項目別バックナンバー[2]:パソコン情報:46

PCスキル

パソコンの普及時代は、装置の普及が使用スキルを持つ人を上まわった。
その多くが年齢層が高いので、企業等内でスキル向上の教育を行い、就職・転職を希望するものはPCスキルの勉強をしてそれを特殊技能とした時期もある。
具体的には「情報処理技術者試験」が存在したが、パソコンの普及に従い度々の取得科目の増加や見直しが行われたが、成功したとは言いがたい。
特殊技能は、専門学校卒業レベルの机上知識と個別の実務論文からなる事が主体で前者は学生が圧倒的に知識が豊富で、後者は実務者だ。
双方を満たすものは少数で、その人たちは細分化した技能の複数を合格出来たという結果になり、試験自体が情報能力向上に寄与したのかは微妙だった。
実際のPCスキルには「MOS」の方が有効性があったと思う。

パソコンのOSがWindows寡占時代の産物で、オフィスソフトもマイクロソフトが寡占に近いシェアを持った事がある。
その結果として、PCスキルとしてマイクロソフト・オフィスソフトの使用能力を就職の募集内容とした、それに対応する能力試験をマイクロソフトが実施した。
マイクロソフト本部が管理し、各国の言語バージョンに従いアレンジし、パソコン教室等の協力(パソコン教室自体が教える内容や受講者に望まれる内容がマイクロソフト・オフィスソフトの使用能力であれば、むしろ試験開催認定場所になることはメリットがある)・認定で行う。
実際の標準パソコンを利用しての実機試験であり、ハードは標準キーボード・マウスの範囲であり、テンキーやファンクションキー等は微妙に異なる、ただしそれは実務レベルで作業用のPCが機種が異なるレベルに入る。
公式ガイドや問題集があるが、過去問題等は受講者には受験条件として機密を求め、長い禁止条項に同意しないと受けられないし、違反で訴えられアメリカのユタに呼びだされ裁判も困るので、建前は秘密だった。

マイクロソフトのMOUS認定試験は実用では使用頻度がゼロに近い機能も含まれる筈で、目的適合性は明らかではないが基本的な利用知識を保有している事は確認出来るし、キーボードやマウスの操作が可能な事も確認出来る。
されば、1級と2級があっても確実に必要なのは2級だと思うのだが、人間心理として1級>2級のイメージは確実に生まれる。
また、ワープロ・表計算・プレゼントソフト・データベースソフトでは、難度も使用頻度も業務上の必要性も異なるが、多数の資格保有が勝れているとのイメージも同様に生まれる。
ソフトの競合他社もユーザーの要望や販売上の戦略として、自社ソフトの認定試験を実施した、マイクロソフトよりもシェアが少ない事が多いが、実際に要望はあるし、これまた上記と同様に異なるソフトも含めて多数の資格を持つと優秀ではないかとのイメージも生まれがちだ。
一時は必要以上に実ソフトの実機資格試験が行われ、それがPCスキルと思われた事がある。

PCスキルとしてデスクワークの事務職と、現場のリーダーに要求されるのは、グループウエアの機能、特に電子メール機能と最低限のオフィスソフトで資料を作る機能とそれらを読む機能を使いこなせる事だ。
全員に教育する事は、普及した後では人数的に難しいので、フロワーや部署別に推進委員・担当・リーダーを決めて、その教育と各種情報を担当者を集めて行い、そこから対象者全員にPCスキルを広める方法がとられた、この利点は現実性が高い事で、欠点はリーダーの能力により部署別でPCスキルの差が生じ易い事だ。
これは最低のレベルのPCスキルであり、個人にパソコンを配給した場合はより高いレベルの使用が望まれている、それはやや高度なオフィスソフトの使いこなしとデータベース等の運用と、プログラミングだ。

PCを製造現場の作業用に持ち込むには、事務とは異なる大きな壁がある。
それは、PCに慣れていない、キーボードに慣れていない、民生用のリモコンも苦手だ、その他多様なレベルへの対応だ、具体的には最低レベルまでの教育は必要だがそれをどこまで下せるかだ。
そこでは加工機等の専門作業者と、工程管理のコンピュータ化に対応する一般作業者の設定・分類がいる。
前者は個別教育・スキル向上の対応で行うが、後者は理想的には一般作業の指示や作業標準書レベルの内容で対応する事が望ましい。
具体的には、コンビニやスーパーを初めとして多くの場所で使用されているバーコードを使用した管理システムが多く使用されている、それをPCスキルと呼ぶかどうかは微妙だが確実にコンピュータにデータ入力をしている。

