項目別バックナンバー[5]:技術情報:47

相対論

相対論の考えはニュートン力学にもあったが、20世紀の量子論と同時期に登場した特殊相対性理論と一般相対性理論をまとめての相対性理論が今では中心となっている、以下後者を扱う。
相対性理論は数学的には矛盾しない閉じた理論だ。
だが、自然科学と物理学的には理論には仮説があり、結果が自然現象と矛盾していない事の証明が必要だ。
相対性理論の発表以降で度々実験や観測が行われて来て、古典理論よりは一致している結果は出ているが、正しい事の証明は完全には出来ない。

アインシュタインが特殊相対性理論を発表したのは1905年で、一般相対性理論を発表したのが1915年だが、その後に理論を進めると共に著書にまとめ、同時に全世界を講演等で巡った。
理論は実験や観測での実証が必要でありそれを求めたりアドバイスしたりしたので、時間の経過で増えて行ったがその解釈は個々で異なった、次第に本人と共に賛同者も増えたとされる。
アインシュタインは著書で、ニュートン力学という慣性系の概念は越えたとしており2つの理論の比較でどちらが実験と合うかは判断しやすく古典理論に対してはより合うとされる、相対論の実証実験は精度を上げるのが難しく、理論自体が大きな仮説から始まる為に、比較なしの実証は意見が別れる。
相対性理論では光速度一定と光の扱いが特殊だ、その特徴の1つが大きな質量の側で光が屈折する現象が予測された、一番近い太陽の側の観測は通常は強い光で無理だが日蝕の時に可能とされた、観測結果は光の屈折が観測されてニュートン力学よりは一致するとされるが、精度上で特殊相対性理論を実証出来るかは意見が割れる。

相対性理論では光の速度の計測は実証の傍証となるので大きなテーマだ。
マイケルソン・モーリーの実験は1887年にマイケルソンとモーリーにより行なわれた光速(c)に対する地球の速さ(v)の比(β = v/c)の二乗β2を検出を目的とした実験だ。
19世紀の物理学では、光の波動は「エーテル」という媒質を伝播すると考えられていてそれの検出で行われた、マイケルソン・モーリーの実験はその目的だったが結果は否定的だった。
ただ、その実験手法は光速度測定や重力波検出という目的のなかでも、機器の高精度化で使用されて、相対性理論やそこからの重力波とも繋がった。
宇宙から届く光は地球に届く時に光の振動数は発射された時と比べて低くなることが多いと観測される。可視光で波長の長い赤色の方へずれる現象なので「赤方偏移」と呼ばれる。
その理由の1つが「重力赤方偏移」で、星の表面から重力に逆い光を放つとエネルギーを徐々に失い振動数は低くなる現象で、相対性理論から導き出されていたのでその観測も実証とされた、「赤方偏移」自体は複数の原因がある。

一般相対性理論の予言の重力波の存在は、相対性理論の検証で間接的に観測されたのみだった、超高感度の装置で重力波を検出する計画が行われている。
宇宙重力波望遠鏡は宇宙空間に3機の装置を設置して低い周波数の重力場を拾うことが目的だ。
重力波の存在は現状では相対性理論に特徴的で、その観測は検証の意味が大きいとされていて観測計画が出ている、NASAの重力観測衛星が相対性理論に重要な効果の正確な測定に成功して相対性理論の正しさを支持したとされる。
重力波の観測はそれ自体の意味も大きいが、相対性理論検証にも大きい。
GPSや地球を回る人工衛星でも相対性理論による効果を加える事で初めて正確に運用できるとされている。

相対性理論はおおまかには、相対性と光速度一定から成り立つ。
光速度一定は光速を超えられないとする考え方だが、こちらは理解されにくい内容だ、それを相対性理論が説明する事は出来ない仮定だからだ。
相対性理論が示す事は、自分が物体を光速以上に加速させるのは不可能であり、相対性からそれは他の誰かも同様に光速以上に加速出来ない事だ。
それは誰かが何かを光速以上に加速出来ない事だけであり、最初から光速を越える物体が存在しない事は否定していない。
それ故にその物体に「タキオン」いう名称をつけて語られる、それは存在の証拠もなく見つかってもいないが否定も出来ない。
無いと考える人は多いが理由は、・光速以上が存在すると因果律が成り立たないので無いと考えたい、・存在すれば質量が虚数になるので否定したい等だ光速度一定の仮定は証明できない「悪魔の証明」だと言える。

