項目別バックナンバー[3]:ビジネス情報:77
銀行とデジタル化6
住信SBIネット銀行の取り組み
・デジタルバンクは地方銀行発だが、2007年に開業した住信SBIネット銀行はインターネット専業銀行で、三井住友信託銀行とSBIグループが出資する合弁企業だ。
・ビジネスモデルの特徴は
1:住宅ローンを中心としたローン事業。
2:SBI証券との連携。
3:積極的なデジタル化。
4:大手企業の銀行代理業の支援を行うNEOBANK事業・
5:法人へのレコメンド型のオンラインレンディング。
・住宅ローン事業は、
1:ネット専用住宅ローン>三井住友信託銀行の銀行代理業者者として来店不要で出来る
2:住宅ローン(対面)>対面顧客向けで住信SBIネット銀行の専属代理店業者の「ローンプラザ」を設けている。
(続く)
住信SBIネット銀行の取り組み
(承前)
・SBI証券との連携は、SBI証券と連携するSBIハイブリッド預金が提供されており、SBI証券口座への買付余力への自動反映が出来ている。
・積極的なデジタル化としては、フィンテック企業とのAPI連携を積極的に行っている。
・大手企業の銀行代理業の支援を行うNEOBANK事業については、銀行機能のシステムを企業向けにカスタマイズして提供するものだ。
・法人へのレコメンド型のオンラインレンディングとしては2016年にレンディング・ワンというサービス名で開始された。
その後改良されて、2019年から名称が「dayta」に変更されて、日々の入出金情報を元に、毎月借入条件を提示する、さらに手続もネットで申し込むと最短で当日融資が実行される仕組みだ。
デジタルバンクは特色ある戦略を進め可能性を持つ、だが先行する銀行もあり、デジタルバンクの地方銀行からの脱皮を図る意義があるが、その先は不透明だ。
キャッシュレスサービス
キャッシュレスサービスの形態は
1:クレジットカード
キャッシュレス決済の85%(2020年)を占めるが、加盟店の負担手数料が高く、小規模店では導入されていない。
2:デビットカード
銀行の預金残高の範囲で決済される形態で、審査不要で運営コストが低めだ。
利用は伸びているが、日本ではクレジット保有者が多く、利用は限定される。
3:電子マネー
プリペイド型(事前チャージ必要)とポストペイ型(後払い)がある。
プリペイド型には交通系電子マネーと流通系(waon)と専業系(楽天edy)がある。
4:QRコード決済
利用が増えていて、デビットカードを抜いて、さらに電子マネーを追う。
5:個人間送金サービス
QRコード決済に付随する事が多く、同様に伸びている。
がある。
キャッシュレスサービス
(承前)
経済産業省は2017年に「フィンテック ビジョン」を公表して、日本経済の第4次産業革命を支える「新たな金融」だと定義した。
そこでフィンテック政策指標項目があげられた、
1:キャッシュレス決済比率
個人生活を劇的に変えて、消費行動の高度化・活性化を図る。
日本は18.3%(2015年)であり、50%以上の中国や韓国に遅れている。
2:バックオフィスのクラウド比率
企業のバックオフィス業務の効率化により収益力を高めたい。
3:サプライチェーン全体の資金循環速度
中小企業の資金繰りを改善して財務面を支える技術。
(続く)
キャッシュレスサービス
(承前)
2018年に「キャッシュレス・ビジョン」が経済産業省から公表された。
具体的方策としては、
1:実店舗におけるキャッシュレス支払い導入にかかるボトルネックの解消。
2:消費者に対する利便性向上と試す機会の拡大。
3:支払サービス事業者のビジネスモデル変革を後押しする環境整備。
4:産官学によるキャッシュレス推進の強化。
5;新産業の創造。 だった。
1:では小型店舗がキャッシュレス受け入れしていない事がボトルネックと指摘して、支払手数料がクレジットカードより低廉な仕組みのサービスが必要とした、その背景でスマートホンでQRコード決済が広がって行った。
2:ではキャッシュレス支払い利用の動機付けがポイントとなっており、その後に事業者のキャンペーンや国のキャッシュレス・消費者還元事業に繋がって行った。
(続く)
キャッシュレスサービス
「キャッシュレス・ビジョン」の具体的方策
(承前)
3:では、クレジットカード会社、銀行、電子マネー事業会社等が対象であり、支払手数料のあり方の検討や、本人確認と認証に関する仕組みの整備が指摘された。
4:では、2025年の大阪・関西万博を目標としてキャッシュレス化比率4割が提言された。
キャッシュレス推進協議会設立が提言され、それは2018年に提供側企業、利用側企業、団体、地方公共団体等で設立された。
5:では、商流・物流・金流の連動の促進やデータ利活用に注目した産業育成が掲げられて、後に情報銀行等が構想された。
銀行とデジタル化7
キャッシュレスサービス
(承前)
QRコード決済への参入
・Line Pay:2014/12>後にPayPayと統合。
・Origami Pay:2016/05>後にメルペイに統合。
・楽天ペイ:2016/10
・銀行Pay:2017/07>銀行等8社。
・pring:2018/03>後にグーグル子会社化。
