項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:57
ドッキングステーション
ドッキングステーションはパソコンやタブレット端末やスマートホンに周辺機器を接続できるようにする、端末と機能を持つ機器だ。
パソコンではデスクトップタイプやワークステーションタイプでは、本体に機能を搭載して一体となったシステムの構築を行ってきた、入力装置のキーボードとマウス類、出力装置のディスプレイと、高容量の記憶装置は継続的に本体と一体となっていた。
ただし、マウス類似のポイントデバイスでも、高性能のディスプレイでも、機能向上と追加があり、記憶機器に関しては主記憶と着脱可能記憶機器共に次々と新しい機器と性能と記憶容量向上が登場しており、標準装備の概念は固定されていない。
パソコン本体に全ての機能を持てないのは当然だが、外部接続端子に関しても事情は似ている、特に小形軽量を目指したノートタイプパソコンやタブレット端末とスマートホンでは如何に外部接続端子を少なくするが課題となっている。
最小限の端子のみ搭載するパソコン類に、ケーブル一本のみで多数の周辺機器を接続できる機能を持たすドッキングステーションが登場して使用されて来た。
パソコンは機器単体で稼働出来る構成での販売が一般的であり、詳しくない初心者や購入機種の詳細が不明な場合には、メーカーないしは販売店が提案する最低限のシステムとして購入する。
ハードメーカーはその提案内容を一体型の機種としても発売してきた、利用者あるいは評論家はコストパフォーマンスと機能拡張性からチェックして来た、そこにノートパソコンというモバイル性・コンパクト性を重視したタイプが登場して機能も拡張性にも新しい可能性を求めた。
ノートパソコンでも外部用端子+外部機器の組み合わせも使用されるが、接続して機能拡張などを行う機器としてのドッキングステーションが注目された、ノートパソコンをデスクトップパソコンの環境で使用する思想からはドッキングステーションを外部ドライブ・光学ドライブの形状にしてノートパソコンと積み重ねる方式があった。
ノートパソコンを様々な周辺機器と接続可能にする為に複数の外部端子を装備した機器はポートリプリケーターと呼ばれるが、ドッキングステーションにポートリプリケーターの役割も兼ねさせる事も行われた。
ノートパソコンをデスクトップタイプではなくあくまでもモバイル性を重視してドッキングステーションも持ち歩く思想も登場すると、サイズの問題が重視された、そこでは最低必要な機能に絞りこめられた。
その後にスマートホンとタブレット端末が登場して、そこに外部接続機能を求めるとモバイル性のあるノートパソコンとドッキングステーションの関係とに類似性があった。
デスクトップパソコンでは拡張は増設カードの追加で行う、外部機器の追加は接続端子が装備されていない場合は接続ポート用カード追加と外部機器追加の双方で行う、ドッキングステーションは接続ポート用カードの代わりに使用するので拡張性の少ない安価タイプで生じやすい。
ノートパソコンの省スペース用の利用は多い、それはデスクトップの代替の意味が有り、拡張性は少なく接続ポート増設も出来ない、そこではドッキングステーションと接続端子=ポートリプリケーターを利用する。
省スペース用ノートパソコン用には類似サイズのドッキングステーションも使用される。
モバイル用のノートパソコンでは同時に持ち運べるサイズのドッキングステーションが使用されてそれはポートリプリケーターの用途だ、かってはパソコンで併用した外部着脱メモリーのFDやCDROMはUSBメモリー等の小型半導体メモリーに変わった、外部接続端子もUSB系となり小型形状化している。
モバイル用途はタブレットとスマートホンが急普及して、モバイル用ノートパソコンの機能といくつかの部分では重なりつつある、そこでのドッキングステーションの形状と機能はモバイルPCの時よりもモバイル化する方向だ。
情報機器の進化は速いので新機能登場と高機能化と高速度化は絶えず起きている、パソコンやスマートホンやタブレット本体の買い換えでのそれへの対応は費用対効果でも設定や操作習熟面でも効率的な問題が多い。
機器等の進歩への対策・対応への要請をドッキングステーションに求める事が行われている、例えば処理速度が速くなるとメリットはあるが、一方ではその速度パワーを、操作性やマルチタスクやパワーの必要なアプリケーションの実行と外部機器接続に使う考え方が生まれる。
