項目別バックナンバー[4]:ショップ情報:59
包装と梱包
店舗販売や小売り販売に於いては、販売した商品を包装する事が普通の作業となっている。
その目的は例えば、商品を外から見えなくする目的や、決済済みの商品である事を示す目的や、移動のハンドリングを向上させる目的や、移動中に傷つけない保護の目的等が有り、購入目的によっては贈答品用のラッピングが行われる。
包装材料は最後には廃棄される事が一般であり、現在では廃棄物処理が社会問題化されている事から簡易包装が検討されて導入されている、だが簡単には省けない用途もある。
インターネットとネットショップが拡がりネット通販が普及しているが、そこでも包装の問題は存在する、だがそれに加えて郵送・宅配用の梱包の問題が加わる、ネット通販における包装と梱包は材料・手数料の費用面と輸送中の破損対策と商品内容の秘匿という直接的な理由からだけでも重要な課題となっている。
通販の拡大、特にネット通販の拡大は付随する梱包と物流・輸送が必須項目であり、これらに関わる事業者の存在と能力・機能もともに拡大してきた。
物流業界の全体では、電子商取引が占める割合はまだ大きくはなく、商品配送の多数は大手小売店が占めているとされる、この分野も急速に拡大して来たが次第に停滞してきたとも言われ、少子化・高齢化・人口減少なども理由に上げられている。
一方では電子商取引により通販・ネット通販を含めた企業から消費者へ向けて行う商品輸送は急速に拡大している物流分野になった、企業から個人へ1個単位の荷物を直接配送することが増え、企業から店舗に配送される場合と比較して梱包の方法は異なる。
通販商品を扱う多数の業者が乱立した時期があったが、次第に少数の事業者のみが事業を広げている、それらの少数の事業者に於いては、拡大し続ける荷物量と共に、輸送と末端の配達における労働問題・不達問題等を含めた色々な問題が生じて社会問題となり、扱い量の制限や運送料値上げや配達方式の改善が必要になり現在に行われている。
通販業者に取っては物流・輸送は最初は付属問題であったが、次第にコストを決める重要問題となった、それ以上に拡大すると社会問題となり通販業者自身も対応する課題となった。
通販業者に取っては包装と輸送は必須であり、実店舗での手渡し販売と比較して必ず加わる問題だ、それでも実店舗よりも倉庫と発送センターの運営の方がコスト的なメリットを生む事もある、それ以外にも通販のメリットを追いコスト面で優位を得る事で拡大させた。
包装と輸送は、通販では必ず発生する追加経費であり、最初はシンプルにそのコスト面のみを注目した、次には物流全体と通販ビジネス全体でのコスト面で注目する事になった。
包装は最初に材料費に注目が当たったが、数量が増大するとトータルでのコストの低減を目指す事になった、最初は輸送費用・運賃に注目があったが宅配便システムの急成長で輸送コストが下がると、輸送時間が注目された。
主な地域での昼の受付と翌日配達が実施されると、通販業者ではネットでの受注から宅配業者に引き渡すまでの時間短縮が課題となった、大規模な受注から在庫管理と発送管理と商品追跡を行うコンピュータネットワークシステムが構築された、そこでは商品の間違いや破損事故などの対策も重要であった。
その過程での包装の考え方として、
・発送時間短縮を目指す
・梱包のし直しを避ける
・箱の大きさを画一化して購入単位を増やす、箱の種類を少なくする、そしてコスト削減する
・クッション材を多く使い破損事故を防ぐ
等がありそこから小さな商品を大きめの箱に入れて発送する、荷物を1つにまとめる事に拘らないという考えが生まれた。
ネット通販が増えると包装と梱包方法にも利用者の関心が向けられた。
1:ネット通販での梱包では顧客からの視点が見落とされている。
2:理想の梱包は開けやすさ、中身の安心と安全さ、廃棄の容易さがある。
