項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:67

高精度タッチペン

スマートホンの標準入力方法はタッチパネル+指タッチ方式であり、モバイル性・携帯性の意味からはそれは継続されるだろう、オプションとしてタッチペンの使用も同様だろう。
スマホに続いて登場したタブレット端末は、当初はスマホと全く同じ仕様だったので、タッチペンについても同様だった、ただし必ずしもモバイル使用でなくて外部機器としてキーボードの接続使用も行われて、タッチペンのオプション使用もあった。
タブレット端末では当初はスマホと同じOSが使用されていたので仕様が同じだったと言える、その後にタブレット端末の1つのiPadではタブレット専用のOSが開発された事でスマホとは異なる商品展開になった。
マイクロソフトを中心にノートパソコンとタブレットとの2ウエィ機器が登場して市場展開していたが、独自OSの展開にはタブレットの機能を向上してパソコンの用途にも参入する狙いがあった。
そこでは、タブレットの入力操作に、外部機器のキーボードや高精度タッチペンを合わせて使用する高性能タイプのタブレットの登場があった。

液晶タッチパネルの入力方式には2種類のタイプがあり、それは「静電式」と「感圧式」と呼ばれている。
「静電式」は、人体に流れる微弱な静電気を利用して液晶表示にタッチ動作を反映させる方式で、スマートホンやタブレット端末ではこの方式を使用している。
もう一方の「感圧式」はパネルに圧力を加えて、タッチ動作を液晶へ反映させる方式であり、「ザウルス」等の携帯情報端末や「ニンテンドー3DS」等のゲーム機などに用いられている。
タッチペンは、現在では100円ショップで買える安価品から1万円を越える高機能なタイプまで幅広い価格・性能の製品が登場している、最近は「静電式」を採用した製品が主流となってはいるが、スマホやタブレットで使用する際は対応している「静電式」のタッチペンを選ぶ必要がある。
タッチペンの接触部としては、大きく分けてペン先が「丸いタイプ」「細いタイプ」「ディスクタイプ」があり、細いタイプにはイラストを描く際に便利な筆圧感知機能がついている高機能なタッチペンがある、使用目的に合ったタイプを選ぶ事が重要だ。
iPad ProやSurfaceなどのタブレット端末や2ウエイパソコンには専用のタッチペンが発売されている、それは非常に精度の高い入力が可能となっている

タッチペンはペン先の形状を用途に応じて選ぶ事で、精度・性能を確保できる、タッチペンのペン先には主に、細いペン先・太く丸いペン先・筆タイプのペン先の3種類がある。
・細かい文字やイラストを描く用途には細いペン先。
 ペン先が細い静電式ペンは、液晶面に接する部分が見やすく書き心地が滑らかで、ボールペン感覚で文字やイラストが描ける。静電式なので充電や電池が必要になる。
・ゲーム用途には太くて丸いペン先。
 ペン先が太くて丸いペンは、素早いスワイプ操作が必要なゲームに適する。
 素材に導電性の高い金属繊維やシリコンゴムを使っているぼで、液晶面を確実にタッチできる。
 液晶面と接する面積が広くピンポイントのタッチは難しいので細かい文字やイラストには向かない。
・アナログな書き心地が欲しい用途には筆タイプのペン先。
 ペン先が筆のタイプは、書道アプリで文字を描く人や水墨画・水彩画・油彩画アプリでイラストを描く人に向く。
 本物の紙と筆で描くアナログな書き心地が実現できる。

加圧式・感圧式のタッチペンは比較的安価であるが機能と性能的には精度は制限される、それに対してペン内部で静電気を発生させて使用する静電式タイプは指タッチタイプのタッチパネルで指の代わりに使用可能であり、指と異なり小さなタッチ面積が可能で高精度が原理的に可能だ。
ただし初期には技術的な課題があった、例えば充電方法と通信方法だった、有線接続は設計用のデジタイザーでも使用されていたが、モバイル性や携帯性を含めて現在のパソコンやタブレット端末での使用環境とはあまり合わない。
さらには初期には操作での反応の遅延の問題もあった、ペンの動きに線等の表示が遅れると、普通のスピードで文字を書いても書き損じが発生した。
スマートホンやタブレット端末登場後に登場したタッチペンには、上記が一気に改良された高性能タイプがあり、実質的にマウスやタッチパッドと同等の性能と機能を持ち、スマホの指タッチのタッチパネルを機能と性能で互換している。
ブルーツース対応の無線方式で、無線通信に加えて無線充電にも対応する機種もあり、多機能化も進んでいる、ただし価格も高価であり、用途に応じて利用者が選択する状態でもある。

