項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:26
液晶表示
液晶は自らは発光しないで、偏光光をシャッターの様な役目で通したり遮断し
たりする事で情報を表示します。
パソコンのディスプレイでは、情報はピクセルというドットを1単位として表
示します。従って、表示解像度を縦と横のドットで表すと液晶のシャッターの数になります。
液晶表示での消費電力は、その制御回路とシャッターを通す光の発光で決まります。
そのために、発光方法や利用光源は絶えず研究されて来ました。
ディスプレイはパソコン以外の用途が多いですが、パソコンにとってもその変化は無視できません。
特にノートパソコンでは大きい比重です。
液晶表示に使用する光源は、数々の種類が提示されて来ました。
液晶表示面積によっても、必要な技術が異なります。
最初は、背面にミラーを置いて透過して反射してくる光を使用しました。これ
は表示面積が少なく、明るい所でのみ使用可能で、モノラルでした。キーボ
ード操作等が出来る明るさで使用可能という考えです。消費電力は最小です
が、実用的には制限が大きい過ぎました。
やはり、背面に光源を置く方向が主流です。ただし、ミラーの併用は継続されています。
ノートパソコンの日本での最初は、EL平面発光板が使用されました。東芝のダ
イナブックssというタイプです。広い面積をカバーする光源が必要との目的
からです。ただし、寿命面で問題がありすぐに使用しなくなりました。すぐ
に消える訳でなくても、明るさが変化する事は好ましくなく、しかも広い表示場所で濃淡が出るからでした。
結局、バックライト方式が最初の主流になりました。面発光で無くてもミラー
や偏光板の利用で広い面積を均一に表示出来ました。
バックライトの問題は、光源の電力(使用上は画面の明るさ)とディスプレイ
の厚さでした。実用的な問題としては、ノートパソコンの重量とモバイル使
用でのバッテリー動作時間でした。
電池の容量の改良と、光源の効率と低電力化が課題となって続いています。
液晶でいえば、サイドライト方式が登場しました。
側面からの光が、ミラー等で広い画面に均一に光を送り込むことは最初は驚きでした。
サイドライト方式は、ディスプレイ構造の自由度が高くなります。
液晶表示がパソコン・テレビ等に利用される頃には、既にカラー化に移行して
いました。理屈は最低3倍の情報を扱えば可能です。テレビのブラウン管方
式での考え方と同様です。(光の3原色混合)
ドット単位での、走査線を走らす方式は多くの改良方式はありますが、基本は定まっています。
デジタルデータの表示方式として現在では最良とされています。
ドット解像度・走査方式等の細部は、表示面積・用途等で変わります。
同時に、表示内容を半導体メモリーに一時記憶させることで一見複雑な同時表
示さえ普通に行うようになります。
液晶表示がパソコン・テレビ等に利用される理由は、
・低消費電力
・薄型
・ブラウン管の持っていた蛍光発色が眼には液晶より悪い
・大型画面化が可能
等があります。
パソコン用は、大型化はある程度以上は需要は少ないでしょう。
特にノート型・モバイル型では、消費電力や薄型が重要です。
昔から、テレビとパソコンの一体化は繰り返し行われてきました。
距離を開けて見る用途のテレビと、近くで見ながら使用するパソコンでは微妙
に求める事が異なります。費用対効果が余程優れないと結局は専用に戻って
います。オプション利用が妥当でしょう。
液晶表示だけが薄型表示用ではありませんが、小型から大型までサポートして
いる面では重要な位置を占めています。
液晶の生産も機能改良と、コストダウンと生産性の向上技術競争という、半導
体と類似の進みかたを見せています。
その過当競争は、他の種類の同じ目的の表示装置に対しても同様の機能改良と
コストダウンを要求し、種類のふるい落としが働いています。
既に実用されている場合は競争になりますが、多くの開発中の方式については
陽の目を見ない内の撤退になるケースが多いです。
方式の発表・開発を行っても市場への本格参入が実質行えなかったか、限定的
用途であったケースが増えます。
日本語変換
日本語ワープロで蓄積された日本語変換ソフト技術は、マイクロソフトのOSの
付属化で寡占状態になりかけていました。
しかし、マイクロソフトの日本語変換ソフトの開発の継続が途絶えつつある事
