項目別バックナンバー[3]:ビジネス情報:3

PL法

PL法(製造者責任法)は、製品安全や使用法やマニュアルに180度変化を起 こしたと言えます。これ以前は製品やマニュアルの欠陥を消費者が証明する 必要がありました。これが実施してからは、製造者側が欠陥がない事を証明 する必要が出来ました。

また、想定しない使用方法に対する対応が製造者に必要になりました。結果と して、マニュアルに「警告」「注意」等の項目が急激に増えました。製造物 の本来の使用方法以外の使い方で起こる危険を未然に注意する必要が発生し たからです。

たとえば、刃物は物を切るのが目的の物ですので誤って手を切る事を注意する 必要はありませんが、切る事が目的でない物でも手を切る可能性がある物は 多数あります。これらについては、使用方法を誤ると手を切る可能性を注意 する必要があります。これがないと、事故が発生した場合に、製造者側が製 品や使用法の欠陥でない事を証明する事が必要になります。

また、因果関係の証明の問題があります。ある製品が原因で事故が起こったと 思われる場合に、製造者側がそうでは無い事を証明する必要があります。( 以前は消費者が証明する必要がありました。)


ISO9000

ISOについては一度簡単にとりあげました。9000シリーズは品質に関する規 格群です。対象機関・企業により対応する規格が異なります。

基本は、ヨーロッパ的な思想で品質管理・保証・責任部署等を文書化して、こ れに順じて作業を行う事です。通常、新規取引やクレームの時など、あるい は定期的に監査が行われます。当然品質は重要な項目です。これをあらかじ め国際規格のISOシリーズで取得しておれば簡略化できる発想から始まってい ます。

文書化は、法律に似た体系になっています。それゆえにトップダウンと言われ ます。まず憲法に当たる「3H」が作成され、次に個別法に当たる「2H」 「1H」が必要に応じて作られます。最後にこれらを、各部門・事業部・担 当に合わせて「B-C」を作ります。これが実際に行われる作業内容になり ます。当然、上位規格に整合している必要があります。文書化を機会に、仕 事手順の変更もありますが、可能ならば実際に行っている仕事内容を矛盾が 生じないように文書化します。

経験のある人ならば、直ぐに気がつきますが、これは簡単ではありません。憲 法を作る立場の人が全部の対象職場を知っている事はよほどの小規模でなけ ればあり得ません。結果的に末端の「B-C」作成は現実の仕事内容とかけ 離れた要求になり、文書化できないか審査の為の文書作成になってしまいま す。これでは、時間と費用の浪費と言えます。

色いろと問題がありますが、「3H」に欠陥が有ったときが一番影響が大きい です。まず、それ以下の全ての文書を見なおし関係する部分は改訂が必要で す。

一度審査に合格して「認証」された後に、不具合が見つかった場合も厄介で す。社風にもよりますが、あっさりと大変ですが改訂作業を行うのが普通で しょう。最初の作成責任者の責任問題も明らかになります。 所が、「認証」はかなりの作業と功績になりますので、責任者はかなりの要 職についていることが普通です。この時点で割り切って責任を明確にして、 かなりの作業の改訂作業に入る事が困難な企業も有るはずです。たぶん、心 あたりがある人がいると思います。結局、うやむやになり「認証」の意味も 薄れます。


QS9000

ISOとQS9000の認定・監査等は類似の機関が行っている事が多いですが、 思想は異なります。

QSは、アメリカの自動車会社のビッグ3と呼ばれる所が、取引先へ出した要求 が始まりです。従って、全く取引が無ければ一種のステータスの様な物にな ります。自動車の部品は多岐に渡りますので、末端の部品であっても間接的 に取引があると、間接的に要求される事が考えられます。

QSは、製造会社が作成したものですから、文書化による品質管理が目的ではあ りません。要求は「継続的な品質の向上とコストダウン」です。では、これ が達成できているかを審査される時に如何に証明するか?、あるいは要求を 実現させる為にどの様な仕組みを作るかとなると、結局は文書化が必要にな ってきます。結果として、ISOとの類似が出てきますが、あくまでも類似です ので混乱しない事が重要です。

実作業が重要ですが、よくいわれる言葉に「経営者のサポート」「流れに従っ た作業」「作業の省略は不可」「隣あった作業のみ併行作業が可」などがあ ります。

現代の他品種少量生産に、上記要求を組み込むには実作業者と、QSを理解した 担当者の連携が必要になります。

アメリカ発の規格は日本人には理解しにくいところがあります。責任者・権限 委譲・代行者及び規格書の管理者は、注意して決めてゆく必要があります。 なぜならば、組織変更や担当者の移動は絶えず行われれますので、この度に 作り直す必要があっては困るからです。実際の稼働状態を反映させて、規格 を文書化すると言っても、かなりのレベルの一般化をはかり継続的な使用に 耐える必要があります。

特に注意が必要な事は、名称にとらわれて判断をしてはいけない事です。組織 ・役職名称は、企業内の風土的につけられており、QSの規格にある名称はあ くまでも機能で付けられています。偶然同じであっても、同じ内容ではあり ません。

例を挙げると、教育があります。定期的な能力チェックと記録が要求されてい ます。だいたいは、一度の勉強会で教育として、記録に毎年責任者が印を押 す事ですましがちです。これでは通常はチェックと能力向上が不足と判定さ れます。

図形CADで、手書き図面を電子化しているとします。その過程で改良を加える事 もあります。しかし、依頼先の承認が必要です。このような場合は社内的に は設計部門としている様です。しかし、QSでは顧客依頼内容通りまたは承認 が必要な事は、製造に含める場合が多いです。この判断は微妙ですが個々に 判断が必要です。

元々、英語を翻訳した時点で用語・名称の問題は発生します。原文を理解でき る人は非常に希といえます。


経営戦略とリスクマネジメント

現代のビジネスでは、経営戦略が重要でこれを立てる上でリスクマネジメント を考量することは必要不可欠といえます。しかし、現実の日本の経営者にこ の能力が不足している事は、現在新聞等をにぎわしている話題をとっても明 らかです。これは、島国日本特有の文化の影響とも言えますが国際化の中で かなりを変える必要は明らかに思えます。

戦略と繋がるリスクですので、単に管理だけでなく将来を見越した計画も重要 と言われています。

リスクは、「ハイリスク、ハイリターン」が常識です。リスクなしに大きな成 功はない事は低成長時代では、ほぼ間違いはないでしょう。 これを前提にすると、まず最初にするべき事は、リスク分析・解析という事 になります。精密な分析は複雑ですが、その基礎になるいくつかの方法を次 回から述べたいと思います。

最初に「リスク」の持つ性質は次の様にいわれています。

 1:発生すると好ましくない悪影響がでる。

 2:いつに発生するのかは誰も予想できない。

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