項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:6

情報試験と実践

国家試験の情報処理試験がなかなか、実践的な人材育成に役立っていない事は しばしば言われます。勿論短い期間の結果で、10年・20年先の事は全く 分かりません。 理由は、情報システム構築のモデルを作りその過程に必要な人材を育てる事 を目的としていることが、現実の社会と現在は合っていないからでしょう。

ソフトを含めたシステム開発会社は、資格の有無で人材を集めるのではなくあ くまでも実務能力で行います。専門集団ですので直ぐに分かります。一方、 社内で情報システムを開発する企業は部門はあっても、システムを利用する 部門を理解しないでは開発は成功しません。情報処理試験の内容のみでは不 足です。最終的にはシステムに仕事を合わせるか、仕事にシステムを合わせ るかの判断にせまられます。ここでも資格の有無は関係ありません。 そして、多くの自社開発の無理な企業では外注・既存のアプリケーションの 利用になります。この時の担当者は、細部に専門化した人材ではなく広く全 体を見る能力が要求されます。

資格の細分化は必要な一面ではありますが、これだけでは現状は不十分です。 ただ後者の能力を評価して資格化する事は非常に困難です。結果として、資 格のための資格になっています。ただ長期に渡って改善しながら継続する事 で情報処理技術者の底上げに繋がる事は期待できると思います。 しかし短期に能力を評価したい要請はあり、数々の民間資格が誕生しています。

民間資格は数多くあります。知名度を考えるとかなり限定されます。そこに実 践能力を加えるとはたしてどの程度有用かは不明です。 実践では、特殊機能を使う確率は非常に少ないです。ほとんどの使用者は機能 が有ること自体を知らないと思います。ただ認定試験となると基本機能のみ では差がつかないので、どうしても特殊機能を知っていて使えるかどうかを 判定する事になります。

民間情報関係の試験としては、国家試験と同様の分野別のものもありますが、 やはりメーカーが実施するハード・ソフト別の認定試験が特徴です。これら は公的機関は出来ないので民間特に販売メーカーが実施する事になります。 ワープロ認定では、変換方式やキーボードの種類がしばしば話題になります。 日本語は親指シフトと言う人が多いようです。

パソコンソフト用試験は、まさしく実践ですが上記特殊機能絡みとヴァージョ ンアップ変更など問題点はいくつかあります。しかし、一番現実に近い事は 確かでしょう。より改良された認定方法が見つかるまでは、より実践的とい う評価は保たれるでしょう。 ただし、ソフトの種類だけ試験の種類が存在する(現実的な汎用性とユーザ ー数があるものにかぎられますが)事は避ける事はできません。 これらの試験も慣れの要素は消しようがありませんが、具体的試験問題を公 表してはいけない事を受験の条件にするなど実施対策はみられます。


MOUS検定

民間資格で企業が行うもののひとつが、マイクロソフト社のMOUS検定です。普 及度の高いマイクロソフト・オフィスソフトの個別について認定試験があり ます。模擬試験問題は販売されていますが、本試験問題は極秘となっていま す。口外するとアメリカのユタ州の裁判所に出頭しなければならない可能性 があります。

模擬試験でも分かりますが、内容は一般と高度があり通常に実務で使い慣れて いる人でもかなり勉強しないと合格は困難です。実践では自分の知っている 方法で作業すれば良いですが、方法の指定もあります。また試行錯誤は時間 的にも場合によっては評価にも悪影響の可能性が強いです。

しかし、それでもこの検定を重視する場合がかなりあるのは、使い慣れたパソ コン以外でも作業が出来る事、複数の方法で作業が出来る事を理解している 事、試行錯誤ではなく正確な作業について認識が出来る事、マニュアルに頼 る作業ではない事、Windows特有の右クリックの重要さを認識する事など、多 数のメリットがあるからです。 特殊な作業の試験問題であっても、結果として実践での作業にプラスになると の認識はある程度納得がゆくと思います。


CAD検定

図形用CADは種類は数えられないくらい多くあります。稼働するコンピュータの 能力が高い必要があるので、パソコンベースで実用的なものは限られます。 ソフト特有のデータの互換性が非常に重要ですので、デフォルトスタンダー ド的になっています。CAD検定もこれらのソフトを対象としています。 一つは、アメリカ製のオートCADで、もう一つは国産のJWCADです。このふたつ は非常に成り立ちも性格も異なります。

オートCADは、パソコンソフトとしてはかなり高価でコピー防止の為にハードウ エアのプロテクトをかけて使います。オートデスク社の開発品で絶えずバー ジョンアップを繰り返しており、2次元と共に3次元にもある程度対応して います。用途も広く設定されており汎用CADと言えるでしょう。当然ながら個 人で購入・使用するのは、費用・メンテナンス等で難しく業務専用と言えま す。

JW-CADは、AUTO-CADと正反対のソフトです。 ・日本製、・フリーソフトで基本機能は無償、・建築用ソフトとして作成さ れた後に他にも使用可能に改良されてきた。・軽いとは言えないがAUTO-CAD に比べると動作環境は通常の能力のパソコンでもある程度は使用可能。

フリーソフトなので基本は無保証・無メンテナンスであるが、ユーザーが増えた 事から改良は行われている。ただし、追加機能等の開発者が専門メーカーの時 は追加機能は有償ソフトになります。

実は私は仕事がら(アメリカ対応)AUTO-CADを使用していたのでこちらは、遊 びで触った程度でよくわかりません。

CADの場合は、入門用としては機能が少ないのが良いか多いのが良いか議論され ますが、機能が多いと最初は慣れるまで時間がかかるが最終的には使い易い。 また、個性が強いソフトが多いので実務使用を目標にするならば、はじめから 実務で使えるソフトを選んだ方が良いでしょう。その途中段階でCAD検定を目 指すならば、ソフトは限定されます。

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