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発光ダイオード
発光ダイオード(light emitting diode: LED)はダイオードの一種類で、PN接合に順方向に電圧をかけた時に発光する半導体素子だ。
半導体材料が異なると紫外、可視、赤外域の色々の波長の光を発光する事が可能だ。
・1962年に発明されたが、その時は赤色だった。
・1972年に黄緑色が発明された。
・1990年代になって、日本人によって青色LEDの半導体が発明された。
・そこから白色光LEDが作られたが、それは白熱電球や蛍光灯に比べて長寿命で、低消費電力の特長があり、一般の照明への利用が進んだ。
今では加えて、携帯電話など電子機器のバックライトや、交通信号機や、道路表示装置や、屋外用デスィプレイ装置ら、懐中電灯などに拡がり、照明やディスプレイ分野を中心にした広い用途使用されている。
発光原理はエレクトロルミネセンス (EL) 効果の利用であり自分自身が発光する素子だ、同じ自発光材料である有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)も分類上ではLEDになる。
発光ダイオードの発光原理は、理論的には電子の持つエネルギーを直接に光エネルギーに変えることで行われるのでマクロの熱等の介在は不必要だ。
発光ダイオードは通常のダイオードと同様に、半導体のpn接合構造で作られている、そこでは電極から半導体に注入された電子と正孔はエネルギー帯の異なるエネルギー準位のバンドである、伝導帯と価電子帯を流れて、pn接合部で禁制帯(バンドギャップ)を越えて再結合する。
その再結合時にはバンドギャップに相当するエネルギーが光で放出される、その波長はバンドギャップで決まり材料で異なる、赤外線・可視光線・紫外線まで種類があるが、素子単位では単一色になる。
青色と赤色と緑色と言う光の三原色の発光ダイオードを組み合わせると、あらゆる色の表現が可能になる、あるいは波長の短い(エネルギーの高い)青色か紫外線の発光ダイオードに蛍光塗料を塗布する事で白色や電球色発光ダイオードが製造できる。
発光ダイオードは光学素子の面が強いが、電気的特性としては一般的なダイオードと同様であり、極性がありカソードに対してアノードに正電圧を加えて使う。
電圧がかかっていない時と同様に電圧が低い間は電圧を上げても電流が増えず発光もしない、ある電圧以上になると電圧上昇に対しての電流増加割合が急に大きくなり、同時に電流量に応じて光を出す、この電圧を「順方向降下電圧 (VF)」と呼ぶ。
VFは発光色により異なる、
赤外>1.4V程度、赤色・橙色・黄色・緑色>2.1V程度。
白色・青色>3.5V程度、紫外線LED>4.5から6V程度 、波長が短くエネルギーが高いほどにVFは高くなる。
発光ダイオードの消費電流はその用途で異なる、表示灯用途は数mAから50mA程度であり少ない、照明用途では消費電力が数十Wの大電力もあり駆動電流も大きくなる。
発光ダイオードの逆方向の耐電圧は、通常のダイオードよりはかなり低い、それを超えると破壊されるので整流用途は使用できない。
発光ダイオードはそれ以前の蛍光灯や白熱灯などの光源と比較すると、全く特性が異なり、多数の利点とマイナス点がある。
発光ダイオードはその構造が簡単な事から大量生産が行いやすい、それが安価に繋がる、発光ダイオードは軽量で衝撃に強い機械的特徴があり、しかも長寿命で故障の発生頻度も低い、それらからあらゆる照明で交換等のメンテナンス費用が低減する。
発光ダイオードは低電圧駆動で低消費電力であり、携帯機器でも使用できる、また入力電流変化に対する光出力の応答が速いので通信用途にも利用される、また照明用途ではスイッチオンと同時に最大光量が得られる。
発光ダイオードは蛍光灯や白熱灯など他の光源と異なり、特定の波長に偏る光であり使用では利点も欠点も生じる。
発光ダイオードは不要な紫外線や赤外線を含まない光が容易に得られるので紫外線を避ける用途、例えば文化財や芸術作品に向く、また熱照射を嫌う時の照明に使われる。
