項目別バックナンバー[3]:ビジネス情報:59
ウエブ会議システム
日本では働き方改革により、テレワークやリモートワーク等の在宅勤務の体制構築が企業等で進められて来た、そこに加えて2020年最初からの世界的な新型コロナウイルスの流行の対策として政府はテレワーク等の利用を呼ぶかけており、採用する企業等が増えているとされる。
テレワークやリモートワークへの対応にはそれ用のツール類が必要となる、例えば
・ウエブ会議システムの導入>社内外との打ち合わせの対応可能。
・VDI(仮想デスクトップインフラ)>パソコンのデスクトップを仮想化することでOSやアプリケーション等のパソコンのソフトウェアを仮想マシンとしてサーバ上で実行して結果をネットワーク経由で端末に送る。
・VPN(バーチャルプライベートネットワーク)>仮想の専用線で安全なインターネットアクセスを実現する。
・ビジネスチャット>ネットワークを使ってリアルタイムでのコミュニケーションを行うチャットツールの中で、特にビジネス用途に特化したもの>社内の情報共有用で、多数の機能が搭載されている。
・プロジェクト管理>プロジェクト目標・スケジュール・タスク管理のシステム。
・ウエブセミナー>インターネット上で配信するセミナー>画面共有・プレゼン・チャット・アンケートの機能がある。
ビデオ会議(テレビ会議)では専用の機材や専用線を設置して、遠隔地を繋いで海外や離れた地方の支社を含めての会議を行いコミュニケーションを取る手段となっていた。
ウエブ会議は本来は専用端末を利用したビデオ会議とは区別されていた、しかしインターネット回線の通信量の増加と、映像や音声を圧縮変換する技術の向上とによって、パソコンレベルのCPUでも実用的に可能になってきて、専用の回線等で無くとも会議の品質を確保できるようになってきた。
今でも品質面では専用端末・回線の優位はあるが実用業務の中で使うにはウエブ会議でもかなりの質の遠隔会議が実施できるようになり、テレビ会議とも区別しない方向に向かっている。
ウエブ会議システムは専用端末でのビデオ会議と比較して、ハード的にシンプルな構成であり圧倒的に手軽に利用できるので多くの企業で採用が進んで来た、最近ではそれに加えて社外の集まりや、趣味やプライベートでの利用にも拡大されつつある。
ウエブ会議システムは、パソコンに内蔵されたマイクやスピーカーやカメラを利用する、あるいは外部機器のヘッドセット(ヘッドホンとマイク)やウエブカメラも利用する、最近はスマートホンで利用できる製品・サービスも登場している。
ウエブ会議は手軽さから支社等の社内だけでなく、取引先との打ち合わせ等でも使用が増えており、一方では在宅勤務の需要が高くなり、働き方改革の実現施策の1つとしても注目されて、多くの企業で導入が増えてきている。
ウエブ会議のメリットを整理する。
・ビデオ会議システムと同様のメリット
・ウエブ会議とウエブ研修を行う事で、そのための出張が不要となる。
・出張する為の、交通費や宿泊費などのコストが削減できて、移動時間を少なくできて、人件費が削減できる。
・海外等の出張が容易でない所とも容易に会議等が可能。
・ビデオ会議システムには無いウエブ会議独自のメリット
・普及して個人使用も増えたパソコンを使用する事で、パソコン画面の共有や資料のアップロードを行える。
・ビデオ会議専用ルームが不要で、会議の事前準備も不要になる。
・事務所や社外のテレワークや、リモートワークの手段となり、それから在宅勤務なども可能になる。
・ノートパソコンによるモバイル化やスマートホンの普及により、外出中の社員も参加も可能になった、その結果で日常的な業務の中で必要時に直ぐにウエブ会議の開催が可能になった。
・利用者を増やすことが出来る。
ウエブ会議システムの機能を整理する
1:会議機能
・テキストチャット:テキストベースでの会議(チャット)が可能。
・音声会議・ビデオ会議:複数人か1対1で音声やビデオでの会議(チャット)可能。
・スケジュール設定と管理:ウエブ会議のスケジュールと予約を行える。
・在籍確認:組織内ユーザーの在席中か不在か会議中かを確認できる。
・会議進行のサポート
・録音:会議内容を録音して保存できる。
・録画:会議内容を録画できて、共有が可能。
・ミュート:雑音にならない様に、音声をミュートできる。
・投票:会議でアンケートや、多数決投票を行える。
2:資料共有
・スライドショー:開催者がプレゼンテーションやスライドショーを参加者のパソコンに表示できる。