静電気方式のタッチペンでは電気の供給が必須であり、無線方式が一般的だが給電は電池と充電方式がある、充電方式では幾つかの充電方式が使用されており差し込み方式・ケーブル接続方式・無線充電方式等がある。

その他の機能として、「筆圧感知タイプ」タッチペンがある。
筆圧感知はペンの筆圧によって線の太さが変化する機能だ、通常のタッチペンでは線の太さは変わらなく強調したい箇所や線を太くしたい時は同じ箇所に重ね書きで太くする必要があった。
 筆圧感知タイプはタッチの強度で線の太さに変化をつけられるので、イラストを描く時に有用だ、ただし機能はBluetooth接続して使用するので充電等が必要で、価格も割高な傾向だ。

「ノック式」タッチペン
タッチペンは、そのペン先は素材で異なるが劣化しやすいものもある、劣化するとタッチ感度が鈍くなり反応しなくなる。
 ペン先を守るためにノック式がある、それはノックする事でペン先を収納して保護できる、キャップ式と異なり着脱が不要でキャップだけ紛失しないメリットがある。

パームリジェクション機能は、手の一部や腕がタッチパネルの液晶面に触れた時にそのタッチを無効化する機能だ、タッチペンのペン先のみの接触を感知する、感知精度確保にはパームリジェクション機能がついているものが勧めとなる。
とくに液晶面が大きい場合には、タッチペンを持っている手の一部が液晶面に触れやすいので、ペンを操作して文字やイラストを描くのはかなり難しい、パームリジェクション機能を利用する事で普段紙とペンで書くときと同じ感覚で使う事が出来る、当然にそれは静電気方式でありさらには無線方式が向いている。
iPadを代表とするタブレット端末では画面が大きく、特にこの機能が有用となる、アップル純正の「Apple Pencil(第2世代)」はパームリジェクション機能が優秀とされており、利用者の感想として本物の紙に書いているかの感覚があるとか、書き損じや無反応が起こらずスペックが高いとされる。


ネットブック

「ネットブック」は、ネットワーク機能を備えてインターネットに接続して作業することを主な用途とした、比較的安価で小型軽量なノートパソコンの呼称(カテゴリー)だ。
2005年に発展途上国の教育分野向けへの普及を主眼とした、通称「100ドルパソコン」が考えられた、その特徴は安価であり性能面では限定されているが、インターネット端末や電子書籍リーダーとしての機能を持っている事だった、その試作機が発表されると一部の関係者やモバイルネットユーザーからは先進国でも発売の要望が出た。
それに対応する形で、2007年に先進国で上記が発売されると「安価で小型軽量なネット端末」を求めていたユーザーらに受け入れられた、そして「ネットブック」の新たな市場とカテゴリが生まれた。
「ネットブック」の呼称は、2008年にインテルが自社CPUの「Intel Atom」についてその用途として「インターネット利用に特化した低価格モバイル」の意味で使用した。
ただ明確な定義でなく、その後もネットブックメーカーでは「ネットブック」の呼称を必ずしも使用しなかった。
2007年から各パソコンメーカーから発売された「ネットブック」は2012年には新規販売を終了したが、似たカテゴリの製品と言う意味ではその後も存在している。

ネットブック登場以前のノートパソコンはおおむね10-20万円の価格設定であり高価だったので安価機種の要望があった、さらには充分な機能と速度を発揮するには消費電力が大きすぎたので低消費電力でのバッテリー時間の拡大が望まれた、加えて主としてインターネット端末で使用するユーザーには不要な機能が多いのではないかの意見もあった。
インテルは低消費電力CPUを開発して、マイクロソフトはそれを使用した軽量タイプのWindows OSを使用したパソコンを提唱した。
その一般的な構成は、Intel Atomなどの低価格のCPU・1GB程度の最低限のメモリ・5-13インチ程度の小型の液晶ディスプレイ・世代は古いが比較的軽量なOS(例えばWindows XP)などを搭載して、拡張性は限定的、等だ。
価格は北米では300-800米ドル程度で、日本でも当初は5-10万円程度だったが最盛期には3-8万円程度となった。
登場の背景である安価普及版の位置付けから、日本では家電量販店やパソコン専門店に於いて「ハード機器のネットブック」と「移動体通信端末およびサービス加入権」をセットにしてインセンティブ制度での価格値引きが行われた。
それは日本での携帯電話と類似のパッケージ販売で初期費用を安く設定する狙いがあった。

