項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:55

アナログ・デジタル変換

自然界はマクロには全てが連続的なアナログの世界だ(ミクロの量子論は除く)、それに対してコンピュータ等の電子機器で扱うのは離散的な数値のみのデジタルの世界となっている。
現在ではIoT(Internet of Things)「モノのインターネット」という言葉が広く多数の人に知れており、あらゆるモノがインターネットと繋がる時代が来ると言われている。
そこでは自然界とコンピュータをあるいはコンピュータ入出力をインターフェースさせる仕組みが必要となる、具体的にはアナログ・デジタル変換が必要であり、逆方向ではデジタル・アナログ変換が必要となる。
アナログ・デジタル変換を行う機器として「アナログーデジタル変換器(AD変換機)」があり、AD変換機は「自然界の色々な現象からのアナログ信号を機械が読み取る事が可能なデジタル信号に変換する機械」であり、日常に使用する電子機器のほとんどに搭載されている(エアコン等の温度調節・通信機器・医療機器・・・・)。
その代表のパソコンにもAD変換機は必須として搭載されている、音楽機器・映像機器等ではアナログ方式からデジタル方式に変わった機器が多い。

アナログ信号は「連続的に変化する信号」であり、中間の値が無限に存在する事を意味する、従ってアナログ信号は中間値を含めて沢山の数字を表現させる必要がある。
一方ではデジタル信号は「離散的に変化する信号」であり、飛び飛び・離散的の数値を扱う、それ故にアナログ信号をデジタル信号に変換することによりデータ量を削減できる事になり、現実的なメリットがある。
電子機器において、アナログ信号だけを扱う回路は回路規模が大きくなり、そこでは消費電力も大きくなる、アナログ信号をデジタル信号に変換する事が可能であれば、デジタル信号は0と1のみ存在するので回路が小さく出来る、消費電力もアナログ信号回路より少なく出来る。
現在の電子機器は、アナログ・デジタル変換でデータ量を減少させて実用的に扱える、データ量を減少させるデメリットはあるが、方法や根拠をクリアした事でデジタル技術と応用が進歩した。

アナログデータ・アナログ記録方式には「劣化」という原理的に避けられない難関課題がある、データを記録する媒体・材質は物理的・化学的に必ず劣化が起きる。
例えばアナログレコード盤では接触式レコード針との摩耗によるノイズの発生や材質のポリ塩化ビニルの経年変化がある、アナログ記録磁気テープでも再生磁気ヘッドでの摩耗やテープ材質の伸びや切断の現象がある。
アナログ記録方式では計時劣化以外にも、データのコピー・複製またはデータ転送を行うとデータの劣化・変質が生じる問題点がある。
コンピュータ記録で使用されるデジタル記録方式とデジタルデータでは、情報を0と1の2種類の記号だけで表す。
例えば電圧5V方式のデジタル記録では、低電圧側を「0-0.5V」で定義し、高電圧側を「2.5-5.0V」で定義する、その中間は不定とする、0Vと5Vで記録されたデータは、ノイズや色々な劣化原因で変化しても、定義した範囲であればデジタルデータとしては変化も劣化もなしになる。
アナログデータをアナログ・デジタル変換でデジタルデータに変えると、デジタル変換誤差が発生するが、一度変換されたデジタルデータの品質維持はアナログと比較すると各段に優れる、同時にコピーしたバックアップデータでもコピーでも全く劣化しないメリットも大きい。

アナログデータをデジタルデータに変換する方法は具体的には3つの手順で行われている。
・標本化:アナログ信号を一定区間ごとに区切り、取り出すこと
・量子化:標本化された値を整理すること
・符号化:量子化された値を2進数に変換すること

アナログデータ・信号を一定区間で区切り、取り出すことを「標本化=サンプリング」と呼ぶ、その時に1秒間に区切る数のことを「標本化周波数=サンプリング周波数」と呼ぶ、この時に重要な事はサンプリング後のデジタルデータの品質が確保されている事だ。
「標本化定理」は上記条件を満たす「ちょうどいいサンプリング数」を決める定理であり、「入力されたアナログ信号の最大周波数の2倍以上でサンプリングすると元のアナログ信号に復元できる」事が内容だ。
量子化は標本化された値を決められた数値に整理する事であり、電子機器で使用するデジタルデータでは整数であり、小数点以下が四捨五入される。
符号化とは自然界の10進数を2進数に変換することだ。

