項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:58

USB

USBとは「Universal Serial Bus」の頭文字を取った規格であり、コンピュータに周辺機器を接続するための(シリアル)バス規格の一つだ。
初期のパソコンでは周辺機器のプリンタやモデムやマウスなど機器ごとに異なる多数のポート・端子が本体に設けられていた、それは多数の端末・ポートが必要であると同時に接続ケーブルや中間ケーブルでも多数の種類が必要でもあった。
外部接続機器の種類が増加するに従い、端末が多すぎる事が問題化してきた、そこで外部接続規格を統一して一つのポート・端末で運用したいと考えて出来たのがUSBという規格だった。
USBが作られる以前の外部接続規格では、外部機器の接続はパソコン稼働の前に行い最後に電源を切るまでに接続状態を継続する必要があった、それは機器の数だけ必要であり面倒であり複雑でもあった、またデータ転送速度が異なる機器では異なる端子と規格が必要であり共用端子ではなかった。
USBは端子形状だけでなく、上記の多数の問題をクリアする事で有線接続の規格統一を目指した。

USBはパソコン用の新しい汎用バス・インターフェースとして、当時のアメリカのコンパックやインテルやマイクロソフト等の主要メーカーによて策定された。
USBは登場した当初から複数の特徴を持つ画期的なインターフェースとして注目された、マイクロソフトはWindows 95 OSR2から、アップルは初代iMac専用のMac OS 8.1からサポートした、ただし最初は追加仕様としてであり他の周辺機器メーカーでは、普及待ち様子待ち状態だったと言われる。
マイクロソフトはWindows 98からOSの標準仕様とした、アップルでもMac OS 8.6から標準サポートとしたが、それに依り問題点も解消された事で急激に普及しはじめた。
日本国内では上記のUSBの仕様作成にも関わったNECがPC98-NXシリーズ等にUSBポートを搭載した、その後にもターミナルアダプタやマウスやキーボードやプリンター等の多数のUSBデバイスを提供した。
日本でもアメリカと同様にUSB導入初期には混乱が生じた、OSの標準仕様としてのWindows 98以降では、周辺機器メーカーも含めて混乱が減少して本格的に普及して行った。

USBのコネクター形状は、接続する機器と利便性の向上のために多数作られている、そして今後も種類が増えて行く可能性もある。

・USB Type-A
 パソコン用の標準的なUSBコネクター。ほとんどのパソコンにこのUSBコネクターを接続するポートが搭載されている。
・USB Type-B
 プリンター等のパソコン周辺機器で多く使われるUSBコネクター。
・USB Type-C
 USB3.0の新しい規格のUSB 3.1で制定されたUSBコネクター。
 アップルのMacBookや一部のノートパソコンで使用され、一部のAndroidスマホ・タブレットでも採用されている。
 上下の区別がないのが特徴だ。
・Mini-USB Type-B
 デジタルカメラ等の接続に使われる。
 USBコネクターの小型バージョンだが「Micro USB Type-B」登場以降はあまり使われない。
・Micro USB2.0 Type-B
・Micro USB3.0 Type-B
 Micro USB Type-Bは「Mini-USB Type-B」をさらに小型化した。
 USB2.0とUSB3.0でコネクター形状が異り、Micro USB2.0 Type-Bは、Androidスマホ・タブレットで主流となっている。

USBのデータ転送速度は、USBの対応している規格によって異なる。
・最初に「USB1.0」が登場したが、それの安定面等で改善された「USB1.1」が1998年に登場して広く普及した、その「USB1.1」の転送速度は最大で12Mbpsだった。
・「USB2.0」は2000年に登場して、転送速度が480Mbps(USB1.1の40倍)へと一気に大きく向上して、さらに普及した。
・「USB3.0」は2008年に登場して、転送速度は5Gbps(USB2.0の10倍)となった。
・「USB3.1」は2013年に登場して、転送速度は10Gbpsとなった。
・「USB3.2」は2017年に登場して、転送速度は20Gbpsとなった。
「USB3.0」以降は基本的に、コネクターの内部が青くなり、コネクタ外見で「USB2.0」以前と区別をつけた。
USBはどの転送速度の規格でも互換性があり、USB規格が優れていると言われている。
ただしパソコン側でUSBの規格に対応していない場合は、その規格の転送速度は出ない、例えば「USB1.1」にのみ対応している旧式のパソコンの場合では、ケーブル等が「USB3.0」の規格のものを接続しても転送速度は「USB1.1」の12Mbpsとなる。

