項目別バックナンバー[5]:技術情報:26

光ファイバー

ガラスは透明で光を通すというのは、専門用語のガラスとは異なります。
光は電磁波で、その中の可視光線のみが人間に見えます。
通信に使用するのは、可視光線だけではありませんから人間に見えるかどうか が区別ではありません。
自然界から入手しやすい材料・可視光線レベルの波長で情報伝達容量が大きい 事・安定な光源・光伝達システム等でシステムが作りやすい事が条件になります。
半導体レーザーの開発状況や真空紫外領域を避けると、可視領域付近になります。
ガラスと言っても通常の市販品は、可視光の透過度は90%には遠く実用にはなり ません。材料面が最初の開発項目でした。

通常のガラスで一番純度が高く、融点が高いのは石英ガラスです。
半導体製造と類似の発想で、純度の高い石英ガラスに不純物を制御して混ぜる 事でその伝送損失と光の屈折率を制御します。
光ファイバーは筒状の長いケーブルで、その中を光が通過します。
ケーブルは直線とは限りませんから、光をケーブルの中に閉じ込める必要があります。
これは、筒状のガラスをコア部という中心の芯になる所と、クラッドというそ の周囲を囲む部分で屈折率を変える事で光を閉じ込めます。
その制御方法は、単純な2層から複雑な構造まで存在します。
光にも、使用条件も異なり、対応は多様だからです。

光ファイバーには用途別に異なる種類があります。
石英ガラスの光ファイバーは、損失が最小の為に普通にいう光通信の主伝送路 に使用が向いています。
コスト的及び取り扱い的に、通常ガラス系の光ファイバーと透明プラスティッ ク系の光ファイバーも存在します。
単純に光伝送損失からは劣りますが、異なる用途での使用になります。
例えばガラスとプラスティックでは、取り扱いは後者が格段に優れています。
当然、通常ガラス系は損失は多くても低コストの用途になります。

石英ガラスの光ファイバーは、メインの通信路には欠かせません。
従ってその周辺の接続設備も高度な機能と信頼性が要求されます。
マスメディア等で取り上げられる光ファイバー網とは、この種類を指します。
製造技術は高度で、製造設備は大きな施設になります。
製造は、半導体とおなじで殆どがコンピュータ制御の繊細なものです。
従って、半導体と同様に寡占状態が自然に生じます。
そして、多くの製造メーカーは多大な時間と費用を研究・開発・製造技術に注ぎこんで来ました。
半導体が産業の米にたとえられる様に、光ファイバーも情報通信では同じ位置になります。

安価版の光ファイバーである、通常ガラス製・プラスチック製はローカル用途に使用されます。
費用対効果を考える事と、破損や取り扱い性を考慮すると全ての用途で石英ガ ラス光ファイバーが有利にはなりません。
転送量や速度があまり必要ない用途でも、電線ケーブルよりも光ファイバーが 有利な面は多くあります。それらには安価版の使用が適します。
信号の減衰の面から考えて、短い距離の用途になります。
直接見かけるのは、CDやMD等のデジタルAV機器間のデータ転送を光通信で行う ケーブルがあります。接続時に赤い光を見た人も多いでしょう。
人が触れる用途は、破損が起こりやすいですので考慮されます。


携帯電話

携帯電話の普及と機能の変化は激しいです。
狭い日本での必要性を問題にする時期は、とうに過ぎています。
元々は有線が困難な地域で発達しましたが、電柱がはりめぐされた日本でも普 及度はまもなく飽和に達するでしょう。
日本では、携帯電話の必要性が異なる環境でしたので独自の発展をしてしまい ました。世界に向けての舵はきられつつありますが、先に外より異なるサービスが入ってきました。
アップルのiphoneや、グーグルOS等です。
ハード的には日本で対応出来ても、ソフト的には日本は後を追う状態です。
携帯電話を技術的に見ると、やはりハードとソフトの両面を見る必要があります。

