項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:51

液晶ディスプレイ

液晶ディスプレイは平面で薄型の表示装置であり、液晶組成物を利用するがそれ自体は発光せず、シャッターの原理で光を通過・遮断する事で表示を行う仕組みの装置を言う。
液晶ディスプレイは電子機器の普及とそのデジタル化と小型化と薄型化に伴いその情報表示装置として一般的となり普及して来た、具体的には数値や機器の状態や環境の情報の表示や画像と映像等の表示用の装置として、あらゆる電子機器に利用されて来た。
「液晶ディスプレイ」という言葉には装置としての意味があり、「液晶パネル」という言葉には液晶を板状の表示部品にした物の意味が有り、「液晶モジュール」という言葉には「液晶パネル」に加えて「液晶パネル」に電気信号を送る駆動回路類を含むものをさす意味があり、「液晶モジュール」を単体装置にした物が「液晶ディスプレイ」になる。
液晶ディスプレイの例としては、個別の液晶テレビやコンピュータ・ディスプレイがあり、液晶モジュールは携帯電話端末やゲーム機や電卓や時計の表示部として使われる、テレビやコンピュータでも使用方法ではモジュール的な物もある。

最初に登場した液晶ディスプレイは電卓用の8セグメントタイプだった、「8」字と小数点の8電極をオンオフさせて数字を描いた、操作はキーが見える所で行うと考えて液晶ディスプレイも自然光を反射で使い液晶は単純なシャッター機能で使用して消費電力を抑え使用時間の長さを競ったが、太陽電池動作が登場すると意味は薄れた。
液晶ディスプレイをドット対応にして解像度を上げて速度も向上してパソコン用に使用する時はバックライト等の光源を使用した、次にオンオフ以外の中間色をも採用した、パソコンを含めて画像や映像を表示する用途では画素と呼ばれる表示単位を格子状に配列して使用する。
格子状に配列はブラウン管(CRT)の方式と類似しており、薄型でフラットなディスプレイとして一気に普及した、CRTは奥行きが必要であり使用する電子線の悪影響も危惧されたがそれの対策品の意味もあった。
高解像度の実現の為に新しい方式が次々登場したが、その基本には半導体加工技術を応用した液晶加工技術の進歩が大きく貢献した。

パソコン用の液晶ディスプレイとして、最初に単純マトリクス駆動方式が登場した、XとY電極線の交点の画素に電圧を加えて液晶を駆動した、欠点はオフ状態では印加電圧が無くなる事や、画素数が増えると1つの画素に電圧が加わる時間が短くなる事で多数の画素は扱えなかった、また原理的に周辺の画素にクロストークと呼ばれるしみが生じる欠点もあった。
次にアクティブ・マトリクス駆動方式が登場した、単純マトリクス方式に加えて各画素にアクティブ素子として薄膜トランジスタ (TFT) が設けられている。
薄膜トランジスタはガラス基板等の上に作られていて、トランジスタ素子としてスイッチとして働く、XとY電極線の交点の画素がXとYが非選択状態では蓄積コンデンサに蓄えられた電荷を可能なだけ保持して働く。
スイッチ動作で個々の画素が独立して動作しかつ電荷保持時間が長く出来ることから周囲のしみ出し等の影響が減少し、かつ画素数を増加する事が可能となった、この方式の進歩で高密度で高解像度の液晶パネルが可能になり液晶ディスプレイ全体の普及に繋がった。

液晶パネルは自ら発光しないので、最初は自然光を利用したが環境に左右される事や明るさが不足した事で自ら光源を持つ方法に変わった。
面状の発光体を使用した事もあるがむらが出やすくパネル面積が大きくなると実用的でなく使用されなくなった、背面に面状の反射体を設置する方法が使用されたがそこに当てる光源の方式が多数登場した、バックライトは背面の光源を反射光と併用する方式であり、透過光を使うフロントライトや厚み的に自由度が高いサイドライト方式もあり、光源の種類と組み合わす事で多数のタイプがある。
光源からは360度の方向に振幅がある光が出るが、液晶裏面に設置した偏光フィルタが光の内の特定の方向の振幅成分を持つ光=偏光のみを通過させて他は偏光素子に吸収させる、偏光は液晶層を通過しながら液晶のもつ屈折率異方性で偏光状態が変化する、液晶層の表面にも偏光フィルタを置いて透過を制御する方法が多い。
従って電圧を変化させて液晶の配向を変化させる事で、液晶層と偏光フィルタ2枚を含めた透過率が変化する、それで表示内容や明るさを変化させる事が出来る。

