項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:45

ソフトの互換性

情報機器におけるソフトの重要性はいつも変わらない。
新しい情報機器が登場すると、それに対応したソフトの有無が問題となる、ソフトとハードとは密接だが、現在はOSやBIOSを介して結び付けるソフトが主流だ。
それは、OS間の互換性の有無でソフトの互換性が決まる事になり、OSがバージョンアップ等で変わると内容次第で、対応ソフトが新バージョンOSで動作するかが問題となる、これもソフトの互換性と見られる。
OSの互換性は、パソコンではウインドウズの寡占状態だったので、分野の進歩を吸収する形で間欠的に行われ、その結果としてアプリケーションソフトの互換性も多くは維持された。
当然ながら新規追加機能には対応しないが、継続使用は一定に守られていた、だが今それが崩れてきた。

ソフトの互換性は、ソフトメーカーがメンテナンスしてサポートするのが常識だった。それが無償か、有償かはソフトの性格と利用者との契約の問題だ。
とにかく、稼働する事が要求されるソフトでは当面の稼働確認とサポートは必要だが、新機能は新バージョンとして旧バージョン利用者への割引提供の方法で行われた。
双方が納得出来る費用と機能とサポートであれば、継続的な関係が築けた。
一方では、セキュリティソフトや、時刻表ソフト等で更新を前提としてソフト購入とメンテナンスの契約がセットの商品もある。
ソフトが互換性があり稼働する事は最低限だがそれだけでは不足だ。

OSやプログラム言語ソフトの互換性は別の意味を持つ。
OSはその下で動くアプリケーションソフトに対して互換性を維持するかが問題となる、OSのバージョンアップでアプリケーションソフトが動作しなくなる=バージョンアップが必要になる状態は、ソフトメーカーにとっても利用者にとっても負担が大きい。
プログラム言語ソフトは、それで開発したプログラムが、1:そのまま稼働する、2:ソースプログラムを変えずに例えばバージョンアップしたコンパイラで再コンパイルすると稼働する、3:ソースプログラム自体を書き直す必要がある、のかで異なる。
互換性有りは1:の場合だが、2:は利用者次第で認識が変わる。

ソフトウエアには動作環境が記載されているので、それ以外は動作確認は行われていない。
それは、動作しない意味ではなく未確認と、動作しない機能があるという意味と、速度的に推奨出来ないという意味の場合も含む。
また単純に、パッケージソフトでは商品への記載が間に合わない場合も含む。
OSの基本機能のみを使用しておれば、多くの場合はOSのバージョンが変わっても動作する事は多いし、一部の改良で動作する事も多い、サポートとしてバージョンアップ用の追加・書き換えソフトの提供も行われるが、新しい機能を追加して新バージョンで販売する事も多い。
後者では、互換性の有無は不明確になるし、全く使用しない機能が増えるばかりという事が起こる。
ただし、個人がソフトの互換性を確認する事は難しいし時間もかかり、精度も低い、その上で承知して使える範囲で使用する人は存在する、勿論自己責任となる。

ソフトウエアはハードウエア依存性は避けられないが、BIOS>OS>アプリケーションソフトと階層的にハードウエアから離れるに連れて、上位がハードウエア依存性を吸収してくれる可能性が生じる。
アプリケーションソフトでも、プログラム言語ソフトの場合はそれを使用して製作した多数のアプリケーションソフトに影響を与える。
現在はほぼコンパイラ方式で、使用頻度の高いサブルーチン・モジュールを、ランタイムルーチンとして提供し何らかの方法でリンクして動作させる。
従って、プログラム言語ソフト及びランタイムルーチン単位で互換性を保てばその言語で書かれたソースプログラムを再度コンパイルするだけで動作出来る。
ただし、新しいハードウエアやOSから見れば下位互換性となる、ただし新しいハードウエアやOSの機能が必須となる事は多くはない。

ソフトウエアの速度は、ハードウエア依存の場合と、速すぎて人間とのインターフェイスが取れないので人間に合わせて遅延を入れる場合がある。
遅すぎる場合は、原則は処理の省略等の荒技を使用しないと速くはならない、この場合はソフトウエアに互換性を持たせやすい、何もしないか使用者にインターフェイス速度調整させても問題は殆どない。
ソフトウエアに遅延を入れている時は、それが調整可能かどうかが問題だ、ハードの差を考慮されて作られている事を期待するが、そうではないものも存在する。
例えば、ハードウエアとOSが、32ビットから64ビット対応になったと宣伝される事は多いが、バージョンアップしたソフトウエアは互換性の為に32ビットモードで動作させるか、32ビット用と64ビット用が同梱されている。
下位互換とはその様なものだ。


