項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:60

無停電電源装置

パソコン等の電子機器は電源障害が起きると機能が停止してビジネス業務も停 止してしまうが、停止だけでなくパソコンや記憶装置やネットワーク機器の故障にも繋がり、さらには重要なデータの損失というトラブルを招く可能性もあり、ビジネスに大きな障害を及ぼす事もある。 電源障害または停電状態は、1:電源供給なし、2:瞬間停電、3:操作ミスによるコード抜けやスイッチオフ発生、4:雑音等での不安定動作等も含まれる。 停電・電源障害発生時に電力を供給するのが「UPS(Uninterruptible Power Supply)=無停電電源装置」だ。 そこには、電力供給時間による分類、目的での分類(稼働・バックアップ・終了時間稼ぎ)、電子機器単位のバッテリーの有無での分類が可能だ。 無停電電源装置(UPS)は大事なデータを扱いそして業務を止めらないビジネスでは必須の機器であるが、最近では価格の低下が起こり個人の導入も増えている。

電気駆動機器が一般的になり増加しており、理想的には全てが停電中にも使用したい状況になっている、それには商用給電以外の独自線での電力供給や自家発電が必要になる。後者らがあれば停電で使用出来ない可能性は大幅に減少するが、それを利用する為には多額の費用が必要になる。 無停電電源装置(UPS)は上記を含めず、用途・目的を限定して同時に費用も抑える装置を指す。 停電時間を短いと仮定したバッテリー駆動装置がある、それよりもより動作時間を限定した停電時の機器保護とデータ保護の目的だけの装置がある。 UPSは停電中の電力供給の目的よりも、停電時に機器とデータを保護して、復旧時に速やかに再開出来る目的が強く、その用途限定をする事で費用も抑える事が出来る。 停電には一般的な停電の他に ・「瞬間停電」=瞬間的な停電で、電力会社の送電ルートの切り替え等で発生する。 ・「瞬間停電」に似た現象で、色々な原因で雑音が発生する事で電力供給が不安定になる場合も、瞬間停電的な現象が起きる。 ・操作ミスでの電力ストップもあり、作業ミスでコンセントが抜ける人為的なトラブルは配線が露出するフロアやたこ足配線の環境で発生しやすい、それの対策では配線を露出させずオフィス環境をOA対応フロアにする事が増えている。ブレーカーが落ちる事故もある。 ・東日本大震災の直後の計画停電や、北海道地震で火力発電所が被害を受けて負荷余裕を作る為に停電させた例も含まれる。

無停電電源装置を「交流電源が停止した時でも機器が稼働出来る装置」と考える事も出来るが、その場合は電池やバッテリーで動作するモバイル機器は無停電装置とも言える。 バッテリーで動作するモバイル機器としてはノートパソコンやタブレット端末やスマートホンがあり、現在では、1:バッテリーで稼働、2:交流電源ないしは外部供給の直流電源で稼働、の双方で使用可能であり後者にはバッテリーへの充電中状態を含む。 これは外部電源接続時(2)はその電源で稼働して、その供給が停止するとバッテリー稼働に連続的に切り替わり、停電でも機器もデータも破壊されない駆動方式だ、そしてノートパソコン等のモバイル機器の連続バッテリー駆動時間は数時間から10時間程度が多い 無停電電源装置を同じイメージで考える事も多い、そこでの無停電電源装置は停電時に自動で電源供給方法が切り替わり、数時間から10時間程度は使用可能のイメージとなる。 ただし無停電電源装置にはより長期に使用する装置や、停電時に機器とデータを保護して停止する保護目的の装置も含む。

無停電電源装置(UPS)に接続したい機器は、理想的には交流電源に繋がっている全ての電子機器になるが、UPSには容量制限があるので現実的な選択が必要になる。 UPSで保護する優先順位が最も高いのはストレージ系の機器となる、それらはいきなり停電する(電源が断たれる)と記憶領域の損傷を受ける可能性が高くそれによるデータの破壊は利用者にとっては修復出来ない事故を招く危険が高い。 その具体的な機器としては、パソコン(搭載されているハードディスク(HDD)や外付けHDDであり、それに加えてネットワーク対応HDD(NAS)がある。 デスクトップパソコンでは、通常は分離型の画面ディスプレイもUPSに接続する、停電時に稼働中のファイルを保存してからパソコンをシャットダウンさせる必要がある為にディスプレイにも電源を供給して作業が必要だからだ(リモートなどで他のシャットダウン方法があれば不要だ)。 接続しない機器の選定 ・バッテリー駆動機器>運用基準を作る必要がある ・容量が高い一般機器>データ破壊がなく、機器破損可能性も少ない ・容量が高いOA機器>レーザープリンタ・FAX・コピー

