項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:74
スマートホンの機能4
・iPhoneの日本上陸以降
(承前)
2010年後半から、日本型高機能携帯電話の要素を持つスマートホンが日本のメーカーから発表され、「ガラケーのようなスマホ=ガラスマ」と呼んだ、その機能としては「プッシュ型キャリアメール対応、FeliCa、ワンセグ、赤外線、緊急地震速報」等がある。
また、操作性向上とフィーチャーフォン利用者のスマホ移行促進を目的として、テンキーを備えた「ガラパゴスケータイのような形状をしたスマホ」が登場した。
これは「ガラホ」とか「スマケー」とか呼ばれた、これらはその初期には動作の不安定さがあった事もあった、さらには「ガラホ」等では従来型携帯電話(フィーチャーフォン)で支持されていた電池持ちの長さが損なわれていた、それらもあって支持は伸びなかった、ただしその後も少数のユーザーで使用されている。
2011年上半期には携帯電話新規販売台数の約半数がスマートホンとなり、2012年にはさらに普及して約75%を占めた。
・国内メーカーのスマートホン対応
多くの通信帯域を利用するスマホの急速な普及によって、各通信事業者は無線LANへのオフロード(携帯電話のデータ通信を無線LANを介して光回線に迂回させる)事でしのいだ、そしてその後にLTEやモバイルWiMAXといった、電波効率のよい次世代の通信方式へ移行していった。
2012年10月時点で日本のスマホ普及率は39.9%だった。
2013-2014年には2年連続で出荷台数が減少になった、2014年はフィーチャーフォンが僅かだが増加を見せた、理由はフィーチャーフォンからスマホへの移行の鈍化と、スマホ利用者の機能・性能に対する満足度が高まり買い替えの頻度が落ちたことなどが原因とされている。
国内メーカーは端末の開発をスマホにシフトしたが、世界シェアはAppleとサムスン電子の二強が半分を占めていたので、残りのシェアを奪い合うこととなり苦戦した。
部品については日本メーカーの使用率が高かったが、半導体チップは米クアルコムが独占していた、その供給は、Appleとサムスン電子が優先されるために、日本メーカーは販売台数は限定される状況となった。
各携帯電話キャリアも、人気のある端末をリリースすることが事業戦略になり、以前の様には国内メーカーと強い関係を続けられず、人気の高い海外製スマホを主力商品とした。
・LTE網の広がり
ソニーは、新しい高速の通信網のLTE網が実用的な範囲にまで広まった事で、ソニーがそれまでキャリア側のNTT(docomo)に渡していたスマートホンのブランド「Xperia」の商標を、自社ブランドとして共通化した、(それ以前は、auは別商標か商標なし、ソフトバンクモバイルは未参入だった)。
その結果として、ソニーは2014年に国内市場では、OSが同じアンドロイドに関してはサムスン電子から一気にシェアを奪った、スマホ全体ではAppleに次ぐ国内2位に浮上した。
ソニーは高性能・高機能のスマホを展開したが、そこには携帯電話搭載デジタルスチルカメラや、顔認証・指紋認証に必要なイメージセンサの分野においては世界市場でリードしていた背景があった、その技術をスマホにも導入した事が理由としてあった。
ソニーが導入した多くの技術と機能は、その後には海外のスマホでも当然に搭載される事になった。
日本ではキャリアが回線と移動体通信端末を一括にして提供していた。
2015年に、オプテージが日本初の格安仮想移動体通信事業者(MVNO)「mineo」のサービスを開始した、それにより日本でも端末の自由化が始まった、それはその後に「SIMフリー」と呼ばれる時代になった。
この変化と流れを受けて、それ以前は端末メーカーはキャリア各社を通して端末を販売していたが、その中のいくつかのメーカの、ソニー、シャープ、富士通、京セラらが続々とSIMフリー・メーカーブランド端末を発売した、そこでは各社がそれぞれの独自性を強く出そうとした。
しかし、LTE時代を経過して、海外メーカーに対して苦戦していた国産スマートホンでは、多数の国内メーカーが撤退した。
MVNO:
MVNOはMobile Virtual Network Operatorの略で、日本語では仮想移動体通信事業者と訳される。