外付けHDD

モバイル機器の普及は主記憶装置としてのHDDを持たない情報機器の普及となった。
それは、HDD記憶装置と半導体記憶装置との長所と欠点をそのままに受け継いだ事になった、モバイル機器の弱点だった動的な記憶装置のHDDを使用しない事を追求した形だった。
ただし、そこにはクラウド・サーバーの存在を抜きには成立しない事があり、クラウド・サーバーの本体は依然としてHDDだ。
パソコンは、デスクトップもノート方式もHDD内蔵で進んで来たが、HDDの容量増加と容量当たりの単価の下落はその使用を避ける理由は存在しない。
ただ、パソコンのハード構成を考える場合の選択肢には変化もみられる、半導体記憶装置と外付けHDDの普及と価格低下による多様性の増加だ。

高容量HDDの増加と安価化、そして外付けHDD機器の普及は、パソコンだけでは普及しなかったとも考える。
複数の録画機=CD・DVD・ブルーレイの普及と共に、高容量HDDへの録画方式が普及した事が大きい。
従来は着脱自由式の媒体=FD・CD-ROM・DVDーROM等に記憶する方式がメインだったが、消去可能・上書き可能媒体は装置の互換性が乏しかった。
また、1回のみ書き込み方式の媒体=DVDーWORM(write once read many)は安価になったが編集が出来ず、失敗すると使い捨てになる欠点があった。
そこで高容量HDDとDVDーWORM等の1回のみ書き込み方式の媒体との組み合わせ機器が登場し、高容量HDDに録画して、その中で長く保存したい情報だけを1回のみ書き込み方式の媒体=DVDーWORMに書き込む方式が提案されて、利用者に支持された。

録画機器の録画媒体として高容量HDDが使われる様になると、その需要が技術向上と商品増加とコストダウンを引き起こした。
それは、サードパーティによる外部接続機器の提供にも現れた。
ハード的には、コネクター部以外は共通が可能で、専用・共用・機能向上の為のソフトウェアを添付する事も多い、媒体の初期化で用途を決められる。
500メガや1テラの外付けHDDの容量が、どの程度の期間で使い切るかは個人差があり不明だ、録画したものを見てから消すか必要なものだけDVDーROMに残すのか使い方は決まっていない。
パソコン用となると、個人用ではバックアップやサーバー用など以外で使い切る事は少ないだろう、接続端子はUSBで着脱も簡単となれば使用方法も変わって来る。

パソコンの外付け記憶機器は、色々と現れては消えた。
それらは、HDDの欠点を補う要素を持つ方法だったが、逆に別の面で弱みがあった。
デスクトップ・パソコンの内蔵記憶機器としてHDDが使用されている内は、外付け記憶機器は置き換えが生まれず、着脱可能な媒体のみが使用された。
その一部が内蔵された、具体的にはCD-ROMとDVD-ROMだ、ブルーレイはまだ先が見えていない。
CD-ROMとDVD-ROMは、RAMが多数提案されたが互換性の問題で広がらず、ROMとWORM(書き込みが1回のみ可能=Write onece read many)の双方に対応した機器特に、CDとDVD双方に対応した機器が広がった。
これらは、HDDと外付けHDDと競合する面が少なかったが次のUSBメモリーの普及は微妙な位置となった。

USBメモリーはインタフェイスの仕様の互換性で、変換機を使用した場合も含めると、現在の主要ハード機器の外付けで着脱可能記憶媒体として普及している。
その軽量性や小型化や携帯電話・スマホ等の外付けカードとの変換部品を介しての互換性の確保は現在では他を引き離す。
外付けHDDがUSBメモリーに対して持つ優位性は、その圧倒的な記憶容量だけだがそれは大きい。
USBメモリーを念頭に設計されたハード機では、大きな記憶容量をネット上のクラウド領域に置くがそれの実態は、容量の大きいHDDサーバだ。
パソコンでも半導体の不揮発メモリー内蔵や、USBメモリー対応は省かれる事はなく、双方の記憶装置は繋がって使用されていると言える。

HDDは発明時から次第に小型化してきたが、3.5インチまで来てそこで1つのサイズとして標準になり以降は高容量化が進む。
一方では、それ以下のサイズが開発されていて2.5インチや1.8インチなどが実用化されている、組み込み用としては小型で独自の用途がある。
後者は、半導体メモリーやその1つとしてのUSBメモリーに対して圧倒的な容量差ではないので完全な棲み分けとは行かず、中間的な位置となる。
外付けHDDでも商品としては、3.5インチが主流であり目標はますますの高容量化であり、1テラが普及しつつ次の3.3テラも視野に入って来ている。


