項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:69
モバイルパソコン
ネットブックブームは急激に普及したが、短期間で急速に終息していった。
携帯性の良いネット端末としての一面は、登場時でも携帯電話が普及していて携帯性重視の情報機器としての携帯情報端末(PDA)も存在していたのでネットブックはパソコンとしての最低限の機能を備えているとされていた。
その状況にスマートホンとタブレット端末が登場した事で、携帯性では明確に劣り、インターネット通信や動画閲覧機能や音楽再生機能や電子書籍閲覧機能でも同等か劣る様になった。
その結果としてはネットブックはパソコンとしての機能を主張する事が必要になった、そしてネットブックはより多くの機能とより大きなサイズのスクリーンを備えるようになった。
その変化の結果でネットブックとノートパソコンとにはもはや違いがなくなり、2つの区別にはマーケティング的な意味のみがあると言えた。
ノートパソコンの中で携帯性が高い機種のモバイルパソコンに思想が受け継がれて行くことになる。
ネットブックについて米市場調査会社が2008年に市場性調査・発表していたがその内容は以下。
・500ドル未満で安価。
・7-10インチ程度のディスプレイを保有。
・サードパーティー製アプリソフトが動作出来るOSを持つ。
・キーボード搭載している。
・ブロードバンドインターネット接続する。
これらから、ネットブックはメインパソコンでは無く、ノートパソコンの補助的な用途だと考えられた、その見方には小学生や中学生にはメインパソコンとなりえるが、一般の利用者の多くは価格が高くとも機能がフルサイズのノートパソコンを選択するとも考えた。
製造側もネットブックは価格面で制約があり利益率が低いので、買換え需要でなく2台目需要になると考えた、そこでは販売上の課題があるが市場規模予測では2012年まで拡大が予測されるとした。
これを見ると当初から限定的な市場で市場拡大は短期予測だったようだ、だが前述した様にそれよりも早期に、スマートホンとタブレット登場でとって変わられた、その後はノートパソコンとして見直されて部分的に続いたがフルサイズのノートパソコンと差がなくなっていた。
カテゴリ誕生から2年頃のネットブックは、消費者向け超低電圧(CULV)CPUを搭載した軽量薄型ノートパソコンと比較された。
ネットブックは光学ドライブが無くキーボードとスクリーンが小型であった、ほぼ同価格で長寿命のバッテリとフルキーボードを持つ軽量ノートパソコンと比べると理論上は価値が低かった。
パソコンメーカーがCULVノートパソコンを売り出した時の内容からは、ネットブックはより小型で安価なノートパソコンである事は明らかになった。
ネットブックは当初は「Windows」のライセンスのコストをカットして、Linuxで稼働するポータブルで安価なノートパソコンとして発売された、だがネットブックが普及し始めたのは、Microsoftが「Windows XP」をネットブック向けに提供し始めてからで、それは新規のノートパソコンやデスクトップパソコン向けにWindows XPの提供が中止されてからかなり後だった。
ネットブックの代わりにモバイルノートパソコンが人気になった、ネットブック登場時には20万円を超えたが2010年を過ぎて安価になり7万円程度になり、それはネットブックの2倍程度だが性能は優れていた、そしてユーザーは価格が安くなったモバイルノートパソコンへ流れた。
「ネットブック」というカテゴリが考えられて、それが発展途上国での普及機種として実現した、その誕生から2年頃のネットブックは先進国でも機能限定用途として注目された、そしてその後には軽量薄型ノートパソコンと比較された。
確かにそれ以前では、小型の通信機能を持った端末としてのパソコンとして見れば機能・性能面での制約がある機器は存在していなかった、その時代を背景とした面があった。
だが同時期にアップルのスマートホンのiPhone 3GSが開発されて登場した、それを追う様にしてグーグルのアンドロイドが登場してそのOSを搭載したスマホが多数のメーカーから登場した。
これらのスマホのほとんどは、ネットブックの主用途であったインターネットへの接続はイーサネットに対応して、有線LANと無線LANモジュールを標準で搭載している機種がほとんどだったので、スペック的にネットブックと互角かそれ以上と見られた。
