項目別バックナンバー[3]:ビジネス情報:72

デジタル改革

DX(デジタルトランスフォーメーション)」は「デジタル変革」という意味であり、企業がデジタル技術を用いて、業務フローの改善や新たなビジネスモデルを創出する事を指し、さらに古いシステムから脱却して企業風土の変革を行う事をも指す。
DX推進は企業にとって、変化の激しい時代のなかで市場における競争優位性を維持し続けるための重要なテーマとなっている。
DXは本来は、ビジネスに限らず、デジタル技術を社会に浸透させて人々の生活を変革することを指し、そこでは広義な意味を持っている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)と似た言葉に、「デジタイゼーション(Digitization)」と「デジタライゼーション(Digitalization)」がある。
「デジタイゼーション」は、ある工程で効率化のためにデジタルツールを導入するなどの部分的なデジタル化であり、「デジタライゼーション」はビジネス戦略面も含めて長期的な視野でプロセス全体をデジタル化する取り組みを指す。

ビジネスや企業に於いてのDX・デジタル改革の有効性とその例については多数あり、それは世界中に広まって来ている。
世界中の政府は、DX・デジタル改革の普及を主導して、自国企業等の国際競争力を強める政策を取って来た。
その中で、DX・デジタル改革の有用なツール・システムを開発しているIT産業は、分野としても個々の企業としても急成長を遂げて来た。
DX・デジタル改革にはビジネス・民生・その他の区別はなく、官・公・国・行政についても有用性が高く、これらを用いた改革が必要だった、それ故に各国・政府は競ってDX・デジタル改革を進めてきている。
だが日本では、官・公・国・行政のデジタル化は遅れていた、しかし新型コロナ・ウィルス感染問題のなかでの世界各国の政策対応の中で、日本でのDX・デジタル改革の早急な必要性が明らかになって来た。
政府は各省庁個別のDX・デジタル改革を進める目的と、それの主導的役割としての役割を持つ部署としての目的で、デジタル庁を発足して一気の普及を目指し始めている。

日本政府のDX・デジタル改革のツール・仕組みとしてマイナンバーが登場した、世界的にも各国政府は機能や性格や法制度は異なるがマイナンバー機能を設置して運用している。
日本では、マイナンバーの設置と通知のみは行われていたが、マイナンバー通知書には本人写真がなく、本人写真が付いてさらには電子機器が情報を読める機能としてICチップが付いた「マイナンバーカード」への登録は、個人に委ねた形だった、その事でマイナンバーカードは普及が遅れていた。
日本では、写真付きの個人識別・個人認証・個人証明には運転免許証等が使用されていた、ただしこれらには電子機器が読み取れるデジタル化がなされていなかった、政府や行政がDX・デジタル改革を進めるためにはマイナンバーカードのような機能が必要で、さらに全官庁を含めての運用が必要だった。
マイナンバーカードの機能の有用性は明らかだが、それで十分か、運用システムとして有用かセキュリティは問題ないか、政府や官に対応能力は十分か、国民生活での運用は問題ないか等の意見のなかで、日本では遅れていた。
最近では世界的な新型コロナ・ウィルス感染問題への対策の中で、マイナンバー機能を含むDX・デジタル改革の成果が世界各国で活用された、だが日本では遅れが目立った。

世界的な新型コロナ・ウィルス感染問題への対策の中で、DX・デジタル改革の成果が世界各国で活用された、日本では遅れが目立ったが複数の変化が起きた。
民間での対応
・外出制限と対面不可(マスク着用等の対策)
・リモート活用と拡大
・通販増加と宅配サービスの増加
・キャッシュレス推進

政府の対応
・外出制限、イベントや観光や店舗への規制
・ワクチン接種
・文書の電子化・捺印レス
・助成金配布
政府と行政の作業負担が増加>DX・デジタル改革の必要性が高い。
 >その1つでマイナンバーカードを推進。

新型コロナ・ウィルス感染問題への対策の中で、DX・デジタル改革としての日本政府の対応の具体策の1つとして、国民からの政府機関への申請・登録書類の電子化がある。
毎年2-3月に行う確定申告は、外出制限、対面自粛に反した、それ故にそれ以前から政府は確定申告の電子化(イータックス)を進めて来たが、それを一気に加速させる様に動いた。
元々の確定申告の電子化(イータックス)は、書類の郵送の廃止、電子化による窓口業務の簡素化、省人化、トータルでのコスト削減、他の部署との連携とデジタル化等が目的だった。

