項目別バックナンバー[5]:技術情報:17

穴空け加工

製品・材料の加工技術の進歩は激しいです。
穴空け加工は、選択肢が広くより技術進歩が激しい分野です。特に丸穴加工は 基本です。矩形等の複雑形状も、丸穴加工が出発・基礎になる事がおおいです。
穴加工のイメージは、ドリル加工です。
機械加工の中心として今も広く使用されています。しかし、加工可能材料の拡 大・精度の向上・速度の増加・微細加工への対応など進歩を続けています。
加工方法としては、機械的破壊・熱破壊・化学エッチングなどがあります。
機械的破壊は、昔からのドリル加工や、最近はやりの真空中でのスパッタ等の エッチングまで広く存在します。後者は、特定の場所に分子等をぶつけて穴 を空ける方法で、マスキングとの組み合わせで微細加工では欠かせません。

機械的破壊のドリル加工は、非常に一般的ですが文字通り破壊ですので、加工 外観・精度・道具の摩耗等の問題は生じます。
原則は、加工道具が、非加工材料よりも硬い事が必要です。正確には、加工状 態での比較になります。通常は柔らかいものでも、回転や速度を持つと硬くなる事は普通です。
この方法は、何かの接触を前提に成立しますので、相互作用が起きやすい欠点もあります。
一時はミクロな世界では、使用しないとも言われましたが、あくまでも技術的 な問題と改良の有無ですので、選択肢としてはどのような時もあります。
ただ、他の方法の比率が増えている事は事実です。

機械的破壊のドリル加工以外では、微細加工でのスパッタエッチング等の微細 分子の衝突を利用する方法があります。
現象的には、何かをぶつけて表面加工することで穴加工は深さが限られます。
原理的には、純粋な機械的加工ではない場合があります。それは、衝突物のエ ネルギーが一旦、取り込まれてから再度何かが飛び出すという相互作用が含まれる場合が多いからです。
エネルギーを運動エネルギーで持つ場合が多いので、衝突して破壊するイメージが強いです。
微細加工は半導体の加工工程で、しばしば登場します。あらゆる方法が使用さ れますが複合方式での加工が合っている場合が多いです。

レーザー加工が急激に普及しています。
これは、局所的な熱破壊による穴空け加工に当たります。
電力は通常、時間当たりで表します。または、単に最大電力で表す事もありま す。レーザー以前は、短い時間で加工を終える方式が無かったので、総電力 と、単位時間当たりの電力が大きい事を区別する習慣が無かったように思います。
レーザーは、最大電力が極端に大きく、逆にその継続時間が非常に短い事が特 徴です。従って単位時間(通常は秒)当たりの電力は非常に小さいです。
例に出されるのが、レーザーで湯を沸かすのは難しいが、金属に穴を空ける事 は出来る事です。熱破壊加工は短い時間で局所的に行う事で、効率が上がります。
穴加工を連続して行う事で、線上の加工になりますが、加工装置の能力には大 きな差があります。局所加工を連続して線上加工にするには、技術進歩が必要だったからです。

化学反応は通常は熱やエネルギーを伴いますので、熱加工・機械加工の要素も ゼロとはいえませんが、いわゆる化学エッチングに代表される加工も多く使用されています。
化学反応は、特徴は材質の選択性でしょう。(あくまでも比較上で) ある固体がある液体に触れると反応して溶ける。そして除去される事で加工 できます。部分的に行う時はマスキングを使用します。固体が面状の場合に は実用の範囲で、マスキングされていない部分が加工・除去されます。
面状・箔状は、電子回路・半導体回路など現在の主流材料ですので、加工方法 は種々の組み合わせですが、化学反応・エッチング・マスキングは欠くことができない技術となっています。