さらには2010年にアップルはスマホよりも画面サイズを大きくしたタブレット端末のiPadを発表した、後にはアンドロイドOSを採用したタブレットもリリースされて行った、タブレットと比較した時のネットブックは特徴や用途が弱いと見られてネットブックブームは終っていった。
スマートホンはパソコン利用者にもそれ以外にも急速に普及したのでその影響は大きいが、一方では画面サイズが小さくキーボードレスでありモバイル性が特に高い等の面でパソコンとは差も大きかった。
一方のタブレット(端末)は画面サイズはスマホよりも広くキーボードのオプション利用も視野にあり、小型のノートパソコンとも似た外観とも言えた、さらにはタブレットには携帯電話通信回線利用機種もあるが、無線WiFiでネット接続する使用方法が主流でもあった、それは持ち運び使用の小型ノートパソコンの使用方法だった。
タブレットに関しては、ノートパソコン+タブレットの機能を合わせて持つあるいは選択して使用できるとした2ウェイタイプのハードが登場した、それは両者が近づいたとも差が無くなったとも言える。
スマホとタブレットは、「半導体メモリーのみ搭載する」・「外部記憶を個々には持たずにクラウドを標準使用する」事がパソコンと異なる(少なくとも登場当時は)、それはインターネット接続を標準とするネットブックと重なる。
これらを含めての、ネットブックのスマホ・タブレットに対する特徴は何かを考えると、比較的高価なスマホと2ウェイ機器とは価格に差があるが、比較的に安価な製品もあるタブレットとは差が少ない。
2013年頃にはネットブックと呼ばれたものは終焉した、その後はノートパソコンの1分野としてモバイルノートパソコンが開発されて行き、その中で1面としては低価格化が進んでネットブックの価格の安さになった、だがもはやネットブックとは呼ばれなかった。
その理由としては、ハードウェアが進化してインターネットの利用以外の用途でも満足できる機能と性能を持った事がある、それ故にネットブックとは呼ばれなかったようだ。
タブレット端末や2ウエィタイプは、この安価タイプのモバイルノートパソコンと似た面が多いとも言える。
今後は、インターネットの利用程度でしか満足できないような機能と性能を持つノートパソコンは登場しないと思われるので、ネットブックの復活はなさそうだった。
ただしインターネットの利用のみを前提にして、それに特化したノートタイプのパソコンが登場すれば、ネットブックが復活する可能性があった、それに該当すると考える事が出来るものとしては「グーグルのクロムブック」があった。
クロムブック
「ネットブック」はインターネットの利用を前提にした小型パソコンであり、そのOSとしてはマイクロソフト社がWindowsの1バージョンを提供していた、2010年以降にネットブックは終焉して行ったが、そこにはマイクロソフト社がそれ以降に新たなネットブック用のWindows を開発しなかった事も理由の1つとしてあった。
上記理由もありネットブックとは呼ばれていないが、その後にアメリカではインターネット検索サービス大手のGoogle 社が開発した Chrome OS を搭載したノートパソコンの「クロムブック」が発表されて、その後に日本でも発売された。
「クロムブック」はインターネットの利用のみを前提にしたノートパソコンだった、使用できるソフトウェアは、ネット上のウェブアプリケーションのみであり、Google Chrome ブラウザ上で動作させて使用する、データは基本的にはクラウドに保存して、パソコン本体には保存しない、そのために稼働にはインターネット接続環境が必須となる。
グーグルは、ネットサービスとして、多数のネット上で稼働するソフトウエアやクラウドサービスを提供していた。
さらには基本ソフト「Chrome OS」を開発し、さらに複数のOS(WindowsやMacOS)でも稼働して現在では主要ブラウザとなっている、Google Chrome ブラウザを開発して提供していた、それはグーグルのクラウドを使用するのでハード環境やOSが異なっていても、共通の動作をする。
グーグルは上記の自社の技術を搭載したノートパソコンタイプのハード機器「クロムブック」を開発して「Chrome OS」を搭載した。
