項目別バックナンバー[3]:ビジネス情報:70

図書館の種類

日本では、国立の図書館としては「国立国会図書館」が設置されている。
国立図書館は、国民にサービスを提供する役割があり、それと同時に、国会の立法・調査活動をサポートする役割をも担っている。

国立図書館は上記以外にも、
 納本図書館としての機能を持ち活動する。
 資料の目録情報を広く提供する。
 所蔵する重要な資料をデジタル化して公開する。
 各地の図書館活動を支援する。
などの幅広い活動を行っている。

自治体が設置する「公立図書館」と、法人等が設置する「私立図書館」を総称して「公共図書館」と呼ぶ。
公立図書館は、地域の住民に図書館サービスを無料で提供する図書館であり、日本では「図書館法」をその根拠法として設置されている。
公立図書館は自治体の規模によって分類される、都道府県立図書館と市区町村立図書館に分けられる、さらには同一の自治体内でも住民にきめ細かく図書館サービスを届けるために分館が多数設置されている。
図書館サービスとしては図書だけでなく、それに加えて、視聴覚資料等の貸出、地域に関する情報の提供、ビジネスや学習の支援、各種の研修やお話会などのイベント等、利用者のニーズに応じて行われている。

大学図書館は、大学、短期大学および高等専門学校によって設置される図書館と、学部研究科の分館や研究所の図書室等を指す。
日本では大学図書館のための法は存在しなく、その設置根拠は大学設置基準の条文内で言及されていることによる。
多くは、個々の大学では学内規定において図書館設置の根拠や目的が明示されており、さらにその多くでは大学の研究・教育に資することが設置の目的とされている。
故に、大学図書館では教員および学生に対しての、「研究活動への支援」と「教育活動への支援」の二つの役割が要求されている。
国立大学では国立大学法人化以前は国立学校設置法の記述により、全ての大学図書館が「○○大学附属図書館」の名称だった、その後の国立大学法人法では図書館に関する規定がないので、組織や名称を変更して例えば情報メディアセンター等の名称の大学もある。

学校図書館は、教育機関である学校のカリキュラムを支援してゆく事で豊かにすることを目的として設置されるものだ、日本に於いては「学校図書館法」によって、すべての学校に図書館の設置が義務づけられている。
学校図書館の役割としては、子どもたちが生きていくうえで必要な情報獲得能力を身につける事があり、さらにはそれと共に読書の楽しみを知る手助けをする事がある。
学校図書館に於いてはその専門的職務を担う「司書教諭」を置くこととされている、だが現実では一定規模以下の学校には配置されていない。
その問題よりも、そもそも学校図書館に専任の職員がいない所も多くある、その状態では学校図書館の役割が果たされず、本や資料があっても、資料と子どもたちを結びつける「人」の不在が課題となっている。

図書館には、特別な状況にあるため通常の図書館サービスを受けられない人らのために設置された図書館がある。

・点字図書館(視覚障害者情報提供施設)
 点字図書館とは、点字図書の収蔵、貸し出し、点訳などを行っている図書館だが、図書館法に基づく図書館ではなく厚生労働省所管であり、障害者福祉の1つとなっている。
 点字図書以外に、音訳による録音図書の貸し出しや製作、生活情報の提供、ネット配信を行う事から、近年では「視覚障害者情報提供施設」のような呼称に変更されている。
・病院患者図書館
 医療者向けに、医学・医療やからだの仕組み、健康に関する情報等を提供することで、診療内容の理解と認識を深めて納得した医療が受けられる助けとなることを目的としている。
・矯正施設の図書館など、
 犯罪者・非行少年の処遇や犯罪の予防に関わる分野での、刑事政策・矯正の専門図書館だ。

専門図書館とは、各種の組織体の構成員を対象とし、その組織の目的の実現のために設置される図書館を言う。
官公庁の設置する図書館、民間団体、企業の図書館、地方自治体の議会に設けられる議会図書館、各種研究機関(研究所、学協会、大学等)に設置されている図書館などがこれにあたる。
一般にはその組織が必要とする情報を収集・提供するために設けられていて、それぞれの分野の専門的な情報が集積されている、それ故に利用者もその組織の範囲に限定されることが多い。
だが専門図書館の中でも、公的機関の資料室等では一般公開している事もある、そこでは専門的な領域の情報の提供を行っている。


国会図書館

国立国会図書館は、日本の立法府である国会に属する国の機関であり、国会の立法行為を補佐することを第一の目的とする議会図書館だ。
同時に、納本図書館として日本で唯一の国立図書館としての機能を兼ねており、行政・司法の各部門および日本国民に対するサービスも行っている。
国立国会図書館法は、その前文でその設立理念を明らかにしている。
 「国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立つて憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命としてここに設立される」とされている。
その内容は、図書館が公平に資料を提供していくことで、国民に知る自由を保障し、健全な民主社会を育む礎となっていかねばならないとする事だ、国立国会図書館の基本理念を明らかにしたものと解釈されている。
国立国会図書館は、日本の国会議員の調査研究、行政、ならびに日本国民のために奉仕する図書館だが、他にも納本制度に基づいて日本国内で出版されたすべての出版物を収集・保存する日本唯一の法定納本図書館でもある。