ネットブックのCPUには、ある程度の計算能力を備えるが低価格で省電力のCPUが搭載された、2008年頃の例では「Atomプロセッサ」「C7-M」「Geode」「Athlon Neo」などだった、映像出力のGPUはチップセット統合型GPUを採用された。
入力機器にはキーボードに加えて、ポインティングデバイスにはタッチパネルやタッチパッドを持ち、外付けマウスも利用可能だった、外部モニタへの接続用にノートパソコンと同じで映像出力端子を備える事もあった。
メインメモリはOSが適度に動作できる容量が搭載されて、内蔵の補助記憶装置にはHDDが搭載された、SSD搭載機種もあったがOSと少数のアプリケーションソフトウェアのみの容量の機種だったそこでは記憶容量としてUSBメモリの使用で補われた。
BD/DVD/CDドライブの光学ドライブは省かれて、使用する時はUSB接続の外部ドライブを使用した。
動作電源は交流電源と内蔵バッテリーだが、バッテリーの持続時間がノートパソコンの半分以下のものがあり、大容量バッテリーを別売りにした機種もあった。
多くの周辺機器はUSB接続で利用可能だが、CPUの処理能力やメモリ容量などが要求される利用法では満足に動作しない事もあった。

ネットブックが普及した背景には、ウェブアプリケーションやクラウドコンピューティングが普及して、インターネット上でコンピュータ処理やデータ保管などの多くが可能となったことがある。
ネットブックのインターネットへの接続はイーサネットに対応し、基本的にブロードバンドインターネット接続に対応している。
ローカルであるパソコン側では、高い性能や容量を、加えてそれを必要とする最新版OSを搭載する必要性が少なくなった。

ネットブックは1990年代のネットワークコンピュータや携帯情報端末との類似面もあった。
以前のネットワークコンピュータや携帯情報端末は専用のOSを使用して互換性が低いものだった、だがネットブックはPC/AT互換機であったので性能・容量・拡張性はやはり低かったが、基本的な互換性はあった。
その結果として、軽量なソフトウェアに限ればローカルのパソコンでも実用的に使用することも可能だった。

ネットブックは2008年から2010年の短い期間に一気に世界的に広がり、直ぐに様々な変遷が行われて、さらにはその元々の概念から外れていった。
2008年に最初のネットブックが成功したがそれを見た競合他社が次々に同様のパソコン商品を展開した、直ぐに参入増加での競業状態になり「ネットブック戦国時代」と呼ばれる状況になった。
最初はアジア圏のパソコンメーカーが中心だったが、直ぐに米国メーカーもOEM供給を受けてその市場に参入した、これらが爆発的な売れ行きを見せた事から、遅れていた日本国内メーカーも参入した、その結果でネットブック市場は乱戦状況になった。
2009年半ばには市場は飽和に近づき、同時にネットブック利用者からは性能や拡張性などに不満が出て来た、メーカー側は他社の商品との差別化をはかり上位機種となる機種を市場に投入し始めた。
同時にインテルがCPUやチップセットの生産拡大・機能向上に動き、最初は安価低性能としたネットブックから、表示機能や機能の充実の「高級化」での他社製品との差別化をはかられた。
2009年では、新機種では、機能据え置きの低価格化よりも、機能を向上させ価格はそれよりは高い一定水準を維持する傾向になった。
参入増加>差別化>機能高度化>それは本来のネットブックから外れるという事が短期間に起きた。

ネットブックは2009年の新機種では、元々の思想であった機能限定の低価格化とは異なり、それよりも機能を向上させる傾向が見られた、だがこの時期にはスペック的にはネットブックと互角かあるいはそれ以上と思われる機器が登場して普及して来た。
その一つはiPhoneやアンドロイド等のスマートホンであり、さらにはノートパソコンの低価格化であった、それに加えて2010年4月にはiPadとアンドロイドOS搭載のタブレット端末がリリースされた事が加わった。
その結果としてネットブックの特徴が急激に薄れてしまいそのブームは急激に終息していった、2012年には多くのメーカーがほぼ同時期にネットブックの開発を終えた。
ソフトウエア面では、2009年にマイクロソフト社からリリースしたWindows 7は高いハードウエア性能を要求したが、新機種ネットブックではCPU性能の向上でWindows 7のシステム要件自体は満たしていた。
さらに2012年にWindows 8がリリースされたが、これを搭載したネットブックは発売されなかった。

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