・d払い:2018/04>NTTドコモ運営。
・PayPau:2018/10>ソフトバンクとヤフーの合弁。
・メルペイ:2019/03>メルカリ系。
・J-Coin Pay:2019/03>みずほ銀行系と連携。
・au Pay:2019/04>KDDI運営。
新規参入時には、店舗側決済料の割引・無料キャンペーンや決済金額の還元等を実施した。
さらに利用者へのキャッシュバック・キャンペーンが行われた、そこでは利用者が殺到して短期で先着の総額上限金額に達して終了した。
(続く)
2019年に消費税引き上げが行われ、その需要平準化対策とキャッシュレスの推進とから国は「キャッシュレス・消費者還元事業」を行った。
1:消費者還元補助、2:加盟店手数料補助、3:決済端末補助、4:事務経費補助 が行われた。
1:消費者還元補助
消費者がキャッシュレスで店舗で支払った時の原資の補助で、小規模事業者は5%、チェーン店は2%還元だった。
2:加盟店手数料補助
小規模事業者の加盟店がキャッシュレス事業者に支払う加盟店手数料の3分の1の補助。
3:決済端末補助
小規模事業者の加盟店向けに、初期費用の決済端末導入費用の3分の2の補助。
4:事務経費補助
システム開発や広報活動等の事務経費の一部を補助する。
QRコード決済
2019年にヤフーの親会社のZホールディングとLineが「2020年に経営統合してPaypayとLinePayが同一傘下になる」と発表して、2021年にLinePayのオフラインでの加盟店の新規募集は停止になった。
一方では、Paypayは成長を続けて、QRコード決済での圧倒的なシェアを獲得した。
QRコード決済の草分けのフィンテック企業のorigamiは、2020年にメルペイに全株式を譲渡して統合された。
ZホールディングとLineの経営統合はユーザー規模が大きく、他の通信系大手のKDDIやNTTドコモにも合従連衡を起こした、メルカリとNTTドコモが業務提携しdポイントと提携した、KDDIはPontaとポイントを統合した、ソフトバンクはTポイントがPaypayボーナスに変わると発表した。
2021年にグーグルがQRコード決済・送金アプリのpring(プリン)の全株式の取得を発表した。
pringは、2017年にメタップス、みずほFG,みずほ銀行、WiL LLCの資本提携で、銀行と提携する決済アプリの事業化のために設立された。
2018年にコミュニケーションアプリのpringがリリースされた、QRコード決済アプリだが、同時に送金アプリでもあり、銀行間の送金を無料で行う強みがある。
みずほ銀行は、pringと同様に口座との連携が無料で出来る銀行系キャッシュレスアプリとして、独自にJ-Coin payをリリースした。
pringとJ-Coin payの双方とも無料であり、単体では強みは異なるが併用すればかなりの範囲で無料の送金が出来る。
グーグルはアンドロイドスマホのモバイル決済サービスのGoogle Payとの連携を行うサービスの提供で活用の本格化を目指している。
世界的プラットフォーマーの日本の金融への進出について。
アップルは2016年に日本でApple payのサービスを開始した、そこではiPhoneやアップルウオッチ等のデバイス・端末にクレジットカードやスイカやパスモ等を登録する事で、それらの元のカードを出さずに決済が出来るサービスになる。
アップルでは、デバイスの利便性を高める事でのユーザーの増加が目的で、顧客のデータは利用しないポリシーであり、カードの情報をデバイスに持たない事がセキュリティのポイントだ、ただし利用店舗は限定される。
アップルはアメリカではクレジットカード「Apple Card」を発行していて「Aplle Cash」の仕組みと連動して銀行口座との連携して個人送金を行う事が出来る、そこではゴールドサックスマンバンクとグリーンヘッド銀行の口座を利用しているが利用者からはアップルの銀行のように見える。
アマゾンは日本の金融に関して、2014年にオンライン融資サービス「アマゾンレンディング」を開始した、対象は出店者の法人だ、ただのちに縮小か撤退かされたようだ。
(続く)
世界的プラットフォーマーの日本の金融への進出について。
(承前)
フェイスブックは、同名の世界的なSNSでもあり、インスタグラムも買収したフラットフォーマーだ。
フェイスブックは利用者のデータを基にした広告基盤を提供して事業者から広告収入を得ている。
フェイスブックは金融事業で、2019年に価格変動がない仮想通貨であるステーブルコインの「リブラ」の計画を発表した、だがその後に世界の金融当局の反発により計画は変更になり、2020年に名称を「デイエム」に変更して、既存の通貨(ドル等)を裏付け資産とするステーブルコインへ計画変更した。
だが「デイエム」は警戒されたことや、先行のステーブルコインがある事もあり、新しさと付加価値は難しく2022年に事業継続は断念した。
フェイスブックは2021年に社名をメタに変えた。
世界的プラットフォーマーはそれぞれが収益モデルを確立しており、金融に参入する場合も金融単体での利益を度外視する戦略も可能になり、大きな脅威となりうる。