無停電電源装置(UPS)としては 1:長期の給電目的の装置があり、自家発電が該当する、容量に応じ接続可能機器は増える 2:中期の給電目的の装置があり、容量が大きいバッテリーが該当する、1:への切り替え時間として使用する事もある。 3:短期の給電目的の装置であり、安全に電源をシャットダウンするまでのデータ保護が目的となる。 1:はコストがかかるが医療設備や企業や自治体で停止出来ない装置を保有する場所で使用する、それでも接続機器の選別は必要だ。 企業等でオフィスで使用している全ての機器に長時間電力を供給する事はコスト的に高価になり現実的な選択にならない事が多い、そこではバッテリー式のUPSの選択が中心になる、必要に応じて拡張バッテリーで容量を追加する事にもなる。 一般的な場所ではUPSは「停電時に機器を安全にシャットダウンする時間を稼ぐ装置」と考えて、UPSが電力を供給している間に使用中のファイルを閉じ、機器を安全にシャットダウンすることが現実的目的となり、この用途は10分以下の時間持てば良いのでコスト的にも可能だ。 通信時代ではLANのハブやルータも3:に関しては給電は必要だ、通信でデータ書き込み中ではパソコンのみに給電しても通信停止でデータが失われる事になる、バッテリ式のノートパソコン使用の場合には特に注意が必要だ。

無停電電源装置(UPS)は機能の多くを望むとコストが嵩む、従って中小企業やSOHOや個人事業で利用する場合には停電中の稼働を考えず、「停電時に機器を安全にシャットダウンするための時間(5-10分)を稼ぐための装置」と考える方がコストを含めたメリットが多くあり現実的だ。 UPSメーカーが「接続しない機器・接続してはいけない機器」とする装置がある。 例えばレーザープリンタはピーク時の消費電力がインクジェットプリンタ等と比べて非常に高い、熱水用の電気ポットやドライヤーと同様レベルの消費電力であり断続的に大電流が流れることがある、その為にUPSが故障する可能性がある、その為にUPSメーカーの多くは接続NGとしている、同様に消費電力が高い機器として、コピー機や冷蔵庫や電気ヒーター類等も同じ理由から接続NG機器とされている。 IT系機器として、FAXについては外部との通信用途として必要かどうかは微妙であり個々のケースで判断するとされている、接続が必要なケースは全域の停電では無く、設置ビルや一部部署のみの停電(工事等)の時に外部からの通信を受ける目的の時がある。 IT系以外の機器は、テレビや録画機器は問題ないが、エアコンや扇風機等のモーター駆動機器はヒーター機器と同様に対応しない事が普通だ。


タッチパネル(入出力)

タッチパネルは外観上は液晶パネルのような表示装置であるが、それにポイントデバイス機能である位置入力装置を組み合わせた電子部品である、入出力双方の機能を持つ事になる、ポイントデバイスとしてはタッチパッドのタイプであるが、画面上の表示を押す動作で機器を操作する入力装置になる。 動作方法としては、コンピュータ等から送られた画像情報を出力装置の液晶ディスプレイ等に表示して、利用者が画面に表示された画像等の場所を手で触れたり専用のペンや一般ペンで圧力を加える事で、画面の位置情報を入力装置として検知する。 ポイントデバイスで操作するタイプの機器であり、同時に操作内容が直感的に理解しやすい特徴がある事で、装置自体も操作がしやすく作る事が可能だとされている。

タッチパネルは、銀行など金融機関のATMや、自動販売機や鉄道駅やレストラン・食堂等の自動券売機等の、不特定多数の利用者が操作する公共性の高い機器に多数使われてきた。 個人レベルで使用する機器としては、携帯情報端末(PDA)やデジタルオーディオプレーヤーや携帯ゲーム機等に使用された、またオフィス利用ではコピー機やファックス等に使用された、他にもカーナビや各種デジタル情報機器でも使用された。 これらはポイントデバイスで操作するタイプが主流であり、数字キーを併用するタイプも多い。 タブレット型コンピュータやスマートホンが登場して、ポイントデバイスとして使用されるケースが増え、数字や文字の入力方法としてはソフトウエア方式のキーボードがタッチパネルに表示される方式が主流になった、数字や文字の入力が多い場合にはオプションとして外付けキーボードを使用する。 指タッチ+ソフトウエアキーボードでは、見かけ上は表示機器のタッチパネルのみとなりモバイル性が優れる事になり、その方式のスマホが急速に普及した。