用途をモバイルに特化したスマホとタブレットやモバイル用のノートパソコンで、デスクトップパソコンや据え置き使用のノートパソコンでのみ使ってきたアプリケーションを動作させる考え方だ、その手段としてもドッキングステーションが使われる。
電子機器では可能な機能と性能を全て本体に詰め込まず、必要な用途・利用者のみが平均的な本体に拡張機能で加えて使う考えが一般的であり、それは新機能・新能力についても適用される、追加費用が生じるが必要に応じて機能と性能を追加してレベルアップする考えだ。
この考え方は特にモバイル用途では特に重要視される。
パソコン等の外部接続用のコネクターは、外部機器に応じた専用コネクターから始まり、次第に共用・標準化が行われてユニバーサルコネクターへと変遷した、その代表がUSB(Universal Serial Bus)であった。
USBはデスクトップパソコン用としては小型であったが、その後のノートパソコンとその後の一層の小型・モバイル化に対応して小型化や薄型化(フラット)が行われた、同時に省スペースの目的から多機能化が図られた、複数外部機器との同時接続が必要な時にはポートリプリケーターとしてのドッキングステーションが使用される、それはスマートホンやタブレット端末にも受け継がれて来た。
現在のドッキングステーションのイメージは
・ケーブル一本で接続
・複数機器を挿抜する手間を解消
・オフィスでの大量使用が容易に可能で、整理された仕事環境を実現する
・互換性が高い
・USB急速充電機能の追加
・将来的な新規格への対応=新コネクターとドックを介して旧コネクタと繋ぐ
・最新技術に対応>ポートリプリケータ以上の機能を提供へ
ドッキングステーションはパソコン用の他の外部機器と同様に、機能拡大と削除を繰り返して来た、機能が必要で無くなる理由には下記がある
・機器や機能を使用しなくなる
・機器や機能が主流になると、本体に搭載される
・機器や機能が小型化されて本体に搭載される
外部機器としての機能以外にもいくつかに対応して行った、パソコンとスマホやタブレット等のモバイル機器を含めて例えば次がある
・ワイヤレス機能を使ってドッキングする
・ノートパソコン等の複数台に対応する
・複数のディスプレイに接続する
・USB急速充電機能を追加する
・ギガビットイーサネット接続に対応する
そして、用途や目的に応じてドックを切り替えて使用する方向もある
・マルチポートソリューション
電子ブックリーダー
電子ブックまたは電子書籍とは、紙にインクで印刷した本・書籍物ではなく、電子機器のディスプレイで読むタイプの電子データだ、紙媒体は不要だが電子データを読む電子機器が必要であり、その機器を電子ブックリーダーと呼ぶ、専用の電子ブックリーダーもあるし、パソコン等の汎用の電子機器にソフトウェアを加えた電子ブックリーダーも可能だ。
電子書籍は印刷本を電子データに置き換える事で製本・流通コストを下げるが、書籍には知的所有権等の複雑な権利とコストが絡み、他にも技術的なコストも発生するので長所や短所は単純ではない。
日本では電子書籍発祥のアメリカよりも遅れているとされているが、日本語特有の実現への問題点も多い、例えば漢字を中心にした外字の表示が必要であり、電子データの製作への対応と、日本語表示機器としてのハードが必要である。
他の課題は下記
・既に多数存在するコンテンツや電子データフォーマットの扱い方法
・読みやすい画面
・小型で書籍より軽いか同等(携帯性)
・長時間動作(モバイル的には省電力)
・コンテンツの購入が容易に可能
・専用端末の価格が安価で、汎用機用のソフトウェアの安価な提供
・その他機能(カラー画面・インターネット接続機能・付加機能)
電子書籍と電子ブックリーダーは電子データの供給方法が開発される事で進化してきた。
第一世代「外部メディア利用型」
新聞・雑誌・書籍等の紙ベースの印刷型の出版物を、携帯型の電子機器の画面読む考えタイプだ、勿論デスクトップパソコンで読んでもよいが紙印刷本より大きく移動しにくい方法は長所・欠点を比較するときに判り難いので省いて考える傾向だ。
1990年頃から小型の専用機器が販売されて、電子書籍の普及がはじまった。
広義では電子辞書も国語辞典や英和辞書を閲覧する電子ブックリーダーの一部と考えられる。
第二世代「コンテンツ内蔵型」
インターネット利用が広まった2000年付近には、テキストファイルでの著作権切れ作品のテキスト化や著作者自身のコンテンツ配布が行われた。
その後の2000年代にコンテンツへの課金方法が整備されて、有料メディアとしての小説やコミックや雑誌や写真集等が電子書籍として登場した。
方法としてはダウンロード型とオンラインで閲覧するストリーミング型の2形態があり、ファイル形式やデータ形式が乱立した、その為に多くは標準とはなっていない。
