項目別バックナンバー[3]:ビジネス情報:60
電子チケット
チケットサービスビジネスが拡大してきた過程で「電子チケット」が登場して きた、最初は他のビジネスと同様のプレイガイド事業のビジネス改革として しての電子化からだったが、チケットビジネスでのイベント数とチケット数の増加への対応では電子化システムが必要だった。
プレイガイド店舗でチケットを購入する方法は店舗の数や利用者の居住場所との距離などの多数の制限があり通販が利用される事は必然だった、紙メデイアや紙媒体のカタログを利用しての通販から始まったがインターネット登場によりネット通販が直ぐに利用されて急激に普及して取り扱い量も急増した、それはチケットビジネス全体を拡大した。
カタログ通販やネット通販はプレイガイドに出かける時間と費用を削減した、だがネット通販で購入する場合でも郵送等で配達する時間と費用は発生する、日本ではコンビニのネットワークシステムを利用した発券システムが作られて都会を中心にして通販での時間と費用を低減した。
日本では国土が狭い事と、郵便事業が発達して普及していた事と、家庭向けの宅配便の普及があった事と、コンビニチェーンの普及が有った事情があった、その事から紙ベースのチケットのネット通販も普及して利用されてきた。
アメリカでは国土が広く、チケットの配達での時間と費用が大きい事情があり、利用者側の顧客の改善要求が強く存在した、その対策として非紙ベースのチケットが早く普及した。
ライブ・エンタメ市場の成長によりコンサートやイベントが増えたが、加えてスポーツイベントが加わり、日本と日本人だけでなく海外発イベントや海外でのイベントの扱いも加わり、海外からの日本向け旅行者への需要(通称インバウンド需要)も増加して、チケットビジネスは巨大化して設備投資が必要なビジネスとなった。
イベントと発券量の処理の課題に加えて、イベントのオペレーションの問題もあった、コンサート等のイベントは常設会場でない場合も多いが、そこではイベント開催の都度に、入場に関わるチケット処理が課題となり、機械化・電子化を図る上で設備と機材を用意する事に手間も費用も必要であり、その対策が必要となった。
そしてチケットの予約販売が普及する上で、それについて廻る、当日に行けなくなった又は不要になったチケットの扱いとしての二次転売が必要になった。
それに加えて不正なチケット転売ビジネス(転売目的の買い占め、高額転売、不正発券)行為が増えて、その対策が必要になった。
複数の問題への対策・解決手段として、有用と考えられ注目されて導入されて来たのが「電子チケット」でありそれを使用したサービスだ、電子チケットには複数のタイプが考えられて来たが、「発券処理」「検札オペレーション」「二次転売対応」「不正転売対策」等の複数の問題を含めて全体的に選ぶ必要があった。
電子チケットを「流通をデジタル化したチケット」だと定義すれば、その歴史は古くなる、電子チケットの変遷は「電子チケット1.0」「電子チケット2.0」「電子チケット3.0」と分類する考え方がある。
「電子チケット1.0」はQRコードでのチケット発券を指す。
電子チケット1.0の時代では、プレイガイド等のチケットビジネス事業者がイベント主催者の委託を受けてチケットの予約・発券を代行するが、事業者がチケットをユーザーに発券するプロセスを電子化するために登場したのが「QRコード型(バーコード)」だった。
QRコードならば、電子メールでも簡単に送付できて、受け取った利用者側がプリントアウトしたり携帯端末で画面表示する事でイベント会場に入場できる方法だった、イベントチケット以外には航空券等でも行われており、今でも行われている方式でもある。
日本ではコンビニでの発券システムとして普及した方法だった、QRコード型電子チケットは日本よりも米国で普及した、その背景は前述した「国土が広く、郵送等の手段ではチケットの配送にコストがかかる」事情があり、配送の簡易化と統一化を目的に米国最大手のチケット事業者がQRコード型電子チケットを積極的に採用した。
前述の様に「電子チケット」は大きく3種類に分かれる、「電子チケット1.0」は前述の様に、それ以前は紙で発券されていたものを電子的に置き換えたチケットを指した。
電子化技術の発展とネット通信技術向上とその利用の広がりの中で、スマートホンが登場して一気に普及した事でスマホを利用した電子チケットが登場した、そして電子チケットサービスは内容が変わった。
スマホの特徴は、小型化・モバイル化された通信電子機器であり、それを持ち運ぶ事で記録された・配信された電子チケットを同時に持ち運べる事になった事だ。