液晶のカラー化はブラウン管のカラー化と似た手法を使用している、カラーフィルタを使用して光の三原色の赤色 (R)・緑色 (G)・青色 (B) の光をそれぞれに制御して加法混合方式で実現させている。
カラーフィルタは色素の吸収を利用して、個々のサブ画素の印加電圧を制御する事で画素ごとの複数色の発色が可能になり、それの透過光を遮断すると黒を表現できる、混合比率の制御で中間色を含むカラーを実現出来る。
カラーフィルタはその用途から要求内容が多く厳しい条件で使用される、高い色純度と高い透過性が必要であり、同時に耐光性や耐熱性や耐薬品性や平滑性や加工精度等も必要だ、そもそもの液晶パネル製造上の透明電極形成工程と半導体風の加工工程は、低抵抗性薄膜透明酸化物の成膜工程やと焼成工程等でのかなりの高温と時間に耐える必要がある。
それらは半導体加工プロセス類似の化学的な製造工程であり化学耐性が必要だ、画素密度の精細化とカラー化はその精密加工度と要求精度を厳しく要求して来た、材料的な不純物と同様に加工上のバラツキも不純物的に動作する、光が熱に変わるロスが生じかつ光漏れや隣接画素との混色になり表示品質低下になる事が起きる。

液晶ディスプレイはそのフラット性と薄型軽量性から、早くから入力装置としても使用された、例えば関数電卓であり、モバイル式の入力端末であり、図書館やショップの検索や場所の案内だ。
指やペン等での接触入力方式と、少数のキー入力とポイントデバイスの併用方式が使用された、ソフトウエアキーボード方式を使用すればキーボード入力を原理的にはカバーは出来る、ただし熟練者のキーボード入力速度を達成する事は難しい。
指やペン等での接触入力方式のタッチパネル方式は、スマホとタブレット端末の登場と普及で急激に拡がった、そこではパソコンでの主入力がキーボード使用でありサブがマウス等のポイントデバイスであった事の逆転思想があり、キーボードをソフトウエアキーボード方式のタッチとして全てをタッチパネル操作方式に統一した。
その結果はキーボードレスとポイントデバイスレスを同時に達成し(オプションでは残る)て、機器の小型化と簡素化を進める事が出来た。


音声入出力

電子機器の入力方法はスイッチ式を中心にした簡略式が圧倒的に多い、だがコンピュータでは情報の質と量が多く異なるので、入力手段としてキーボードが使用されてきた、その後に登場して普及したパソコンの入出力方法としてもそれが継続された。
パソコンの出力方法としては、初期はCRTが使われその後は液晶ディスプレイ等の薄型のビデオ画面出力が使用されて来た、それは現状も変わっていないが、その他にはプリンタ出力と音と音楽出力が増え、外部出力端子を使用しての多彩な出力が登場しているが標準搭載にはなっていない。
パソコンの入力方法も種類は増えたが、標準搭載にはなったものはマウス等のポイントデバイス入力だけだった、だが英語版以外では非英語言語対応のソフトウエアとハードが必要でありそれは標準搭載された、日本語入力用のカナ・ローマ字入力とそれからの漢字・熟語・連文節入力は日本語環境では必須の標準搭載となった。
パソコンの入力情報は最終的に英文字・数字コードに変換し、それをパソコンが扱えるデジタルデータに変換して保存して使用する、その結果と過程は非英語言語からの変換だけでなく他の入力方法からの情報でも類似している、音声入力からの情報もそのひとつだ。

民生電気製品・機器としては音楽関連機器の電子化の影響が大きかった、機能を音楽向けに特化させて考えて電子化・半導体化する事で、目標の品質も価格設定もそして普及台数も大きく出来た。
音楽機器としてはアナログ録音方式の磁気テープレコーダーからカセット式磁気テープレコーダーに進み、併行してデジタル録音テープ式が開発された、ステレオや多チャンネルの録音・再生機能が採用されたが、出力機器としては高性能のスピーカーが必要であり、高音・低音用を組み合わせたシステムとしても開発された、スピーカーは内蔵されたが高性能への外部出力端子も付属された。
ヘッドホン・イヤホン出力方式も開発されて行き、ウォークマンタイプと呼ぶスピーカーを内蔵しないヘッドホン・イヤホン出力専用機器が登場して音質が優れておりポータブル性も高く普及した。
記録媒体としては、テープの次にディスク型のCDが登場し、記録方式もアナログ方式からデジタル方式に変わった、これによってパソコン等の記録媒体として転用が行われて(DVD-ROM)、以降のDVDも含めて媒体は音楽用途とパソコン用途の双方として普及した、同時にパソコンは記録媒体の書き込みと読み出し用の機器で音楽・映像の再生も行う事となった。