第三世代「3G通信経由ダウンロード型」
スマートホンの普及でモバイル無線通信(3G通信)が普及した、その回線を使用してのダウンロード型販売モデルが登場して普及して来た。
インターネットが普及して、ネット上にある書店などのサイトから必要なデータをパソコン等の端末にダウンロードして読む形式が広まった、当初のインターネットは通信量や接続時間に応じて使用料金が変わる従量制であり、このダウンロード方式には意味が有った。
パソコン特にデスクトップパソコンではインターネット接続方式がADSL等の常時接続方式に移行したがそこではダウンロードは必ずしも利便性が良いとはされなかった、しかし通信量に応じて課金が発生する携帯電話(従来型)や、回線との接続を切って持ち歩くノートパソコンや携帯情報端末では大きな意味を持っていた。
外部と通信して使用する方式では、利用する通信方式と通信費用との絡みで、提供されるコンテンツと方式は多彩になりその主流も変わって行く、専用機の登場でも変化は有り、またスマートホンで使用される事でも変化があり、それらを使う無線通信速度・容量向上でも変わる。
アップルはスマートホンとタブレット端末の発売する事でハードウエアとソフトウエア双方をサポートした、同時にiTunes Storeのサービスを展開して、ソフトウエアとデータ等の情報を配信で提供して、垂直統合型と呼ばれるビジネスモデルを作り上げた。
2007年にアマゾンは3Gの無線通信機能を備えたAmazon Kindleと言うハードウエアとソフトウエアを持つ電子ブックリーダーである電子書籍端末を登場させた、同時に多数の蔵書を備えたKindleストアと呼ばれるオンライン配信サイトを設置した。
スマホとタブレット端末の大きな機能向上と同様に、電子書籍端末としても一気に機能向上した、端末の通信機能を利用して手軽に利用者にコンテンツを供給できるシステムが出来た事で、電子版の書籍の売り上げが紙版と比較して飛躍的にアップしたとされる。
通信機能を持つ電子書籍端末では利用者にクラウドエリアを提供して、またスマホとタブレット端末やパソコン用にも同じコンテンツを読めるソフトウエアとアプリを提供した、その結果はコンテンツは多様な環境で使用可能になり、そこではクラウドからと、ローカルにダウンロードした状態での双方からコンテンツが利用出来る。
アマゾンの無線通信電子書籍端末と、アップルiPadやAndroidタブレット端末での電子書籍閲覧機能は、競合する事になったが、前述した様にアマゾンがタブレットに閲覧ソフトを無料で提供した事で状況は複雑になった。
電子書籍の利用者は個々の利用するスタイルと好みのコンテンツから考慮して選択する事になった。
電子書籍専用端末のメリット(汎用タブレットとの比較)
・高い視認性があり目に優しい>目の疲労緩和を優先している
・価格が安い
・バッテリーが長持ちする
・太陽光のもとでも読める
・小さくて持ち運びしやすい>必ずしも該当しない事もある
電子書籍端末のデメリット
・特定のストアの本しか読めない
・雑誌やカラーコミックに不向き>専用端末は活字向きで白黒画面が一般的だ
・電子書籍専用なので、汎用性が低い>当然の事だ
電子ブックリーダー用のコンテンツや電子書籍の多くは、紙媒体での出版を前提として製作した物や出版済みのものであり、契約上では電子版は含まれていない事が多い。
電子化を行いその媒体で公開する為には、関係者間での利権問題が生じた、デジタル情報には新しい契約が必要になるがそれが対象とする配布媒体・データ形態の範囲が判り難かった。
特に日本では電子化事業者から見て出版業界との関係が複雑にあり、電子書籍には消極的であった、電子化が動き出したのは漸く2010年からであり、幾つかの電子化と電子書籍での提携が発表された。
先行したアメリカでは一般的には著作者が価格を設定できることが多かった、例としてあげられていたアマゾンのサービスのKindleストアでは著者か出版者は99セントから200ドルまで(おおよそ100円から20000円程度)の間で希望する売値を決める事が出来て、ストア側(アマゾン)がコンテンツを販売すると、決められた印税率を掛けた金額を印税として受け取る事になる。
この方法は契約形態としては分かり易く、そしてそれと共にストアでは2ヶ月程度のサイクルで印税が支払われるが、それは紙出版よりも非常に短い期間で印税を回収できる事になる。
最近では例えば公募の小説賞の応募規定にも電子化が含まれており、紙出版を前提とした契約にも同時に電子化が含まれて来た。