3:梱包状態の情報を利用者に発信する事が、再注文につながる。
前述の様に、ネット通販では小さな商品を大きい箱に梱包して出荷する例が多い、それは箱のサイズ統一してのコストダウンと輸送事故対策目的だが、受け取った利用者の視点では不満はある。
利用者の一部は包装の無駄と包装ゴミの減少を望んだ、大手モールは注文から配送までの時間を競ったが、自宅に届いてから商品を手にする時間も重要だった、利用者は段ボール箱の解体と商品の取り出し時間も重要な事だ、開け難く予想外の手間がかかるとストレスを感じる(箱は届くが、商品に出会えない)。
解体方法を意識しない梱包では箱が大きすぎる事も多く、しかも段ボールに強度の高い透明テープを使っている事も多い、それは手では開封作業が出来ずハサミやカッターを必要とする、それにも不満を生じる。
通販者に梱包の知識が全くないケースもあるが、ネット通販での全体でのマーケティング企画開発で梱包が課題として充分な検討がされず見落とされてきた事も原因だろう。
ネット通販では包装開発・改善が多数行われた。
・アマゾンでは薄い段ボール袋と薄い箱は、箱のヘリがファスナー状にしており道具なしで開封できる。
・大型の段ボール箱では透明テープで梱包しているが、箱の横側に切り込みを設けてあり、ハサミなしでも指でテープごと開封が出来る。
・包装用のテープを長めに貼って、先端の部分を折り返して剥がし易くする。
・梱包材としてウレタンやポリエチレン樹脂の緩衝材を使用していたが、空気を入れて使用するエアーパウチ等に変えて来た。
・段ボール箱は平坦に分解して資源ごみとしてリサイクル可能にして、廃棄をやりやすくした。
・小型の段ボール箱では、テープを使用せずに糊だけで組み立てている、それは分解も容易だ。
デパート等が行っていたギフト包装・のしへの対応をネットストアでも小物商品を中心に対応した。
・商品タグやパッケージに表示された価格を伏せて商品を個別包装する、「のし」と「メッセージカード」添付を対応する。
・ギフト包装オーダーには「返品連絡票」・「納品書」は同梱しない。(ネット通販では依頼主と配送先が異なっても通常は「返品連絡票」「納品書」が同梱される)。
・ギフト包装は代金引き換えや賞味期限の短い食品は使えない。
ネット通販の拡大はその荷物の包装と梱包方法を変えた。
包装材加工メーカーは、原料となる板紙などを仕入れて加工して販売している、ショッピング用紙袋や包装箱など紙器を百貨店や専門店向けに販売して成長した来たが、国内消費の低迷で消費量が横ばいになった
これらの業界とメーカーは消費低迷状況から電子商取引・ネット通販向けの包装箱の需要の急成長に注力する事になった、特にネット通販では包装と梱包が急激に変化しており、ボール箱類の消費量の膨大な量と共に、新しい商品開発が行われている。
前述した利用者の要望による多数の改良が行われたが、それ以外にも新しい取り組みが行われている。
・「美粧包装箱」(美粧性のある包装箱)への取り組み。
ネット通販では包装箱は単純な茶色の段ボールそのものであり、無味無機質だったが、 デパートや街の専門店やブランド店では、独自のデザインの包装と梱包を行い色やデザインの高いものが普通になっていた。
ネット通販でも首都圏での市場展開で「美粧包装箱」が試行されている。
・非ネット店舗の百貨店と専門店では、包紙袋についてはそれぞれも各ブランドの「動く広告」と言われて、その意匠性が高いデザインが施されている。
ネット通販でも広告と情報発信を考えている。
・梱包方法と状態自体が、商品・サービスという情報発信になる、利用者は包装状態で受取るがそれ自体が情報となると考え、ネットで包装内容を説明する事もある。
外食店・調理食品販売
外食店は古い時代から存在するが、他店舗展開や地域展開から全国展開する外食産業が登場した、そこに独自のビジネススタイルであるファーストフード店が登場して全国展開(国際展開)した。
