項目別バックナンバー[4]:ショップ情報:68
アパレル
アパレルの言葉の由来は、フランス語の「appreiller(適合させる)」であり、服を着せるや着飾る意味があった、英語ではアパレル(apparel)は「衣服・衣類・服装」を意味して、紳士と婦人と子供の衣服をすべてアパレルと呼ぶ。
アメリカで大量生産される衣料を「apparel」と称するようになったことで、現代では布から作った既製服を「アパレル」と呼ぶようになった。
あるいは既製服のほかにも「衣料品産業全般」を指すときにも使用される。
アパレルは衣服を表すが、日常会話の中でのアパレルは衣服のみでなく帽子や靴やアクセサリーなどを含めた服飾全般を指す場合も多い。
日本語ではアパレルは主に洋装系の既製服を指すが、「アパレル産業」の意味にも使用される、さらには日本ではアパレル・メーカー(服飾製造業者)をアパレルと略する場合もある。
アパレルショップは衣服を扱う小売店を指すが、「アパレル業界」「アパレルメーカー」という場合には「服飾業界」「服飾メーカー」を指す。
「アパレル産業」と言う言葉は、衣服の製造業及び流通業のことを指して使用される、そして「アパレルメーカー」と言う言葉では、衣服の企画・製造・卸売を行う企業を指して呼ぶ。
世界産業分類基準(GICS)では、一般消費財・ サービスセクターに「耐久消費財・アパレル」という産業グループの分類がある、その「アパレル」はビジネスの意味合いが強い、それ故に業者側の視点がより強く入っているとも考えられる。
「アパレル」の意味の「衣服」「既製服」「衣料服全体」、「衣料服産業」「服飾全般」、「アパレル産業」「アパレル・メーカー」等には、狭い意味と広い意味とが混ざって使用されている状況だ。
「アパレル業界」の言葉は、既製服のビジネスにかかわる業界全般を指す言葉の使用方法になっている。
「アパレル」は使用法が多彩な言葉だ。
「アパレル」と似た使われ方に「ファッション」がある、大雑把な意味としては、「アパレル」は「衣服、主に既製服」の意味であり、「ファッション」は「衣食住における生活表現。服飾・服飾雑貨・ビューティ・インテリア・フード」の意味がある。
「ファッション」は、衣料だけを指すアパレルとは異なり、ヘアスタイルやメイクや小物も含めた身に着けるもの全体を指す。
従って「ファッション」の範囲は幅広く、服装やアクセサリーに加えて、髪型やメイクなども含めるので、「ライフスタイル」の一種と考える事が出来る。
それ故に「ファッション」には創造的な意味合いや表現者の視点が有ると考えられる、そこからコーディネートでニュアンスを表現したり、他者が追従したり模倣したくなるスタイルを創り出す意味で使われている。
アパレルとファッションの差・違いは、ビジネス面・イメージ等でもある。
アパレルは、ビジネスとして「利益」を生み出すことが出来るかどうかということが大切になるので、売れる既製服を作ることを最大の目的としていて、原価率や生産のしやすさなどを考えることを重点としている。
ファッションは、衣服や小物をコーディネートした全体のイメージを大事にし、新たなアイテムやトレンドを生み出すことを重点にしていて、アパレルのように利益を求めて何かを創り出す面は弱い。
アパレルとファッションの違いは、ビジネス的か創造的(新しいもの作る)かの差でもある、業者なのか表現者の視点なのかに注目する事もある。
言葉にはアバウトな使用方法と、イメージ的な使用方法と、ビジネス的な意味などがあり、違う意味を持っている事もあり、使う用途に合わせて選んでいく事が必要な事もある。
アパレル産業という言葉に対して、繊維産業と言う言葉もある。
繊維製品を製造する産業・工業をそれぞれ「繊維産業」と「繊維工業」と呼ぶが、繊維産業で製造する商品には衣料向けのほかに建材・自動車・航空機等の産業資材と、衛生資材と生活資材向けの製品もある。
過去の繊維業界の中心は、織物などの製造でこのような織物を「繊維一次製品」と呼んだ、これに対して衣服製造品は「繊維二次製品」と呼ばれた、従って衣服製造業者は二次製品メーカーと呼ばれた。