USBの普及した理由として複数の新しい機能(特徴)があった。
・USBでは外部機器を動作させるための電力をパソコンから供給する事が可能だ、ただし電力量は少ないので大きな電力を必要とする機器ではUSB給電では電力が不足する。
 電力量が少ないポータブルHDDやUSBメモリ等は使用可能であり、光学マウス等のバッテリーの充電にも使える。
・パソコン等のUSB接続ポートが不足しても、USBハブを利用して介すれば複数の機器の接続が可能だ。
・USB以前のシリアルポートでは接続してからパソコンの電源を入れて使用後に接続したままで電源をオフにしてそれから外す使用方法だった、USBポートではパソコンの電源が入っていてもUSB端子を抜き挿しできるホットプラグ機能がサポートされている。
 ただしデータの送受信中はUSB端子を抜き挿しするとエラーになる。
・USBでは、周辺機器の機能でグループ分けされたデバイス・クラスと呼ぶ仕様が定義されている。
 それぞれのクラス仕様に従うデバイスには統一した制御インターフェースが用意されており、該当する機器類は共通のデバイスドライバ・ソフトウェアで動作可能で有り、製品ごとに個別のドライバを作る必要がない。
 例としてUSBメモリがクラス仕様に準拠すれば新たにドライバをインストールしなくとも初めて接続しても直ぐに動作する。

USBは信号ケーブルとして設計されたが、利便性から小電力のデバイスでは接続周辺機器の電源供給が可能であり、そして周辺機器駆動用の電源をUSBケーブルで供給するバスパワード駆動にも対応している。
供給電圧は5Vで電流は100mAだが、ハイパワーデバイス最大は500 mA (USB 2.0)か900 mA (USB 3.0) までだ。
商品市場的にはパソコンのUSBポートから電力が得られる事を利用して、USBを電源供給にのみにだけ使用する周辺機器も登場した、例えばモバイル機器・携帯ゲーム機・各種の充電器・充電用ケーブルがあり、それ以外には電灯や小型扇風機・電気手袋のような電子デバイス以外の用途もあった。
「給電専用としてのUSB」の周辺機器が増えてくると、派生商品として電力供給機能のみのUSBポートと同一形状のコネクタのあるACアダプタや、充電池や乾電池を使用した給電ユニット等も作られた。
USB規格ではホスト側の許可なしで電力を使う方法はUSB規格違反であり、一般的には電力供給専用のUSBポート関連製品から充電することは機器メーカーの保証対象外となるし、給電専用のUSB機器と通常のインターフェースとしてのUSBポートを接続する事も、ほぼ動作保証の対象外になる。


USBメモリー

USBメモリーとは、USBコネクターに接続して使う記憶用ストレージを指す。
記憶用ストレージにパソコン用USBコネクター端子に挿入可能な形状の端子を持たせているので、パソコンに外部機器として直接挿入するだけでデータの読み込みと書き込みが可能になる。
USBメモリーの記憶媒体にはフラッシュメモリ・SDカードなどと同じの半導体メモリーを使用していて、データの読み書きが高速で静音で機械的稼働部がないという特徴をフラッシュメモリと同様に持っている。
フラッシュメモリやSDカードは携帯用・モバイル用の電子機器用の記録媒体に使用されており(例えばデジタルカメラ・スマートホン・ICレコーダー)、コンパクトでしかも大容量な事が特徴の1つであり、持ち運びが簡単でデータの受け渡しも容易に行える。
USBメモリーもパソコンで作成したファイルとデータや写真や動画などに対しての持ち運び用や保存用の記録媒体とし使用する。
パソコン用としては登場当初から相当に小型だったが、スマホ用を始めとするモバイル用途・小型用途への展開に合わせて、より小型のUSB端子規格が作られた、その事でSDカードに準じる用途でのUSBメモリーの展開も考えられる。

パソコン用の主記憶装置としては長くHDD(ハードディスク)が使用されてきた、初期のHDDでは機械的機構の破壊や記録メディアの破損がかなりの頻度で起きたがその後の技術開発で、現在では通常使用状態での寿命は安定して長くなり、同時に機械的強度も向上した。
HDDは記憶密度を高める事で、記憶容量を増やして来たがそれは同時にアクセス速度の向上ともなっていた。
HDDと比較して半導体メモリーは、アクセス速度が速く機械的機構がなく機械強度が強くサイズが小さく軽量なのが特長だ、比較しての短所は記憶密度が劣る事と価格が高い事があり、それに電源なしで記憶保持するタイプの技術が後れていた事があった。
半導体メモリーは課題を技術革新で改善する事で、携帯・モバイル用途を中心にSDカード・メモリーとして使用されて来た、パソコンでは実行時記憶用として使われて来たが電源なしで記録保持出来るタイプはHDDと同じ用途のSSD(Solid State Drive・ソリッドステートドライブ)として使われ始めた。
パソコン用外付けHDDと同じ考えの外付けSSDとして、USBメモリーが使用出来る、HDDと比較して寿命上の課題が指摘されているがそもそも最近までは長期保管用途は考えられていなかった。
USBメモリに使うフラッシュメモリはHDDと比べてデータの欠損率は高く長期保存に向かないとか、USBメモリはデータの読み書きが数年以上続くと保存データが消える可能性もあると言われる、似た事はHDDにも言われて来たので長期データ保存は磁気テープが多く使われて来た。

