項目別バックナンバー[3]:ビジネス情報:63

音楽配信

2000年代初めに登場したアップルのiPodは独特のインターフェイスと小型の音楽再生機器として人気を得た、その使い方にはカセットテープを使用したソニーのウォークマンのCD対応化や半導体メモリー化の一面もあった。
だがiPodの管理ソフトのiTunesに、音楽楽曲の購入とそのダウンロードの機能を加えてiTunes Storeが設けられたことで、状況は全く変わった、機器とデジタルのダウンロード販売がセットになった事で、CDの売り上げに対してデジタル販売が無視できない程に増加し始めた。
そこではデジタル販売という新しいビジネスモデルの登場があり、その後の色々な音楽配信サービスに繋がる方式の始まりでもあった。
音楽の著作権問題は継続して起きていたが、デジタルデータのCDではコピーしても品質が低下しない事から音楽複製防止策が度々行われた、それに対して行き過ぎた防止対策は利用者からは反対が強くあった、アップルが採用した方式では他社の機器やソフトウエアでは利用できず、それにも批判があったので、2007年頃からアップルやレコード会社ではデジタル著作権管理(DRM)を廃止する動きも起きた。

デジタル著作権管理(DRM)
 電子機器上のコンテンツ(映画・音楽・小説等)で、オリジナルのデータを特定のソフトウェアかハードウェア機器でのみで再生可能にして、第三者の複製を難しくする管理方法や技術。
 データを保有しても、再生機器やソフトが使用できなくなると実質に利用も終わるので、それへの批判もある。

アップルのiPodから始まった音楽のデジタル販売という新しいビジネスモデルの登場は、その管理ソフトを搭載したパソコンとインターネットの組み合わせでも普及してゆくが、その後のスマートホンとタブレット端末の登場と普及の影響の方が大きかった。
それはスマホが軽量小型のモバイル機器としての音楽再生機器の性能・機能を持ちながら、同時にパソコン+インターネット通信機能を持つからだった、スマホ等と音楽のデジタル販売との相性は良く、それはその後に登場する様々な音楽配信サービスでも同様に相性は頗る良い。
スマホは、1:通信性・無線通信、2:携帯性、3:課金性・携帯電話通信課金・ネット課金システム、4:複合サービス性としてアプリ・クラウド・配信サービスに対応、の機能を保有しており、合わせて携帯電話のシェアを継続しておりそれに上乗せしての大幅に普及した。
そこでのデジタル販売の一つとして、音楽販売は普及して、その中心として音楽配信が行われていった。

デジタル販売としての音楽配信サービスの中で、パソコンとそれに加えてのスマートホーンとタブレット端末でのモバイル用途を含めて、利用が広がったのが定額制音楽配信サービスだ。
定額制音楽配信サービスは、毎月に定額の料金を支払う事で、サービス内で配信されている音楽・楽曲を好きなだけ聴くことが可能な音楽配信サービスだ、別名としては「定額制音楽ストリーミング配信サービス」や「サブスクリプション型音楽配信サービス(サブスク)」とも呼ばれる。
複数の定額制音楽配信サービスが登場して、サービス内容を競いあう事になったがそこでは、楽曲数の数・品そろえが重視されて加えて価格と通信安定性と音質等が比較される。
上記が重要な事は当然だが、さらに加えては定額制音楽配信サービスが日常的に使用される事から、サービスが提供しているアプリの操作性と仕様や機能が重視される、なくても困らない要素だがあれば便利な機能が集まるが、それがアプリの使い易さの評価になる。
・アプリ内で音質や音の強弱を調節できるイコライザー機能
・プレイリスト機能
・レコメンド(お勧め)機能
・歌詞表示機能
・ダウンロード機能
・流れてる音楽を聞き取って検索してくれる、音声検索機能  ・・その他

音楽配信サービスの中で定額制音楽配信サービスでは、ハード機器とアプリのソフトウエアと通信環境と課金システムが揃っった場合に、そこに成立するサービスになる特徴がある。
複数の定額制音楽配信サービスがシェア争いをしているが、利用者がサービスに出会う機会・きっかけが多い方が加入しやすいと言う特徴もある。
その為に既存のネットサービスを展開する所が多数参入しており、他のサービスの利用者や訪問者に対して、無料の視聴期間(おためし期間)を設けて勧誘している。
例えばスマートホンやパソコンを展開するアップルであり、ユーチューブ等を展開するグーグルであり、ショッピングモールを展開するアマゾンや楽天であり、SNSを展開するLINEなど例であり、他にも主要なところが参入している。
他のサービスとの組合わせた中での音楽配信も行われているし、音楽全般ではなくて特定のジャンルに注力したサービスもある。
定額制音楽配信サービスはストリーミングを利用するので原則としては、メモリー容量は不要だが、通信料金はサービス利用料金以外に必要になる。

