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DRM(デジタル著作権管理)

DRM(デジタル著作権管理)はコピーガード技術の一つと見る事もある。
区別する場合は、
・コピーガードはメディアの物理的特性でコピーを制限する
・DRMはデジタルデータとソフトウェアを使って、データをコピーしても再生や閲覧が不可能になる設計を指す。
DRMの仕組みと機構は多数あり、コンテンツの形式や利用形態により異なる。
ユーザーが特定の再生ソフトウェアを使って暗号化されたコンテンツを復号しながら再生する方式が一般的であり、暗号化に使われる鍵(キー)は再生ソフトウェア内に隠されているが、ネットワーク上からダウンロードされることもある、再生ソフトウェアがユーザのコンテンツ利用を管理する方法では、利用期間後に再生不能にする事が出来る。
DRM技術による暗号方式や再生ソフトウェアの内部構造がリバースエンジニアリングで知られると、破るプログラムが作れるがそれはシステムを破る「クラック」と呼ばれる。
日本では、DRMを回避する行為やその為のハードウェア・ソフトウェアを流通させる事は不正競争防止法の規制対象になり、暗号化技術で保護される、データの複製は著作権法の私的複製権の対象外として規制される。
同時に技術的な保護手段を回避して複製を行うプログラム・装置の提供も規制されて刑罰の対象となる。
米国では加えてソフトウェアやハードウェアの改造やリバースエンジニアリングの行為自体が、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)違反となる。

アクティベーションと言う方法がある、ある機能をアクティブ(有効)にする意味であり、日本語では有効化・活動化・活性化などと訳す。
コンピュータの分野においては、ソフトウェアをインストールした後に起動した後に行う、利用者が正規のライセンスを保持している確認を行うための認証作業を言う、プロダクトアクティベーションやライセンス認証とも呼ぶ。
導入目的は非合法に入手したソフトウェアの使用防止がある。
デスクトップやノートパソコンなど複数台のパソコンを所有するユーザーに対してメーカーが「1ライセンスに、2台-数台のインストール」の許可のある契約もある(ただし色々な制約を含めたライセンス契約だ)、そこでのライセンス契約に反する使用の防止の目的もある。
認証方法には色々あり、ハードウェア認証にはパソコン本体の構成に基づく認証があり、USBキーを用いる方法がある、パソコン本体の構成が異なる場合でも認証を受ける方法には「シリアル番号」と「アカウントのID」を対応させた認証がある。
一部のハードウェアではファームウェアの機能の(有料オプション)を有効化する目的で使用される、一部のシェアウェアやフリーウェアやフリーソフトウェアではインターネットでの認証を使用している。

アクティベーションには問題点も多い、 ・正式にライセンスを受けたユーザや環境でも、何かの事情でソフトウェアを再インストールする場合に、複数台のパソコンにインストールするとみなされて認証拒否される可能性がある。
・パソコン本体の性能を改善等の目的でパーツを交換か追加した場合でも、パソコンの構成が異なる別のパソコンと認識されアクティベーションに失敗する可能性がある。
・アクティベーション情報の保存箇所は非公表でありトラブルになる、例えばHDDに隠して保存する場合には、SSDなど規格の新しい記憶媒体やBIOSの仕様に適応できずアクティベーションに失敗する可能性がある。
ハードウェア認証の場合でもUSBキーが常にUSBポートを占有するし、紛失・故障の危険性がある。
ソフトウエアでのID入力方式の場合は、複雑なID入力を度々ユーザに強制することで余計な手間がかかる、メーカーへの登録が必要でありあるいはサポート窓口へ問い合わせが必要になり手間がかかる。

アクティベーションの問題点は長期利用の場合はさらに多数生じる。
アクティベーションはインターネットの接続を必要としているので、何らかの理由で接続できない時は認証できずに製品が使用できなくなる、一部の製品では定期的にインターネット接続を求める事もあると言う。
インターネットの常時接続が普及してもセキュリティ上や経済的理由で接続できない利用者は有りそこでは批判もある、インターネット接続できてもオンライン認証が出来ずに電話など他の方法で認証するケースもある、電話や電子メールでの認証に対応せず商品のディスクを確認する例もあるとされ、それは手数料や輸送費が高くなる。
メーカー側事情でのサポートの打切りや、メーカーの倒産でのサービス窓口の停止で、認証を受けられず製品が利用できない可能性もある、これらは訴訟問題を含む大きなトラブルになる可能性がある。
長期利用時でのトラブル対策の一つの対策としては、ソフトウエア商品の発売後に一定期間が経過すれば、ソフトウエアが認証をしない変更のファイルをウェブサイトで配信して、ユーザーがインストールすると以降は認証が不要になる場合もある。