チケット事業者から見ると、顧客が保有するスマホを利用して電子チケットの発券と会場での入場管理を行う事が可能になった、そこには個人認証技術の発展と向上が有り、パスワード認証・指紋認証・顔認証システム等と、電話番号を使用した二段階や2方法認証方法による不正防止手段がある。
持ち運びが容易な小型モバイル機器で同時に個人認証技術を組み込んだスマートホンの登場により、電子チケットの新しい形態が生まれた。
それは「電子チケット2.0」の時代であり現在でも電子チケットの中心だ、それは「専用アプリ型電子チケット」とも呼ばれる。
スマートホンの初代iPhoneは2007年に登場し、日本では2013年頃にスマホが従来型の携帯電話を数で追い越した、これに対応して2010年頃から日本国内で専用アプリを開発して「電子チケットの発券を行い、それに加えてイベント会場への入場までを電子化する」ことが行われて来た。
「専用アプリ型電子チケット」のビジネスモデルは下記だ
・ユーザーはスマートホンからインターネット通信で専用アプリをダウンロードして、会員登録や個人認証を経て使用可能にする。
・アプリ内で電子チケットを申し込むと、アプリ画面上に表示されるのでそこで電子チケットを受け取る。
・イベント当日は会場でそのアプリ画面を提示して、指定された画面の操作を行う事で認証作業を行う、そして入場する。
電子チケット2.0では、個人のスマホに専用アプリをダウンロードして登録する時、アプリ上で電子チケット購入を購入する時、イベント会場での入場時、度々に複数回の個人認証と本人確認が行われる、それらの対策が行われる事で不正転売を防止する狙いもある。
日本国内でも電子チケットによりセキュリティを強化して、個人認証に加えて受け取ったチケットを友人やパートナーに分配する回数や枚数の制限をかけたり、同伴者のみに分配する機能などを取り入れている。
電子チケット2.0では発券からイベント会場への入場までをサポートして、しかも不正転売防止までを視野に入れた。
電子チケット3.0では電子チケット2.0に加えて、ユーザビリティをより向上させて個人認証と個人情報のセキュリティを維持してユーザビリティと両立させる事に加えて、イベントやイベント後のフォローまでを行う。
具体的にはスポーツビジネスやコンサートビジネスの拡がりがあり、そこには参加者・利用者が実地での体験重視する考え方があり、その流れから電子チケットに「来場者体験」を加える考え方が登場した。
「来場者体験」としては電子チケットの発券自体もそのチャンスとして捕らえる、そこから始めてイベント終了後のフォローまでを対象としてシステム開発が行われた。
電子チケット3.0の特長は下記専用アプリ以外の、SNS・電子メール・SMSなどのツールを利用して、ブラウザベースでチケット受け取りが可能にした事でユーザビリティが高い。
・電子チケットの偽造防止と不正譲渡・転売防止などのセキュリティ性が高い。
・SNSなどと連携して、イベント中やその後に利用者・来場者と継続的なコミュニケーションが可能。
・複製が困難で同時に現場等への導入コストが少ない認証方法を採用。
・「電子チケット発券」に特化した専用システムなので、チケットビジネス事業者としてコスト的に導入しやすい。
フェア・見本市
商業活動では客や人々を集める行動が基本であり重要となる。
店舗は小売店でも大型小売店でも実店舗であれば訪問客の数は大きな目安となってきた、娯楽活動を対象としたサービス業では、当然ながら人を集める・訪問客がある事が前提となっている。
娯楽や商業的活動の中心は常設の場所・店舗での継続的な活動・サービスであり、常設には年間での営業日時の比率が高い意味がある、1日の中の営業時間は活動内容で異なり定まらない。
それに対して、非常設で不定期での活動や、一時的に行われる活動がある。
それをフェアと呼び、内容は多岐だが、同じ意味の日本語としては市・見本市・展示会・博覧会などがある。
月に1回とか季節に1回が不定期かどうかは個別で意見が別れるかも知れないが、年1回開催はこの様な活動の目安になっており、開催間隔は2年・4年と色々と拡がったものがあり、原則1回のみの個別実施の博覧会まで多彩となっている。
見本市は、企業がビジネス目的で自社の商品や製品やサービス内容の広報活動手段として展示したりデモンストレーションしたりする展示会の企画であり、特に新製品の発表またはそれとの連動した企画が多い。
見本市は上記の様に商用目的のものが本来であり、関連する業界の関係者と報道するメディアのためのものである事が多い、そこでは出展企業などや主催者側からの招待がなければ入場できない。
一部の見本市は一般の消費者にも入場が可能になっており、業界や企業が参加する各種団体が主催者となる事が多いが、消費者が主体となった見本市や報道関係やメディアが見本市の形態で行うイベントもある。
