項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:32

多重プロセッサー

ハードとしてのコンピュータでは、プロセッサーが複数という事はかなり前から普通に行われています。
シンプル化と低コストを中心に、発達してきたパソコンレベルのコンピュータでも同様の時代になりました。
以前は、半導体チップ上の集積度を高くして、かつ実行速度を早くして、チップ上の実装部分と、周辺IC(いわゆるチップセット)全体の機能向上を行って来ました。
しかし、半導体結晶に形成する回路の小型化は制限があります。
回路幅のみを狭く出来ません、回路高さや回路間隔を狭くすると、絶縁の問題がありますし、動作速度も頭打ちになってきます。
マイコンレベルでも機能向上を、複数のプロセッサーで行う方向になります。

複数のプロセッサーを使用する場合には、それら全てをコントロールする機能を持つプロセッサーが必要です。
パソコンレベル・マイコンレベルでは、複数のプロセッサー・チップを使用せずに、1チップ上に全ての機能を実装する方向です。
ICのチップ数は同じで、内部で複数のプロセッサーを持つ事で機能の向上を計ります。
もちろん、コントロールする機能も同じチップ上に形成します。
この状態では、プロセッサーの演算速度と同時に、複数のプロセッサーを効率よく稼働させるソフト的な能力も重要になります。

マルチコアという、1チップ上に複数のプロセッサーを載せる方法は、1プロセッサーの機能向上が限界に近づいた、1990年代後半から始まりました。
それが、パソコン以外にも拡がったのは、電力消費量の増加と主記憶メモリーとプロセッサーの速度差の問題からです。
電力消費量は、増える一方ですが、マルチコア方式の方が対策は行い易いです。
主記憶メモリーのダイナミック・ラムの速度が頭打ちになり、プロセッサーと比べて遅くなりつつありました。
プロセッサーは、速度優先の動作機構を使用して、ダイナミック・ラムは集積度とコントロール性が優先ですから、差が生じました。
プロセッサーのチップ内に、色々な機能を持たせる事はパソコンだけではなくなりました。

マルチコアでは、プロセッサーの数が増えた場合は、通常は1つのプロセッサーが全体の管理・コントロール役をします。
それが専任か、マルチ動作かは設計によりますが、2コアでは専任では意味は弱いです。
残りが割り当てられた動作をしますが、並列処理が効率よく割り当てられる用途では、プロセッサーの数が増える程に有効になります。
実際は、プロセッサーの数で効率のよい、全体の動作方法の設計が変わってゆきます。

マルチコアでは、プロセッサー機能以外に同一チップ内に搭載される機能が、増えてきました。
それ以前は、チップセットとして複数のLSIに分割されて提供されていた機能が搭載の割り振りも変化が生じる事になりました。
結果として、よりチップセット的な使用方法が重視になります。
マルチコアでは、ブラックボックス的な性能でみると、機能向上の可能性が増えました。
それ故に、しばらくはマルチコアプロセッサーの機能向上は続くと思います。
ただし、その次はどのような方向に行くのかはまだ不明でしょう。


本体とセット

マイコン時代はコンピュータは、複数の部分に分かれて販売されていました。
それが、次第に一体化されて来ました。
標準的な利用者には、必要なパーツが似た需要だからです。
それは、ノートパソコンの登場でほぼ飽和状態になりました。
ただし、自作またはオーダーパソコンの分野は別に存在しました。
さて、いつの時代でも本体という用語はあります。
しかし、パソコンの本体とは何かは時代と個人で理解が異なります。

スマートフォーンをパソコンとして見る事が出来ます。
実用的に見ればクラウド・パソコンです。
これを一体型と考えるか、本体のひとつの形と見るかは微妙です。
ただし、インターフェイス部分は新しいものが登場するでしょうから、ひとつの一体型とするのが無難でしょう。
ノートパソコンと比較すると、ハードディスクや着脱マルチメディア媒体が無く(メモリーチップは使えるものもある)、入力方法が異なります。
ネットワークに接続して使用する事が前提の設計です。
ネットワーク接続を前提にすると、本体というべき最小部は少ない事に気づきます。

現在のパソコンは初心者用のセット販売と、個別またはBTOに別れています。
初心者用は、プリインストールソフトの他に初期セットアップ出張サービスとインターンネットへの加入・接続作業までついています。
これは本体とか細部はなく、直ぐに使用できると想定した最低のセットとしての販売です。
販売店では、店舗でも通販でも購入対象者にあわせて、セットからバラ売りかを決めているようです。
サードパーティと呼ばれる付属商品の販売でも、規格化が進んだために購入時の問い合わせで動作確認は、メジャーなハードでは可能になりました。
顧客技術サービスの対応増加は、本体+周辺装置販売を広めています。