ソフトウェア利用許諾契約によっては、「メーカー側が一方的に使用者の権利を消す事ができる」条項が組み込まれていることがある、メーカーはこれを適用すればアクティベーションを終了することも厳密には可能だ、ただしその条項が有効化かは疑義はある。
いくつかのメーカーではアクティベーションを終了する場合の対応方法を約束しているがユーザーには面倒な事もある、しかも全メーカーの製品でそのようなサポートを受けられない。
一般的にアクティベーションにより守られるのはメーカー側の権利のみであり、不正ユーザを無くす必要は理解しても、正規のユーザーが手間や機能制限等のリスクを負う事になる。
アクティベーションは考え方としては、初期時点で全てのユーザーが不正利用者だと仮定する事から始まる方法とも言える、そのために思想自体が批判される事もある。
そもそもがユーザーに取っては好ましい内容のシステムではない事は明らかであり、導入側にはそれを配慮した慎重な考え方が必要だ。

ダウンロード販売においてDRM(デジタル著作権管理)を行う方法が幾つか行われている。
・ダウンロード回数制限
 事業者は事前にダウンロード回数の制限を設定しておく、それによってその回数以上のダウンロードを制限する。ユーザーがダウンロードする事は通常1回だがダウンロードトラブルや、ローカルデータの消失ミスなどがあった時に再度ダウンロードを可能としている。
 事業者は毎回カウントして、設定の最大値回数に達するとダウンロードが出来なくなる。
・閲覧回数・期間制限
 事業者は購入されたコンテンツの閲覧可能回数や期間をユーザーごとに設定する。
 期限があるレンタル映画などのデジタルコンテンツに利用する機能だ。
・ダウンロード制御
 パソコンやスマートホンなどのユーザー端末へのダウンロードを制御して、ストリーミング再生のみ閲覧可能にする機能だ。
 画像の、画面キャプチャを防止する機能もこの例だ。


ネット販売ダウンロードサイト

ネット販売でのダウンロードサイトには、既存のダウンロードサイトを利用する方法と、自社独自の販売サイトを利用する方法があり、自社サイトには自由度が高いメリットがあるが、前回までのようにDRM(デジタル著作権管理)を行うには課題が多かった。
自社独自の販売サイトのシステムだけでは、十分なDRMの機能とサービスを備えている事は難しい、その場合には、デジタルコンテンツを別のシステムで管理する方法が使用されている。
自社独自の販売サイトと、別の外部のダウンロードサイトとび分けて管理する場合は、次の方法になる。
1:自社独自販売サイトで、利用者からデジタルコンテンツの購入の注文を受け付ける。
2:販売者が、外部のダウンロードサイトのURLとライセンスキーを購入者に送付する。
3:利用者(購入者)は受け取ったURLからダウンロードサイトにアクセスして、購入したデジタルコンテンツをダウンロードする。
これが自社独自販売サイトと、外部のコンテンツ管理システムとの間を「ライセンスキー」を使って情報連携させる方法となる、そこでは最初にコンテンツごとにライセンスキーを決めておいて、外部のコンテンツ管理システムに登録しておく。
販売者はデジタルコンテンツのライセンスキーを、自社独自販売サイトのシステムの商品にも登録しておく事で、購入者にライセンスキーを渡すことが可能となる。

自社のネット販売ダウンロードサイトを運営するには、ダウンロード販売に向いている決済方法を対応している必要がある。
それに必要な条件としては
・利用者が多い決済方法>クレジットカード決済
・リアルタイム性のある決済方法
・少額決済に対応した決済方法
・ネット通販とダウンロード販売とに相性が良い(利用者が多い)決済方法

リアルタイム性のある決済手段
 ダウンロード販売のデジタルコンテンツでは、即時にコンテンツを利用できる事が必要、購入時に即時に決済が完了する「リアルタイム性のある決済方法」が利用される。
・クレジットカード決済
・電子マネー決済
・携帯電話キャリア決済>携帯電話の利用料金とまとめて支払う
・ID決済>LINE Pay、楽天ペイ、Amazon Pay、PayPayなど
・オンライン決済サービス>PayPal など