電気回路板

今は電気・電子の時代です。
昔は、自動制御をはじめ色々な技術がありましたが、コンピュータの発達と共 に電気・電子部品を回路板に載せて銅箔等で電気回路を描く方法に代わっています。
より精密な場合は、電子回路という方が有っていると思います。この場合は半 導体や透明電極等の回路も含まれるイメージがあるので、別に取り上げる事 として、一般的な電気回路板を取り上げます。
絶縁体の基板と、導体(ほとんどが銅)を貼り合わせて素材としての回路板を 作り、主にフォトプロセスでマスクして不要な銅を取りのぞき電気回路を形成する方法が標準です。
この方法は、サブトラクト法といいます。逆にメッキ等で、回路パターンを形 成する方法もある訳でこの方法を、アディテブ法と言います。

電気回路板の製造工程は長いですので、概略をまとめます。まずはシンプルな片面から。
回路板の製造方法は、多数回の材料やフォトマスクの位置合わせ精度と方法と の闘いといえます。従って、何を基準にどの様な方法で位置あわせを行うか で工程が決まります。(位置合わせ:レジストレーションと言います)
この工程が、各製造メーカーでノウハウとなっています。
一番簡単なのが、先穴+穴でのピン位置合わせです。フォトマスク合わせ・カ バーコート・(クリームはんだ)・オープンショートチェック・抜き加工・ は基準穴(ガイド穴)を使用して全て行います。この方法はシンプルですし 両面以上の回路板でも使用可能です。ただし、一番基準になるべき回路パタ ーンが基準でない分の精度不足はあります。
パターンを形成して後穴で加工する方法もあります。この方法は回路パターン 形成時に作成した基準パターンを以降の工程の基準にします。回路パターン を基準にする為に精度は向上の余地があります。パターン認識装置が必要で あり技術・コストの問題があります。また両面以上では、基準穴との併用になる場合が多いです。

電気回路板での材料技術の占める割合は高いです。
極めて一般的材料から、輸出管理令の対象の特殊材料まで多様です。ただし、 全て製品レベルでは複合材料になります。
複合材料は、貼り合わせ技術・接着技術・対熱膨張及び歪み技術・選択加工技 術など課題が多くあります。特殊材料の回路板を製品化するには、これらの 全てをクリアする必要があり、高度のノウハウが含まれます。
また、電気回路板は材料から、最終製品までの工程が長い事でも知られていま す。総合歩留まりは、高度の管理項目ですが、現実的には製造メーカーの極秘内容です。
回路板は、多くは部品実装や他の機能部品との接合を行って最終製品に組込ま れます。この工程の一部または全部を回路加工メーカーが行うか、回路板の 購入側が行うかで管理項目・品質項目その他が大きく変わります。
どちらが有利かは、個々の事情で異なります。しかし、購入側が判断力を持つには、かなりの回路製造知識が要求されます。

高度な技術が必要な電気回路板は、大手の最終製品メーカーが保有する事が多 いです。高度の製造技術の回路板は高度の用途に使用し、要求特性も品質も同様に高度なものを要求されます。
一方、これよりも難度も要求特性も低い製品が存在します。そして一般には、 使用メーカーである期間製造して色々な面で確立した回路板です。この種の ものは外注という形で、内部生産を中止してゆきます。独自の先端技術を必要としないものは内作の必要はないのです。
回路板にも、ニッチ構成は存在します。材料面・特殊加工・特殊特性などが含 む場合です。これらは、上記メーカーでも内作のメリットがほとんど無いので初期から、専門メーカーに製作依頼します。
一般材料の多層回路板以外は、多くは後者に属します。コストや部品としての重要性のランク分けをすれば、かなり必然的な結果と言えます。

電気回路板は範囲が広く、きりがありません。半導体の電子回路・フレキシブ ル回路・テープキャリア・メンブレン等はいずれ項目をあらためて取り上げたいと思います。
ここでは、透明電極に電気回路を形成する透明電極と回路板が一体になった部品を取り上げたいと思います。
元々透明電極はガラス等の透明絶縁体に導電性の電極を形成します。従って同 時に電気回路も形成する事はそれほど難しくはありません。問題はコストで す。これも液晶等の透明電極の用途が面積が非常に大きいものになること・ 携帯電話をはじめとして超高密度実装が必要になる事によりクリアされてきました。
ガラス等とセラミック導電体へのはんだつけまたは導電ペースト接続等は、困 難とされていましたが、現在は色々な接続技術が実用化されています。

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