携帯電話は、既に会話・電子メール・ブラウジングその他の機能を持っていま す。ただ対応機種の制限がややこしい状況は正常とは言えません。
会話面では漸く、機種・サービス会社が変わっても電話番号が変わらない様になりました。
ブラウジングでは依然として複数のキャリアが存在しており、パソコンインタ ーネットも含めると4種類になります。この状態はいつかは無くなるとは思 いますがゲーム機並みの非ビジネス的です。
パソコンが機能の一部しか使用しない機器といわれましたが、携帯電話も全く同様に進んでいます。

携帯電話は、初期には誤動作防止用に一定時間スイッチを押すシステムが多か ったです。これは現在も受け継いでいます。
現在は、携帯電話のOS化・着脱メモリー化・ソフトの起動時の読み込みが普通に行います。
これは、パソコンがROM動作から、OS+クリーンメモリー化した歴史と同じで す。起動そのものにソフト読み込み時間が必要になりました。
携帯電話の電源オフを呼びかける場所が増えていますが、携帯電話のシステム自体はそれと逆行しています。
携帯電話と呼ぶからには、音声通話用ですが、次第に電子メールの使用が増え ています。現在の携帯電話では、むしろ携帯端末と呼ぶべき機能になっています。

携帯電話は、日本では変則的な発展をしてきました。
通信料金(基本料金・従量)で運営するシステムです。如何に契約者を増やす かがポイントになります。
そして、その為にハードである携帯電話端末自体の格安費用での提供がありま した。この事は利用者に、誤った費用感覚を生んでしまった様です。
携帯電話端末(ハード)は最新技術の集まりで、高価な製品です。
ただそれが忘れがちです。そして、最近までは、通信会社ごとに電話番号が変 わるシステムでしたから、既存契約者を繋ぎとめる事に集中していました。
ハードの製造会社の技術力と、通信会社のサービスとの統合ですが、実際はた すきかけ的な組合わせになり、情報機密が奇妙に行われています。
今は、電話番号の非変更で別の通信会社に移行は出来ますが、電子メールでは 基本は通信会社のドメインですので、移行は出来ません。
ただし、パソコン用のメールアドレスを使用する事が可能な機種が増加しています。

携帯電話は、機能と料金プラン競争の面が先に走りました。
しかし、利用者の年齢層を広げる段階になると、全く異なるサービスプランの 作成が必要になりました。
高年齢層向けの「シンプル・機能」携帯電話が一つです。テレビのリモコンも 苦手で録画予約は無理という人が多いのです。
その人には、機能は必要最小限で紛失時の被害が最小になる設計が必要です。 当然にマニュアルを読む事は期待出来ません。キーは大きく、少ない必要が あります。電子メールやカメラは不要です。
このビジネスでは、最終的に個人ごとの初期設定と操作説明サービスという意 外な方法が一番の重要度になったと思います。これは、高機能を追っていた 人には予想外のビジネスモデルでした。
ただ、これとは程度は異なりますが「高機能を追わない」という考えはアジア 圏等の海外向けにも対応できるものです。

携帯電話の、別のサービスの展開に低年齢層向けのものがあります。
例えば、有害コンテンツアクセス制限・GPS機能での位置確認・家族割り引き、等です。
子供に携帯電話は必要かの議論はありますが、サービス提供側はそれとは別に どのような機能が必要で、どのような機能は不要かの検討・実施に進んでいます。
子供の生活に大人が関与しすぎるのか、あるいは子供の安全の為に大人はどの様に関与してゆくのか?。
これも意見が割れますが、提供者は後者の立場で開発を行っています。


電磁波関連

無線時代のみならず「電磁波」は度々話題になります。
ただし、一般的な広い周波数ではなく話題になる特定の周波数があります。
まずは、テレビのアナログ放送からデジタル放送への移行です。
電磁波の周波数でいえば、VHFの放送から現在も地区単位では使用されている UHF周波数の放送への移行と考えると近いイメージでしょう。
UHF放送を受信している人は、その特徴をある程度は分かっています。
指向性の高いアンテナ立てる事、周波数チャンネル的に余裕が有ること等。
これはUHFが周波数が高くて、より波より光の性質に近づくため直進性・指向 性が強くなる事と、より多くの情報を送る事が可能な事が理由です。
単なる方式の変更以外に、装置の多くの変更が必要になります。