一般食品販売に加工品や調理品が加わり、冷凍食品やレトルト食品の普及で拡大し、さらにクール便の普及で拡がり、ネット通販の登場と普及により更に拡大して来た。
外食店や調理食品販売方法と店舗展開方式は、続々と新しいものが登場して呼び名が付けられたが、それの定義・線引きは分類上と便宜上的な扱いでもあった、それが俄に現実上の問題となったのは、日本で2019/10から導入された消費税の軽減税率で、その制度の適用問題が生じてからだった。
食品は軽減税率の対象であるが「外食」は除外されるのが規定だが、実際は境目が必ず存在しその線引きはわかり難いが、制度上で定義付けが行われた。
「外食」「加工食品」「デリバリ」「イートイン」「テイクアウト」「ケータリング」「出張料理等」「ドライブスルー」等の形態を軽減税率の対象かどうかで線引きする事になった。
外食店に於いて、客が飲食物を店内から持ち出して自宅へ持ち帰る等して店外で食べる様な飲食店のシステムを「テイクアウト」と呼ぶ、「テイクアウト」の用語は英語圏では一般的で無いとされ和製英語と言う人もいるようだ。
日本では「持ち帰り」「お持ち帰り」の意味で使われるので、日本の「テイクアウト」は飲食物を店外に持ち出す意味になり、外食店にのみ使用するようだ。
客が自身で直接持ち出す場合を「テイクアウト」と呼ぶが、これに対して店舗の従業員等スタッフが飲食物を店外に持ち出して客に運ぶ事は「デリバリー」や「出前」と呼ぶ。
上記に対して、外食店での店内飲食は「イートイン」と呼ぶ。
自動車に乗りながら注文出来る「ドライブスルー」はテイクアウトの一つだ。
「テイクアウト」は完成しており調理の必要のない調理済み飲食物を持ち帰る場合にのみ使用し、調理の必要のある生鮮食品などを持ち帰る場合は「テイクアウト」には含めない。
店舗やチェーン店で「テイクアウト」販売のみ行う場合で、「イートイン」や「デリバリー」も行わない場合は、わざわざ区別の必要が無いので「テイクアウト」の言葉は使わない、例えばほっか弁当やコンビニ弁当などが該当する。
外食店で客が飲食物を店内から持ち出して自宅へ持ち帰る等で、店外で食べる様な飲食店のシステムを「テイクアウト」と呼ぶが、それは外食店が種類と店舗数共に増えて来て拡大と競争の過程で、その外食店の多くでテイクアウト形式を導入した事で注目された。
急増した外食店チェーンによるファミリーレストランやファーストフード店では多数がテイクアウトを実施して来た、それにはいくつかの利点があった。
・店舗に収容可能な人数は限られるが、テイクアウトにより多くの顧客をさばける事がある。
・顧客側の都合とスケジュールに対して、選択肢を拡げる可能性がある。
・調理食品の持ち帰り販売の形態の多様な弁当や惣菜食品販売が定着して、それで使用されるプラスチックや発泡スチロールの容器が普及した、その容器技術を外食店に導入した事でテイクアウトに対応しやすくなった。
外食店では拡販・広告を多様に行い、その一つでインターネットのウエブサイト設置しての活動も行っている、店舗・商品情報が主体であるが、割引・期間限定・クーポン配布等での広告の意味も大きい、テイクアウト形式の導入を含めたサービス内容の普及の意味もある。
外食産業とテイクアウト等の販売形態が一般的に注目されたのは、2019年10月の消費税の8%から10%への増税と同時に実施された軽減税率制度導入からだ、日常生活の食品絡みもあり日本でも身近になった。
消費税を導入している国は多く有り、食品等を別税率にしている例も多い、日本の今回の様な2%差ではなくもっと差が大きいケースが多い、軽減税率該当品の設定はどこでも課題でありそれを線引きするのが税制だ。