日本でも2014年に、「クロムブック」と呼ばれるノートパソコン(タイプ)の機器が登場した。
それは、インターネットの利用を前提にしたノートパソコンであり、使用できるソフトウェアはネット上のウェブアプリケーションのみだった。
データはクラウドに保存して、パソコン本体には保存しないので、パソコン本体のハード構成は比較的簡素化出来ていて、他のパソコンと比較して価格面では安価だった。
クロムブックは、グーグルが開発した基本ソフト「Chrome OS」を搭載したパソコンであり、他のOS「Windows」や「MacOS」のようにソフトウエアをローカルパソコンにインストールして利用するのではなくて、ブラウザーソフト(Google Chrome )上で動作するウエブアプリを使用する、同時にGoogle Playストアからソフトアプリをインストールして利用できる(Google Play ストアに非対応のクロムブックもある、一部には正常に動作しないアプリもあると言われる)。
クロムブックには、Office系のソフトが標準搭載され、文書作成のGoogleドキュメントや、表計算のスプレッドシートや、プレゼン資料製作ソフトが統合されている、それらは利用者の多いマイクロソフトOfficeとの互換性も高く使い勝手も良いとされる。
基本ハード・ソフトのスペックが一定以上あれば、ミドルスペックモデル以上でプログラミングが可能で、さらにハイスペックモデルならば動画編集もできるとされる。
基本的な使用方法では、インターネット通信機能以外は高いスペックが不要で、しかも標準アプリソフト購入が不要であるので、費用的に安価になる、さらにはアプリソフトウエアのアップデートがネット上で自動で行われて利用者レベルでは不要になる。
発売されているクロムブックの実例と特徴を見る。
・初期設定が「グーグル・アカウント」へのログインだけで簡単
・起動が約10秒と速い
・重たいソフトを使わないので動作が軽い
・基本的にインターネット接続が前提となる
・グーグルアシスタントによる音声操作が可能
・データの保存は基本的にクラウドを利用する
・システムのアップデートがバックグラウンドで自動実行されるので、最新の状態を保てる
・組み込みのセキュリティ対策機能で、ウイルス対策ソフトなどが不要
クロムブックにWindowsパソコンやMacから移行する場合は、Google アカウントを使用してクラウド上でクロムブラウザでデータを保存・使用している場合には、クロムブック上でクロムブラウザを稼働させてログインするだけでそのままで使用できる。
上記は、Androidスマートホン/タブレットでのデータ移行と同じと言える、既にいずれかを使用しているのであれば、同じGoogleアカウントでログインするだけで終了する。
別の手段としては、住所録とメールと予定データ等をあらかじめ「Gmail」に登録しておく、またはGoogle Play ストアの「Outlook」を使用して、Microsoftユーザーならばそのアカウントでログインして、メールと予定データを利用する方法もある。
クロムブックで使用するクラウド上のオフィスソフトは、マイクロソフトのオフィスソフトとは互換性が高い。
クロムブックのメリットには以下がある。
・低価格のハード機器でも動作が快適。
ハイスペックなパーツを搭載しないモデルでも、軽快な動作を行えるメリットがある、故に高性能CPU・大容量のメモリやストレージを必要としなく、コストを抑えられる。
・起動が速い。
電源オンからログイン画面までの立ち上がりが速い。
Chrome OSはシンプルな設計なので、起動が速くなっている、それはタブレット端末と似ている。
・セキュリティが高い。
クロムブックは、動作プロセスが隔離された環境で処理される事が特徴であり、それはシステムと完全に分離されている、それ故に万一にウイルスに感染したページを開いてもブロックされる。
セキュリティに関するアップデートは自動更新で行われるのでセキュリテイは高い、ただし更新期限は事前に確認が必要だ。
・クラウドにデータを保存できる。
クロムブックではデータは「Googleドライブ」と呼ぶクラウドストレージに保存される(自動的に実行)。
・「Google Play」のアプリを追加できる。