その後に、衣服製造の産業化が進みしかも流通の産業化が行われた、1970年代頃からアパレル産業と呼ばれるようになった。
1977年に通産省生活産業局が報告書(通商産業省 (1977))を刊行してそこに「アパレル」の用語を使い、以降に一般化した。
この報告書では、日本標準産業分類における「繊維工業」内の「メリヤス製造業」と「衣服、その他の繊維製品製造業」を「アパレル製造業」とした、また流通業については「卸売業及び小売業」を対象にした。
日本標準産業分類はその後の改定で、中分類「繊維工業(衣服、その他の繊維製品を除く)」と「衣服・その他の繊維製品製造業」が中分類「繊維工業」に統合された。
1977年の通産省生活産業局の報告書では、日本標準産業分類における「繊維工業」内の「メリヤス製造業」と「衣服、その他の繊維製品製造業」を「アパレル製造業」とし、また流通業については「卸売業及び小売業」を対象にした、アパレル産業という言葉もより一般化された。
アパレル産業では既製服を対象としていたが、その製造と小売については、歴史的には分離しているケースが多かった。
それに対して、1980年代後半より、SPA (specialty store retailer of private label apparel ) と呼ばれる業態が増えて来た、SPAは生産機能をもったアパレル専門店であり、商品の企画から製造と物流とプロモーションそして販売までを一貫して行う小売業態を言う。
アパレル業界では百貨店や専門店がアパレルメーカーの仕入商品を販売するという流通様式が一般的だった、これに対して米国のギャップや日本のユニクロ等のSPAは、自社開発の商品・ブランドを品揃えして統一コンセプトで小売店で差別化をはかった。
SPAは自身が需要変動のリスクを負うので、流通在庫を削減し売れ残りリスクを最小化する必要がある、その為に販売情報を早く生産に結びつける体制と工場の稼働を行う必要がある、さらには多店舗化も必要となる。
アパレル産業
アパレル産業として見ると、アパレルショップで販売する商品を生産するアパレル企業には、アパレル生産企業と、アパレルメーカー(アパレル製造卸し)の2種類がある。
アパレル生産企業とは、自社ブランドを持ち、企画開発と製造機能を行なう企業である、あるいはアパレルメーカーの商品企画を基にアパレルを生産する企業のことを言う。
アパレルメーカーとは、一般には製造卸売業のことを指す、そこではテキスタイル会社から生地を仕入れ、専属または契約している工場で製造を行なう。
生産自体はしないが、アパレル商品のデザインや企画から自ら行ない、素材調達、生産管理を行う。
テキスタイル(textile)とは、「布製品における生地や柄のこと」を指す。
アパレル業界を中心に使われる専門用語で、最近はファッション関係で「テキスタイル」の用語が広がっている。
生地自体の他に、例えばチェック柄や花柄など生地の柄もテキスタイルと呼ばれる、「テキスタイル」が生地なのか、柄のことを指すのか、両方かは文脈によって変わる。
アパレル産業としてのアパレル企業には、アパレル生産企業と、アパレルメーカー(アパレル製造卸し)の2種類がある。
そこには分業もあるし、製造から販売までの全てを行う一貫体制もある、そして一部をOEMで行う場合もある。
アパレル産業では、被服に関連する専門的知識が要求される職種が多い、あるいは専門知識が活用可能な職種と考えてもそれは多岐に渡る、それゆえに一貫体制が行われる背景になるし、その中の個別にだけ特化する理由にもなる。
専門的知識が要求される職種例
・企画
マーチャンダイザー
ファッションディレクター・プランナー・デザイナー
テキスタイルデザイナー、カラーコーディネーター
・製造
パタンナー、サンプルメーカー
仕立て屋、テーラー、ドレスメーカー、縫い子、和裁士
・販売
バイヤー
ファッションコーディネーター、スタイリスト、ファッションアドバイザー
ショップ店員(スタッフ)
接客、顧客管理、商品管理
店頭情報の収集・フィードバック、店舗運営