飲料品食料品のなかで軽減税率の対象外となり通常の10%の消費税が課税されるものは、「酒類」・「外食」・「ケータリング・出張料理」、そして食品とその他のものが一緒になった「一体商品(一体資産)」だ。
この中での「外食」の線引きは以下に定義付けられた。
「軽減税率制度の適用対象外となる「外食」等は、以下のもの。
1:(1)事業者が顧客に飲食させようと考えている飲食設備(テーブル、椅子、カウンター等)のある場所において(場所要件)、(2)顧客に飲食させるサービス(サービス要件)(持帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う飲食料品の譲渡は含まない)(「外食」)
2:顧客が指定した場所で、顧客に飲食させるサービス(「ケータリング・出張料理等」)。
ただし、有料老人ホームでの飲食料品の提供や学校給食等は、生活を営む場所において他の形態で食事をとることが困難と考えられることから、「ケータリング・出張料理等」から除外する。」
1:(1)が外食産業に該当し、弁当販売のみ等は該当しない
1:(2)がいわゆるテイクアウトに該当する
2:にはこれから外食産業が参入して広まる可能性もある
外食店舗でない食品店やコンビニやスーパーでの調理惣菜や弁当類には軽減税率が適用されなかった事で、軽減税率が適用された外食店・飲食店から見て競争が厳しくなる可能性が生じた、その為に店舗での飲食のみ提供していたレストランを含めて、テイクアウトやデリバリーのサービスを始める事が増える事になった。
外食店・飲食店では独自のサービスと付加価値を加えたいと考える事になり、店舗での外食品と同じ内容の調理した直後の惣菜や弁当などのテイクアウトやデリバリーを提供する、それには利用者を増やす目的があり、トータルでの売上げを向上して店舗名と商品の認知度を向上させる事に繋がる。
テイクアウトの場合は軽減税率が適用されるが、外食でトレイに載せて座席に運ばれて返却の必要な食器を使われた食品では軽減税率は適用されないので、テイクアウトは返却不要な容器・包装が必要となる。
外食店舗では軽減税率の適用の有無で同一商品でも2種類の価格が生じた、今回の日本の場合は軽減税率2%で差が少ない事から、税込み価格を2種類で運用する店舗と、税込み価格を店内飲食とテイクアウトで同一に設定する戦略が双方生まれた。
一体商品とは「おもちゃ付きの菓子類や、カップ・ソーサーなどが付いたコーヒーギフトなど、軽減税率の対象商品とそうでないものが一緒になって販売されるもののこと」を指すとされ、このような場合は、「原則として軽減税率の対象外となりますが、税抜価格が1万円以下で、かつ食品に該当する価格の割合が3分の2以上の場合は軽減税率の対象となる」と運用される事になった。
食品・調理食品販売では、季節商品やイベント商品が存在する、例えばクリスマスケーキや土用の鰻や正月のおせちがあり、販売側が販売促進して仕掛ける事で新たに加わっ来たバレンタインや節句やハロウィン商品がある。
インターネットを含めたネットとマスメディアを利用した拡販戦略と、市場への大量かつ過剰の商品投入と、予約戦術が行われて来た、その結果として予約販売では商品を期日内に届けられなかったり商品内容が予約時と異なったりするトラブルが発生し、店舗への過剰な商品投入は大量の売れ残りと食品破棄が発生した。
食品・調理食品販売では1:原材料の確保は不確実、2:調理品は事前作り置きは困難、3:スポット的な期日限定イベント商品は品切れか売れ残りが発生し易い、事を踏まえて反省が行われつつあり予約販売に限定しての食品破棄の減少の動きがある。
外食店ではインターネットを活用して、ウエヴサイトでの店舗と商品展開を行いその中で店内飲食予約と共に、テイクアウトやデリバリーの事前注文を受けたり、決済を行えるサービスを行う事が増えている、店舗と商品の紹介と宣伝効果が期待出来る。