項目別バックナンバー[3]:ビジネス情報:52

業務システム

帳票や伝票等の書類を扱う業務も効率化やコストダウンが求められてきた、労働力不足や作業量の増加への対策が要求された事から始まったが、「働き方改革」的な人海戦術への疑問や、人間が行う必要がある作業のみ残して、機械やコンピュータ等の情報システムに繰り返し作業や単純入力作業を行わせる考え方が広まってきた。
業務システムの電子化や情報化やコンピュータ化は、投資を伴う業務改善策であり、初期には個々の作業のみを単位として始まった、元々は存在しなかった電子機器の使用は全てが電子化や情報化になるが電卓やコピー機は代表例だ。
コピー機は書類の複製による効率化という業務改善であり業務全体に繋がる事だったが、業務システムとして全体の改善策を考えるのはコンピュータの業務利用が始まり普及してからだった。

業務改善方法には、作業手順の自動化と入力作業レス化が考えられた。
業務システムを築いて作業手順の自動化を行う目的には、仕事の中での定型作業の改善目的の意味が強い、定型作業で繰り返し発生する業務は工夫だけでも改善予知は多い、だがそれ以上に機械化・コンピュータ化・ネット化等の新しい技術の導入での作業効率化と省人化が可能な場合が多い。
帳票類は手書き>定型印刷物使用+手書き記入>原紙コピー使用+手書き記入>そして電子化へと変わって来た、電子化は定型帳票類データと入力データのデータベースの組み合わせであり、それからは出力電子データがプリンタ出力の場合を含めた色々な手段で出力して利用出来る、それは請求書や納品書発行業務の自動化に繋がる。
その電子化での課題は、開発的には電子化業務システムの導入構築であり、繰り返しの定常の日々活動ではデータ取得(入力)方法の改善だ、初期はキーボードから入力は手書きデータのコピー的な映し入力であったが、その効率化が模索された。

電子化業務システムの導入構築を行う過程では多数の問題が浮かび、その後の実用段階でも予想外の問題が浮かんだ、業務システムは狭い一つのオフィス内の問題ではなく多数の部署が関連して来る、そして同時に社内だけではなく対社外全体が対象となる。
一つのオフィス内の業務システム構築だけでも簡単ではないが、それが効率化として成功するにはその周辺との関係で効果が出せるかが大きなポイントとなる、そして先駆者的な所では周辺環境が整っていない。
業務システムとして最初に考える事は、業務データの転用による作業量の減少だ、繰り返し同じ作業を行う事は無駄であり、コピー機器の登場はそれを一気に減少させた、帳票類作成・記載の多くの部分がコピーで可能にする方法に変わった、ただし部門と社外を越えて入ってくる情報はコピーでの再利用は難しかった。
結果的に構築した業務システムを活用する為には、最低一度はデータ作成・入力する必要がありその方法と人員とに悩む事がしばしば生じた、構築した業務システムに合わない帳票類を扱い易いデータに変える作業が発生するとすれば全体での効率化は少ない。 業務システムの代表となるパソコン導入時でも同じ問題は生じた。

業務システムを構築する場合には社内と社外を問わずに、取引を行う2拠点・部署間に自動化の交点が存在するかが重要になる、2者を発注者・依頼者と受注者・非依頼者と仮定すると(出力側と入力側、または送信者と受信者の関係とも言える)、非依頼者あるいは入力側が業務システムを使用しているならばそこで使用するシステムのデータが必要であり、例えばキーボードから入力する事になる。
業務システムと実作業上でデータを有効に利用できるかどうかは、データの情報量や質が重要になるが、依頼者と非依頼者間ではオンライン化されて居らずなおかつデータ化されていない帳票であれば、非依頼者は個々にデータ入力が必要だった、その改善が課題だった。
ファクシミリの導入は、距離の離れた2者を電話回線で接続した、その後の有線・無線通信はそのデータ内容の種類と情報量と扱い易さの改善となった、それ以前にも距離の対策として郵送・輸送や電信・電話があった、時間的に接続と言えなかったり帳票を読み上げ聞き取り写すという間違い易く情報量の劣る作業があった。
ファクシミリという通信手段+プリント機器は、一つの標準となりその後の他の通信手段でも採用されたが、データそのものを扱うペーパーレスはその過程でのその後の課題となった。