植物栽培に使用する時には、特定の波長の光を好む植物の育成促進効果がある、だが逆に特定の波長の光がないので動植物の育成を阻害することもある。
見かけは白色発光ダイオードの場合でも、例えば3色LED方式の白色光では波長分布が異なる事での弊害が出る事がある、蛍光体を使用して波長分布を拡散した白色タイプでは元々の波長の青色に特に強い波長の光が分布しているので弊害が出る事がある。
発光ダイオードでは放出された光の波長(色)は素材のバンドギャップの大きさで決まるので、対応するバンドギャップを持つ半導体材料が用いられる。
一般的な半導体材料のシリコンやゲルマニウムなどは間接遷移型半導体であり電子と正孔が再結合するときの光は放出されにくい。
発光ダイオードでは発光再結合確率の高い直接遷移型の半導体が使用される、加えてGaAsP系やGaP系などをドープした不純物の準位間で発光する材料も用いられている。
青色発光ダイオードは、窒化ガリウム (GaN) を材料とする青色の光の発光ダイオードであり、GaN系発光ダイオードの開発と、その後の青色半導体レーザー開発で紫外から緑色の可視光短波長領域の半導体発光素子が実用化された。
アルミニウムガリウムヒ素 (AlGaAs) > 赤外線・赤
ガリウムヒ素リン (GaAsP) >赤・橙・黄
リン化ガリウム (GaP) >橙・黄橙・黄・緑
ダイヤモンド (C)>紫外線
窒化ガリウム (GaN) >橙・黄・緑・青・紫・紫外線
白色光は、可視光線の全スペクトル域で強度が連続する光(連続スペクトル光)を指す、発光ダイオードの光は狭い波長範囲のみに限られるので正確には白色光を作れない。
だが白色は多色光であり、波長分布(スペクトル)が違っても人間の眼には白色と見えるスペクトルを作る事は可能だ、代表例としてはカラーテレビの方法が有りそれは光の三原色を混合する方法だ、その外には補色関係の2色を混合して白色に見せる方法もある。
白色発光ダイオードでは上記の原理を利用して具体的な方法が行われて来た。
・青色LEDと黄色を発光する蛍光体の組み合わせ>
黄色は青色の補色なので、青色と黄色を混ぜると白色に見える、この方法は簡単であり、それ故に光も強く出来るので普及している、欠点としては青みがかかる事がある。
・紫外LEDで青・緑・赤の蛍光体を発光させる方法>
この方法は3原色混合であり自然な白色光に見える、欠点としてはまだ強い光をだせていない事がある。
・青色・緑色・赤色の3個のLEDを発光させる方法>
3光源が必要で複雑ではあるが、光が強くフルカラーが発光できる、それ故にディスプレイの照明やLEDスクリーンなどに使われる。
発光ダイオードは、低電圧での直流駆動が可能で電気的に取り扱いが容易な特徴がある、そして光源としても低消費電力で、寿命も既存の光源と比較して長い、それらの理由から白色発光ダイオードはLED照明として利用が進み、気体以外の固体光源として広まっている。
電子化確定申告
日本政府は数年前から確定申告の電子化(e-tax)を行ってきたが、新型コロナ・ウィルス感染問題が起きてその対策としても、一層強くe-taxを強く進めている、現実的には人の密集を避けるために、確定申告提出先で行ってきた税務相談や申告書作成サービスでは人数制限が行われる事になった。
そして自宅でのネット上での確定申告の電子化作成と、作成した電子データの送信または印刷しての郵送方法を推進している。
それに関連して、マイナンバーカード(電子化)の普及率向上を進めているし、当然ながら捺印の廃止も進められている。
確定申告の電子化(e-tax)を個人が行う必要要件は紙ベースの確定申告書の作成の場合と比較して加えて、1:パソコン等の使用環境、2:インターネットのアクセス環境、3:ネット上で作業を行う能力、それに加えて電子データ送信方法を行う場合は、4:マイナンバーカード(電子化)とICカードリーダーも必要となる。