パソコン用のウエブサイト閲覧ソフト「Firefox」で2019/04末から拡張機能やテーマや検索エンジンや言語パックが利用不能となり同時に新規のインストールも出来なくなっていると報じられた。
「Firefox」を提供するMozilla社は2019/05/05にパソコン向けの「Firefox」の最新版v66.0.4を公開して問題への対策とした、しかし解決が必要な問題が何点か残されているとした上で、影響が広がらないようリリースを優先したとも発表した。
Mozillaのソフトウェアにおける拡張機能は、Firefoxなどで利用できるアドオンであり、ソフトウェアに機能を追加するか、あるいは既に存在する機能を変更するものだ。
拡張機能が登場した背景は、それを使用する以前にはソフトウエア本体に多数の機能追加を行ったために、次第にソフトウェアの肥大化が起きて、それに伴いバグの増加も起きた事がある、それ以降のソフト開発ではこれを避けるために、拡張性を維持しながらもソフトウェアのサイズを小さくする方法が考えられた。

音声・音楽機器のCDやDVDではデジタルデータの音源からD/A変換してアナログ音声データにして、そして再生する事は前回で述べた。
それではCD等のデジタルデータは如何に作るかだが、アナログ音声を使用する場合は原理的には既に述べてきたA/D変換の手順で行われる、音声をアナログ信号として入力してそれを数値として記録する、それを「サンプラー」と呼ぶ機器で規格に従いサンプリング・レートと量子化ビット数の設定してデジタルデータを作りマスター音源を制作する、後にはサンプリング・レートを変えて音の解像度を上げた規格も作られている。
デジタルデータを扱いデジタル出力を行う音楽機器が普及した、そこでは例えばデジタルシンセサイザーでは、サンプリングと量子化によってデジタル変換した波形を音源とする、その音源を「PCM音源」と呼ぶ。
その機器では多数の種類の楽器の音を、デジタル音源から作りそのリアルな音色で演奏することが可能となっている、サンプル波形はライブラリーとして準備されており、それを読み込み利用する楽器やハード機器も多い。


トラックパッド

パソコンにおける入力方法と装置はディスプレイとキーボードのセットが標準だが、それに加えてポインティング・デバイスが使用されてきた。
パソコン用としてはマウスとトラックボールが登場して、OSがサポートした事により標準機器として普及した、両者は原理的にも動作も類似しており球の回転で移動を伝える。
ディスプレイに対応した平面を指したりなぞり移動を伝えるタブレットやその精度を向上したデジタイザーもあるが、パソコン用としてはディスプレイ自体をツールとするタッチパネル方式が一部で使用され、フラットパネルタイプやスマートホン用として後に普及した。
ノートパソコンが登場すると、ポインティング・デバイスとしてマウスはデスクトップ的な使用時のオプションとなり、モバイル使用として本体に付属するポイント装置が多数提案された、その一つにトラックパッドがある、数cm平方の面積のパネルを指でなぞりマウスの動作を行う。

マウスは位置を決めるタッチ動作と、位置を移動するドロー動作の2つの基本動作がある、それに加えてクリックという命令・指示動作のボタンを持たせて殆どの入力機能をマウス単体に持たせた、それにハード機種やOSによっては追加ボタンやホイールを持たせている。
ノートパソコンでは本体上にキーボードと何かのポインティング・デバイスを設置して、デスクトップパソコンのマウス+キーボードの入力機能をカバーした、ポインティング・デバイスとしては、例えばトラックボール+ボタンであり、ポインティング・スティック+ボタンがある、これにトラックパッドが加わる。
ノートパソコンを固定使用するならば、マウス追加して使用する事と同様にタッチペン・タブレット等のデスクトップ用も全て使用可能性がある。
トラックパッドは小さな面積の板のパッドを指で触れるタッチ動作と、なぞるドロー動作とに押すクリック動作を加えている、マウスより少ないスペースで、ディスプレイ画面とのGUIの操作環境でかなり直感的な操作が可能な特徴がある、モバイル使用に向いており、それ故にノートパソコンの標準的なポインタとなった、幾つかのノートパソコンではスティックと合わせた双方を搭載している事もある。
タッチパネルが登場し、それがスマートホンで標準搭載となりその動作方法が一般的になると、操作方法がほぼ同じのトラックパッドも標準化方向になっている。