確定申告に必要な物は、国税庁のインターネットウエブサイトとソフトウエアと、個人が使用する端末機器とソフトウエアとインターネット環境と、認証方法と、あとは取り扱いスキルだった。
政府はウエブサイトとソフトウエアの改良を急ぎ毎年改良している、アクセス可能な端末としてはパソコンに加えてスマホからの利用を加えている。
認証方法としては、マイナンバーカードとカードリーダー使用方式、パスワード登録方式、印刷物郵送方式があり、後にスマホによる認証方式が加わる。
そこではマイナンバーの普及が課題となっていた。
さらに添付書類の電子化が課題だった。

マイナンバーカードは個人認証用カードとして顔写真があり、さらにDXに対応する為に機器での情報読み取り手段としてICカードを搭載している。
政府・行政が使用している健康保険証カードには顔写真は無い、他方で自動車運転免許証カードには顔写真が有るので日本での個人認証カードとして使用される事が多い、だが国民全員が保有してはいない。
マイナンバーカードは健康保険証カード並みの保有率で、さらに運転免許証カード並みの個人認証性を持つ事が最低限に期待されている。
マイナンバーカードの機能としては多数の意見があり、理想的な機能を望む人から、DX化を望まない人まで含めて反対意見は多い、その中で日本でのマイナンバーカードは中間的な機能のようだ。
技術的にはDXは必須であるが、一方では技術改革で時間と共に古くなる性格は避けられなく継続的なアップデートが必要だ、さらには利用者により受ける恩恵や利用度に差が生まれる事は避け難い(利用者が恩恵を受ける事は、システム的には当然になる)。
さらにはマイナンバーカードの効果はその普及が進む事で向上する性質があるので、普及前に効果を実感する面は少ない、2023年現在に利用できるサービス(イータックス、コンビニでの印鑑証明等発行、マイナンバーポータル等)は1度使用すると次回も使用するが、まだ日常的に使用するサービスだとは言えない。


電子確定申告

国税庁は国税の電子申告(e-Tax)のシステム構築を目指して、2004年名古屋国税局管内で運用が開始して、同年6月には全国に広まり、年を重ねるごとに対応可能な税申告や届出の種類が増加した。
導入当初は、税のプロである税理士等に利用を求めて、その感想や指摘等で改良を進めた、当初は「税の知識が深ければ使用可能」なレベルだったとの意見がある。
改良の積み重ねにより使った方が便利なシステムに改良されて行った、確定申告の負荷の低減とコストダウンを目的として普及をはかり、青色申告での電子申告控除を行い、さらに全面的な導入推進を行ってきた。
2017年にはマイナポータルと連携、2019年にはマイナンバーカード方式・ID・パスワード方式の導入が行われた。
そのタイミングに、新型コロナ・ウィルス感染問題が起きて、対面での確定申告の自粛が必要になり、郵送での申告書提出と共に電子申告が国民に要請された、その事で一気に普及した。
その間では、郵送用封筒の廃止や、電子申告対応者への申告書類の送付廃止によりハガキでの通知が行われてコストダウンに繋がっている、提出帳票の電子化と省略化や、捺印の廃止等も推進されている。

国税庁の「令和3年度におけるe-Taxの利用状況等について(2022年8月)」によると、2021年の利用状況は次の通りになった。
・所得税申告:59.2%(前年度より+4%)
・相続税申告:23.4%(前年度より+9%)
・法人税申告:87.9%(前年度より+1.2%)
・キャッシュレス納付:32.2%(前年度より+2.9%)
・利用満足度:75.2%(前年度より+7.7%)

そこでは「上記のように、e-Taxは利用者と搭載機能が年々増加傾向にあります。e-Taxは今後、税務手続きにおけるスタンダードになる可能性が高いといえるでしょう。」とされている。
e-Taxの利用に関しては、個人事業主や会社員では所得税の確定申告機能の利用になる、e-Taxは所得税および復興特別所得税の申告・納税に対応していて、範囲を拡大している。
インターネット環境がある場所では、どこからでも申告手続きが可能だ。