逆にネットの確定申告作成コーナーを使用する事での作業低減要件としては、1:原則は自動計算なので計算作業は激減する、2:特に税率計算間違いや復興特別所得税の記入忘れは生じない、3:データを保存すると次回(翌年)にも同一記入内容(例えば原価償却やローン等)は使用できるので2回目から入力内容が減少する、などがある。
ある税理士曰く「e-taxはプロの税理士が最初に使ったが、とても一般人には無理と思った。だが毎年改良されて、現在は利用した方が申告書作成は容易になって来た。紙ベースの申告書作成でも、ネットの申告書作成コーナーを利用して作成して、それを印刷して郵送提出する方法を推奨する、これにはマイナンバーカードとICリーダーは不要だ。電子送信方法への移行は個人の準備状況で対応して欲しい」だった(注:印刷は、プリンタを保有しない場合はPDFファイルで出力して、例えばUSBメモリーを介してコンビニ等のプリントサービスを利用できる)。
確定申告の電子化を個人が行う必要要件は、ネットの確定申告作成コーナーを使用して印刷して提出する場合は、1:パソコン等の使用環境、2:インターネットのアクセス環境、3:ネット上で作業を行う能力、になる。
具体的にはネットの確定申告作成コーナーはパソコン上で動作するウエブサイト閲覧ソフト「ブラウザ」で稼働するので、上記の要件を満たしブラウザ上で該当コーナーに行き使用出来れば可能となる。
パソコンのOSとブラウザがそのウエブサイトの動作要件を満たしておれば、そのサイトからブラウザの拡張機能ソフトをダウンロードして(解凍してインストールする)、それをブラウザの拡張機能に追加する、それによって確定申告作成コーナーを個々のパソコンからアクセス可能になる。
確定申告作成コーナーでの書き込み方法はウエブサイト上にマニュアル的に記載されている、紙ベースでの申告書作成経験があればほぼ理解できるが、100%同じとまでは言えない、事業所得や他の所得の収支内訳書も確定申告作成コーナーで先に作成してそのデータを確定申告書に持ち込む形になる(案内に従えば自動で行う)。
作成途中または終了時には、作成データを自身のパソコン上にダウンロードして保管する、次回の作業では保存データを読み込んでから開始する事になる、翌年度もそのデータに転用可能部(例えば原価償却等)があれば同じように使用可能だ、2回目以降は入力量は減少すると思われる。
現在はパソコンのOS「Windows」上でブラウザはほぼ3種(バージョンで異なる)、「MacOS」上でブラウザ「Safari」に対応している(拡張機能ソフトがある。
前回はパソコンとインターネット環境がある時に使用可能な方法の、ネットの確定申告作成コーナーを使用してデータを入力して、それを印刷して提出する方法を述べた。
ネットの確定申告作成コーナーでは他に、1:マイナンバー方式による申告書提出方式と、2:パスワード方式による申告書提出方式がある。
マイナンバー方式では、A:事前に作成した電子式のマイナンバーカードを保有している、B:ICカードリーダーを保有しておりそれがネットの確定申告作成コーナーで使用可能、の条件が追加される。
パスワード方式では、事前に確定申告用に登録したパスワードを保有している事の条件が追加される、例えば前年度に電子申告を利用した人や申告書提出先でパスワード登録した人が該当する(他にも登録方法はある)。
マイナンバーカードは規定の方法で写真を添えて規定の場所に郵送で申請すると、現在ならば2月程度で作成してもらえる(注:市役所窓口で相談したり写真撮影サービスがある場合もあるが、基本は個人が郵便で申請する)。
作成完了通知が到着すれば、その受取場所と日時を予約して(例えばネットから)、通知書に従ってパスワードを決めて、当日に本人確認書類(例えば運転免許(写真があるもの)等)を持って本人が出向いて、そこでパスワードを設定入力して受け取る。
ICカードリーダーは確定申告作成コーナーで動作確認されている機種が無難だがパソコンOSとブラウザとダウンロードして使用する拡張機能ソフトとの絡みで、全て動作するかは不明だ、現実にOSのバージョンアップで一時的に動作しなくなるケースがあった。