・画面共有:特定のパソコンのデスクトップやアプリケーション画面を参加者のパソコンに共有できる。
・ファイル共有:参加者にファイルを送信して共有できる。
・メモ機能:資料やホワイトボードにコメントやメモを書ける。
3:モバイルデバイス対応:モバイル機器のアプリやモバイルブラウザで、スマートホンやタブレットからウエブ会議に参加できる。
ウエブ会議システム「Zoom」は無料システムであり、後発だが世界の広い地域でウエブ会議市場を拡大している。
「Zoom」はその仕組みをSaaS型で提供しており、基本的にはインターネットでの会議が可能であり、仕組みは音声と映像の品質に注力し、サーバ側に負荷がかからないように設計して、最適な品質の映像を選択する。
他のウエブ会議システムと比較して、1つの画面で同時に多くの映像を映しても会議を開催可能とされて、通信は機器とネットワークの種類や通信状況に応じて処理をダイナミックに行う、同社では各地に設置運用する複数のデータセンタ同士を同期して、最適なデータセンタを選択する、それは数が増えて発生する遅延やパケットロスを極力発生させないようにする仕組みだ。
インタフェースは使い勝手を求めて、その会議開始画面はシンプルな構成で、機能のアイコン化でメインで利用する機能のみを簡潔に配置する、直感的な操作インタフェースだ。
急激な利用急増もあり、複数の脆弱性が指摘されている、現在はそれへの対策が取られつつある状態だ。
ウエブ会議システム導入方法は、SaaS製品ではサービスに申し込み、アカウントを発行してもらう事で利用を開始できる、アカウントでサービスにログインして、必要項目を初期登録すればウエブ会議が可能になる。
オンプレミス製品でウエブ会議を導入する場合は、それ用のサーバを自社内に設置する必要があり、サーバにソフトウェアをインストールして各利用者のパソコンに専用ソフトをインストールして行く、初期の作業が多くなるが、運用後にはセキュリティを高く保てると言われる。
SaaS製品・オンプレミス製品のいずれの場合でも、ネットワーク環境の事前検証は必要であり、それでの小規模テストに於いては問題がない場合でも、実際に導入して離れた拠点間で運用する場合には、必要な品質が得られない場合は起こりうる。
それ故に、実際の利用状況を想定しての拠点間・会議室間・ユーザー間での可能な限りのテストを事前に実施する事が必要だ、無線ネットワーク通信を利用する場合では場所が変われば、帯域が十分に得られない場所もある、不具合があればアクセスポイントの追加や、優先的に伝送の設定を調整する対策も必要になる。
注:オンプレミスは、サーバーやソフトウェアのシステムを使用者の設備内に設置して運用する、自社運用を指す。
eラーニングと在宅学習
教育分野でのインターネット利用は、義務教育での情報処理能力の育成目的や、大学での市民講座等の、教育内容の充実・サポート目的があるが、それに加えて在宅学習やオンライン授業にも利用されて、不登校生徒や健康上の理由で通学が難しい生徒等に教育を可能にするともされている。
社会での企業の社員教育では、従来の集団での研修に加えて、パソコンやモバイル機器やDVDなどの情報技術を利用して行う学習方法=eラーニングが導入されて来た。
上記の在宅学習やオンライン授業は着実に進んで来たが、おりからの新型コロナ・ウィルス感染問題で、学校が休止になり生徒が自宅待機になった、その対応方法として注目を浴びている。
eラーニングと在宅学習については、「個人が行う。能力アップ目的等の学習」、「企業の社内教育」、「大学での講義」、「高校での授業」、「小学・中学での初等教育」等があり、そこでは類似の事情と共に、異なる事情があるようだ。
eラーニングのメリットは
・時間や場所の制限が少ない学習が可能。
eラーニングの最大のメリットは、通信環境と言う制限があっても、受講者個人が都合のよい時間と場所を選んで学習が可能な事だ、現在ではスマートホン等のモバイル端末を用いてのeラーニングが増えてきて「場所を選ばない」状況になって来た。
モバイル端末使用では「マイクロラーニング」(短時間で学習する方法)が登場して、それはスキマ時間学習に向いている。
・教育の質が講師により差で生じる事が減少出来て均一になりやすい。
通常の対面型学習では教育の質が講師の質に影響されるデメリットがある。
eラーニングでは、同じ学習教材を用いて教育の質を均一の出来やすい。
または教材等の改変・アップデートが容易であり、最新教材を提供できる。
・学習の進捗状況やフィードバックを一元管理可能だ。
