項目別バックナンバー[3]:ビジネス情報:2

品質保証

現在では品質は良くて当たり前と言われています。製造業にかかわらず品質向 上・保証を要求され・目指しています。細部に入ると複雑ですのでいくつか のトッピックスを取り上げたいと思います。

品質管理(Quality Controll)の7つ道具:一部分野で異なるものがあります。 1:パレート図>棒グラフと累積線グラフの組み合わせ、2:特性要因図> 問題と要因の図示化、3:層別>類似性質で分けて分類、4:チェックシー ト>マーク記入でデータを収集できるようにした図表、5:ヒストグラム> ばらつきを表す棒グラフ、6:散布図>相関図、7:管理図>管理限界線の 範囲に特性があるか調べる図。

QCサークル:ボトムアップで個別グループでQC7つ道具を使用して品質改善を 行う集団活動。

抜き取り検査:製品が正規曲線にあるとして一定数の抜き取りで全体の品質レ ベルを推定する方法。平均、標準偏差を基礎とします。従来は2σ(95% )か3σ(99.9%)が基準でしたが、最近では4σから6σを要求する 時代になってきました。これが無理ならば全数検査が必要になります。この 場合もその後で抜き取りで作業内容の確認を行います。

ISO;国際標準化機構。国際規格の制定を行っています。ISO9000シリーズが簡 単に品質規格といわれています。品質規格・保証を文書化してこれを正確に 履行する事で品質保証を行う方法を目指しています。文書化が中心です。そ れに従い行うのですので、文書のみでは意味がありません。トップダウン方 式で段階的に実務に反映させてゆきます。苦労の割にはメリットが少ないと の意見もあります。しかし全て利用の仕方で決まります。個人のノウハウを 文章化して一般化する方向ならばその効果は大きいです。ただ書類ばかりに なりがちではあります。シリーズというのは、業種や規格適応範囲で分類さ れているからです。

QS9000:ISOがヨーロッパ的とすれば、これはアメリカの自動車のビッグスリー が自社の取引先への要求を規格化したものです。手法はISOと類似していま す。異なるのは国際機関ではなく、企業が要求する規格という事です。従っ てキーワードは「絶えまざる技術革新による品質向上・コストダウン等の実 現」です。文書化自体が目的ではありません。ではキーワードが実現すれば 文書は不要かといえば、審査や証明ができませんし、システムが明確でない 所で目的が達成できるとも思えません。

トップダウンの問題点:まず憲法にあたるものを作り、次にそれを元に基本法 に当たるものを作ります。最後に実務部署で個別法にあたる物を作ります。 従って、上部ほど重要になります。そこが間違っていれば以下もすべて不適 合になります。それでは、理想的なものを作れば、今度は実務との乖離が大 きくなり実用的なものが出来なくなります。建前だけでは意味はありません。

4-6シグマ管理:最近、特に電子関係では高いシグマを要求されます。シグ マとは標準偏差です。特殊なケース以外は特性の分布は正規分布を示します が、平均と個々の数値の差の2乗和を個数で割った数値(正確ではありませ ん、統計の本を読んでください)を標準偏差(シグマ)といいます。2シグ マが95%で昔は管理に使用していました。3シグマが99%で多く使用さ れています。それ以上の4-6シグマは9がいくつならぶかの世界で、不良 は実質的にはゼロに限りなく近い事を示します。

建前は昔から、品質は生産者が保証するでしたが、わずかの不良混入はそれほ ど厳しくありませんでした。現在は部品等の多使用化や受け入れ検査が困難 組み立ての自動化などが重なって、実質的にゼロ不良を要求されています。 それを具体的に数値化したものが、4シグマ・5シグマ・6シグマ管理です。


受注生産

製造業の生産方式には、見込み生産と受注生産があります。これはショップ系 でも類似した物があります。

見込み生産は、少機種大量生産に向いています。決まった期間ごとに生産量を 決定して材料を調達して、一番効率のよい方法で作ります。もし、見込みと 販売量が一致していると非常に効率がよいです。ただ、現在は少機種大量生 産できる製品は少なくなっています。

受注生産が現在の主力です。時代は多機種少量生産です。これに如何に対応出 来るかでビジネスの勝敗が決まります。基本は生産のリードタイムの短縮で す。一つは生産管理体制の整備です。受注すると直ぐに材料の確認・生産能 力の確認・そして生産進捗のリアルタイムモニタリングが必要になります。 これも実現には、オンラインの生産管理システム・部品材料の共通化・共通 化できる生産部分と個別生産が必要な生産部分の分離が必要です。そして、 これにはデータベースが必要になります。