音楽関連の民生電気製品は普及したがそれは音・音楽の出力専用だった、音楽・音声の入力装置及びデータ製作装置・機器の需要も発生しているが、家庭用の大量販売機器ではなく楽器的な販売方式・ルートの商品だった。
マイクを使用しての音声入力に関しては、アナログ録音方式の磁気テープレコーダーに付属していてその後の録音・再生機器でも同様だった、音楽用の入力品質要求が高い用途ではなく それは機能に対応した専用機器を外部接続端子を介して繋ぐ使用方法で使われた。
音声のアナログ通信機能の電話・携帯電話が普及して行くが、併行してデジタルデータの通信も電子メールで行われた、そこでは音声データをデジタル通信で送る方法も使用され、デジタルデータの記憶機器として不揮発性の半導体メモリーが使用されて行きそれはICレコーダーとしても普及した。
音声データのデジタルデータ化は音声認識機能であり、キーボードを持たない民生機器等への導入が図られて、音声認識・パーソナルアシスタント「Alexa」・・・機能とモジュールなどとして開発・提供された。
日本語入力はキーボード入力方式ではカナ漢字変換やローマ字変換が主流だが、音声入力を変換する方式も早くから研究されている。

パソコンではキーボード入力方法とマウス等のポイントデバイス入力方法とはOSがサポートした事で長く基本装置・方法となった、これ以外の入力方法が登場しても追加の1方法となるだけで基本方法は廃止される可能性は少ない、少なくともキーとマウス機能を代行する方法は搭載されるだろう。
CPUを含めたパソコンが扱い易いデジタルデータに最終的に変換して記憶する音声入力方法では、キーボード入力方法と同等であり互いに置き換えが可能であり、少なくとも併用の可能性がある。
マイク入力・音声入力は情報が文字に変換出来れば後はキーボード入力と同等になるが、一般的にキーボード入力よりも音声入力は速くかつ技能性が少ない方法だ、実用性には読みこんだ音声データをCPU等がキーボード入力からと同等のデジタル文字データに如何に速くかつ精度良く変換出来るかが課題だった。
半導体技術の向上によるCPUとメモリーの情報処理能力の向上はそれだけでも処理時間を短縮したが、併行してソフトウェアの技術自体も向上した、それらの合計として音声入力による文字入力が実用的な速度と精度を得てきた。

音声入出力機能のパソコンへの搭載は、OS機能としても標準装備されたが例えば、Windows 7では「マイクやヘッドホンセット」の設置「スタート」 ボタン>「コントロール パネル」>「コンピュータの簡単操作」>「音声認識」 と「マイクのセットアップ」と操作してソフトを稼働させてセットアップの作業を行う。
音声入力はパソコンに自分の声や発声を学習させる必要があるが、これは機能を使う程に学習によって精度が向上するとされる、これらを行う仕組みとしてチュートリアルがある。
チュートリアルは操作方法を教える・覚える教材であり、例えば音声ガイドと画面出力での説明と指示で音声入力を試しながら練習を行う事が出来る、その過程でパソコンが使用者の声を認識して学習して行く。
音声認識と音声入出力は、複数のメーカーが発表してサポートしてきたが、音声認識精度の向上と共に一気に実用化に向かって来た、これによりキーボードレスの入出力も身近となった。

非キーボード入力方法が具体的になり、少なくともキーボード装備が不可欠では無くなると代用のソフトウエアキーボードと指タッチパネルを組み合わせた入力方法を持つスマホとタブレットが登場した、それには音声認識と音声入出力機能も同時に搭載されていた。
スマホは新しいハードと新しいシフトウエアであり、共に新しい方法の提案であり可能性を示したが、実使用されて急激に普及した事で課題であった技術面の急激な向上に繋がり、短い期間で大きく変わった。
通信機能を持つモバイルパソコンの類似機能とそれ以上の機能・性能をもつモバイル機器としてのスマホの登場は、パソコンの一部の置き換えも生じたが、それ以上に新しい使用方法を生んだ、特に後者では「キーボード」レスの入出力が影響していると言える。
スマホとタブレット端末では「キーボード」の必要性の見直しが行われている、使用頻度が高い場合はソフトウエアキーボードでは限界があり、指タッチポイントはポイント面積が広い事で精度に限界があり、改良案としてタッチペンが導入されている。
スマホでは入力方法の一つだった音声入出力・音声認識は、それを中心に据えたスマートスピーカーとして新しい機器に進んでいる。

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