事務や利用率の高いPCスキル保有者は、日本の企業では必要性が生まれた初期から外注や、派遣業者の利用で対応した。
具体的には、専用独自開発ソフトの利用と表計算やワープロやデータベースへのデータ入力作業がある、手書きデータの入力や集計作業も行う事もある。
これらは、作業速度や誤入力率等で優秀度が判断が可能で、契約の延長や希には時間給の変更も有り得る。
その後に増えた用途はコールセンターのオペレーターだ、これはPC作業と同時に電話応答も必要で専門職に近くなる、正社員が中心になるか類似の養成の仕組みが必要だ。
有名アプリケーションソフトの利用スキルは、必要とする企業には研修が不要で有用だ、しかも広く使用されているアプリケーションでは派遣業者の利用が生まれて来る、具体的には電気回路用の各種キャドや図形ソフトを利用してのデザイン作業等がある。


シュミレート

コンピュータ・シミュレーションは大きな分野・用途だが、発達したパソコンでもかなりのシミュレートを行う事が出来る。
勿論、スーパーコンピュータが扱う通称・ビッグデータはまだまだ無理だが、利用出来る範囲は広がっている。
例えば、世代の古いCPUやOSのシュミレータがある、かなりの機種を当時のハードとソフトのセットと似た速度で動作させる事が出来る、ただ表示画面の解像度やネット環境などで需要はあまりない様で、実用は殆ど聞かない。
ゲーム特に思考ゲームのシュミレートが人工頭脳と結べつけられている。
また数学的な多変量分析や実験計画法などの実用プログラムが稼働している。

人工頭脳がブーム的だ、だがコンピュータ・シミュレーションとの区別はまだまだ微妙だ、後者の内で汎用でないものはエキスパート・システムとも呼ばれる。
人工頭脳の商業化が進むが、人工頭脳が注目されたのは、オセロ・チェス・将棋・囲碁などの完全情報ゲーム(サイコロで偶然決まる要素がなく、局面の情報が全て示さられるゲーム)でのコンピュータシステム(ハード+ソフト)の進歩だ。
局面をコンピュータが圧倒的な早さで読む能力が生かされるゲームは、結論が出ている。
また、読む局面数が少なくゲームが進むとより少なくなるゲームもコンピュータは得意だ、その段階では人工知能とは呼ばれなかった。
この分野は、新しい手法が登場することで発達して来たが、現在はコンピュータ自体が学習する能力を持つ方向で進んでいる、初期設定以降はコンピュータに全て行わせるために人工知能とむすびつけられ考えられるようだ。

完全情報ゲームでのコンピュータソフトの進歩のうえには、学習は欠かせなくそこにコンピュータ自身が自動で行う機械学習機能が導入された事が一気に機能が向上した。
コンピュータの特徴である、高速処理と疲れをしらない繰り返しの学習動作は一気に能力を向上させる可能性を作った。
人間も基本は学習で能力を高める、得意な事や判断基準に差があっても、学習で能力向上は同じだ。
ただし、学習時間と早さには人間とコンピュータでは大きな差がある、たとえ判断基準が異なっても学習能力の圧倒的な差でカバー出来るまで近づき追い越す事が可能になってきている。
人工知能は、自己自身の機械学習と密接に繋がる事が判った。

学習は単純では無い、間違った事を学んでは向上しない、むしろ低下する。
正しい事を学習する必要があるが、何が正しいかの選別を如何にするかが問題となる、それは結果で判断する事になるが多様性のある人工知能では「正しい学習」かの判断手段自体が課題だ。
これがシミュレートに限れば、結果で判断する事が可能だと考えている、ただしあらゆるシュミレートに結論が存在する訳でないから、あくまでも結論が出る事に限られる。
これが完全情報ゲームが研究対象になる理由だが、一般的なシュミレートは結果の評価方法が存在しないとシュミレートの正否は判断出来ない。
ただし、人工知能に目標を置かなければ結果の判断は人間が行う事で可能な場合もある、手法としては有望だが個人差で結果の評価が分かれる事は予想される。

大型(スーパー)コンピュータとシュミレートは密接だが、小規模ならばパソコンでシュミレートは可能であり能力の範囲で有能だ。
具体的には、多変量解析や数値計算やゲームの理論等の利用があり、実験計画も似た意味がある。
それぞれに、専用のアプリケーション・プログラムパッケージが販売されているし、フリープログラムも存在する。
他方では、普及しているオフィスソフト・パッケージの中の表計算ソフトにはソルバーが組み込まれている。
ソルバーはソフト毎にチューニングされてはいるが、殆どが同一社の開発したエンジン(プログラム)を使用して内蔵している。
これは表計算の番地をつけられた枠と、標準搭載関数と、ソルバー機能に含まれるミニプログラム言語で上記の多変量解析や数値計算やゲームの理論等を行う事が出来る。