無線ポインタ

家庭用リモコンから短距離無線通信が広がった。
今のブームは「Iot」(物を結ぶインターネット)で無線通信インターネットの普及が背景にある。
パソコンはマウスが普及以来、ノートパソコン時代になってもポイントデバイスのメインの座を守っている。
ノートパソコンの数々の付属ポインタは、モバイル利用時は使用されてもデスクワーク時にはマウスを使用する人が多い。
スマホ・タブレット端末の登場で、指タッチ方法が急激に普及したが本質的には、マウス系のポインタとは異なる用途と考えられる。

タブレット端末とノートパソコンの共用ハード機器が登場したが、使い分けの提案が充分に為されているとは言いがたい。
1+1=2では意味がないが、1+1=2だが価格が2倍以下の時は微妙だ、なぜならば本当に双方の用途に使用するかは不明だからだ。
どうしても画面サイズの差は大きく、モバイル用途では軽量かつ小型が望まれるし指タッチやソフトキーボードを否定する根拠が少ない。
逆に、タブレット端末をノートパソコンの置き換えとして使用する時は、外部接続機器としてのキーボードと例えばペンポインタは必須と言える、それだけで足りるかが課題であり、クラウドと外付けHDDとUSBメモリーの組み合わせ方が課題だ。
そして、OSとアプリ等の問題に行き着く。

キーボードとポインタの問題は、ハード機器とOSとアプリが絡む。
何が向いているか、使い易いか、モバイル性が高いか等は総合的に定まり、個別のアプリでは異なる事も珍しくない。
例えば、スマホ・タブレット端末に日本語変換ソフトを組み込もうとしたら、個別のアプリでのみ可能だった事もある、初期からある程度のOSと公式アプリが搭載されており、それをクローズ状態でサポートしたいメーカーは他の機能の追加には慎重になるようだ。
スマホ・タブレット端末はキーボードとポインタ機器レスでスタートしたし、それでの使用が急には無くならないと思える。
だが、用途によってはキーボードとポインタ機器の使用も増えてきた、その使用方法での時の現在の流れは、不使用時に邪魔にならないか、着脱可能か、無線接続かの選択だ。
パソコンに拡げると、無線接続が一番に注目される。

無線接続の最大の利点は、操作性であり、次に作業スペースの制約が少ない事だ、欠点もあるが後で検討する。
無線接続方法は、使用電波で異なるがLEDの可視光線から波長の短い電波まであり、無線インターネットは可能性を広げると期待されるがこれからの技術だ。
無線通信は混線防止が必要だ、それに繋がる傍受・盗聴の対策は必要だ、その危険性を認識しない利用者の急増は犯罪や被害に繋がる。
その意味では、パソコンを中心にした無線キーボードや、無線マウス等の周辺機器の無線接続は普及可能性が高かった。
インターフェイスがUSBに統一されると、本体からの無線電波発信もそれに対応させれば、外部機器の規格も統一され汎用になる。
それはむしろ、パソコンのキーボードやマウスやプリンタ専用端子を不要にして、USB端子に統合出来る意味がある。

無線ポインタはマウスでもペンポインタにしろ、今後登場するものでも、消費電力は少ない、または少ないものだろうと予測される。
有線接続の場合は、本体から電力を取る事が普通である、意識する必要はなかったし、また一般民生品のリモコンスイッチは多くは電池でかなり長い時間を動作可能である。
機器設計者は、利用者がストレスを感じない長さの電池交換時間を想定する場合はリモコンを参考にするだろうし、電池の大きさも重量から単三・四程度の小型使用を考える。
光学性位置決め方式の無線接続マウスはその自由度が高く、早期に普及が予想される。

無線ポインタは短距離の無線接続通信と考えるのが実用的だ、リモコンの様に互いに見える(媒体的に)範囲なのか、もう少し広がりのある範囲が対象なのかは後者の方が利用性は高い。
USB端子を1つ占有する事は、初期設計で対応できるだろう、コンパクト化が1つの目的なので後付けの拡張端子使用は躊躇しそうだ。
入出力機器だけが手元にあれば、殆どが操作出来る可能性はある、プリンタや着脱媒体という使用頻度が異なる用途の有無で変わるのだが・・・。
付きつめるとスマホに近づくのかと思えなくもないが、作業性を考えると使用しやすい表示装置やキーボードやポインタは別のものに思える。
併行して普及と予想する。

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