ハードウエアであるポイントデバイスのパソコン標準化装備はOSの標準サポートが必要となる、デスクトップパソコンではマウスが標準でありそれ以外はトラックパッドを含めてオプションの事が多い。
ノートパソコンでは設計思想で位置付けは変わる、アップル社ではハードウエアとソフトウエアの一体設計を行っており、アップル製のmacOSはトラックパッドもマウス同様に快適操作できる環境構造と言われた。
アップルのノートパソコンでは、モバイル性を求めて機器全体のフラット構造と超薄型を目指した、そこでは平面ポイントデバイスが必須であり、薄型キーボード+トラックパッドが採用された。
性能の高い感圧センサー搭載して感圧タッチトラックパッドと呼んだ、それはタッチパネルの動作・使用方法と類似した複数指を使用したジェスチャーを検知して動作が可能で、同時にその機能を利用したアプリケーションが作られた。

トラックパッドの仕組みには、板(パッド)に触れるとその時の静電気を検知する静電容量方式がある、もう一つは板(パッド)を押さえる指の圧力で動きを検知する感圧方式がある。
それぞれの方式でマウスやタッチパネルと同じ様に、ディスプレー上のマウスポインターを動かす事になる。
具体的な操作は
 ・板(パッド)面を軽く押すとドロー
 ・板(パッド)面を軽く叩くとクリック
 ・板(パッド)面を軽く2度叩くとダブルクリック
 ・板(パッド)面から指を放さずに移動させるとドラッグ
追加機能として
 ・板(パッド)面の右端を縦方向になぞると、マウスのスクロールホイール
  と同じスクロール
 ・板(パッド)面の2本指のジェスチャーでズームや回転などの操作
ソフトウエアのサポートで動作する。

タブレットやスマホではタッチパネル方式の採用が一般的になっており、ハードのキーボードもマウス等のポイントデバイスも標準装備されていない、ノートパソコンの使用分野に近づく製品では薄型のキーボードが用意されたり、タッチペンが標準かあるいはオプションで用意されている。
タブレットやスマホの使用経験が多い人や、これらとパソコンの双方を使用する場合には、タッチパネル方式の操作に慣れているとパソコンでも同じ操作ができれば便利だと考える事になる。
タッチパネルでは無いがそれと同じ操作を行う事が可能な入力機器がトラックパッドだ、パッド面上での指の動作でタッチパネル上の指の操作と同じ動作を行える。
タブレットやスマホではタッチパネル方式以外の入力機器が無い事が一般的でキー入力はソフトウエアのキーボードで行う、トラックパッドでも原理的にはハードのキーボードレスでも操作は可能だ。
現状はトラックパッドを装備しない機器用に「ワイヤレストラックパッド」を追加接続する事が行われている、特徴は携帯性とパッドの使用位置の自由性だ、勿論キーボード一体型パソコンのパッドの位置を好む人はその機種を選定する事が重要だ。
ワイヤレストラックパッドはOSが対応かの確認が必要であり、モデルにより機器のサイズが異なり、個人が自分に合ったモノを選ぶ事が望ましい。

「ワイヤレストラックパッド」はマウスの代わりのポイント機器としてデスクトップパソコン用での使用が1方法だが、小型軽量タイプは携帯用に便利でありノートパソコン用の機器としても使われた。
携帯機器としては、軽量で携帯に適する事の他に、充電池を無駄に消費しない為に自動的なスリープモードを持たせたり、操作上の改善の為に指示ライト等が設けられている。
タッチパネル方式でキーボードもポイントデバイスも持たないタブレットやスマホ用とする場合は、タッチパネルの動作を行えるジェスチャー入力対応のトラックパッドを選ぶ事になるが、新たにミニキーボード型のトラックパッドも登場した。
ミニキーボード上のトラックパッドで、指でジェスチャーを行うとクリック等の動作が行える、スイッチボタンを搭載してその切り替えでタッチモードとキーボードの切り替えを行う、キーボードがない機器用のの文字入力用の外部接続機器となる。
無線通信方式のワイヤレストラックパッドでは最大15m程度の操作距離がある、そしてワイヤレストラックパッドをゲーム機用のコントローラーとして使える機能を持たした製品も登場している。

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