定額制音楽配信サービスは他のインターネット事業・ビジネスと同様に規模が大きいと有利になるシステム・仕組みだ、巨大な同時の通信ビジネスモデルであり、品そろえといわれる巨大コンテンツの継続的な収集と配信が基本となる、それに対応できるネット関係の大手が参入している。
定額制音楽配信サービスでは購入型の音楽コンテンツと異なる利用方法が生まれたとされる。
定額制ではいくら聴いても同じ料金なので、比較上は楽曲を聴けば聴くほど得になる、そのためにアルバム単位で購入していた方法では費用的に避けていた楽曲でも定額制音楽配信サービスでは気軽に聴けるようになる。
それで利用者がそれ以前よりも幅広い楽曲やアーティストの音楽を聴く可能性が増えた、それは提供側も同じであり音楽配信に力を注ぐことが増える。
定額制音楽配信サービスはダウンロードしないストリーミング方法だが、楽曲を再生する度にデータ通信が発生する、それは従量制の時には費用が発生するし、スマホ等での通信サービス内容では通信データを消費して行くと月末に使いすぎて通信制限がかかる事もある。
それに対応するために楽曲を端末にダウンロードする場合もあり、その機能のあるサービスが選ばれる事もある、例えば定額のWi-Fi環境などで楽曲を端末にダウンロードして、データ通信量を気にせず利用する方法もある。

定額制音楽配信サービスはインターネットサービスとして、あるいはモバイル・インターネットサービスとしてのスマートホンのアプリとコンテンツのサービスとして必須の品そろえとなって来た。
それはハードウェア機器のシェア争いが絡み、通信サービスの登録者シェア争いが絡み、課金システムへの登録者シェア争いが絡んだ、最近ではさらにはキャッシュレス決済システムの登録者争いも絡んでいそうだ。
モバイル用OSを展開しているアップルとグーグルは多数のサービスに参入しており音楽配信に関しても同様だ、ネット通販大手のアマゾンも電子化商品およびダウンロード商品販売の延長としての配信事業は広く展開しており音楽配信も含まれる、SNSサービス大手も同様に参入している、それに加えて多数の新事業者が続々と参加している。
今後は事業の統廃合の可能性があり、特に廃止の時のコンテンツの継続使用の可否もサービス内容として重要視されるだろう。


電子決済

ビジネスや一般の日常生活では商品購入やサービスの提供に対して代金・対価を支払う、それを決済と呼ぶ。
発達した現在の社会では、決済手段としては金銭が使用されるが、実際には現金決済と、銀行等の金融機関での預金が使用されている。
決済方法としては貨幣を使用した現金決済の他にも、色々な方法が行われている、例えば振込・振替・小切手・カード(クレジット)などがある。
電子決済は、商品やサービスの代金の決済を、硬貨や紙幣などの現金で支払う方法でなくて、現金と同じ価値を持つ電子データの送受によって行う仕組みだ。
電子決済も決済手段と決済方法とに分かれる。
電子化以前は現金以外の決済方法は、紙ベースの帳簿で管理して帳票の送付や授受で行われた、ただしビジネス用途では早くから電信手段が導入されていたので一部は電子化されていたと考える事も出来る、さらにはコンピュータの登場後は帳簿の電子データ化も行われて来た。
日常生活での個人レベルに関しては、電子化と電子決済はビジネス用途よりは遅れていた、国・地域でも差があり、日本は電子決済は遅れて来た。

電子決済は決済を、硬貨や紙幣などの現金で支払う方法の代わりに、現金と同じ価値を持つ電子データの送受によって行う仕組みで、電子決済も決済手段と決済方法とに分かれる。
電子決済では過去から行われて来た振込・小切手・カードによる決済方法ではなく、最近になり電子化された決済手段の有無に注目して分類する事が行われており、狭くは決済手段の電子化を指して電子決済と呼ぶ。
電子マネーは狭義には決済手段を電子化したものを言うのだが、広義には決済方法だけを電子化したものも含む。
それ故に電子マネーは、それ自体が価値を有するかどうかに注目される事が多いが、別の分類方法としては決済手段性がある(例えば端末電子マネー)と決済手段性がない(支払指示型電子マネー)に分類する事もできる。
電子化決済手段とは、現金を使用しない決済手段であり、キャッシュレス決済手段として注目されている。