パソコンの生産も、受注生産で購買者のオプションに合わせて細部のスペック を合わせる方式が主流になりつつあり、今後も増えるでしょう。いわゆる、 BTO(build to order)です。そして、この注文はインターネットから行う 事が不思議なくらい効率がよいです。そして、小売りを通さない生産者直接 販売にも繋がります。


成果主義への移行

以前は、欧米型ビジネスに対して日本型ビジネスと呼ばれました。いわゆる終 身雇用制です。高度成長期を過ぎると同じビジネスモデルでは、継続が難し くなりました。その時に多くの企業で取り入れられたのが成果主義です。 それまでは、成果主義は企業の上層部や大きな組織では適応されてきました。 これが、トップダウンで実務組織と個人にも適応される事に変わりました。 これの最大の問題は、トップの戦略と作った組織が機能しない場合は、ボト ムの位置では成果を出すことが困難である事です。

言葉の上では、成果主義ではなく能力主義と呼ぶ所もあります。この問題は、 成果でさえ公平に判断が難しいのに、結果としての数値が出ない能力を如何 に評価するかにあります。

少なくとも、終身雇用制で組織の上部に行った人が、ビジネスモデル移行後に 成果、能力を正しく評価できるかどうかは、否定的に見る人が多いと思いま す。その心配から、結果を見て修正できる様にゆっくりした移行を選ぶ場合 が多かったようです。

どちらにしても、個人レベルで目標・計画が作れなければ、その結果としての 成果とそれを行う能力を判断する事はできません。個人レベルの目標・計画 は組織の目標と個人の仕事の分担が明確でないとできません。そして、実務 では繰り返し作業者と、新規開発、開拓担当者で全く異なる内容になります。 文化・風土が異なる社会でビジネスモデルの変更は非常に難しく、早く適応し たモデルを見つけた所が成功する時代と思われます。


特許保証と成果判断

2004年に企業発明者と企業の間の特許の成果支払い裁判が多くありました。 その判決の成果判断は、多くの場合に異常に高いと感じました。詳しい事情 がわからないので印象だけです。私も企業の技術部門に在籍していましたが 研究開発で失敗した記憶はありません。しかし、それを量産製品にして、成 果に結びつけたケースは極わずかです。発明が無ければ成果もないですが、 発明を製品化して成果を上げるには、非常に多くの人と企業の力を必要とす る事です。これも含めて判断する事は必要ですが、あまりにも企業の機密事 項に触れる部分が多いので推定しかできません。

最近の技術進歩の速さは、特許の有効性に疑問をもたらします。基本特許以外 は文章可して権利にすると、それを参考にして類似品を作れる場合が多いで す。結果として、特許にせずノウハウとして企業内にとどめるケースが増え ています。最近では社内に、知的財産を管理する部門が存在するケースが増 えています。そこが成果をまとめますが、ノウハウはとりまとめる事は現実 的に無理といえます。

成果主義の成果判断として特許保証を考える人は多いと思いますが、現実を反 映できないと言えます。

アメリカのみ特許制度等が異なるので、これも問題となっています。サブマリ ン特許と呼ばれるものです。


アウトソーシング

現在のビジネスは、アウトソーシングで成り立っています。昔でいえば、外注 ・下請けのイメージです。しかし、ビジネスの徹底的な合理化の追求・旧下 請け企業の技術特化による取引関係の変化・オープン見積もり部品購入によ る専用下請けの廃止・設計等も含めての外注などにより、内容は大きく変化 しています。

簡単に言えば、全て自社で行うより、アウトソーシングした方が原価が下がり 市場競争に優位になれます。また、内部資産を集中的に投入する事で効率よ く独自の技術・ノウハウ・ビジネスモデル等が開発する事が出来ます。

その結果、取引関係が、競争・競合と協力が入り混じることが生じます。また 特定の企業に、競合企業が同じ製品を取引する事が生じます。

このような状況では従来の外注・材料部品調達と、現在のアウトソーシングで はその重要性や難しさが異なります。現在では、材料部品調達の価格・品質 ・納期管理は場合によっては一番重要な位置になるかもしれません。また、 自社の技術やノウハウの流出を防止しながら、高品質のアウトソーシングを 行う事が要求されますので、担当者の知識は桁違いに大きく必要になってい ます。勿論、国内・海外全てを含みます。


CAD化とは

CADとは、computer aided design です。従ってコンピュータを使用して、あ るいは助けられて(?)設計を行う事です。従ってあらゆる設計作業が含ま れます。