eラーニングならばオンラインで受講者の管理ができるので、進捗状況やテスト結果が自動的に処理できる。
eラーニングは最初は企業の教育ニーズで注目された、社員数と拠点数が多い企業では対面型・集合合宿形は制限が多い。
eラーニングは仕事で忙しい社員や遠隔地でも受講が可能でありeラーニングのメリットは全て企業での教育に適合する、まずはそこから拡がった。
eラーニングのデメリットは
・モチベーションの維持が難しい。
eラーニングの特徴は受講者が個人の都合で時間と場所を選ぶ事が出来る事だが、それは受講と進捗管理が個人のモチベーションに依存する事にもなる、全員がメリットを生かせないとデメリットにもなる。
・インターネット環境が学習には必要だ。
eラーニングはパソコンやスマートホンなどの端末をインターネットに接続する事で受講して学習するように設定されている、それ故に端末機器とインターネット環境の双方が用意されていないと学習が出来ない。
例えば社員個人が会社以外に、インターネットを利用できない環境や状況の時は学習の機会が制限されてしまう。
・実技は習得し難い。
eラーニングは端末機器の画面上でのみ学習する。
現場での技能取得を目指す場合は不充分だ、パソコン操作や英語等の言語学習ではツールを工夫する事である程度は実施可能だ。
・eラーニングを配信する環境の整備が必要だ。
・eラーニング学習教材を製作するには、時間と手間と費用がかかる。
企業が自社のeラーニング教材を作る事は現実には困難であり、eラーニングの専門業者に依頼する事が増える。
eラーニングが注目されている理由に「反転授業」や「ブレンド型授業」等の混成学習方法が有効と考えられる事がある。
従来の学習は対面式の講義を受ける方法であり、その後は自宅等で復習的に課題に対応する方法だった、それに対して講義を自宅等で何らかの媒体を利用して受ける(例えばeラーニング)、その後に何らかの手段で講義・授業で課題に取り組む方法が「反転授業」と呼ばれる、反転授業を行えば課題をより深く理解可能だと考えられている。
「ブレンド型授業」「ブレンディッドラーニング」と呼ばれる学習法があり注目されている、「ブレンド型授業」では「異なる種類の学習方法」を組み合わせる、具体的には対面授業とeラーニングの組み合わせがあり、あるいはeラーニングと実技研修の組み合わせがある、従来の対面授業・講義だけの1種類の学習方法と比べて、効率的に深く学べられるメリットがあると言われている。
eラーニングではこれまでは知識を学ぶ教育を中心に利用されてきた、それには対面型学習ではない環境が理由でもあったが、それ以外にも教材の製作技術や制作コストの問題も多くあった。
eラーニングに関する現在の方向性の1つとして、知識だけを学習する内容から、体験学習への拡大があり、それを目指した体験タイプの教材が増えてきている。
VR(バーチャル・リアリティ)技術の発展により、それを利用しての体験を擬似的に行う学習方法が導入されつつある、まだまだ新しい技術であり技術的にもコストの面でもVR学習法は急には普及は難しいともされる。
ロール・プレイング型と呼ばれるeラーニングも登場している、例としては事例学習に利用されており、「トラブル発生時の対処」では課題の発生トラブルに対して、受講者・利用者が対応方法を自ら考えて対処法を提示して、その後で答えと比較する方法で学習する、それを複数のトラブル事例ごとに繰り返して学習する。
VRもロール・プレイング型教材も、開発コストは知識型よりも高くなるが、対費用効果が高いと判断されれば普及するだろう。
注:バーチャル・リアリティでは、現物・実物ではないが機能では本質は同じ環境を、ユーザの五感等の感覚を刺激して実現する。
学習方法のトレンドとして、従来の受動的に受講する学習から「アクティブラーニング」重視への移行がある、アクティブラーニングは学習する側が受け身(受動的)ではなく、能動的に学ぶ方法を取り入れる。
アクティブラーニングは学習内容の理解の助けになるので深く理解を進める利点があるとともに、学習者・受講者が自ら考える事を促進する事で、主体性の育成に有効と考えられている。
eラーニングを使った学習方法としてのアクティブラーニングでは、例えば解説した後に質問等で問いかけを行う事で受講者の考えをより深める方法や、あるいは会話を中心にした学習の進め形の方法もある。
eラーニングは「アクティブラーニング」等の新しい要素を取り入れて進化して行くことで、企業等では社内研修に導入して、効果的に社員のレベルアップを図かろうと目指している。