NTTドコモなどの移動体通信事業者から通信回線を借り受けて、サービスを提供している事業者をMVNOと呼び、多くのMVNOは借り受けた通信回線を用いて、格安SIMと呼ばれる安価なサービスを提供している。
そこでは通信容量を抑えたり、サービスの内容を簡素化して、移動体通信事業者よりも価格を抑えたサービスを提供した。
SIMフリー:
SIMフリーは、対応機種ならばどの通信会社のSIMカードでも使える状態やSIMロックがかかっていない状態のスマホを指す。
スマホの通信は、契約情報や電話番号などを記憶したSIMカードを刺して行う。
2010年代末までに携帯電話とスマートホンの純国内メーカーはソニーだけになり、それ以外はニッチ市場になった。
京セラがカシオ「G'zOne」の後継機の「TORQUE」に対応し、FCNTが富士通の事業を継承して高齢者向け「らくらくホン」に対応したが、全般では減り続けて世界的なシェアでは下位だった。
国内市場でも、Appleが過半数のシェアを確保した。
らくらくホン
1999年からNTTドコモが展開した、初心者や高齢者層をターゲットにした携帯電話端末シリーズだ。
人間工学に基づくユニバーサルデザインと装備と機能が特徴だ、具体的には、機能(スマホのアプリに相当)を基本的にのみに絞り、ディスプレイやボタン(キー)の文字サイズを大きくし、凹凸を大きくした。
さらに販売後のサポートも厚く行うのが特徴だった。
日本ではスマートホンが普及する中で、従来型携帯電話も少ないながらも継続的に使用されていた。
だが2020年に入り、3G回線を使用したサービスは、大手キャリア3社全てが終了予定であることを発表した。
それを受けて、その各端末のメーカーも応じた形になり、2023年現在3G回線を使用する従来型携帯電話(通称:ガラケー)の新機種製品の生産や販売は中止されている。
通信規格の整理
通信規格 開始時期 特徴
3G 2001年 静止画(カメラ)、ブラウザ、動画
4G 2010年 スマホ普及、動画、配信サービス、SNS
5G 2020年 超高速、超低遅延、多数同時接続
初期のスマホは3Gだったが、2010年に4Gと4Gスマホが登場したことよって、3Gはガラケー利用者、4Gはスマホ利用者が中心になって、棲み分けが生まれていた。
キャリア各社ともに、次世代通信規格の4Gの普及で減少している3Gの契約数と、今後の5Gへの経営資源集中などを理由に、さらには3Gサービスで使用していた周波数帯を4Gや5Gで活用していくため、3Gサービスを終了することを発表した。
従来形携帯電話は4Gを使用するものが残る事になった。
腕時計型端末
ウェアラブルデバイスとは、手首や腕、頭などに装着するコンピューターデバイスを意味する。
代表的なウェアラブルデバイスの例としては、腕時計の様に手首に装着するスマートウォッチと、メガネのように装着するスマートグラスがある。
いずれも小型と軽量化が必要だったが、CPUやメモリなどのコンピューターを構成する部品の小型化が進んだ事がウェアラブルデバイスへの背景になり、新しいコンピューターデバイスとして多くのメーカーにより開発が進められて来た。
ウェアラブルデバイスの用途は幅広い、例えば受信したメールを読む、SNSに投稿されたメッセージをチェックすると言う、スマートホンと同様の使い方がある。
さらには、ジョギングや水泳などの各種運動を記録する用途や、心拍や脈拍や睡眠時間などを計測管理して健康維持に役立てる用途、現実世界のモノに仮想空間の情報を重ね合わせて表示する用途、等のさまざまな領域での利用が考えられている。
腕時計型端末は、ウェアラブル端末の一種で、腕時計のような形をした、手首に巻いて用いるタイプのものを意味する言葉だ。
ウェアラブルデバイスの中で腕時計型とかリストバンド型は、手首に巻いて使用するタイプであり、見た目や使用感的にはそれぞれの機器としての歴史もある。
スマートホンを小型軽量化した機器としての用途がある、そこでは表示パネル・タッチパネルの面積の小型による、入力と出力のインターフェイスの課題がある。
スポーツ用途と健康管理用途では、持ち運びに適した機器としての意味があるが、さらに人体と接触している事からの心拍や脈拍や睡眠時間などを計測管理を行う用途があり、特に腕時計型のタイプでは比重が大きい。
スマート機器としての意味には、通信機能の保有を含める事が一般的だ、その方法には色々とある。
・バッチで時々接続する。
・有線で連続接続も可能。
・無線で時々接続する。