BTOでは、デフォルトの販売単位があります。
用語的には、それが本体だったり販売単位の中のプロセッサーを含む部分だったりします。
ただしその内部の機能にもカスタマイズ部分が存在します。
基本的には、コンピュータは動作に必要な最低のセット販売が主体です。
従って個人用途では、本体の概念は意味はほとんどないです。
あくまでも業務用で、類似機種を多数台使用している場合に、部分的な故障等による取り替えを行う時にその単位として、はじめて現実に使用する言葉となります。

ノートパソコンとカテゴリは異なる扱いですが、もはやそれより小型のコンピュータと言えるのが、携帯情報端末とスマートフォーンです。
これらは、原則的には一体型です。
ただし、既にオプションの外部機器も存在します。
現在の特徴は、タッチパネル方式で、入力機器としてのキーボードやポインタはオプションです。
前者は出力画面そのもので、後者は指のタッチです。
現状は、一番最小の入出力の装置の組み合わせです。
ただし、歴史的にこれが最終とは言えません。
オプションとセットは絶えず登場する可能性はあります。
例えば クラウド記憶システムは、セットの記憶装置とも見る事が出来ます。

ハードウエアとソフトウエアのセットは、一般的です。
この時に、ハードウエアを本体とはあまり言わないですが、組み合わせの種類によってはその様に見る事も出来ます。
そもそも、メインコンピュータ内のプロセッサーよりは、機能も容量も限定ですが、周辺機器制御用のマイコンチップを搭載する事は普通に行われています。
それが次第に機能を持ち、昔のメインのプロセッサーレベルの機能を持つ事は珍しくありません。
その場合は、ソフトウエアの比重は大きくなります。
そして、それのバージョンアップで大きく機能が改良されるならば、ハードとソフトのセットと見る事が出来ます。
本体+セットは、階層的な組み合わせで成り立っていると考えると判り易いでしょう。


コードレス機器

無線情報通信は用途によっては、非常に便利です。
あくまでも用途にとってはの段階です。
同様に、パソコンセットが有線で繋がっている時代が変わり始めています。
これも、要求用途とコストと性能の絡みです。
ただ、デスクトップを中心にパソコンを見て、電源線・接続線の多さに驚く人はいつも多いです。
初心者では、初期の納入状態から配線接続自体が難しいとも聞きます。
一度、接続しても有線の配線だらけに閉口という人もいます。
従って、コードレス機器の需要は確かにあると言えます。

コードレス機器の代表は、いわゆるヒューマン・インターフェイスです。
入力は、キーボードとポイントデバイス(マウス等)です。
出力は、ディスプレイとかプリンターです。
特に使用時と、非使用時に場所を動かす事の多い、入力機器はコードレスの恩恵が大きいです。
特に、本当の意味で使用中も動かすマウスは、コードレスは使用感が大幅に変わります。
機械接触マウスから非接触の光学マウスに変わった時のような、変化のイメージはあります。

コードレス機器の使用範囲は、当然ながらその通信方式に依存します。
わざわざ、無線ルーター通信を利用する場合は多人数の共用機器・・例えば、プリンター等があります。
一パソコン機器に限定される場合は、テレビのリモコンの様なシンプルな方法例えば赤外線通信や、自動車のシャッターのマイクロ波通信等が使用されます。
どちらも、近距離用ですが、もともとが非常に離れた距離の通信用途ではなくコードレスに重点があります。
「離れても使える」ではなく、「邪魔なコードが無い」の方が目的です。

PHSと携帯電話は、違う規格・機能ですが、次第に差が少なくなっています。
同時に、PHSのシェアが相対的に減少しています。
PHSは、コードレス電話が起源であり、これを屋外でも使用する事です。
従って、パーソナル・ハンディ・フォーンの略です。
屋内のコードレスの電話の子機を屋外でも使用する事がはじめです。
電話の子機の用途と普及を考えると、コードレス機器を理解しやすいでしょう。
そもそも、インターネットとか電話回線等の他の回線の存在を仮定していません。
狭い範囲でも、簡単に通信できてしかも移動可能で、コードがないというシンプルな姿があります。
意外にも、パソコン関係が遅れた感があります。

家庭内情報システムと、オフィス・フロワー内情報システムは提案からも、既にかなりの期間になりますが、特に前者は定着していないです。
家庭内といえども、費用対効果が大きな比重を占めます。
それが、普及しない事は上記に進展がないと言えます。
離れた所から、ネットか携帯電話回線で自宅の機器を動作させる事のメリットとデメリット(含む費用)を比較して後者がまだまだ大きいのでしょう。
そして、現れつつあるクラウドシステムよりもメリットがどこにあるかは、今となっては競争対象です。
タイマーで動作出来る事程度では、メリットとは言いがたい。
狭い日本家屋の室内同士でのコードレス通信の有用性は、いまだ現実性がない状態です。
結局は、必要な部分的な機器でのみコードレス化が進む状態です。

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