国会図書館の施設は、中央の図書館と、国立国会図書館法3条に定められた支部図書館からなる。
中央の図書館として東京本館(東京都千代田区永田町)および関西館(京都府相楽郡精華町精華台)が置かれており、また東京本館に付属して国会分館がある。
支部図書館としては国際子ども図書館(東京都台東区上野公園)があり、さらには司法機関に1館(最高裁判所図書館)がある。
さらには、国立国会図書館法の規定により行政各部門に置かれる支部図書館がある、加えてその職員に関する法律(昭和24年法律第101号。支部図書館法)に基づいて行政機関に26館が置かれている。

国立国会図書館は立法府の国会に属する独立した国の機関で、衆議院議長および参議院議長と両議院に置かれる常任委員会の議院運営委員会の監督のもと自立して運営される。
国立国会図書館長は、両議院の議長が、両議院の議院運営委員会と協議して、国会の承認を得て任命する。
行政の各省庁と、司法の最高裁判所に置かれる図書館については、各省庁や裁判所に置かれる付属図書館を制度上国立国会図書館の支部とすることで、国立国会図書館と各図書館を一体のネットワークに置いている。
これらの図書館は、設置主体は各省庁や裁判所だが、同時に国立国会図書館の支部図書館として、中央の図書館とともに国立国会図書館の組織の一部とされる特別な位置づけだ。
東京と関西の2つに分かれた中央の図書館は業務ごとに部局に細分化されている、そこに特別な部局として「調査及び立法考査局」がある、調査及び立法考査局は国会に対する図書館奉仕に加えて、衆参両院の常任委員会が必要とする分野で高度な調査を行う特別職の専門調査員を中心に、国会からの要望に応じた調査業務を行っている。

国立国会図書館のサービスは、3つから成り立つ。

・国会へのサービス。
 国会の立法の際に必要となる資料の収集と分析、提供を行う。
・行政・司法へのサービス。
 行政を行う各府省庁と、司法を行う最高裁判所に支部図書館を設置して、図書館サービスを行う。
・国民一般へのサービス。
 一般利用者が直接にか、またはほかの公共図書館などを通じて間接的に受けるサービスを行う。
 または、地方議会や公務員へのサービスも該当する。

「国会図書館」という名称から判る様に国会へのサービスを第一義とするが、国民一般へのサービスも国立国会図書館の重要な要素だ。
国民へのサービスは日本の国立中央図書館としての機能であり、納本制度に基づいて国内出版物の網羅的収集や全国書誌の作成が行われる。
さらには、図書館間協力や国際協力も行っていて、国際協力としては資料の国際交換、資料の貸出・複写・レファレンスサービス、日本語図書を扱う外国人司書の研修などがある。

国会図書館の一般利用者へのサービスは、
・来館利用。
・利用者の身近にある図書館などを通じた間接的な利用。
・インターネットを通じた電子図書館サービスの提供。
などから成り立つ。

国立国会図書館の東京本館、関西館、国際子ども図書館に利用者が直接訪れる来館利用では、利用に許可の必要な資料を除き、国立国会図書館の所蔵する資料が利用者の求めで提供される。
国立国会図書館の所蔵する資料は現在では3館に分散していて、それぞれに取り寄せて来館利用が可能だ。
国立国会図書館は資料の保存を大原則としているため、身近の多くの図書館と違い、来館利用でも個人に対する貸出を行っていない。
所蔵する資料が膨大で、サービスの対象とする地域は全国で広く、それ故に個人からの利用には制約が多い、さらに来館利用する場合は時間的にも制約が多い。
そのために、利用者が資料の入手を図る場合は、身近な図書館を利用したほうが容易に資料を得やすく、他の図書館で見当たらない資料のみ国立国会図書館を利用すべきともされている。

国会図書館では複写サービスがあるが、複写(コピー)は、利用者自身が複写機でコピーを取ることはできず、複写カウンターに申し込んでコピーを依頼する。
利用者自身による複写が認められていない理由は、
・国立国会図書館は納本図書館として資料保全を図る必要があり本を傷めるような複写(コピー機に本を押しつけすぎるなど)をされる危険を回避しな ければならない。
・図書館一般における利用者の複写は、原則として著作権法第31条の定める著作権者の許諾を得なても良い複写の範囲に限られている。
国会図書館では上記理由から、複写する資料の状態や複写内容を図書館側がチェックすることになっている、故に国立国会図書館にしか所蔵されていない貴重な資料であっても、著作権の存続している資料の全頁を複写することはできない。
複写には来館複写と遠隔複写がある。
・来館複写は、資料を実際に閲覧したうえで複写箇所を特定し、複写カウンターにて申し込むサービスだ。
・遠隔複写は、利用者登録をしている人がインターネット上で国立国会図書館オンラインから資料や雑誌記事を特定し、Web上で申し込むことにより、郵送でのコピーサービスを受けることができる、発送事務手数料と実費送料は必要だ。

データコピー・バックアップサービスの@IDEA

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