人間にとっては「可視光線」の波長領域は特別です。
しかし、電磁波としては赤外線と紫外線の間のわずかな波長領域でしかありません。
物が見えるというのは、該当波長が反射するという事です。
反射現象はあらゆる電磁波の波長でおきます。
電磁波は物質の電子を、波長どうりに動かそうとします。
もし、動く事が出来れば電磁波は物質を通り抜ける事が出来ます。
しかし、電子の動ける速さが電磁波の波長よりも小さければ、電子は電磁波に ついてゆけず物質を通り抜ける事が出来ません。
その場合に反射が生じます。
可視光線の中で、反射する波長とそれ以外の波長があれば色となって見えます。

電磁波の波長と、物質の中の主として電子の動きが同じになる所で反射が始ま りますが、それ以外にも物質にはいくつか固有の波長が存在します。
固有の波長と電磁波の波長が、ぴったり合ってかつ継続するときに、互いに増 幅される現象が起きます。共鳴です。
程度が異なりますが、物質の破壊になる事もありえます。
そこまででなくても、物質ごとに特徴な吸収・輻射の波長を調べると、物質の 種類を調べる事が出来ます。
いわゆる分光学です。物質は通常は複雑な構造ですから、色々な広い波長領域 で特徴的な性質を示します。
分光学・分析に色々な種類があるのは、個々に対応する方法が異なるからです。

電磁波は19世紀後半にマクスウェルによって概念ができました。
そして、20世紀の量子論で波と量子の二面性と言う事が確立した考えになりました。
従って、電磁波が飛ぶ現象と量子が飛ぶ現象は同じですが、双方の性質を持っ ています。波としての波長が短い(=周波数が高い)方が持っているエネル ギーが大きく、波よりも量子としての性質が強くなります。
波は、障害物を周り込む性質がありますので少しの障害物があっても影の部分にも伝わります。
光は、波長の短い電磁波ですので波の性質が少なく、直進している様に見える事が多いです。
光は空中を飛ぶ性質がありますが、それより短い波長の電磁波でもある程度の 波長とエネルギーがあれば、空中を飛ばす事が出来ます。
無線通信ですが、波の性質と光より低いエネルギーで使用可能ですので、電波とも呼ばれて多用されています。

電磁波はといえば、電気と磁気を思い浮かべます。
現実の教科書では、同様の扱いを行う場合も多いです。
その関係を電磁誘導で繋ぎます。
しかし、現実は発見されているのは「電荷」のみです。「磁荷」は見つかって いません。必ず磁石のようにN極とS極のペアでのみ存在します。
現在の磁気は、電荷が動く事で発生する「電流」が電磁誘導で起こす「磁気」です。
電荷は静止していると「静電気」になり、動いていると「電流」になり「磁気」 になります。電荷のみで、電気と磁気が存在する理由ですが、「磁荷」が見つかっていない状況での話しです。
止まっている・動いているという見え方は相対的な話です。いわゆる相対性理 論です。この理論の中心は、電磁波の速度=光の速度は一定という考えです。
電磁波と光の関係の最初は、どちらも速度が同じという発見からはじまっています。

電磁波は波の性質もありますし、それも縦波として知られています。
この為、波長が揃った場合はその波長で大きな強度を持ちます。
それを現実に可能にしたのが、レーザーです。
レーザーという言葉は、光(light)を対象としています。
マイクロ波の場合は、メーザーと呼びます。
実用的には、熱エネルギーの強い赤外線・見える?可視光線・エネルギーの高い近紫外線が利用されています。
紫外線は、今後の実用化は不明ですが、空気に吸収される通常真空紫外線では実用はされていません。

このページの先頭へ