ネットの確定申告作成コーナーを利用するメリットの一つとして、利用者にとっては一度作成したデータの再利用が可能な事がある。
毎年に確定申告を行っている人は、それぞれに過去の履歴を残して翌年の申告書作成に参考にしたり利用している筈だ、パソコンで市販の帳票ソフトを利用して場合はそれ自体が複数年での確定申告作成と繋がっている事は多い。
手書き帳簿で手書き確定申告を行っている人でも、パソコンの表計算ソフトや家計簿ソフトの利用者は多い、パソコンと電子化データを一部でも利用している場合は、自動計算機能と同時にデータの再利用を行っているだろう。
ネットの確定申告作成コーナーを利用する場合も、利用者はその中のデータ保存機能を利用する事でデータの保存が可能であり、前年に作成した収支内訳書(青色申告書)と確定申告書のデータを翌年に利用できる。
データの保存は申告書や収支内訳書の途中段階でも利用可能であり、多くの画面でデータ保存のボタンがあるので、それをクリックすると通常のブラウザでのダウンロードと同様にデータファイルがダウンロードされる(通常はOSがコントロールするダウンロードフォルダへ)、データはブラウザ上で使用するファイルなのでオフラインで無理に読むと壊れる可能性はある。
次回かあるいは翌年の確定申告作成コーナーで、データ利用を選択するとファイル名選択画面が出る(若干わかり難い)ので選択(移動していなければデフォルトでも見つかる)してから読み込みスタートする。
簡単に言えばデータは個人がパソコン内で保管する事になる。
ネットの確定申告作成コーナーを利用する場合のデータ記入方法は、紙ベースの申告書への記入方法が可能あるいは経験している事を想定している。
ネットの確定申告作成コーナーのネット版マニュアルでは、1:紙方式の記入方法(郵送で送られてくるマニュアル)に追加記入した体裁の電子化申告書記入マニュアル,2:パソコン作業マニュアルが用意されており、ネット問い合わせコーナーも準備されている。
紙ベースのマニュアルでは、控除金の計算方法や税金の計算方法とデータの転記方法が詳しく書かれているが、電子化申告書では自動計算と自動転記になる。
事業別の収支内訳書(あるいは青色申告書)では記載内容が多くて項目が超える場合は、紙用紙をコピーしてそこに記載する事になるが、電子化申告書(収支内訳書)では上限がある、それを超える場合は最後の欄に「XXX その他」としてまとめた数値を記載する事になる。
数値の一部では小数点以下が生じる事があり丸め誤差が生じて、データのまとめ方で誤差が生じる場合もあるが自動計算に従う事になる。
ネットの確定申告作成コーナーでのデータ作成後は個人のパソコンにデータ保管するが、翌年以降にも使用可でありそれを前提にして、保管場所を決めて個人で管理する必要がある(手書きでの紙申告書を作成していた人でも、多くはパソコンや家計簿ソフトを使用するケースは多い筈で、その時のデータの保管に準ずる)。
データがあれば申告作成コーナーでいつでも印刷は可能だが、電子データ送信方式の人でも紙へ印刷して保管する人は多い。
印刷方式で申告書を提出する場合は、必然的に印刷を行うが標準では「提出用申告書と控用申告書」が同時に印刷される。
申告作成コーナーでの印刷では、印刷データをPDFでパソコンに出力する事が可能だ、そのPDFをパソコンで印刷するか、プリンターが無い場合はUSBメモリーやDVD-ROM等を使い、コンビニやデジタル印刷サービスで印刷する事になる。
印刷方式での提出方法では、電子データの印刷後に手書き追加も可能(例えば提出日等)、ただし控えも追記が必要だろう。
また電子申告方法と、印刷方式での申告方法では、必要な添付書類が異なるので注意が必要だ。
印刷方式で申告書控えにも受付日の捺印が必要な人は、返信用封筒を準備(宛名・切手等)同封して提出用申告書に同封する必要がある。
なお印刷方式での提出用の封筒は2021年から、確定申告用紙への添付が廃止されたので個人で準備する事になった。