動価格を導入する「ダイナミックプライシング」が色々なジャンルで導入されているがチケット販売でも行われる事が検討された。
交通料金の中では鉄道は変動価格設定は少ないが、航空運賃は変動要素が多数あり実際の費用でも変動幅は広い、旅行というビジネスではホテルや旅館の宿泊料金は季節・曜日等の変動制を取っている(チケット制かは微妙だ)、興行チケットでは需要と供給のバランスが崩れる事がしばしば有るが多くは対応は難しかった。
ダイナミックプライスはサービスの供給者が価格や料金を変動させて需要を調整するデマンドレスポンスの一種でもあり、価格予測システムが構築された時に実用性が生まれて来た。

興行チケット販売を代行するビジネスは古くから存在しているが、そこでチケット販売システムを構築して事業を広げる事が行われてきた、一つは「ピア」のような専業のビジネスだが、圧倒的に多いのはネット通販を行うショップ・モールが商品として扱う事だ、そこでは紙媒体も電子媒体は問わず、指定券要素の有無も問わない。
ネット通販では基本的に取引手数料の性格がある、モールに出店する事でネット通販システムの使用手数料を集めるが、代行販売の時も基本は取引手数料の徴収となる、旅行関係を中心に多くが参入している。
指定券要素の強いチケットはネット通販の商品規模としては数が少なくて品きれ状態になり易いが、ネット通販の性格としてはロングテール商品が得意でありマッチングビジネスも仕組み的には可能だ、だがその延長上にあるのは個人間売買お取次ぎサービスになる。
ユースド品ビジネスが存在しないチケット販売では、ディスカウントと転売とが背中合わせにある、そこには違法性やトラブルが有り取引相手が見えないネット通販ではよりこれらの可能性があった、その結果で法整備や法的な制限が行われてきた。

チケットの「転売目的」での売買は迷惑防止条例によって禁止され罰金か禁錮刑に課せられる事が多い、具体内容は都道府県で異なる。
条例の例として「乗車券等の不当な売買行為(ダフヤ行為)の禁止」では、
1:「「乗車券等」を不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、「乗車券等」を「公共の場所」又は「公共の乗物」において、買うか買おうとしてはいけない」
2:「転売する目的で得た「乗車券等」を「公共の場所」又は「公共の乗物」で、不特定の者に売る、又は売ろうとしてはいけない」と規定されている。
チケットを転売買しての営業を行う場合は古物営業法に基づく古物商許可が必要になる、ただし継続して転売目的で売買を繰り返しすると、古物営業法にも違反・抵触する可能性もあるとされる、無許可での営業を行うとそこにも罰則規定がある。
チケットの転売の違法性は、売買によってお金を儲ける「転売目的」かどうかが判断基準になると言われ、数や金額や頻度が問題となる、そしてあくまでも販売する側を禁止している。

チケットの「転売目的」での購入と販売行為は禁止されているが、その転売者からチケットを購入する事を禁止する法律は無く購入者は罰則を受けない、だが購入者がいるから転売者が横行しているのが現状だ、購入者は間接的に転売者に協力している形になっている。
転売目的以外の不要のチケットを他に売買する行為は違法では無い、だがライブやコンサートの運営者やプレイガイド(以下興業者側)が規定で禁止している場合は有るので、それは事前確認が必要だ。
興業者側が規定を設けて「全ての転売行為も禁止する」事でダフ屋対策を行っている、例えば購入時に身分証明書や顔写真の提出を求める、入場の際に本人確認書類をチェックする、本人か同かを識別する顔認証のシステムを導入する等で、入場拒否やファンクラブでは退会措置の可能性がある。
営利目的の定義も、チケットの購入動機に無関係で結果的に儲けた場合にも適応する考え方もある、過去は数量的に少ない場合は違法とされて来なかったが今後は売買金額に儲けがあるだけで違法扱いの可能性もある。


産地直売

産地直売と言うビジネス形態とショップ形態が拡がった、産地と言う言葉は広い意味で使用されていて、農水産物に限らず工業生産品からサービス業まで含めて対象となっている。
商品は製造者に当たる人・場所から、卸し業者や商社等の流通業者を経て、小売り店舗を中心としたショップ・販売者を経て消費者の元に届くルートが自由主義社会の流通構造だったが、それが有用に機能する事も多いが中間の場所でも手数料に当たる費用が発生して結果的に末端の商品価格が上昇した。
それを分析して中間を省く・無くす事を図ると、生産者自身が販売するビジネスが産まれてその場所としてのショップが誕生した、この中間業者を省いて商品価格の低下を図るのが産地直売の目的の1つだ。
産地直売店の具体的な場所は色々だ、生産地販売があり、生産者自らが運搬に関わる消費地から直送での直売店・アンテナショップ等での販売があり、生産者から消費者宛てに商品を送る通信販売もある。
産地直売では中間を省く事での商品価格の低下以外にも、利点が見つかり広い分野と商品で展開されて来た。

産地直売ビジネスに中間業者を省いて商品価格の低下を図る目的が有る事から農水産物や生ものや名産品等だけでなく、一般工業生産品を含めた商品も対象になる事がある。
中間業者の存在で大量に継続的に製造・生産されて流通される商品が全てでないとする考え方はインターネットでのロングテールビジネスと共通点がある、大量生産と流通を前提とする中間業者を含めたビジネスから外れたあるいはそこでは競争出来ない商品が中抜きによる中間流通の排除によって成立する事がある。
地場産業には少量生産で、地域限定や注文販売や小規模な流通ルートで限定販売している商品が多く、それは中間業者の流通システムに乗っていなかった、それの販路・販売地域を都会や全国に拡大するビジネスが起こり、インターネットを利用した通販は特に広く普及した。
インターネット通販は生産者及び販売者と購入者との距離を感じさせない手段だとされ、そこでの輸送・運送時間と送料の削減に力が注がれた、結果としての宅配便の普及は通販を一気に拡大した。
その結果から、逆に生産地・地域を全面に出す生産地表示・生産地ブランド化の戦略も登場した、それは生産地・産地から消費者に産地直売するイメージをプラス要因として利用する事となる。