電子決済は狭義には決済の手段の電子化をいうが、この電子決済のシステムでは金銭情報などの電子データを保存している場所による分類方法があり、
 ・カード型
 ・ネットワーク型 がある。
カード型電子決済システムでは、金銭情報などの電子データはカードや携帯電話・スマートホンに内蔵されたICチップ内に保管管理される。
他方のネットワーク型電子決済システムでは、金銭情報等の電子データはネットワーク上(クラウド上)のサーバ内に保管管理される。
カード型電子決済システムの代表的な例として交通カードがある、そこで見られる様に、カード型には端末(カード・リーダライター)に挿入して情報を読み取らせる接触型カードと、端末にかざして読み取らせる方式の非接触型がある。

他方には決済手段性のない決済の方法の電子化があるが、その例には銀行のデビットカードがあり支払指示型電子マネーと呼ばれる。
支払指示型電子マネーはそれ自体は価値を持つ決済手段では無い、デビットカードは預金通貨の移動を電子的に指示する仕組みであり、その支払手段となっている。
言い換えれば、デビットカードは決済方法のみが電子化されている。その場合には決済手段は口座に預金として存在している。

電子決済のシステムには、サービスや商品購入と、決済の時間的関係からの分類が出来る。
・プリペイド方式
・ジャストペイ方式
・ポストペイ方式  に分けられる。
 それぞれが、決済が商品購入の前か、同時か、後かに対応する。

電子マネーは貨幣との置き換えを目指しているが、他には電子決済であってもネットサービスでの使用に限定した仮想マネーがある。
仮想マネーは、インターネット上の電子商店街やオンラインゲームでの支払いが目的でありインターネット上でのサービスのみに限定している、そこでは認証手段は必要であり運用システムも必要であるので、セキュリティ等への技術的な対応は必要だが、貨幣とのインターフェイスは必要ではない。
簡単に言えば、決済データを管理する事と利用者が使用するサーバを運営する事でのみで、認証手段を提供してのサービスの運営が可能になる、それは電子マネーほどにはハードルは高くない。
仮想マネーで必要なのは金銭の徴収手段であり、その仕組みを作る事が普及のポイントとなる、例えば各種のウエブカードが例であり、コンビニで使い捨てのカードを販売する、それにはパスワードが記載されているが、形態は単に印刷物だ。
このタイプの仮想マネーのカードは、過去にパスワードを攻撃されてデータが盗まれて販売前のカードが使用済になるなどの事件が起きた事で不正な使用のトラブルの防止が課題となった事があった、現在流通しているカードではコンビニのレジでバーコードを読み取り支払いが終わる事で、始めてカードの金額が有効になる対策が取られている。

電子決済は全世界で急速に普及していて、通貨の「キャッシュレス化」が進む状況になって来た、これが進む事で「キャッシュレス社会」となると予想する見方が強くなっている。
通貨の「キャッシュレス化」と電子決済はその必要性が高い国と地域において早くから導入され始めて進んでいる。
・スウェーデンを代表とする北欧諸国では人口密度が低く、かつ冬季には輸送手段が少なく困難になり、現金輸送も同様に難しくなる。
・中華人民共和国・大韓民国などでは、紙幣の贋造が行われて来た事で偽札が多数出回り、現金の信用が弱い。
・アメリカでは高額の紙幣は存在はしているが、一般生活での利用が少なく現金決済だけでは使いにくいと言われる。
現金決済には問題があり、事業者ら店舗側に現金以外の決済が利点がある場合にはその国や地域では「キャッシュレス化」と電子決済の普及率が高くなっている。
その意味で見ると、日本は紙幣の偽造がほとんど無く、通貨全体も特に使用に問題が無い、事業者と店舗側にとっては現金決済でも問題がなく、それは電子決済を使用してその手数料を負担するだけの利点が少ないのが現状だ、その結果で日本での「キャッシュレス化」電子決済の普及は、他の幾つかの進んでいる国よりかはかなり遅くなっている。

株式会社ハイホー

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