確定申告の電子申告作成サイトのe-Taxは国税庁のウエブサイトで公開されて、使用可能になっている。
e-Taxは毎年に機能等が更新されてきているが、それが政府のDX化方針と新型コロナ感染問題を受けての国税庁の対面申告の自粛と郵送・電子送信の推奨・推進方針によって、一気に普及して利用が増えている。
その普及には、利用に必要な要件・条件を拡大して利用可能者を増やす事がポイントであり個別には順次考えて行く、以下にもまとめる。

・データのローカル保存と翌年以降の再利用。
・利用環境としての端末として、パソコン機器と対応OSとそこで使用するブラウザの種類の拡大。
・e-Taxの使用方法の拡大。
 ・提出方法も拡大>電子送信提出・プリントしての書類提出。
 ・アクセス(ログイン)方法の拡大>マイナンバーカード・登録パスワード方法・
・スマートホン利用への対応と推進。
・捺印廃止。
・添付書類の電子化と簡略化。
・マイナポータルとの連携。   等。

確定申告の電子申告作成サイトのe-Taxは、パソコンをアクセス端末に使用する事として運用されていた。
度々改良されて操作性は大きく改善されて来たが、マイナンバーカードを普及させての利用者拡大を目指していたのだがあまり進んでいなかった。
新型コロナ・ウィルス感染問題で、国税庁は確定申告の電子化か申告書の郵送化を急遽目指した、そしてその中では「マイナンバーカード+パソコン+カードリーダー」によるアクセスでの電子送信申告を目指した。
その中ではカードリーダーの使用が必須であり、その為にカードリーダーを購入する必要があった、接続と操作も含めて一つの普及の障害となった。
e-Taxでの確定申告には、それ以外に「マイナンバーカード+パスワード」方式と「e-Taxで作成したデータをローカルで個々が印刷してから郵送する」方式があったが、カードリーダーを使用しない電子申告の要望もあった。
2022年(2021年度分)の確定申告からスマートホンを端末に使用した方式が導入された、そこでは狭い画面から入力と操作が行えるように設定されていたが、そしてさらにスマホをICカードリーダーライタの代わりとして利用する、具体的にはスマホでQRコードを読み取り、さらにマイナンバーカードを読み取る。

確定申告の電子申告作成サイトのe-Taxはパソコン使用で運用された、当初の税理士らビジネス中心の運用では問題なかったが、個人の使用ではパソコン機器保有等の必要環境も普及の障害となっていた。
さらにマイナンバーカード読み取りでの個人認証に使用するカードリーダーは普及しておらず、e-Tax用に購入が必要であった、それは電子送信方式の普及の障害でもなっていた。
スマートホンは急速に普及して、保有者はパソコンを越えている。
スマホは機器及び通信環境共に、携帯電話事業者と契約を結び登録を行う事で運用する方法が主体でそこでは通信料金が管理される、それ故にスマホを通じてのアクセスには個人確認性・本人確認性がある、それ故に例えばスマホ決済等のキャッシュレス決済が行われている。
アクセス機器としてのスマホ対応の目的には、機器保有問題への対応があり、さらにはカードリーダーレスへの対応がある。
e-Taxへのスマホ対応は2022年から始まっている、2023年にデジタル庁は「マイナンバーカード機能をスマホ内に入れる」事を発表した、そこではAndroidOSが先行して行われ、iOSはそれよりは遅れるとされている。

マイナンバーは用途として税関連が当初から設定されており、個人レベルでの確定申告もマイナンバー制定後はその使用が前提になっている、サラーリーマンの年末調整を含めれば、国民への普及度は高い。
電子確定申告(e-Tax)はマイナンバーに加えてマイナンバーカードの使用を考えて作られている、正確にはカードに追加されている電子情報読み取り機能を通じての、税のDX化が図られている。
故にe-Taxは、マイナンバーカードの普及がポイントになる、新型コロナ・ウィルス問題で確定申告の対面作成と提出の自粛が求められ、郵送またはe-Taxが推奨された、その後者からはマイナンバーカードの普及が注目された。
その時に出たのが、マイナンバーとマイナンバーカードの使用用途への関心であり、確定申告以外の用途が少ない事だった。
普及する程便利な機能を提供しやすいマイナンバーカードの性質があるが、普及が先か、機能と用途が先かの議論のみが先行して、気づけば先進国からは大きく普及が遅れていた。
政府はDX推進していたが具体的には遅れていた、そこでデジタル庁を設置した、そこで政策の一つとしてマイナンバーカードの普及・拡大を目指し、次々と策を出し始めた。

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