相対性理論が目指した事は電磁場と重力場の統一であり、アインシュタイン自身がその著作でも目指して改良を重ね、電磁気学的な事実と光学的事実と重力的な事実をまとめて解釈出来る理論を目指した。
電磁波の速度(光の速度)と質量を結びつけて、重力場に結びつける事を目指したがそこには有名な質量とエネルギーの関係式(同等性)が出され、そこのエネルギーに重力場のエネルギーが含まれるかが課題だった。
アインシュタインは相対性理論が重力場を説明するものとして、水星の近日点移動を説明出来る事をあげた、水星の公転軌道は歪んだ楕円で一番太陽に近づく位置が近日点が移動する現象だ、古典力学では他の惑星が存在して説明出来るがそれでも観測とはずれる、相対性理論はそれをより高い精度で説明する、相対性理論を否定するにはより高い精度の別の説明が必要となる。


レーザー

電磁波が波の性質と粒子の性質を持つ事は量子力学の基本的な考えだが、それが実用的に注目された最初は、レーザーとメーザーの開発とそれらの実用化と普及だ。
その現象は1:エネルギーの高いエネルギー準位への蓄積=ポンピングと、2:一度の下位のエネルギー準位へのまとまった推移と、3:その時の波長と位相の揃った電磁波の放出と、4:その電磁波の増幅と、5:放射だ。
エネルギーが与えられる手段は多様で、光・電磁波としてや他のエネルギーとして与えられる。
エネルギー準位での蓄積と、遷移は粒子としての性質で説明される。
下位エネルギー準位への遷移時のエネルギー放出が電磁波となり、それが如何に増幅されるかは波の性質で説明される。

レーザーの最大の特徴は波長と位相の揃った強度の高い電磁波の放出だが、実効的な総エネルギー量はA(時間当たり(毎秒)の波長幅)・B(強度)となる、レーザーはAが狭くてBが大きいそれ故に総エネルギー量は大きくない事が普通だ。
上記はパルスレーザー発振時の事で、現在実用されている産業用レーザーは連続発振が可能となっているこの場合はレーザーの照射時間を掛けたものがエネルギー量となり金属や各種材料の溶断加工が可能となる。
レーザーでのエネルギーの蓄積(ポンピング)は発振波長よりも短い波長の電磁波(エネルギーが高い)か他の方法で高いエネルギーを供給して、それを利用してレーザー発振原理で狭い波長の高い強度の電磁波を発振させる。
必ずしもそのエネルギー変換効率は全てが高くない、変換出来ない部分は多くは熱に換わるので変換効率が悪いと熱で高温になる。

レーザーの材料の持つ2つ以上のエネルギー準位とその間の電子の推移によるエネルギー放出が電磁波の発振になるので、レーザーは材料毎に放出波長が異なる。
その波長が可視光付近のものが光(light)放出でレーザーと呼ばれ、マイクロ波(microwave)の物がメーザーと呼ばれる。
レーザーには近紫外・近赤外と遠赤外も加えて扱う事が多い、遠紫外では2000μm以下では空気中で吸収される性質で真空紫外とも呼ばれ、扱いが難しく対象外だ。
気体レーザーでは近紫外の窒素ガスレーザー、緑のアルゴンレーザー、赤のヘリウムネオンレーザーと、遠赤外の炭酸ガスレーザーがある。
固体レーザーには、赤のルビーレーザーや、近赤外のヤグレーザー(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)や、ガラスレーザーがある。
半導体レーザーは固体レーザーだが、製法も発振原理も異なり分けて扱う事が普通で、不純物準位で発振波長も異なる物が作れる、技術的実用的には、3-5族化合物半導体が最初で、4-6族化合物半導体も開発されている。
液体レーザーとして有機色素レーザーが開発されているが、特有の性質がある。

一般にレーザーは物質固有のエネルギーギャップを使用して発振させるので、波長も物質固有となり変えられない、液体レーザーの1つの有機色素レーザーは蛍光色素をそれよりもエネルギーが高い短波長の光源で励起して発振させるが色素の組成を変える事で波長を変えられる特徴がある。
同位体の濃縮や、医療用で特定の細胞(例えば癌細胞)の攻撃治療を行うには狙った波長が必要だ、その用途には有機色素レーザーは有用だ。
有機色素レーザーは液体レーザー以外に、高分子に色素を含ませるタイプも登場している、それの励起用の短波長の光源としては高容量気体レーザー等が使用される。
有機色素レーザーは寿命と蛍光色素が有害の問題があり、波長可変固体レーザーが開発されて置き換えが生じている。