ほとんどはコンベンション・センターや展示会場を使用して開催されるが、テーマや業界により規模が異なり、会場は規模や目的で設定される、見本市への出展経費は、参加企業には大きなマーケティング投資になるが効果も大きく、例えば年1回の定期的見本市は多数ある。
新製品・新サービスの発表会の性格が強い見本市は先端産業で需要が高く、情報・電子技術・通信関係では新製品・新技術・新規格等が競い合う事で注目を集める。
大規模の見本市は集客効果が高く、例えば主催者や関係者や来客の宿泊費や観光費などが多く見込まれる、それは開催都市にとっては都市自体の経済的な波及効果をも見込まれる。
主要な大都市では経済的な効果を狙っての見本市の積極的誘致を行っている、このい為に該当主要都市は巨大な見本市会場=コンベンション・センターを建設して運営している。
見本市と見本市会場の表記については、英語では見本市はエクスヒビションが使われ、多くの場合は同時に開催される専門会議=コングレスと合わせて使われる事もある、ドイツ語では見本市はメッセ、見本市会場はメッセゲレンデと呼ばれる、日本でも都心には幕張メッセがある。
現在ではエレクトロニクス・ショーとかモーターショーとかエレクトロニクス展や交易会の呼び名もあり、英語で博覧会=エクスポジションを略したエキスポも使われる、日本では国際博覧会=ユニバーサル・エクスポジションをエクスポと呼びようだ。
コンベンション
・人が多く集まる会・大会・集会
・大きな会議・国際的な会議。
博覧会(エクスポジションを略したエキスポ)は、物品や資料などを集めて広く一般に公開する催し・イベントだ。
見本市が特定のジャンルでの商品や技術を主として顧客やメディア向けに紹介する為に開催されて、会議や記者会見や新技術や新商品発表の機会として発展した事とは異なる、だが見本市が客を増やす事で注目度を増やして、それをきっかけに参加者の数やレベルを向上して行く相互効果を目指し、大規模の見本市に変わって行った結果では、一般参加者は重要になって行き、結果的に博覧会の性格も兼ね備えた。
博覧会は一般公開の大規模展示会が中心であり大規模集客を目的とした、それ故に目的達成の為に次第に規模の拡大が行われて、国内博覧会から始まり国際博覧会になった。
フランスで国内博覧会が1800-1850年頃に開かれて、同時に周辺国に拡がった事から国際博覧会が計画されて、1851年の第1回のロンドン国際博覧会が開催された。
フェア・見本市は、バーチャルイベントとしても行われている。
バーチャルイベントとは、展示会・見本市・フェアなど実際に大規模会場等でイベントとして開催している内容を、インターネットでのオンラインで実現したサービスだ。
バーチャルイベントでは来場者(=ネットのウエブサイトへの来場者)はオンライン環境で、講演会の視聴や、電子データとして資料を入手する手段での情報収集が可能となっている、またウエブチャットやテレビ会議を使用して来場者同士や展示ウエブサイトの担当者との間でコミュニケーションも可能だ。
バーチャルイベントではウエブサイトのページに、見本市のイベント会場のそれぞれの機能を割り振る構成を取る事が多い。
ポータルサイトに当たるのがエントランスであり、そこに入場してから他の会場に分岐して移動する方式になる、同時にそこではメッセージや電子的名刺交換や、チャットや掲示板等のツールを使用して、来場者と出展者(出展企業)間での接触と意見交換が行う事が出来る。
その他には例えば展示スペースに当たるウエブサイトページが多数設置される、講演会場に当たるウエブページでは講演やセミナーを動画配信形式で視聴できる、テレビ会議的に質疑応答も可能な事が多い。
インターネット上にフェア・見本市等のイベントを開催するバーチャルイベントはシステム化されて、それを実施するサポートサービスを含めてのシステムサービスとして構築されて行くことで、それ単独でもあるいは実際のリアルのフェア・見本市との同時開催としても利用が増えてきた。
バーチャルイベントの利点は
・ウエブサイト上では、会場費・設備費・人件費・印刷費が低くなる
・天候天災の影響が少ない
・時間と場所に左右され難く、参加率が増える
・ウエブサイトでは参加者情報に加えて、サイト内での行動履歴もデータ化 出来るので、顧客のニーズを掴みやすい
・数値化が容易で、参加者がどのコンテンツに興味を持つか把握できる
リアルのフェア・見本市とバーチャルイベントの同時開催の利点は
・規模を倍にして高める
・出展メリットを向上させて、出展社数の増加が見込める
バーチャルイベントのシステムサービスの利用の利点は
・計画から、設営と運営までサービスを利用して、コストと手間を少なく出来る
・会場設営や展示コンテンツ制作や運営や来場者サポート等で、技術とノウハウを利用出来る