パソコンのオフィスソフトの利用者比率は高いし、表計算ソフトの利用率はその中でも高い、その中でデータ入力とワープロとデータベース的な利用以外になると、利用者は少なくなる、ただし数式計算や関数式がプログラムされたシート(プログラム)を使用する事は増える。
それは表計算の数式計算機能の設定が出来て利用する人が少ないだけだと言える、これがミニ言語のプログラム能力と数学の理解でのソルバー利用となると僅かな利用者になる。
それはプログラムで専門ソフトを作る場合との中間的な難度になるからだ、シュミレートが日常の事ではなく、一部の人の世界だからだが、その小型版ならば一般のパソコン利用者にも可能な範囲の近さにあると言う事だ。


セカンドパソコン

パソコンが安価になりその生活での必要性が高くなると、故障対策やメンテナンス対策が必要になる。
壊れたら修理待ちとか買い換え待ちになるが、それで生じるタイムラグが無視出来なくなったからだ。
同時に、機能にもよるがパソコンの価格低下は、最低限の機能に限ればセカンドパソコンの準備と利用は、シンプルな対応方法だ。
勿論、パソコンはハードだけでなくソフトも通信手段も、データのバックアップと使用も含まれる。
パソコンのハードの買い置きだけではセカンドパソコンにならない。

セカンドパソコンは使用者のライフスタイルで変わる、常時デスクトップパソコンとモバイルパソコンの双方を使用して、相互に通信方法があれば最低限の相互のバックアップ機能となる。
全てのソフトとデータを対象にすれば完全バックアップは難しい、重要度と復旧可能性を調べてバックアップを行う必要がある。
そのバックアップ先も選択肢が広がっている、使いこなせるかの判断は意外と難しい、OSの種類で変わるしウインドウズでさえバージョンが違うと個別の判断になる。
個別の媒体バックアップと、クラウドやネットディスクバックアップも広がっている、全ての操作と互換性に問題がなければ事は易しいが、現状は個別に対応するしかない状況で、セカンドパソコンの導入が必要な事も多い。

パソコンは一般電気製品よりもランニングコストが高く、常時のメンテナンスが必要な性格を持つ。
ハードと基本ソフトを搭載して、一度は稼働させてもその状態で放置していると使用環境は刻々とレベルが下がる。
それは、新品のパソコンでも同様で少なくともプリインストールのOSを始めとしたソフト群は最新状態では無い事が圧倒的に多い。
従って新品でも購入後は、インターネットに接続してユーザー登録し、最新バージョンへのメンテナンスが必要だ、それが長時間を要する事も珍しくなくパソコンが新品で入手しやすくなっても、セカンドパソコンを検討する大きな理由だ。

情報機器の初期設定方法は、稼働し通信可能な他の情報機器の存在で変わる。
例えばバックアップの有無、通信登録先の認証の問題が大きい。
通信可能な他の情報機器の存在という事が大事で、インターネットかローカル接続でも通信出来てかつ、初期設定情報を持つかどうかがポイントだ。
セカンドパソコンを準備する事は、上記に関わる事も意味する。
単純にメインパソコンと同等(最低限で良い)の機能を持たせているか、ないしは壊れたメインパソコンを買い換え等で設置するときに短時間で機能を復帰させる為に使えるかどうかだ。

セカンドパソコンを含めて、使用機器が故障や破壊した時のバックアップ機の必要性はだれしも知るが、情報機器の進歩の早さが躊躇させる。
メインパソコンが使えなくなる時期が判らないので、セカンドパソコンが必須になる時期が不明で、早くに準備すると寿命のバラツキでセカンドパソコンが先に使えなくなる事もありえる。
パソコンが無いと困る程に長時間の使用者には、2台を使いこなす時間的余裕は無い事が普通だ、パソコンは随時メンテナンスが必要な装置であり、使用状態に保たれたセカンドパソコンの保有は予想外に難しい。

パソコンはハード依存性が高く、機種依存性もOS依存性もある。
それを減らす試みはいくつかあり、複数台のパソコンを使用する場合の選択時の検討課題になる。
例えば、単純なテキスト形式とか、PDF形式とか、HTML形式とか、スクリプト言語での動作方法だ。
テキスト形式は最低限の情報のみ持ち残りはハードの持つフォント等を使用するので正確な再現性でないが情報の欠落は防ぐ、PDF形式はフォント等の情報まで含む方式なので機種依存性は少ないが情報自体の容量が大きい。
HTML形式はブラウザと言う閲覧ソフトが汎用で多様な機種に対応している事を前提にするのでブラウザが動作すればサポートされる、ネット上で稼働する時は共有情報や空間を使用する事で互換性を高める。

このページの先頭へ