アパレルメーカーがオリジナル商材を作ろうとする場合には自社生産以外に、オリジナルの商品を生産業者に依頼する方法としてOEM(Original Equipment Manufacturingの略)と、ODM(Original Design Manufacturingの略)という方法がある。
OEMは縫製工場や縫製工場を持たない仲介業者に依頼をして、工場が提供できる規格の範囲内でデザインや素材・色などを選択しオリジナルの商品を生産できる方法だ。
ODMは、商品の企画からデザインまでを、すべてを業者に依頼し商品を生産する方法になる。
オリジナル商品を開発する事は「このメーカーやショップでしか買えない」という特別感・差別感が打ち出せて、リピーターを獲得する等の戦略的な強みとなる。
アパレルショップの機能として、消費者とファッションとの出会いの場の意味がある、消費者はショップで自分らしさやライフスタイルを探す、現在の消費者は感性や好みが多様化しているのでショップを使い分ける人事もある、ショップは明確なコンセプトを持って提供する必要がある。
アパレルショップの機能として、コンセプト・商材の仕入れ方法・ショップの見せ方を前回に考えた、それでは次に実際にアパレルのネットショップで成功するために必要な要素は何かを考える。
・顧客のニーズに合わせて商品を展開する
アパレルショップを運営するうえで必要な事は、新商品や季節感のある商品など、ファッションに敏感な客を飽きさせない事であり、目新しい商品を出して客が遠のくのを防ぐ。
アパレル商材を取り扱う上ではトレンドに注目して、顧客が何を求めるかを常に考え、商品展開の必要がある。
商品展開に必要な、商品の需要や季節需要の違い・価格帯などの情報のリサーチも必要だ。
・サイトの宣伝・集客のために広告をする
ネットショップでは、サイトの宣伝や集客のための広告は必須だ。
ネット広告の種類は多岐だが、アパレルショップの集客手段としてはバナー配信型の広告が有力だ、アパレルの魅力であるビジュアルを前面に打ち出すことが可能で、商品の魅力を伝えやすい特徴がある。
アパレルショップが行う「サイトの宣伝・集客のために広告をする」方法にはSNS施策がある、バナー広告と同じ意味から写真・映像での表現が有用であり、それが可能なものにはインスタグラムやツィッターがある。
写真をメインにしたSNSでは、アパレルショップの要と言える商品の魅力的な写真と映像を発信することで集客を求めることが可能となる。
例えばインスタグラムは無料で使えるSNSで手軽に導入出来る、ただし一方では拡散力には乏しい面もある、インスタグラムに広告配信を行うインフルエンサーを起用するなどの広告費を使う事で、商品の魅力をアピールする事で、商品等の認知を拡大させる事も必要だ、売り込み要素が強いと反応が弱くなり効果が出る時間はかかる事もある。
・データ分析・改善をおこなう
ネットショップでは、データ分析・改善は毎日欠かさず行う必要がある。
アクセス解析ツールで、ショップへの訪問率や離脱率、購入率などを分析して、客の行動を分析して購入につなげる改善ポイントを探す事になる。
・人気ショップと自社を比較する
自ショップとどこが違うのかを、細部まで比較し分析する、そこから自社に足りない部分を改善することが大切になる。
アパレルショップのショップコンセプトには三大要素がある、アパレルショップはショップコンセプトに基づいて、品揃え・価格設定・商品の見せ方・商品の売り方等を決めて行く事が大事だ。
ショップコンセプトの要素
1:商品によるサービス
2:環境、空間によるサービス
3:接客によるサービス
アパレルショップで取り扱うジャンルは、紳士服・婦人服・子供服に、スポーツ衣料と下着類と毛皮・レザーウェアが含まれる、さらにはスカーフ・ネクタイ・帽子・マフラー・手袋・靴下など通称では小物と呼ばれる物も含まれる。
「アパレル=ファッション」ではないので、ファッション性の低い下着や作業着などもアパレルに含まれる。
ファッション性の高いアパレル商品を「ファッションアパレル」と呼ぶが、ファッションアパレルのショップでは、衣料に加えてファッション性の高いシューズ・バッグ・アクセサリーなどの服飾雑貨も含めて提案して行く事が多い。