レーザー加工は基本は電磁エネルギーによる熱加工だ、1:温度を上昇させる、2:局所的に加工物の融点以上にして溶融させる、3:局所的に加工物の沸点以上にして昇華させる、等だ。
金属以外では、溶融・昇華が必ずしもないが燃やす・軟化融解させる・分解する事が似た原理で行える。
レーザーはレンズ作用で小さな面積に電磁波を集中出来る、この面積が小さい程にエネルギーは高くなる、それで微細加工が可能だと判るが、同時にそれは加工面積も小さくなり加工時間や効率的に最善でない。
光ディスクへの書き込みでは物理的な不可逆変化を伴う時は2:か3:になる一度だけの書き込みになり「書き込み1度、読み出し多数回」(WORM)タイプが相当して利用は多い。
光ディスクでも多数回の書き込み読み出しが出来るタイプは、「1:温度を上昇させる」原理を利用する、温度で相転移する物質を使用するが、多くは磁気と併用してレーザーで温度を磁気転移温度以上に局所的に加熱するとその部分だけが磁気性質が変わり書き込みが出来る。

レーザー穴明け加工はエネルギー容量の高い機器で行う、そして切断は穴明け加工の焦点を移動する事で行う、間欠放射の場合は丸穴明けを重ねるイメーとなるが、実用としては連続放射であり現在はそれが可能となっている、そのためイメージは光の径が幅となる戦の加工だ。
光の径が加工しろとなるから、双方を使用する材料の分割ではレーザー加工は材料無駄が少ない、同時に微細な穴加工や形状加工も可能だ。
レーザーの種類としては赤外領域の炭酸ガスレーザーが主流だった、初期の炭酸ガスレーザーはかなり大きな装置だった、それが普及のために小型化の改良が行われた、小型の短い光路で増幅するには電磁波を反射させる機構やそこから取り出して加工物に当てる誘導路が必要だ。
制御器は微細精密加工でありデジタルも数値制御を使用する、数値制御は現在の加工機では一般的であり、キャドで製作した加工データをそれぞれの加工機に使えるデータに変換して使用する、レーザー加工には固体レーザーのヤグレーザーも使用される。


太陽系

太陽系という考え方は16世紀の地動説以降に始まる。
太陽を中心に惑星が公転する、その惑星の廻りを衛星が公転する。
ただし太陽系の最初は、太陽と水星・金星・地球・火星・木星・土星と、衛星の月であり、そこにガリレオが自身が製作した望遠鏡で観測した木星の4つの衛星から構成された。
ケプラーは師匠であるティコ・ブラーエの観測データと自身の観測データから3つの惑星の軌道に関する法則を得た。
1:楕円軌道
2:公転の面速度一定(惑星と太陽を繋ぐ線が時間毎に作る面積は一定)
3:惑星の公転周期の2乗は軌道の長半径の3乗に比例する
これらは当時は画期的なものだった、3法則はニュートンが発見した万有引力とニュートン力学で解ける(実際はニュートンは3法則から、導いた)
その後に惑星は天王星と海王星が発見され後に冥王星も発見された、冥王星は惑星の定義の見直しで惑星から外れた。
多くの惑星にその衛星が見つかり、多数の小惑星も見つかった。
放物線軌道で太陽系に来る彗星が見つかって来たが、ハリーが紀元前からの記録を元に周期を持つ巨大彗星の軌道を計算し後に確認されてハリー彗星となり、細長い楕円軌道の周期彗星が確認された。

太陽系の惑星では18世紀からボーデの法則が言われて来た、それは太陽と惑星の平均距離の経験的法則で6つの惑星では近似的に成り立った。
それから未知の惑星として、水星の内側と、火星と木星の間と、土星の外を探した、その結果で火星と木星の間に小惑星が見つかり、土星の外に天王星が見つかった、だが次の海王星は大きく外れて経験則の限界となった。
小惑星は次々と見つかり、その多くはボーデの法則の位置の惑星が破壊された残骸だと言われている。
海王星の発見は天王星の軌道の計算値と観測値との食い違いを、外に別の衛星が存在するとして計算して発見された、それと同様にして外の冥王星を計算して探した、発見された冥王星は余りに小さすぎて上記の方法では見つからないと後で判った、今では偶然という意見が強い。
冥王星は遠く観測が難しい、それ故に観測精度が向上する程にその質量は小さくなり(衛星が大きかった)、ついには小さい故と他の理由とで惑星から準惑星扱いとなった。