業務システムは帳票処理を爆発的に改善出来るポテンシャルがある、ファクシミリは遠距離通信手段を置き換えると同時にプリントレス・ペーパーレスの可能性を示し、キーボード入力レス化の可能性もあった。
パソコンの個人持ちが行われるとそれと結びつけるローカルネットワークが構築され、次にそれをサポートする「グループウェア」と呼ぶ情報共有やコミュニケーションをはかり作業を支援するソフトウェアが登場した。
機能としては電子メール機能・打ち合わせやテーマの議論を行なう電子会議室機能・リアルタイムのテレビ会議機能・電子掲示板機能・メンバー間でスケジュールを共有するスケジューラ機能・データベースで文書共有する機能・稟議書などの回覧と決済を行う機能などがあった。
グループウェアは社外のインターネットに接続したり、社内のイントラネットに接続する事でより広い範囲をオンライン化する、そしてそのオンライン性の有効活用性が認識される事でデータフォーマットの共通化が行われて、データの再入力レス化が進んだ。

個人持ちパソコンをグループウェアでネットワーク化して、それをインターネットやイントラネットで繋ぐと、オンライン上での作業が可能になり、そこでは作業データの共有化が可能な条件が揃った状態だ。
書類の回覧と決裁の電子化はオンライン化の対象であり課題だった、地理的な距離を超えてネットワーク上で短期での回覧が可能となる、同時に回覧状況がモニター出来る利点もある。
電子化された書類は、ネットワーク化以前はプリントして紙ベースに変えて提出・回覧・承認・保管が行われた、プリント以降は手書き書類と同じ扱いだった、電子化書類はオンライン上で回覧・送付する方法以外に、オンライン上に保管しておきアクセス権を与えられた人がそこで読む事やアクセスする事が可能だ。
電子化された書類や帳票類をオンライン上で保管する事は、業務のクラウド化であり実務に採用出来れば大幅な業務の改善が期待出来る、その流れで業務システムのクラウド化も検討されて行く、そこでは書類や帳票類だけでなくプログラムとアプリケーションソフトもネットワーク上に置かれる、それらのプログラムのアップデートやウィルス等の脅威からの対策・対応も重点的に専門担当者がメンテナンスする事になる。
業務システムのクラウド化は新たな投資が必要で有り、試行されて徐々に普及して行く状態にある。


オフィスソフト

ビジネス用途のオフィス向けソフトを集めた「オフィス」「オフィススイート」は常識的に使用されている、その登場と普及はパソコンの個人向けと、ビジネス向けとが密接に絡んで進んできた。
アメリカで登場したディスプレイとキーボードを装備したパソコンには、早い時期から現在のオフィス向けのアプリケーションソフトが登場していた、アップルのパソコン用に作られたビジカルクは最初の表計算ソフトだったが、その先進性からそれを使用する為にパソコンを購入する人が多かったと言われた。
その時からハード機器とアプリケーションソフトとの関係は密接になった、パソコンのOSが搭載される方向になると、ハード機器ではなくOS毎にアプリケーションソフトが開発される事になった、それはOSが寡占状態になると加速されたが、OS開発メーカーがオフィスソフト開発の主導権を持つ事になり、同時に多数のシェアも獲得した。
日本では日本語環境が必要で有り、日本語化されたOSと日本語化アプリケーションソフトとして登場し、日本独自開発のソフトと競った。

日本でのパソコンの普及はアメリカを追う形となったが、日本語環境という日本特有の条件があった、ボードコンピュータもパソコンも輸入品から遅れて登場したが普及度から見て国産品をもって日本最初として扱う事が多い。
日本では電卓文化と日本語ワープロ文化(仮名文字タイプライターは普及していない)の影響でCRTディスプレイの登場が早く、外字扱いだが仮名文字のフォントROMの発売が早く、そして漢字フォントROM搭載パソコンの登場となった。
漢字フォント搭載パソコンの登場後に、日本語入力方法が複数登場したが仮名漢字変換方式がその後に学習機能・登録機能・熟語機能・文節変換機能と展開して行くことで大きく普及して行った、ソフトウエアの開発・更新で機能を強化出来る強みがあり、日本語漢字変換プロセッサーとなって行った。
初期のパソコンではハード毎に最低1つの表計算ソフトが開発された、漢字入力方法の登場で直ぐに日本語ワープロが登場した、そして漢字入力機能のあるパソコン機種が一気に普及した、そこでは日本語ワープロと日本語仕様の表計算がセット的に開発されて行った。
同じ頃にパソコンはOS搭載へと移行して行くが、日本では同時併行的に日本語環境版のOSに改造され、世界で2バージョンとなっていった。