と、ATOKの「はてな」等の用語辞書の更新対応と、グーグルの日本語変換ソ
フトのベータ版の登場で、大きな動きの分岐点になろうとしています。
かな、カタカナ、漢字、アルファベット等の複合言語である日本語を入力する
技術は、かな>漢字変換とローマ字>漢字変換方法に収斂しました。
特別なハードが不要で、キーボードも通常の日本語対応キーボードで利用可能
という面と、現実の入力の容易さの面を合わせると急激に変わる事は無いでしょう。
一字入力方法は、携帯電話の入力方法を見てもバリエーションはありますが、漢字等への変換は同じと言えます。
日本語変換ソフト技術は、まだまだ発展するでしょうが機能と性能という両立
が難しい課題の選択があります。
各種の電子機器やソフトウェアと同様に、多くの機能を搭載すると利用者にと
ってはその機能を使用できる・使用する人達と、利用出来ない・しない人達に別れます。
各種の電子機器やソフトウェアの経験から、多機能の場合に機能を使用しない
場合でも操作上の問題で、搭載機能が動作する事は避けにくいです。
その場合は、最悪は使用を妨げ、復帰さえ出来ない事が生じます。
従って機能は、使用する人により異なりますので、その搭載・複雑化は微妙な問題です。
性能は、速さのように大多数の利用者が有用な事は少なく、個人ごとに異なる性能が多いです。
普段使用しない漢字が使えてしまう事は性能が良いのかは一概に決められません。
日本語変換ソフト技術には、絶えず増減する新語・造語・カタカナ語・固有名
詞への対応が含まれるようになりました。
これは、定期的な用語の収集システムとネットでのアップデートシステムが必要です。
後者は、通常のソフトのアップデートと類似ですので、特別な事は前者の更新データの収集方法です。
最近公表されたグーグル日本語変換ソフトのベータ版では、検索エンジンで収集したデータを使用する仕様でした。
従来は変換出来なかった熟語が変換できるとの評判とともに、かなり荒れた言葉に変換してしまうという意見もありました。
ベータ版ですが、ネットには誤変換や妖しい用途の言葉が溢れているので、改良する必要はあります。
日本語変換ソフト「ATOK」では、定期更新で新語・郵便番号・その他を最新にしています。
新語の蒐集には、「はてな」の提供を受けています。
検索エンジンを持つポータルサイトでは、そこから用語を集める事が出来ます。
ただし何等かの補正なしでは、精度は悪いです。
ネットでの使用用語は乱れていますから。
「はてな」提供の新語追加の辞書は、かなり精度は高いですがどちらかで何等
かの選択・補正を行っていると思えます。
郵便番号や交通機関の変更なども、たえず更新とメンテナンスが必要です。
日本語変換ソフトは、機能更新と辞書の更新も併行して行う事で成り立っています。
日本語変換ソフトは、「かな>漢字変換」と「ローマ字>漢字変換」がいまだに同居しています。
一時は、「ローマ字入力」が優勢といわれましたが、携帯電話の入力機能の普
及が微妙にパソコンにも影響して片方に統一されるには到りません。
「かな入力」は、タッチキーの数は少ないですが使用するキーの数が多くなります。
「ローマ字入力」は、使用するキーの数は少ないですがキーのタッチ数は多くなります。
これが、携帯電話の数字キーに文字を割り当てた場合は、全く状況が変わります。
日本語で紛らわしい文字に、「さ行」「た行」の濁音があります。
この入力間違いで、漢字変換出来ない事が多くありました。現在の方向として
はどちらも変換してしかも間違いを表示する方式です。
誤字の可能性も理解出来る機能です。
日本語変換ソフトの機能として、単漢字変換>熟語変換>連接文変換へと広が
って来ています。
そしてその精度を上げる為に、学習機能があります。
初期の単純な上位表示>複数回使用での上位表示>段階的繰り上げ表示>用語
の種類別の学習方式の分類方式と進んでいます。
下手な使用者や、少ない変換ミスを排除する方向での試行錯誤が行われています。
連想変換は途中から付いた機能です。学習の一種ですが、例えば直前の利用内
容を候補としてある程度長い文節で少ない文字入力段階で表示します。
これを、別の辞書から表示する場合もあります。
便利という人も、誤変換や使用したくない文が候補になるとしていやがる人もいます。
機能が便利にも不便にもなる例です。
半製品
半製品とは曖昧ですが、正式版以外を具体的には「ベータ版」と「お試し版」等を想定しています。