惑星には、太陽の廻りを運動する公転と、自身が回転する自転の動きがある。
それは衛星が惑星に対して行う運動も同様だ。
8個の惑星の公転は全て半時計回り(順行と呼ぶ)でありしかもほぼ同一面上にある、その原因は説がある程度だ、揃う事には太陽系の起源と繋げて初期に加えられた力で揃った説が有力だ。
それ故に、8惑星以外で逆行するものは連星等単独で動いていない場合とか、星の起源が異なり外部の星が捕捉されたとかが考えられている、それらは一部の小惑星や冥王星軌道より外の天体に見つかっている。
惑星の自転は金星と天王星以外は順行方向だ。
天王星は自転軸が90度傾いた横倒しだから解釈と定義で異なる。
金星はほぼ太陽に同じ面を向けている、自転は公転周期より僅か長い時間のゆっくりした逆行だ、これには太陽の引力の影響する説があり歪んだ形状の水星は特殊で、金星はほぼ捕捉され、地球と火星は捕捉状態が弱いと考える、それとは別に他の星の衝突が起源とする説も有力とされる。

惑星の周囲を公転する天体を衛星と呼ぶ、人工衛星はここでは除く。
衛星は観測精度の向上と共に増え、金星と水星以外の惑星と、いくつかの準惑星と多数の小惑星で見つかっている。
ただしその大きさは多様で、地球の衛星(月)と海王星の衛星・トリトンと準惑星の冥王星の衛星・カロンは大きい過ぎるとする見方もある。
木星からの外惑星の衛星は比率的に小型でそもそもの「出来た過程も異なる」という考え方や「大きな衛星は墜落して消滅した」という考え方がある。
初期に発見された衛星は公転軌道と同じ軌道を動くものが多かったが、それよりも小さな衛星が発見されるとそれから外れたものが多かった、小さな衛星は他の天体が惑星に捕らえられたとする考え方がある。
木星の衛星はガリレオが観測した4大衛星から数十個に増えている、他の外惑星も発見が続いている。
衛星の周囲を回る天体は孫衛星となるがまだ見つかっていない、衛星の観測結果から、小さな孫衛星は存在しても安定しない考えられている。

小惑星はその定義は太陽系の小天体のなかで冥王星より内側の天体で、彗星(箒状の尾を引く天体)ではない小天体となる。
ボーデの法則の火星と木星の軌道の間の軌道付近に多数存在しており、その軌道の天体を指す傾向もあるが、それ以外の軌道の小惑星も多数見つかっている。
小惑星の発見も上記のボーデの法則から未知の天体を探して、代表的な小惑星を発見した事から始まる、小惑星という名称も発見後につけられた。
2006年に惑星の定義の見直しが行われて冥王星が準惑星に変更になった事は話題になった、その時に同時に小惑星の中でも大きなケレスとエリスも準惑星に変更になり、その後に準惑星に加えられたいくつかの小惑星がある。
準惑星に変わった天体を含めて小惑星には小惑星番号がつけれているが、まだ番号がつけられていない天体が多数存在している、小惑星番号がつけれても命名がされているものは一部だ。
小惑星の名称は発見者に命名権があるとされるが、そのルールが多数あり審査で認められない事もあるし希に変更や取消もある、国際的なものだから政治的やふざけたものや利益を求める事は認められ無い。

彗星の定義は太陽系の小天体のなかで冥王星より内側の天体で、小惑星(箒状の尾を引かない天体)ではない小天体となる、従って太陽から遠いと尾を引かないので小惑星と区別が出来ない。
彗星は最大3人の発見者名が付けられる、ただし個人の発見は減り観測機関の発見が増加している。
彗星の公転周期は推定数百万年以上まで幅があるとが、後者は2度と地球に近づかない天体も含まれる、彗星は質量が減少する事が多く軌道が他の天体に近づけばその影響を受けたりして実際の軌道は安定しないとされる。
その為に周期彗星と確認される事は多くない、その意味で公転周期が200年未満の短周期彗星を周期彗星と考える事もある。
地球から遠い彗星の発見や観測は最近になって増えてその情報と分類等が変わっている、それには長い周期の彗星や小惑星帯(密集地帯)に混じるメインベルト彗星や太陽に非常に接近するサングレーザーも含まれる。
サングレーザーは太陽の影響で軌道が変わったり破壊されたりし易い、それ故に残るのは大きな天体を起源として破壊された一部とも言われ、発見研究中の天体だ。

このページの先頭へ