・母機(一般的にはスマホ)を通じて接続する。
・スマホと同等の通信機能を持つ。
スマートウォッチと呼ぶ時は、後者2つの場合が一般的だ。
腕時計は最初は動力としてゼンマイを利用したが、後に人の腕の動きを利用した自動巻が登場した、その後に電池・電力を利用する電子化が行われた。
電池としては小型電池が使用されたが、のちに太陽電池が登場した事でそれでは電池交換が不要となった。
電子化された時計では、時刻補正を標準時刻の電波通信で行う機能が追加されて電波時計と呼ばれた、それは1日のなかの特定の時刻だけに限定的に電波通信する機能であり、小型電池・太陽電池でも電力消費での寿命に影響しない電力だった。
携帯電話とスマートホンでは、音声通話やデータ通信を無線で行うがそれは、パソコンのインターネットの様な常時接続では無くとも、待ち受け状態でも無線通信の頻度が高く電力を多く消費する。
そこで使用されるのは、充電方式の電池であり、スマホではほぼ毎日の充電が必要とされる、
腕時計型端末では、単に時刻補正やバッチ的なデータ転送のみの通信機能であれば、小型電池・太陽電池駆動も可能だが、スマホ代替用途や、スマホと同等の通信機能での健康管理用途等では充電方式が必要となる。
現状では電池駆動の、万歩計や消費カロリー計があり、そこには時計機能も含まれる事も多い、それは週1回レベルの通信を想定しており、電波時計と類似レベルだ。
スマートウォッチは、腕時計型のウェアラブル端末を指す、ウェアラブル端末は身体に着けるCPU搭載の電子機器のこととすると、スマートウォッチとは「腕時計型のコンピュータ」を指す事になる。
現在のコンピュータの意味としては、通信機能がある事であり、さらには小型・モバイル性を含むケースも多い、それ故にコンピュータをスマートホンに置き換える方が判り易いとも考えられる。
スマートウォッチは多くの場合、通常の腕時計の文字盤にあたる部分がディスプレイになっている。
機種により異なるが、そこでは単に時間を確認するだけではなく、スマホの様に天気を確認したり、メールや電話の通知を受け取ったりすることができる。
小型・モバイル機能については、今ではスマホやタブレットでさえ大きな欠点のひとつともされる事に持ち歩く時にかさばることがある事に対して、スマートウォッチが代替えになる見方もある。
腕時計型は携帯性に優れており、スマホのように鞄やポケットに入れて持ち運ぶ必要がない、さらにジョギング中でも使用できる。
さらに最近は、ユーザーがそれぞれのライフスタイルに合わせて選べる「特化型」のスマホが登場して、ビジネスユース、健康管理、スポーツ・キッズ用途などで機能を持つが、スマートウオッチもその方向性にある。
スマートウォッチの機能は発展途中であり、機能・性能共に変化・革新中と言える、それはスマートホンの小型化としてのスマートデバイスとしての機能として見れば可能性は膨大だ。
現状はスマートウオッチ単体としても、あるいはスマホと連携してそこのアプリで使用する機能としてもある、表示面積と入力機器の課題を抱える事からこの2方向性は併行して進む可能性が高い。
双方をまとめて機能を整理する。
・「健康管理・ヘルスケアのサポート機能」
・「スポーツや運動のサポート機能」
・「スマートデバイスとしての機能」
最初の「健康管理・ヘルスケアのサポート機能」には下記がある。
・心拍数の計測
・歩行距離の計測
・睡眠の質のスコアリング
・消費カロリーの計測
・ストレスレベルの計測
・生理周期の予測
・血中酸素レベルの計測
・その他
(続く)
スマートウォッチの機能
(承前)
健康管理・ヘルスケアのサポート機能
・心拍数の計測
日々の健康管理に役立つのが、心拍計の機能だ。
スマートウオッチがセンサー内蔵ならば、心拍数を計測して表示できるが、他にも連動するアプリにデータを転送して確認・記録することが出来る。
スマートウォッチを腕に身に着けているだけで自動的にデータが測定できるので、手間なく簡単に続けることが出来る。
これをスポーツシーンで使用すると、ランニングやウォーキング等で変動する心拍数を確認出来て、自身の体調や運動強度を確認して調整も可能になる。
・歩行距離の計測
スマートウォッチを腕に着用して歩くことで、自動的に歩行距離が記録される。
継続すると、毎日の歩数を把握しれ比較する事も可能であり便利だ。
万歩計やスマートホン等を持ち歩く必要がなく、毎日のウォーキングにも向いている。
(続く)