生産地から販売するというイメージが強い産地直売だが、特定の地域の観光地名産特産・みやげ・特産品も対象にしている、東京・大阪等の人口の多い中心都市の駅や空港や地域の物産展でも日常的に入手出来る事が増えている、それは小規模な流通網や生産地からの直送を含むが、観光地名産には実際の生産地が異なる場合もある。
名産特産には歴史的に古い・長いイメージが有り実際にそのような商品も多い、だが商品開発は絶えず行われていて新製品も多い、そもそも生産者が歴史の長い場所に限定される必要性はなく、生産者・生産拠点自体が新しく生まれている。
デパート・ホテル・飲食店も同じ事情だと言える、これらで加工・製造されて同所で販売・提供されている菓子・惣菜・食品では持ち帰り販売やテイクアウト販売も行われている、それに通販を加える事が行われたがそれは産地直売と認識されている。
これの商品の通販は、ネットという販売場所とシステムが出来た事とクール便を含めた宅配便が普及した事で拡がった、ネット通販では販売数の少ない事・限定された販売・予約販売・注文販売などの、大量生産と流通とは正反対の条件でも、ロングテール品として受け入れられやすい。

ロングテール品の商品には生産量が少ない事・変動する事も含まれ、日常的に定期的に商品が安定供給出来ない理由が存在する、農産品や水産物は生産量に該当する収穫量が安定しない性格がある、これらを材料として使用する生産物にも同様の性格を持つ商品が多い。
産地直売商品には農産品や水産物の中でも生鮮商品を対象にする場合も多い事が特徴だ、それ故に生産量的に安定供給ではない生鮮商品を対象にしたビジネスモデル・販売システムが提案されて来た。
産地で生産品(収穫・漁獲品)を早期にネットのウェブサイトにアップして販売するシステムがある、一品限りでの販売は宿や座席指定券と同じだ、ネット通販では写真あるいは説明文で発注・購入するのでそれを利用する。
予約しておいて生産後に購入する方法がある、供給者側は予測と見込み予定を提示し、購入側はバラツキの範囲での予約を行う、生産(収穫)時に電子メールでの通知確認を行う方法が中心だ。
生産地側に詳細内容は任せるセット販売がある、水産物を中心に当日にならないと詳細な生産品(収穫・漁獲品)と量が判らない自然任せの物が対象だ、たとえば鮮魚が対象では産地側で漁獲内容に応じてセットを構成する、この延長として複数の生産者・生産場所が共同でシステムを作り産地指定よりも日程を優先して鮮魚を産地直売する方法もある。

産地直売ビジネスにおいて通販システムソフトの問題は大きい、インターネットを使用したネットビジネスであり、店舗としてのウエブサイトの自動受注機能は今では一般的であり、自動応答から始まりそこからの事務作業を如何に効率的に行うかはネット通販全般の課題であり、産地直売でも同様に重要だ。
産地直売では販売品がロングテール品だとか・1品物だとか・日替わりだとか予約商品だとかして小回りな対応が必要も事が多い、性能の高いシステムの開発は容易ではなく、そこではシステム開発してそのソフトを提供するサービスが登場している。
基本的にはインターネット通販用のツールとシステムは有用でありそれらの個別のツールのレンタルが行われている、またネットの通販専用のモールでは既にシステムを構築しているので参加する事で既存システムが使用可能になっている、ドメインとサーバスペースの使用と共にモール参加の有効性の1つだ。
インターネット上で流通事業を展開する企業は流通システムは必要であり、例えば宅配業者では地域の集配・受注から長距離移動し、配達先の地域の基地で末端の配達便に載せ替えて、宅配する業務がシステム化されている、それに顧客情報や関連業務も繋げる。
それぞれの保有するシステムを統合して、受注からデータベース登録、宅配急便伝票や決済・請求作成書等の全て作成する販売実務に加えて商品管理と販売分析と営業活動も行うシステムが作られており、開発したシステムを有料提供するサービスが行われている。

産地直売ビジネスには地方・地域の地場産業が含まれる事が多く、農産品と水産品も類似した性格を持つことが多い、地域の特産品はその名称がずばりとなっている、これらは地域と共に立地する自治体との結び付きが存在する事が多い。
地方自治体は製造工場等の誘致活動を行ってきた、観光関連事業を進めて集客を図ってきた、人や物流の流れが出来ると派生する産業も産まれて拡がる可能性が有り、全体としてその地方の地域活性化を目指す事が出来る、新幹線等の鉄道網や飛行場や道路網の建設も観光とその産業の活性化目的もある。
通販を利用した産地直売ビジネスは地方・地域への集客以外に、地域の製品を全国的に販売する事での産業の普及目的があり、道路網とそれを利用したトラック便の普及は地方発の通販ビジネスを拡げた。
自治体が絡む事にふるさと納税制度がある、ふるさと納税は個人がふるさとや応援したいと選んだ自治体に寄附ができる制度だ、制度を利用すると所得税や住民税の還付・控除が受けられると共に、多くの自治体では地域の名産品等の返礼を用意する事がある。
制度自体には返礼品の必然性も、返礼品の種類の制限もないが、多数の地方自治体は地場産業製品や特産品や名物を返礼品にしている、返礼品の内容によっては産地直売ビジネスと似た性格にもなる、地方・地域の活性化と言う意味では目的に一致点もある。

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