USBメモリには多数のタイプが存在する、それはUSBタイプと規格に該当する。
USBメモリを選ぶ時には「容量」「転送速度」「価格」が重要となるが、大容量のタイプほどそして転送速度の速いタイプほどに価格は高くなる、容量と速度の必要性のバランスを見て選ぶ事になる。
ただし、使用するパソコンや機器とコネクター規格が一致する必要があり、容量(大容量)や転送速度(高速)の新しい規格ではパソコンや機器側が規格に対応している必要がある。
USBメモリの容量は増加しており、現在では4GB・8GB・16GB・32GB・64GB・128GBなどの容量がある、容量が大きい写真データなら(画素数で異なる)16GBで5000枚程度が目安で、動画なら32GBで5時間程度が目安になる。
転送速度にはUSB規格の「USB2.0」と「USB3.0」があるのは同様だ、「USB3.0」対応品を「USB2.0」のみ対応の機器で使用する時は下位の規格の速度しか動作しない。
USBメモリとSDカードを同じ容量で比較すると、USBメモリの方がやや安価だ。
Windows 10では回復ドライブを作成する場合にUSBメモリを使用するが、その容量は32GBのUSBメモリとなる。

USBメモリーの端子の規格は基本的にはUSBと同じだが、メモリー故に他のUSB機器とは異なる部分もある。
汎用USBメモリーのスタンダードタイプはファイルの読み込みと書き込みを行う為の機能をもつ標準的なタイプだが、まずはデザイン的に幾つかのタイプが登場した、
・初期から存在するのが、USB端子が一般的なキャップ方式。
・次ぎに外したキャップを反対側等に被せて保管して使用するタイプ。
・レバーをスライド移動させて、USBコネクターを出して使用するタイプ。
・USBメモリー本体の一部を回転させてUSBコネクターを露出させるタイプ。
・ボタンをノックしてUSBコネクターを露出させるタイプ。
スタンダードタイプに比べて、USB端子を保護しながらも使用時にキャップを外して失わない工夫がされた「キャップ紛失防止タイプ」のデザインだ。
機能的には、パソコン用としては自動再生をパソコンの設定で対応したタイプがある。
無線LAN用のUSB端子ではUSBポートからの出っ張りが少ない極小サイズが一般的だが、常に挿したままでの使用と持ち運びに適し、小型やモバイル機器では、USBメモリーでも同じ考えを取り入れる、考え方はSDカードと似たタイプであり競合面ではやや不利だ。

USBメモリーはパソコン用では標準的な位置を持っていて多く利用されているが、携帯機器・モバイル機器ではSDメモリーの利用の方が多い。
スマートホンとタブレット端末が登場したが、当初は初期設定にパソコンとの接続が必要だったしパソコンとの接続を意識した時期もあった、その後直ぐにパソコン接続は必須でなくなり本体単独で閉じた使用が可能になった、そこでは無線通信手段であり充電端子以外は外部接続機器は少なかった。
スマホとタブレットの進化と分化でパソコンとの類似製品が登場し(あるいは2ウェイタイプ)、そこでは外部機器の使用が増えると搭載される外部接続端子が重要になり、独自規格の(例えばLightning端子)があり、小型化したUSB端子(Type-B、Micro USB Type-B)がある。
USBメモリーも同様にスマホ対応USBメモリーが登場した、パソコンと類似する用途にスマホとタブレットの分化が進むと、USBメモリーもパソコンとスマホとで共用する用途も生まれる、それには端子形状が異なる場合には変換コネクターが必要になる、そして片側にパソコンへと接続するUSB(例えばType-A)のコネクター、もう片側にスマホやタブレットに接続するコネクターを持ったUSBも登場した。

初期のパソコンでは個人情報保護やセキュリティの問題への意識は少なかった、パソコン通信やインターネット時代になると問題化されてきて、パソコンウィルス等の脅威が広まる事でアプリケーション的・ハード的・OS的に対策が登場して来た。
パソコン用の外部記憶媒体の中で、着脱可能な記憶媒体はその性格から、コンパクト化と持ち運びが容易な事を目指していてそれがメリットだった、それ故にハード的な盗難と紛失の可能性と対策は原則は難しい。
USBメモリはサイズ面で小さくかつ高容量になった事で盗難と紛失のリスクは高い、それはICレコーダーやスマートホン等の電子機器とも共通している、USBメモリを複数機器・手段で使用する時にデータが外部からのウィルスに感染するリスクがある。
現在のパソコンでは起動時にパスワード等の認証が必要になっているし、スマホでは指紋認証や目の虹彩認証や顔認証等の機能を持ったり、2段階・2手段認証等のセキュリティ機能を強化している。
USBメモリでも盗難や不正アクセスへの対策が行われたものがある、例えば登録しないパソコンでは使用時にパスワード入力を求めるUSBメモリ。
・データを自動的に暗号化して保存が出来るUSBメモリの機能。
・ウィルス対策機能を備えた、セキュリティ機能付きUSBメモリ。

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