アプリケーションソフトはパソコン用のハードとOSが異なると使用出来ない、バージョンアップの時はメーカーの方針で状況は変わる、ハードの買い換えを行わずOSのバージョンアップもアプリケーションソフトの変更を伴わない範囲で使用するのが多くの利用者だが、OSとアプリケーションソフト共にメーカーのサポート期限が存在している。
ソフトの開発メーカーはハードとOSの新しい機能と性能を、アプリケーションにも取り込む事でソフトのバージョンアップを動機付けしてきた、それはOS開発メーカーがアプリケーションソフト開発でもシェアを獲得した事で増幅された。
オフィスソフトとして普及したのは表計算とワープロのソフトだが、メーカーはソフト間の連携機能を付けて、まとめてオフィスソフト・オフィススイートとしてセットで販売した、同時にそれ以外のソフトの開発を行った。
表計算とワープロの2ソフトは、どこのメーカーでも基本機能は類似したが、それ以外は定番ソフト化は必ずしも進まなかった、プレゼンテーションソフトは資料のプリンアウトとスライド化を容易にしたが、プロジェクターへの直接出力に移行すると表計算ソフトを直接使用する事が増えた。
データベースソフトは巨大で専門的であったので、ミニデータベ-スソフトを開発したが初心者には難しく専門的には安定性不足の面があった、イラスト・図面作成・写真加工ソフトは個別にも優秀なソフトが揃った後にオフィスソフトへの追加を図った面があり必要とする人は広がらなかった、全ての人にオフィスソフトとして配給する必要性は表計算とワープロの2ソフト以外は見つからなかったと言える。

オフィスソフトは仕事用に使いこなせる事が重要となるが、それにはコンピュータハード機器とOSを含めたアプリケーションの機能も大きいが、利用者の熟練度や能力も重要だった。
コンピュータは個別機器・OS・アプリケーションを含めたトータルの環境として担当者が操作出来るかによって機能性が変わる、職種として技能者を募集する事もあるが、トータルの環境に対しての技能者を限定して募集する事が可能ならば即戦力となる。
一般的なコンピュータ関連の能力を測る情報処理試験が国家資格として設定されて運用されて来たが、特定の機器のトータル環境への対応能力を直接測るものでなかった。
パソコンのハード機器がキーボード+マウス入力になりそこに多大なシェアを持つオフィスソフトが登場すると、その組み合わせでのアプリソフトの使用資格が作られた、ウインドウズOSと搭載パソコンも対象として指定する事もあった。
アプリソフト使用資格・能力検定制度は、そのソフトメーカーが制定・実施してアプリソフト別に資格認定した、マイクロソフトのオフィスソフトやロータスの表計算やジャストシステムのワーポロや、いくつかのデータベース関係資格認定が例としてある。
マイクロソフトのオフィスソフト資格認定(Microsoft Office Specialist:MOUS)は民間資格として普及しているが受験条件としてその内容の口外禁止を要求しており普及度が高い割りには内容は知られていない。

業務用のパソコンの普及した事でオフィスソフト・オフィススイートが広まり一般的に使用されたが、より具体的な使用状況は業種・企業・部門・・・で異なる、時折にアンケート調査を行い結果が発表されている。
最近のオフィスソフトの使用率は、部門では情報システム部門が高く、生産部門と営業部門は10%台であり、技術・開発部門ではWINDOWS・OS以外のパソコンや科学計算用のコンピュータやミニコンや高機能のキャドソフトをも使用する。
オフィスソフトの中では、表計算ツールが圧倒的に高く全員に近い、プレゼンテーションツールも半数以上が使用し、ワープロ系の文書作成ツールも半数程度であった、メールツール関係も似た使用度だが、データベースツールやファイル共有ツールは低かった。
利用機器端末はノートパソコンとデスクトップパソコンが過半数以上であり、その他はまだ一桁%の結果だった、学生世代でスマホの普及が急増してパソコンの利用者と操作可能者が減少していると危惧する人がいるが、現状のビジネス現場のアンケートでもそれは問題となるようだ。

ビジネスでのパソコンがネットワークに接続されて、グループウエア・ソフトが導入されて普及した、そこでは個々のパソコン単位ではなく、ネットワークに接続されている全体の資源の有効活用を目指す事に変わり、パソコンとネットワークによるビジネスの改善は、ここから急激に進む事となった。
ネットワーク化で例えばプリンタを共有して使用出来るし、全ての外部接続して使用する機器も同様な共有方法に変わって行った、データも共用・共有化が可能になるがこれについては電子メールで送付して個々のローカルで使用する作業スタイルには直ぐに変わったが、オンラインでの共用化は徐々に進んだ。
アプリケーションソフトは、記録媒体で提供・購入して利用者はローカルのパソコンにプログラムを置いて使用する方法が長く続いた、今でもローカルのパソコンが外部の記録媒体を読みこむ機能を持つ事は一般的だ、だが例えばグーグルのクロムブックの様にその機器を持たないハードも登場している。
現代の高速ネットワーク時代では、1:ネットワークからプログラムをダウンロードする事が増えた、2:プログラム自体をネットワーク上に置いてネットワーク接続状態で使用する方法が増えた。

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