日本でCADと言うと、電子回路設計・機械設計・建築設計用の図形等の作成ソフ トと思っている人も多いと思います。現実にその用途から始まり、装置・ソ フトが販売されているので、やむを得ない面もあります。

コンピュータを使って、何かを行う時に対象を最後につけるとアルファベット 3文字になります。製造(mamufacture)>CAM、教育(teaching)>CATと いうように全てに当てはまります。

本来の意味を忘れると、間違った事が起きる事があります。実際に経験したのは QS9000の設計の要求項目に、「積極にCADを使用する」が最後に有り ます。たまたま図面用のCADがあるとそれでこの項目に対応しようとする人 がいます。実際は、この項目の前に色々な設計手法を羅列して積極に使用する 事を求めています。それの全てにコンピュータ化(CAD化)を進める事を意 味します。当然にこれを理解した内容にしないと不適になります。

従って「CA」化は、設計のみでは無くビジネス全体を対象としています。また 設計とは図面を書くことのみではありません。


損益分岐点

ビジネスに於いて「損益分岐点」は非常に重要です。一定の固定費(生産量・ 仕事量にかかわらず発生する費用)と流動費(生産量・仕事量にだいたい比 例する形で増加する費用)の合計が必要経費になります。

ほぼ生産量(仕事量)に比例して増加する利益と、必要経費との交差する点で す。当然ながら生産量が増えても赤字ならば存在しません。

この損益分岐点が低い程、利益が出やすいビジネスという事になります。 ビジネスならば極めて常識ですが、自営業・自由業では人件費やビジネスと生 活が密接な関係になりやすいので、必要経費の算出が曖昧になりやすく、現 実は充分に掴めていない面があります。

個人レベルのネットビジネスでは、ほとんどの人が考慮していないのでは無い かと危惧します。空いた時間を利用しての副業などではほとんどの人が人件 費を考慮しないので結果的に失敗に終わるケースが多いと思います。そもそ も空いている時間があるのかどうかがはっきりしません。コンピュータの常 時接続などは、固定費的にはネットビジネスに有利ですが副業では業務経費 とそれ以外に分離する事は困難です。


キャッシュフロー

経営指標は専門書にまかせますが、慣れない人が見積もり等を行う時にしばし ば間違うのがキャッシュフローです。黒字倒産という現象も類似しています。 製造では、材料等を購入して製品を作り販売して、価格を得ます。ここにかな りの時間がかかります。見込み生産の場合の在庫も同様に考えられます。材 料調達も、生産もまとめた方が通常は安価になります。キャッシュフローを 考慮しないで安易に、見積もりや生産計画を行うと見落としが発生します。 先行して購入して生産した場合に、いつに回収されるかを考えること、すなわ ちキャッシュフローを絶えずチェックする必要があります。生産品の価格を 無事に回収しても時間がかかり過ぎて、その間で資金不足・不良在庫等にな る時は、マイナスとして計算する必要があります。

最近は注文生産が多くの製品で中心になっています。また、在庫を最小限にす る事が大きな課題とされています。全て、資金の流れ・キャッシュフローを 重視しています。


会計・管理ソフトと簡易計算

ビジネス用の設備類は原価消却という形で、必要経費になります。個人消費は 経費とはなりませんので優遇ともいえます。ただし、ビジネス用に購入した 物を全てまとめて、経費計上は出来ません。

税法で規定された、方法・年数で毎年分割して経費として計上します。これ が原価償却です。

いきなり、税の話しが出てきたのは単に例としてで、ビジネスでは管理するこ とが非常に多いです。これは、小規模のビジネスでも同様です。その計算は 重要であり時間がかかります。ここに登場したのが、○○会計とかの類似ソ フトです。非常に使い易く出来ているものが多くあります。しかし用語は専 門的にならざるをえず、ブラックボックスで使用するにはやや問題がありま す。実は表計算ソフトでほとんどの事が可能です。勿論知識が必要です。た だ一度作れば、規定が変わった時以外は繰り返し使用できます。パソコンと ソフトはほとんどの人が持っていると思うので、もし手計算しているか、高 価なソフトを購入しても一部の機能しか使用しない場合は、手計算を表計算 ソフトに置き換える事を薦めます。その過程で管理項目の見直しが出来、将 来に専用ソフトを導入する場合にもブラックボックスにならずに、有効に使 いこなせると思います。

表計算を使用したビジネス管理の本も多数出版されている様ですので、参考に するのもよいでしょう。ビジネスのコンピュータ化の一歩です。

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