通常は無償であり、同時にサポートはありません。
使用者が自身の責任と、理解力で使う事が前提です。
「お試し版」は、正式版の試用という立場から購入が前提にあるならば、動作
させる為のサポートは受けられる可能性はあるかもしれません。
「ベータ版」は、元々はフリーソフトで開発者と利用者の双方の協力で安定動
作を目指した改良を行う途中段階のバージョンでした。
有償の製品では、試用は開発メーカー自身が行いますが戦略的にフリーソフト
と似た形態で提供する事があります。
個人的には、使用するメリットは感じませんが使って見たいと言う人はいるのでしょう。
フリーソフトではオープンソースの形態を取る事があります。
その場合は、複数の開発者またはグループが独自に開発すると、タイミングは
別にして開発途中版が複数登場します。
ベータ版は、製品前という意味ですので、初期の開発途中版はベータ版とは呼ばない事が多いです。
あくまでも基本機能は完成していますが、細部のエラー処理や例外処理等が未
完成とか、ランニングテストが充分に出来ていないなどの面があります。
またソフトの種類に於いては、他のソフトとの相性というか悪い影響を及ぼさないか等の問題もあります。
ベータ版の提供は、有償の製品でも事前の広告的な面と、ユーザーの使用環境
による不具合収集の意味もあるのです。
ベータ版と正式版(アルファ版)の違いは、提供者のサポートや事前の充分なテストランの有無にあります。
しかし、パソコンソフトにはバグが付いてまわります。正式版(アルファ版)
でもバグなしを保証する事は原理的に無理です。
従って継続的なサポートを行う事と、改良版の継続開発を行う事になります。
この場合、対象ソフトがフリーソフトの場合はサポートは開発者の考え方で、
サポートの義務は必ずしも存在する訳では有りません。
フリーソフトのベータ版というのは、開発レベルを示す指標的なものと思えます。
いくつかの利用者の多いフリーソフトでは、安定版・最新版・開発版などが並
ぶ事があります。開発版がベータ版で、最新版が正式版(アルファ版)です
が使用実績が少なくバグがある可能性が高いという意味になります。
利用者の多いフリーソフトの安定版のバグの有無についてですが、そもそも利
用方法がテストされているか、想定の範囲内かにあります。
あらゆる使用方法に対して正常動作は技術的に不可能と言えます。
従ってベータ版をリリースしても、見つかるバグには限度があります。
最近はこれに、セキュリティホールの有無の問題が表面化しています。動作は
問題ないが対ウイルス性やハッキングに弱いという問題があります。
これは、通常に利用者がいくらベータ版を試用しても見つかりません。むしろ
試用中のリスクの大きさとも考えられます。現実には、新機能等はベータ版
用にウイルスが作製される事は少ないですが、異なる製品バージョンの脆弱
性を引き継いで対策されていない場合は危険です。
製品のお試し版も多くなりました。
機能限定版と、期間限定版等が多いです。
継続使用・サポートを受けるには、正式に購入が必要です。
大きななソフトは機能限定版でも、使いこなせないうちに試用期間とかアップ
デートが行われるので、全く未知のソフトか高価なソフト以外は結局は、途
中で決断する事になります。
最近のOSはファイル管理が複雑なので、試用版と正式版のインストール・アン
インストールを繰り返すと不安定になる場合もあるので、インストーラー等
の説明に従って慎重に行う必要があります。
ウイルス対策ソフトは、ハード購入時に期間限定版をプリインストールするの
が主流です。毎日のアップデートを考えると、そのままその正式版に継続す
る無難な選択をする傾向になります。巧妙なビジネスモデルかもしれません。
プリインストールの期間限定お試し版が標準で、カスタマイズして正規版が、
オプションという選択も、多数見られます。
当然ながら、期間限定版のアップデートと、最初からの正規版では後者に若干
のコストメリットもつけられています。
そして、期間限定お試し版はバックアップ媒体が付属していない事も多くあります。
ダウンロード販売に慣れた人には、普通ですがパッケージ版に慣れた人には、
媒体バックアップなし+オンラインマニュアルのみが障害と感じる事も考えられます。
使用者によっては、ダウンロード版を半製品と感じるかどうかの問題とも捉え
る事が出来ます。デジタルデータに対して、媒体やマニュアル本も製品と考えるかどうかです。