ポイントデバイスの初期機器であるマウス等では基本は1点のみしか検出できなかったが、その後に登場したポイントデバイスでは複数点の検知が可能になりジェスチャーと呼ばれる動きを検出する入力方法にも対応してきた。 タッチパネルでもその流れは同じであり、最初の機器は1点のみしか検出できなかったが、次第にマルチタッチスクリーンのような複数点を検出できるタッチパネルが登場した、1点タッチパネルとボタン操作だけの機器と比べて操作性が改善された、これに音声を加えてユニバーサルデザインの実現を目指している。 複数点の検知対応とジェスチャー対応のタッチパネルを搭載したスマートホンやタブレット端末では殆どの操作をタッチパネルで行うOSが採用された、同時に小さな画面サイズに向いたタッチパネルの方式が開発された、これらにより軽量で機器構成がシンプルでモバイル性の高い機器が実現された。 最近では携帯機器の注目度が非常に高く、高速応答で高精度なマルチタッチ操作が実現されている。

タッチパネルによる入力方法の利点を整理する。 ・タッチパネル画面上に表示される操作説明と入力動作が対応している事から、使用者が画面の操作手順を見ながら操作できる。 ・操作方法が直感的になって、分かりやすくなるので、機器操作を誰にでも扱いやすくできて、入力操作が簡単になる。 ・入力装置と表示装置が一体化されるので、双方と本体を合わせた装置全体が小型化しやすい。 ・画面表示をソフト的に随時切り替える事が容易であり、1つの画面上で多様な操作指示に使用できる、その事で表示画面の小型化が可能であり、機器全体の小型化も可能になる。 ・ポイントデバイスとしては、タッチパッドやスティックやマウスを使用してのソフトウェア・キーボード入力よりも入力が早い。 ・ソフトウェア次第で多彩な操作性を実現できる。 ・物理的なボタンがないので、機械的な寿命が長くなる。

タッチパネル入力方法のデメリットは方式そのものの仕組みにある。 ・ディスプレイ画面を指で繰り返し触るので、画面が汚れて見えにくくなる。 ・指1本操作に加えて、2本指以上操作やジェスチャー操作の高機能は、利用者の中には苦手な人もいる。 ・指タッチ操作の検知精度や判定精度設定が難しく、利用者の個人でバラツキが生じやすい。 ・押しボタンやキーボードと異なり反発感が無く、それらと比較して素早くかつ精度の高い入力は難しい、パネル画面変化や音や振動を起こしてのフィードバックを起こす工夫が行われる。 ・キーボードではキーの指接触部に突起等の触覚差を付けて位置が判る様になっていてタッチタイピングが可能だがタッチパネルでは出来ない、キーやボタン類は触覚に頼る視覚障害者の利用も考慮すると対策が必要だ。  タッチパネルは平面なのでどちらにも非対応であり、駅の券売機や銀行ATM等では特に問題となる、対策としてはパネル以外に点字の案内板を付けたり、受話器とスピーカーでの音声ガイド機能を付けたり、テンキーを併用する方法等が取られている。

タッチパネルが実用化されたのは2000年代からで、最初はATM等の業務用機器に採用されたが、その後に携帯用情報機器に採用が拡がり、2007年にiPhoneが発売されて以降はスマートホン等へのタッチパネル搭載が一気にトレンドとなり、デジタルオーディオ機器やデジタルカメラへ等にタッチパネル搭載が増えて、デジタル家電市場に拡がった。 最初は抵抗膜方式タッチパネルが採用されたが、次ぎに静電容量式タッチパネルが普及した、タッチパネルの方式についてはより高性能の多数の方式が次々に提案されて来ている。 タッチパネルの新技術と方式の開発では、メリットを生かしてデメリットを改良しているが、同時にコスト面と大量生産という供給面も課題になる、そこでの事情は半導体やコンピュータ関連産業や電子産業と同じであり、シェア争いと技術革新争いが行われている。

このページの先頭へ