自社のネット販売ダウンロードサイトの構築では通常のネット販売サイトと比較して、DRM(デジタル著作権管理)を行う技術課題があり、また即日性のある決済機能も必要だったが、それらは外部サイトの機能やサービスを導入する方法を含めて対応方法はあった。
自社のネット販売サイトは、デジタルコンテンツのダウンロードサイトも含めて、サイトを作る事も課題は多いが、それ以上に開設後に集客していくことが課題となる。
ネット販売サイトでは実店舗でのビジネスとは異なるノウハウが必要であり、自社のネット販売ダウンロードサイトでデジタルコンテンツを販売する仕組みを構築するだけでは、売上を伸ばせるわけではない。
自社のネット販売では、独自に自社サイトで広告を出す事も必要であり、その時のネット広告手段は多くかつ方法も新しく増えている、例えば見込み客にメールマガジンを情報源として無料配信したり、SNSを利用した情報配信したり、集客のための施策が必要だ。
ダウンロードサイトでは、無料ダウンロードコンテンツを配布する事で情報を発信したり個人情報を取得したり集客を行ったり等を行う特有の広告方法がある。
例えば映画等の予告動画であったり、音楽のプロモーション配信であったり、電子書籍の立ち読みコンテンツであったり、アプリやパソコン用ソフトの無料使用期間を設定したコンテンツ等が例となる。
独自の広告と集客から得た情報とノウハウは、独自のマーケティング施策を行うことに繋がって行く。

ネット販売のショッピングモールは多数が競うが、楽天モールやアマゾンがその代表だ、独自のクラウドシステムを持ち、それを使用してのデジタルコンテンツのダウンロード販売を行っている。
前述のようにネット販売ダウンロードサイト運営には多数の課題があるので、最初はショッピングモールで販売を始めて、ネット販売の技術やノウハウを得てから、自社の独自販売サイトに移行する方法が無難とも言える。
ショッピングモールの利用は、初期投資を少なくして始められる事と手軽さが大きな利点だが、ショッピングモールに支払うロイヤリティは当然に必要であり、販売者が得る販売価格としては版権にあたる配分レベルとなる。
ロイヤリティについてはそれぞれのショッピングモールに提示されているが、どれが該当するのかを調べておく必要がある、例としては楽天とアマゾンの電子書籍システムでの一般的ではロイヤリティは70%であり条件でも異なり、細部の制限もある。
ショッピングモールには膨大な数のライバル商品があり、簡単にはじめられても通常はそれだけで自動的に売れることはないので、告知・広告等の集客施策は必要になる。

ネット販売ダウンロードサイトでも広告や集客活動は重要であり、それを含めたマーケティング戦略が必要だ。
そこでの販売促進方法は実商品販売と基本的には同じだ、勿論差もありダウンロード販売では特有である、動画や写真のサンプル配信や、電子書籍立ち読みや、ソフトウェアの試用期間向けダウンロードがある、これらがネット通信費用のみで即時に配信可能になる。
独自販売サイトでは、無料配信と有料配信のダウンロードのみに対応している事もあるが、一般的なショッピングモールでは実製品(宅配・郵送が必要)とダウンロード販売のデジタル商品の双方を扱っている、歴史的には実製品通販にダウンロード販売商品が加わった形になる。
例えば映画等では実製品のDVDの販売と、その動画のダウンロード販売を、タイトル毎にまとめてサイトに並べている、電子書籍では紙冊子と電子書籍が並べられている。
ソフトウエアではダウンロード版と、DVD版のパッケージ販売となるが、それは過去のスタイルであり、現在ではDVD版のパッケージは特殊な販売方法となり姿を消しつつある。
利用者にとって最重用な項目はタイトル・書籍名であり、実製品かダウンロード製品かは利用者の好み・利用スタイル・利用環境で決められるという認識だ、分離して商品検索可能な機能があるショッピングモールも多いが、実製品とダウンロード版販売を併用して、相乗効果での集客を目指す事が主流だ。

ネット販売ダウンロードサイト関連の現状を箇条書きする。
・ショッピングモールのウエブサイトは、パソコン用とスマートホン用が必要だ、パソコン用サイトではアクセス元の機器を判断してスマホ用に切り替える方式が一般になっているが、スマホ用は専用アプリが望ましい。
・ソフトウエアとアプリのショップとして、アップルとグーグルが中心になって来た、品揃と課金システムの影響も大きかった、また日本語以外のソフトも同じ様に販売されている。
 今後はそれ以外のストアと課金システムも広がるだろう。
・1次ダウンロード先として事業者が運営するクラウドを利用する事が主流になっている、例えば、モールではアマゾン・楽天・グーグル等があり、OSではアップル・マイクロソフト等がある。
・課金システムはOSのベンダーのシステムが中心で使用されて来た、アップルの規約変更にともない、自社システムに移行する所が増えると予想される。
・デジタルコンテンツのデータサイズや画像サイズが大きいものも販売されており、それらは注意書きで「タブレット端末やパソコンの画面サイズ」を推奨している。
 音楽データでの、デジタルデータのサンプリングレート選択モードが採用されてローカル機器の記憶容量への配慮もある。
・ソフトウエアを一般のモールで販売する時に、ソフトウエアのアクティブ化キーを販売して決済する方法がある、利用者は開発社のサイトでダウンロード以降を行う。

株式会社NEXT

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